見てくれてたユーザー達にはすまないと思っています。
気が付けば、観覧数が5000を越えていました。
こんな作品を見てくれてありがとうございます!
今回の話は、ブーケ第9話を元に色々自分なりにアレンジしました。
それではどうぞ!
1.8 一部のキャラの文章を修正しました。
競技会で、奈々が遭遇したシエルリント女学薗の制服を着た謎のリリィ。
彼女はGEHENAの協力者だと告げていたが、彼女が行ったのはただの盗撮であった。
亜理奈にそのリリィの画像を見せると、彼女の名は柊地由良。シエルリント女学薗の2年生である事が分かった。
彼女から情報を聴き出せば、今後のGEHENAの行動を制限出来るだろう。
ところが彼女はその昨日の日に転校しており、転入先はイルマ女子美術高校と聞かされているが、転入先のガーデンからは、彼女が来るという話は無いと言う。
しばらくの間、身を潜む為の隠ぺい工作である。
今後、学園側としては彼女、柊地由良を警戒対象に入れる事となった。
そして学園には、もう1つの問題があった。
一柳結梨が、GEHENAに狙われている事である。
その理由は、彼女が普通の人間では無いこと。
エキシビションでの戦いの以上な上達ぶりは、人間の領域を越えていた。
そんなGEHENAは彼女を回収するために政府を味方に付けてきたのだ。
敵に回せば、学園が危ない。
危機は次第に迫りつつあった。
競技会から2日目が過ぎ…午後4時、百合ヶ丘女学院の校舎の屋上にて……
梨璃「……!」
梨璃は髪切りハサミを持って、結梨の散髪に挑戦していた。
真剣な表情で結梨の髪を切ろうとするが、手が震えていた。
梨璃「う…動かないでね?結梨ちゃん!動いちゃダメだからね…!」
結梨「それ…フリなの?」
梨璃「フリじゃないよ!って、その言葉どこで覚えたの?」
結梨「奈々が見せたDVDで裸の人が熱湯風呂に入る所でそう教えてくれた」
梨璃「ぶっ!!?」
梨璃が吹いた。
梨璃「な、奈々ちゃん何を見せてるのーーー!!!!!!」
梨璃の奈々に対する怒りの叫びが響いた。
結梨「梨璃、落ち着け」
梨璃「はあ…はあ…うん、落ち着いた」
改めて結梨の前髪を切ろうとする梨璃。
結梨「切るんでしょ?難しくないよ」
梨璃「だ…だって、前髪だよ~?」
結梨「ちゃちゃっと済ませて朝練するんでしょ?ウフフ。くすぐったーい」
梨璃「ううーーー……」
と、幸せな二人の前に…奈々が現れた。
奈々「やあ、二人とも」
梨璃「あ、奈々ちゃん」
結梨「何しに来たの?」
奈々「実は、二人に用があるんだ」
一方、理事長室では………
高松「ヒュージ研究の国際機関GEHENAと、フランスに拠点を置くCHARMメーカー・グランギニョルは、捕獲したヒュージの体組織から幹細胞を作り出した。ヒュージのDNAには、過去この地球上に発生した凡ゆる生物のDNAが増幅して保存されていると言われている。彼等は人造リリィを作る為、その中から人の遺伝子を発現させようと試みた。今我々が保護しているのが、連中の言う実験体と言う訳だ。彼女はリリィでないとなれば、学院は彼女を匿う根拠を失うと言う事になる」
もし、彼女…一柳結梨がリリィではなく、ヒュージと断定されれば、彼女を匿い続ければ…百合ヶ丘女学院にもその責任を負わねばならない。
下手すれば…ここに暮らすリリィ達の居場所を失うことになる。
そしてここに住むブーステッドリリィ達も再びGEHENAの毒牙に会うだろう。
史房「我々に選択肢はないと言う訳ですね?出雲先生には申し訳ありませんが…」
もはや、結梨を手渡すしか、道は無かったのだ。
しかし、そこへ…誰かが入ってきた。
眞悠理「大変です!理事長」
咬月「どうした?」
眞悠理「奈々さんが、朝早く長期の外出届を出して、梨璃さんと結梨さんを連れていきました!」
持ってきた3枚の外出届には、それぞれ奈々、梨璃、結梨の名前と、二泊三日の期間が書かれていた。
史房「な!?」
実は朝、奈々は散髪中の梨璃と結梨を誘って、外へ連れ出してしまったのだ。
咬月「……彼女の方から先手を打ってきたようだ…本当に機転の回る子だ」
史房「でも、何故…!」
咬月「昨日の話…彼女は扉越しに聞いていたそうだ」
奈々が盗み聴きをしてたことは咬月も知っていた。
眞悠理「すぐに呼び戻してきます!」
咬月「無駄だ。追いかけても彼女には追い付けない。携帯の電源も切っている」
縮地と鷹の目等、様々なレアスキルが使える奈々のマスカレイドは他のリリィでは出来ない隠密行動を可能に出来る。
縮地で逃げ切り、鷹の目で最短ルートを進む。
逃げ切るには最も有効なやり方である。
史房「どうしますか…現在GEHENAとグランギニョルが引き渡しを要求していますが…」
咬月「好都合だ。彼女のお陰で言い訳と時間が出来た。史房君、大至急百由君に伝えておいてくれ。結梨君が人間である証拠を用意してほしいと」
史房「はい。結梨さんと梨璃さんを連れていった奈々さんはどういたしましょうか?」
咬月「しばらく様子を見て、もし政府が動き出した時は争出動させる。それまで結梨君の事は彼女に任せよう」
代わって奈々は梨璃と結梨を連れて、廃虚となった街に唯一無事だった映画館に着いた。
梨璃「奈々ちゃん、ここって映画館?」
結梨「映画館?」
奈々「大きな画面で映像を見る場所…っていいかな…」
奈々が梨璃と結梨をここに連れてきた本当の理由は、二人の身を安全に確保する為である。
理事長室からこっそり聞いた話だと、結梨が見付かる直前、GEHENAの実験船がヒュージネストに異常接近していた事が確認された。
実験船は、ネストから発せられるマギを利用しようとしたものの…現れたヒュージの襲撃で沈んだ。
殆どの実験体は発現する事なく失われたが、1つだけは行方不明となっていた。
それが結梨であった。
現在、政府は結梨をヒュージと断定している。
引き渡せば、道具として扱われるだろう。
しかし、奈々はそれを許さない。
仲間のためなら、自分に何があっても構わない。
それが奈々のリリィとしての信念でもある。
学園には二泊三日の外出届を出している。
これなら政府にも言い訳が付けれるだろう。
とはいえ、相手はGEHENAとつるんでいる。
強行な手段で結梨を捕獲しようとするだろう。
その為なら防衛軍を出動させ、もしかしたら他校のガーデンにも要請を掛け、結梨捕獲の為に使ってくるだろう……
百合ヶ丘の方も今頃結梨の人間である証拠を準備してる頃だろう。
3日間もあれば、十分な証拠が揃い、結梨の捕獲も取り消すだろう。
そのためにもまずは梨璃と結梨の居場所を知らせないように身を隠させる必要があるのだ。
しかし梨璃と結梨に3日間も身を隠すのは精神的にも辛い。
そこで奈々は、沢山の映像が見れる映画館を隠れ所に選んだのだ。
ちなみに映画館に連れてきた理由はもうひとつある。
複数の映画を二人に見させることで、現在の状況を悟られないようにするためである。
廃虚と化した街周辺の電気はもう通っていないが、この映画館には自家発電出来る装置がある他、スタッフが避難の際に持っていかずに置いていったフィルムがいくつか置いてあるのだ。
中にはアニメのものまで含まれており、3日間の間、梨璃と結梨に見せるには十分である。
万が一の為に、二人にはCHARMを持参していてる。
梨璃「本当にここで泊まるの?お姉様を連れてきた方が…」
奈々「夢結さんは今回忙しいって言ってたし、他のみんなも用事があるって」
結梨「ほー」
もちろんこれは嘘であり、みんなには一切言っていない。
大人数だと、その分怪しまれる確率が上がってしまう。
特に一柳隊のメンバーは全員感覚がいい。
連れていかなかったのは正解だろう。
しかし油断は出来ない。
その理由は結梨である。
結梨は対象となる相手の近くで匂いを嗅ぐことで相手の悲しい、うれしいといった心理状態が分かる能力を持っているのだ。
競技会前に結梨はみんなの心理状態を匂いでわかっていた事を奈々は知っている。
出来るだけ気持ちを落ち着かせ、結梨から少し距離を取るようにして、こちらの心理を悟られないようにしなければならない。
こちらの考えがバレてしまうからだ。
その為結梨に注意しながら映画館で生活するのも重要になる。
ちなみにこの映画館には宿泊できるスペースがあり、泊まることも出来る。
建物の中は綺麗に整えられて、スタッフがいてもおかしくない程の状態だった。
梨璃「綺麗…」
奈々「結構酷かったから、片付けるのが大変だったよ」
昨日奈々がここを訪れた時、建物中は目茶苦茶になっており、綺麗に片付ける必要があった。
とはいえ、一人で映画館全体を片付けるのは実質無理な話。
しかし彼女はリリィ。
レアスキル…マスカレイドでインビシブルワンを派生させた縮地を使って、僅か1日で映画館内の殆どを綺麗にしたのだ。
奈々「付いてきて」
奈々は梨璃と結梨を巨大スクリーンのあるホールまで連れて行くと、奈々は一人で映写室に行き、映写機にフィルムをセットし、プロジェクターの電源を付けた。
すると、席に座った梨璃と結梨の目の前のスクリーンに映像が映し出された。
梨璃「うわあ……!」
結梨「ほー……」
二人は映画に釘付けになっていた。
奈々はその間に残りの映写機に次に見る為のフィルムを取り付けていく。
フィルムは1つで最大二時間の物もある。
この映写機は、片方の映写機のフィルムが終了すると自動的に次の映写機に切り替わるように出来ており、合計5台で最大10時間の映像を見る事が出来るのだ。
気を反らす時間としては十分である。
準備を終えたところで、奈々は次に映画館の全ての窓にカーテンを掛ける。
フライドポテト、ドリンク、その他のお菓子も店舗に用意。
これらは全て奈々の出費。
奈々がブルーガード時代に溜め込んだ給料を使って買ったものである。
更に寝室の掃除、片付け、シートの用意。
館内にアナウンスをずっと流し続けた。
発電機で使える電力はこれだけで十分である。
次に窓際のカーテンは全て閉める。
万が一、梨璃と結梨がトイレに行くときを想定して、外の様子を見せない為である。
ちなみに水道はまだ通っていたので助かっている。
トイレの方には窓が無いので奈々としては助かる。
そしておまけに、映画館全体に外の衝撃と音、外部からの察知を遮断するバリア装置を用意。
これは読書の為に綾瀬から貰った物を奈々自身が改造したものである。
綾瀬から基礎的なつくり方を教わってるので、映画館全体に掛けられる程の範囲の改良なら簡単にできる。
念のために、映画館の周りを瓦礫等でカーテンを開けたときの外の様子を見えなくする工夫を施した。
入り口内は新たにカーテンを増築し、入り口の外を見えなくさせる。
そして最後に、入り口を瓦礫で埋め尽くしておく。
これなら誰が見ても映画館に人がいるとは考えないだろう。
これで準備は整った。
奈々は映画館から離れて、周囲を確認する。
梨璃と結梨には、映写室にいるけど絶対に入らないでと念を押したので問題ない。
携帯は場所が探知されるため電源を切っている。
当然、梨璃と結梨は現在携帯を持たせていない。
奈々は映画館から離れた場所へ向かう。
奈々が外に出た理由は、周囲の偵察である。
まだガーデンから出て数時間しか経ってないが、政府がすぐにガーデンに要請することもありえるのだ。
まだ政府は、こっちが何処へいるのかを知らないが、ここに来る可能性も無くはない。
奈々はマスカレイドからの鷹の目を使って周囲の状況を確認した。
二水のと比べて索敵範囲は劣るが、それでも周囲の確認は十分見れる。
念のために自信も隠れている。
レアスキル…鷹の目は高いところから真下に見える範囲しか見れない。
ヒュージぐらいのサイズは多少の障害物でも隠れないが、人間のサイズなら障害物に隠れたり、建物の中に入るなどすればこのスキルは役に立たない。
周りには、防衛軍やリリィらしい姿はいない。
今のとこは安全だが、油断は出来ない。
しかし奈々の実力なら防衛軍だろうがリリィだろうが問題なく追い払うことが可能だろうが…
奈々「さすがに他のリリィとの戦闘は避けたいなぁ」
正直な話…戦闘は避けたい奈々である。
ヒュージと心通わす相手と見なす事は、人類にとっての禁忌でもある。
ヒュージと同じマギを操るリリィもまた、1つ間違えばヒュージと同じ脅威になると捉え兼ねないのだ。
下手したら、人とリリィが争う事態は絶対に避けられない。
と、考えながら奈々は周囲を警戒しながら身を隠していた。
後は学園側に任せるしかない。
結梨が人間である証拠をつかんで政府を説得するまで、奈々は耐えることぐらい…
ここはじっとしていくしかないのだ。
とはいえ、流石に梨璃と結梨を心配させるわけにはいかないので、7時ぐらいで映画館に戻ることにした。
周囲の警戒から数時間後…辺りはすっかり暗くなり、時計は7時を過ぎていた。
今回の警戒で、軍隊、リリィ等の姿は確認出来なかった。
奈々は今日の警戒を終え、映画館に戻り、梨璃と結梨の元へ行った。
瓦礫は少しどかして中に入り、再び瓦礫で入り口を塞いだ。
梨璃「奈々ちゃん、何してたの?」
奈々「ちょっと使えるものを探してた」
梨璃「私も手伝った方がいいのかな?」
奈々「いいっていいって。さあ、食事にしようか」
梨璃と結梨の元へ戻った奈々は、封鎖されている倉庫をあさっていたと告げた。
これは嘘ではなく、監視の合間に映画館に戻り、本当に倉庫を一時間程あさってたのだ。
更に、奈々は事前に喫茶店として使われていた場所を綺麗にして、夜に戻ってからはおかずを沢山作り、ビュッフェが楽しめるよう並べておいた。
梨璃「すごい…」
結梨「沢山ある…」
スクランブルエッグに肉野菜炒め、カレーにバターコーン、唐揚げにコロッケ、コンソメスープにグリーンサラダと、全てを銀食器に盛り付けていた。
飲み物はオレンジジュースとアイスティー、いつもの紅茶も設置。
この映画館内にある喫茶店の厨房は少し広かった為、奈々は一度に多くの料理を早くこさえられる事が出来たのだ。
後からやって来た梨璃と結梨はこのビュッフェ方式に並べられた料理を見て大好評。
奈々「それじゃあ好きな料理を乗せていいよ!」
早速プレートをトレイに乗せて、おかずを選ぶ二人。
奈々も一段落したところで食事にありつける。
3人揃って円形のテーブルを囲み、夕食を楽しんだ。
このあと梨璃と結梨を寝室に行かせて寝かせた後、片付けは奈々一人で行った。
寝室は窓があったが、奈々が事前に瓦礫等で外の様子を見せないようにしたので問題ない。
片付けを済ませた奈々は、毛布を持ってロビーのソファーで寝た。
そして次の日の朝…
奈々は朝食の準備として店で買っておいたパンとバター、ジャムやサラダ、昨日のコンソメスープとシチュー等をテーブルに並べ、準備が出来た所で梨璃と結梨を起こし、食事を取った。
結梨「今日は何の映画を見せてくれるの?」
奈々「今回はコメディ系だよ」
そう言って二人をホールへ送る奈々。
そして映写機にフィルムをセットして、動かした。
二人が映画に夢中になったところで、奈々は外へ向かった。
奈々「………………これは予想外…」
鷹の目で周囲を探索したところ、リリィらしき少女がこの廃虚辺りに現れたのだ。
しかも10人。
その内5人は青いスカートに白の学ランを着たエレンスゲ女学園の制服を着ていて、残りの5人は赤一色の神庭女子藝術高校の制服を着ていた。
更にそのリリィの中には覚えのある者もいた。
藍色のショートカットの少女と、銀髪のロングの少女である。
奈々「よりにもよって一葉ちゃんと叶星さんか…ということはあの二組はやはり…」
奈々は下北沢で一緒に戦った相澤一葉、今叶星が仲間を連れてやって来た事に気付いた。
二人が連れている仲間のリリィはレギオンのメンバーである。
そして、あの二組はエレンスゲ女学園のトップレギオン…ヘルヴォルと神庭女子藝術高校のトップレギオン…グラン・エプレ。
どうやら政府は、東京支部のガーデンまで要請してきたようだ。
裏で操っているGEHENAも、早めに結梨を捕獲したいらしい。
奈々「流石にここに留まるのはまずいか…場所を変えるか…!」
二組のレギオンを映画館付近に近付かせると気配で梨璃と結梨がいることがバレる。
奈々はすぐに二組のレギオンの近くまで向かうことにした。
代わって、ヘルヴォル、グラン・エプレの方は…
一葉「上からの話によると、奈々さんはヒュージと思われる少女を連れて休暇に行ったと言いましたね」
藍色のショートカットの少女、一葉はヘルヴォルのメンバーを連れて百合ヶ丘付近の廃虚にやって来た。
エレンスゲ女学園 1年生 ヘルヴォル リーダー 相澤一葉(あいざわ かずは)
CHARMは下北沢で使っていたグングニル・カービンに代わって、シアンカラーの大きな方刃の武器、プルトガングを持ってきた。
新品同様の無改造機である。
「そのヒュージと決められた子を捕獲して政府にあけ渡すのが今回の任務なんだよね?」
気楽に構えた飴色のウェーブがかかったポニーテールの少女が一葉に続いて喋る。
エレンスゲ女学園 2年生 ヘルヴォル 飯島恋花(いいじま れんか)
CHARMは2つの刃が付いた攻撃特化のブルンツヴィーク。
そのCHARMを見た奈々は気を引き締めた。
奈々「よりによってあのCHARMか…茜さんと模擬戦した時はてこずった事もあったなぁ…」
………………………………………………………
「クシュン!」
奈々達の捜索に向かったアールヴヘイムの中で、肩の下まで伸びた後髪を左右に分けて髪留めをして前に出しだ、藍色のミドルカットの少女がくしゃみをした。
百合ヶ丘女学院 2年生 アールヴヘイム サブリーダー 渡邉茜(わたなべ あかね)
月詩「あかねえ、風邪なの?」
茜「出撃前のチェックは問題なかったのだけど…」
と、茜は呟いてた。
………………………………………………………
で、再び視点を奈々に戻す。
「今回の任務…良いものではありませんね」
お姉さんな感じの濃いめのブラウンのロングの少女が更に続けて話す。
エレンスゲ女学園 2年生 ヘルヴォル 芹沢千香瑠(せりざわ ちかる)
CHARMは珍しい槍型の武器…ゲイボルグである。
ちなみにこれは先行量産機だが、高性能である。
「私は…出来れば奈々と戦いたくない…」
クールな印象の赤のボブカットの少女が言う。
エレンスゲ女学園 2年生 ヘルヴォル 初鹿野瑤(はつかの よう)
CHARMは巨大な両刃の剣の武器…クリューサーオールである。
これも先行量産機なのだが、高級仕様になっており、扱いやすさと多彩な攻撃が可能となっている。
「らんも…奈々とは戦いたくない…」
見た目と雰囲気が幼い灰色のミドル髪の少女が最後に言う。
体格が幼く、着ている制服は彼女には大きすぎて、制服の袖が垂れ落ちている。
エレンスゲ女学園 1年生 ヘルヴォル 佐々木藍(ささき らん)
CHARMは自身より大きな斧の武器…モンドラゴン。
攻撃特化し過ぎたピーキー仕様で、盾として使える程頑丈。
叶星「私もよ。今回の任務は学園側も納得がいかないと言ってたわ」
銀髪のロングの少女…叶星がヘルヴォルの会話に入る。
神庭女子藝術高校 2年生 グラン・エプレ 隊長 今叶星(こん かなほ)
CHARMは下北沢で使っていたダインスレイフ・カービンに代わって、大型のサーベルを思わせる武器…クラウ・ソラス。
これは先行量産機である。
「でも、今政府は東京地区の全てのガーデンに要請をかけてるって言っていたわ」
ミステリアスなイメージを持つ金髪の少女が叶星に続いて喋る。
神庭女子藝術高校 2年生 グラン・エプレ 宮川高嶺(みやかわ たかね)
CHARMは巨大な両刃の武器…リサナウト。
パワータイプのリリィ専用のCHARMで、一撃必殺を想定して作られた物で、先行量産機でありながら性能は高い。
「でも、もし…奈々さんと戦うことになったらどうしましょう…」
少々おろおろしてるうぐいす色のロングの少女が言う。
神庭女子藝術高校 1年生 グラン・エプレ 土岐紅巴(とき くれは)
CHARMは独特な形状の刃を持つ武器…シュガール。
テスタメントの弱点である防御能力の定価をカバーするための機能を詰め込んだ物で、強度もいい。
「かといって、引くなんて出来ないわ」
ツインテールのピンク色の髪の少女が強気な口調で紅巴に言う。
神庭女子藝術高校 1年生 グラン・エプレ サブリーダー 定盛姫歌(さだもり ひめか)
CHARMは大剣の武器…デュランダル。
超高速変形構造とスタミナを回復する力場を発生させる高級CHARMである。
ユニークCHARMが量産化された物だが、高性能である。
「考えてもしょうがないよ。とりあえず探そ?」
無邪気で好奇心溢れる、薄紫色のお団子ヘヤーのロングの少女が言う。
神庭女子藝術高校 1年生 グラン・エプレ 丹羽灯莉(たんば あかり)
CHARMは射撃に優れたランス型の武器…マルテ。
金箱弥宙の持ってるCHARMと同じ量産化された物である。
叶星「その通りね。他のリリィ達と戦闘になるのは避けないと…」
高嶺「遠くには行ってはいないだから恐らくこの廃虚の何処かにいるはずよ」
一葉「では手分けして探しましょう。グラン・エプレは西の方を、私達ヘルヴォルは東を探索します」
叶星「わかったわ一葉。みんな行きましょう」
ヘルヴォルとグラン・エプレは二手に別れて探索を開始した。
その様子を目の当たりにした奈々は…
奈々(不味い…散開して探索されたら対処が難しくなる…!)
カモフラージュしてるとはいえ、建物自体は大きく目立つ。
更に人数が多いと尚更不味い。
もし建物を発見すれば中を探索する事は逃れられない。
奈々は事前に作った手の平サイズのドローンをリュックから取りだし、スイッチを入れる。
このドローンには、予め奈々自身のマギを込めたカプセルが内蔵されており、ヒュージ戦での囮に使えるように取っておいた物である。
小型かつ高性能のモーターとリチウムバッテリーを搭載し、最大2時間の飛行が可能。
今回奈々は、リリィ達の散開を封じるために使うことにした。
奈々はドローンを飛ばすと、ヘルヴォル、グラン・エプレから離れた所に飛んでいった。
すると、ヘルヴォルとグラン・エプレのリリィ達が気付いた。
一葉「!?遠くからマギの気配が…!」
叶星「こっちから気配を感じたわ!」
千香瑠「この気配…森の方へ向かっているわ」
恋花「すぐに追いかけるよ!」
高嶺「もしかしたら梨璃さんもそこに…!」
ヘルヴォルとグラン・エプレは奈々の思惑通り、マギの気配を追うように街の外へと走っていった。
当然そのマギの気配があるドローンは街の外の森へと進んでいった。
因みにバッテリーが残り4分の1まで減ると、カプセル内のマギが消えるようになっている。
ドローンが森の奥まで進めば、丁度いいタイミングでバッテリーが大きく消耗し、気配を消せる。
そうなれば追ってきたリリィ達は見失ったターゲットが別の場所へ逃げていったと思い、この場を離れるだろう。
尚、ドローンは迷彩塗装透明のプラスチックを使用しており、他の地形に溶け込みやすく、スピードもけっこう早く、リリィ達に追い付かれる心配はない。
また、ドローンには内蔵されたミニコンによって制御され、常に障害物の多いエリアを通ることで相手の視界から隠れやすい。
何はともあれ、ヘルヴォルとグラン・エプレはこの街から離れていくだろう。
特にあの2つのレギオンだけは戦闘を避けたい。
奈々「ふう…とりあえずは安心かな…?」
「何が安心ですの?」
奈々「!?」
安心したのも束の間、聞き覚えのある少女の声が奈々の耳に響いた。
悪い予感を感じ、後ろを振り向くと…
そこには青い服をまとい、蝶の髪飾りを付けた赤みのかかった紫のロングの少女がいた。
腰には、グングニルに似たCHARMを付けていた。
御台場女学校 2年生 ロネスネス 船田純(ふなだ きいと)
奈々「げっ!!純さん!?」
純「げっ!とはなんですのげっ!とは!?それと私は黒ひげの武将じゃありませんわ!」
後から二人のリリィもやって来た。
一人は赤のスカートに白と青の和風の戦闘服を着た銀髪の少女。
露出が若干増えてるのは置いといて…奈々の知ってる人である。
御台場女学校 2年生 ロネスネス 船田初(ふなだ うい)
CHARMはグングニル・カービンから大剣型のネイリングに変えていた。
ユニークCHARMにして、B型兵器である。
もう一人は、純に似た服を着たマゼンタカラーのロングの少女。
奈々の知らない人である。
御台場女学校 1年生 ロネスネス 司馬燈(しば ともしび)
CHARMはヴィンセツ・リーリエ。
その形状は競技会で披露された実験機…ヴァンピールに似ていた。
奈々「初さん!と…後一人誰?」
燈「燈と申しますわ!貴女と同じ1年生ですのよ。純お姉様のいるところには全てわたくしがいますので!お見知り置きを!」
奈々「お、おお…よろしく…」
燈の姿に奈々は引き気味になっていた。
何か、マゾっ気のような何かを感じていたのだ。
奈々はこういう人は苦手のようだ。
しかし奈々は、彼女が純をお姉様と呼んでいる事に疑問を持った。
奈々「あの、初さん。御台場女学校って姉妹の契りを交わす制度ありました?」
御台場女学校には「血誓」と呼ばれる制度がある事を奈々は知っていた。
シュッツエンゲル制度と似ているが、こっちは家族としての契りを結ぶ形になっている。
初「ありませんわ。ただ彼女がそう言ってるだけですわ。気にしなくていいですわ」
奈々「左様ですか」
純「それよりも、どうしてこんな廃虚にいますの?」
純の鋭い質問に奈々は心の中でギクッ、と感じた。
純「その反応は図星みたいですわね。今回ヒュージと呼ばれたリリィをかくまわせた犯人が」
こちらの行動がバレてる…!
隠し通したいところだが、相手はあのロネスネスの船田純。
嘘をつけても確実にバレるのは目に見えている。
何より、相手はCHARMを手に取り、戦闘体制に入ろうとしていた。
戦う以外の選択はない。
相手が3人なら分散することは無いだろうと思い、奈々は背中に付けていた2本のツインフェザーを抜いた。
奈々「……だとしたら、どうします?」
初「奈々さん!?」
純「もちろん、力づくでも聞かせてもらいますわ」
純は奈々が戦闘体制に入ろうとした所を見たと同時にCHARMの柄を持った。
奈々「そう簡単にやれると思わないでください!」
燈「あら~貴女一人で私達3人を相手にしますの~?」
純「いえ、ここはわたくし一人で相手にしますわ。姉様と燈は見届けてもらいますわ」
奈々「?」
一対一で戦うと言った純の言葉に奈々は疑問を感じた。
彼女達の目的はヒュージ扱いにされた結梨の捕獲のはず…
そして恐らく、誘拐犯にされた奈々とは複数で戦うように言われてるだろう。
それだけ奈々の強さは政府からも恐れられているのだ。
なのに純は奈々と一対一で戦おうとしてくる。
そして残った二人にはこちらの戦いを見届けてもらうと…
一体何を考えてるのか……
今考えても答えは出ないため、まずは目の前の状況を片付けなければならない。
そう……船田純を相手にすることである。
両者が突進し、互いのCHARMをぶつけ合う。
純は柄を引き抜き、奈々のツインフェザーと鍔迫り合いに入る。
CHARMから抜かれたのは、日本刀に似た武器であった。
奈々はそのCHARMに覚えがあった。
奈々「第三世代CHARM…フルンティングですか。その所有者が純さんとは驚きましたよ」
鍔迫り合いから引き、CHARM同士の叩き合いに入り、再び鍔迫り合いに入る。
純「貴女こそ、今回は違うCHARMのようですわね。カナベラルとブルメリアでしたっけ?あのCHARMはどうしましたの?」
再び弾き返し、お互い距離を取る。
奈々「まだ修理中でしてね。でも貴女と戦うなら、このCHARMで十分ですけどね!」
奈々がツインフェザーの連撃を仕掛け、純は的確にフルンティングの刀で受け止めていく。
純「舐められたものですわね…」
奈々「別に舐めてませんよ。純さんの実力は私も知ってますからね」
そう言って奈々は攻撃の速度を上げてきた。
純「まあいいですわ」
純は隙を見て、刀による横凪ぎで奈々のCHARMを弾き返し、そのまま連撃を仕掛けるが、奈々はすぐに体制を整え、左手のツインフェザーで受け止める。
純「ロネスネス設立から間もない日、突然現れたヒュージの群れに、ブルーガードだった貴女が応援に駆けつけ、一人で群れの3分の2を殲滅させた」
奈々は左手のツインフェザーで受け止めている純の刀を左へ流し、右手のツインフェザーで切りかかるが、咄嗟に純はバックステップを決めて回避する。
純「その後の模擬戦ではヘオロットセインツの椛、楪を負かし、わたくしも貴女に敗れた」
再び距離を縮め、袈裟斬りを仕掛ける純。
奈々も攻撃して、相手の威力を相殺する戦法に入る。
奈々「結構接戦だったけどなぁ」
純「それはどうでもいいことですわ。わたくしは今度こそ勝つ…木葉奈々、貴女に!」
3度目の鍔迫り合いに入る二人。
奈々「なるほど…でも私も早々勝ちを譲る気はありませんからね!」
再び弾き返し、両者距離を取る。
純「そのへらず口…言えなくしてあげますわよ!」
ここで純がルナティックトランサーを発動した。
純の周りにマギが集まる。
奈々「ルナティックトランサーですか…なら私はこれだ!」
奈々はレアスキル…マスカレイドを経由し、縮地を発動した。
燈「縮地!?」
初「ルナティックトランサーじゃないの!?」
純「縮地でルナティックトランサーに勝てますの?」
奈々「一対一ならこっちの方が優秀ですから。特に二刀流なら」
二刀流である分、攻撃の手数は多い。
そこに縮地等のスピード系のスキルが加わると、更に手数が増える。
奈々の身体能力なら、相手がルナティックトランサーを使って襲い掛かってきても互角に戦える為、手数で圧倒する戦法として、縮地を選んだ。
縮地ならルナティックトランサーよりマギの消費が少ないので、長期戦に持ち込めば相手のマギ切れを狙えるのだ。
マスカレイドの特性上、派生させたレアスキルの性能は低いが、奈々のマギの量ならその不足分を埋められる。
純「そう上手く行きますかしらね!」
ルナティックトランサーを発動した純が突進してきた。
奈々も正面から向かっていく。
そして至近距離に入ると、そのまま姿を消す。
純「!?」
純が奈々が突然消えた事に驚く直後に、奈々が純の背後に現れ、ツインフェザーを降り下ろすが…
すぐに純は体を右に捻らせながら、刀でツインフェザーを受け止めた。
奈々「!」
純「消えた途端、後ろに回るのは予想できますわよ」
奈々「確かに」
すぐに弾き返し、今度は再び互いのCHARMによる乱舞に入る。
そこから奈々は縮地のスピードを生かした突進攻撃で圧倒させるが、純はそれを刀で全て防いでいく。
隙が出るまでこのまま押しきる奈々だが、純が奈々の隙を見つけ、速度を重視した横凪ぎを食らわせる。
しかし奈々は左手のツインフェザーで刀を受け止め、右手のツインフェザーで追撃にかかる。
純もそれに反応し、後ろに跳んでかわした。
純「中々やりますわね。下北沢の時より動きが良くなってますし」
奈々「純さんこそ、ルナティックトランサーをコントロール出来てる上に、その刀捌き…前より動きが見違えてますよ」
純「誉めても何もあげませんわよ」
奈々「結構ですよ」
純「さて、そろそろ決めましょうか…!」
CHARMを構える。
対して奈々もCHARMを構えた,
奈々「いいっすよ。こっちもそう考えてたところですから!」
そしてお互い正面から向かっていく…
しかし、奈々の足下に何かが着弾した。
奈々「!?」
奈々は足を止め、純も何かに気付き、足を止めた。
弾が飛んできた方を見ると、建物の上にヘルヴォルとグラン・エプレのリリィ達がいた。
先程飛んできた弾は一葉のCHARMからだったようだ。
一葉「こんなオモチャですっかり騙されましたよ」
一葉の左手には、奈々が飛ばしたドローンがあった。
奈々「バレるの早!?」
灯莉「なんか、追いかけてる奈々の色が薄く見えて変だったんだよね」
恋花「灯莉のお陰でその正体がドローンだって気付けたって訳」
奈々「な!?」
奈々は大きな誤算をした。
灯莉は相手のマギの色が見える特殊な能力の持ち主であり、遠くにいる者が誰なのかをマギの色で確認できるのだ。
ドローンに積んであった奈々のカプセルに入ってるマギは量が少なく、灯莉はそれが薄い色だと感じとり、ヘルヴォルとグラン・エプレのリリィ達はそれがドローンだと見破ったのだ。
奈々は感性のいい灯莉の行動を警戒してなかった。
更に奈々は前に灯莉と会っているため、灯莉自身は奈々のマギを覚えている。
ドローンに入ってるマギに違和感を覚えるのは明白であった。
とはいえ、状況は悪くなった。
叶星「奈々さん…貴女がここにいるということは、梨璃さん達はこの辺りにいるのね?」
奈々「!?」
完全にバレた…!
ヘルヴォルとグラン・エプレが戻ってきたってことは、奈々がこの場にいる理由に気付いている事である。
ドローンを飛ばしたのが裏目に出てしまったようだ。
高嶺「相手は一人…どうする?」
一葉「わざわざ全員で掛かる必要はありません。数人はこの辺りの探索をお願いします」
ここで数人逃がせばいくら奈々でも対処が出来ない。
奈々は覚悟を決めて、左手のツインフェザーをヘルヴォル、グラン・エプレの方へ向ける。
奈々「知られた以上は簡単には逃がさないよ…全員まとめて相手にしてあげるよ。掛かってこい!」
ここでこの二組を逃せば梨璃と結梨を見つけられる為、ここはヘルヴォル、グラン・エプレをまとめて全員を相手にしなければならない。
しかし、下手に戦うとこちらの陽動がバレて一部のリリィが探索に向かってしまう。
更に相手は合計13人。
いくら奈々が人並み以上に強くでも、相手はトップレギオンに選ばれたリリィ。
まとめて相手にするのは難しく、長引けば数の暴力に押されてしまい、こちらが力尽きるだろう。
まさに最悪の状況であるが、奈々は引く気はなかった。
とそこへ純が…
純「わたくしを差し置いて何言ってますの?貴女達も私と奈々の手合わせを見ておくといいですわ。もちろん、手出しは無用ですわ」
奈々「ええ!?」
突然純がみんなに一対一で戦う所を見るよう声を掛けてきた。
初(まさか純…!)
燈(なるほど…)
一葉「純様、そんな余裕は…!」
純「一人のリリィ相手に袋叩きなんて、プライドが許しませんわ」
高嶺「ならせめて、居場所だけでも聞いた方が…」
純「そんなの倒してからでも遅くありませんわ」
姫歌「いや、それじゃあ遅いんですけど!」
純「いいから黙って見てなさい!」
一葉「ですが…」
叶星「聞く耳無いみたい」
藍「ねえ瑤、本当に奈々と戦わなきゃいけないの?」
瑤「分からない……」
紅巴「私、戦いたくありません…!」
灯莉「ボクもだよ。奈々からは明るい色しかないし…」
千香瑠「ごめんなさい…私もです」
一葉「千香瑠様!?」
恋花「一葉どうする?これじゃあ捕獲どころじゃないよ」
ヘルヴォル、グラン・エプレの殆どのリリィ達も奈々と戦う事をためらっている。
二人の戦いを邪魔するものはこれでいない。
初と燈も、二人の戦いを見届けるようだ。
純「さて、仕切り直しと行きましょうか?」
奈々「お望みなら、望むところです!」
再びCHARMを構える二人。
「そこまでよ!」
突然目の前に、焦げ茶色の制服をまとい、ピンクのリボンでポニーテールにした黒髪の少女が現れ、二人の戦いを止めた。
私立ルドビコ女学院 2年生 アイアンサイド 福山・ジャンヌ・幸恵(ふくやま・じゃんぬ・さちえ)
奈々「幸恵さん!?」
一葉「幸恵様!?」
純「何のようですの?」
幸恵「戦いはここまでよ」
奈々「え?」
幸恵は、二人の戦いを止めに来たらしい。
しかし奈々はその理由が分からない。
奈々「それってどういう……」
「私たちにも内緒で梨璃達を連れていくなんて、なに考えてるのかしら、奈々」
奈々「!」
なんと後から夢結達一柳隊がやって来た。
そして、ウグイス色の三つ編みのツインテールの少女が、映画館にいた梨璃と結梨を連れてきた。
私立ルドビコ女学院 1年生 アイアンサイド 岸本・ルチア・来夢(きしもと・るちあ・らいむ)
奈々「夢結さん!って、梨璃ちゃんに結梨ちゃん!?」
幸恵「貴女が去ってから調査したら、若干音が漏れてた建物があったから、もしかしたらっと思ってね」
奈々「う………」
外の状況が分からないようにロビー内の放送の音量を大きくしたのが逆効果だったようだ。
どうやら幸恵達は、奈々が純と戦ってる間に二人を保護したらしい。
梨璃「奈々ちゃん、詳しい話は幸恵様から聞いたよ」
楓「全く、お邪魔虫が犯人だったとは、とんだ泥棒猫ですわね」
奈々「仕方ないでしょ?結梨ちゃんだけ連れてってたら梨璃ちゃんが追いかけてきそうだったから…」
雨嘉「どうして私達に相談しなかったの?」
奈々「みんなを危険な目に会わせたくなかったんだよ」
梅「それで梅達に内緒で梨璃と結梨を連れていったのか?」
神琳「外出届で政府を欺こうとしたみたいですけど…」
鶴紗「逆効果だったな」
二水「そのせいで奈々さん、政府から逮捕状が出ていたんですよ!」
奈々「やはりか…」
幸恵「でも、もう心配は入らないわ」
奈々「え?」
夢結「理事長代行と百由が、政府を説得してくれたわ。後、出雲先生は政府の中に紛れたGEHENAの関係者達を捕らえたって報告が来たわ。結梨は人間で、リリィと認められた。もう大丈夫よ」
奈々「出雲先生……あの人も間に合ったみたいですね」
梅「奈々の逮捕状も撤回されたからナ」
結梨「奈々…ごめん…私のせいで…」
奈々「悪いのはGEHENA。結梨ちゃんは悪くないから」
ミリアム「それにしても、映画を見させて注意を引くとは考えたのう」
奈々「二泊あれば十分な証拠が出来ると思って、それに最適な場所がここだった訳ですよ」
来夢「中、とても廃墟とは思えないほど綺麗に片付けられてたよ。奈々ちゃんがやったの?」
奈々「縮地を使ってね」
梅「梅より器用な使い方するなぁ…」
幸恵「フィルムもまだ沢山あったし、売店もある程度揃っていたわ」
初「何でもありですわね…」
純「上手く言ったのでしたら、戦う必要はありませんわね」
そう言って純は刀をCHARMに納めた。
それを見た奈々は先程の純の行動に気が付く。
奈々「純さん、まさかみんなを引き止めたのは…」
純「その子が人を襲うなんて考えられませんし、負のマギも感じられませんですもの。貴女もそうでしょ?」
奈々「……もちろん!」
純「勝負はまた今度にしますわ。今度はわたくしが貴女を負かしますわ」
奈々「それはこっちの台詞ですよ!」
と、二人は握手した。
そこへ、ヘルヴォルとグラン・エプレのリリィ達もやって来た。
一葉「私達の方からも報告がありました。人型ヒュージの件は誤報だったと」
叶星「今更ですけど、本当にごめんなさい」
結梨「私は気にしてないよ」
奈々「終わりよければ全てよし。ですよ」
燈「貴女達もカリスマ持ちですのね?わたくしは燈と申しますわ。同じレアスキル持ち同志、仲良くいたしましょう」
梨璃「は、はい…!」
来夢「よ、よろしくお願いします…!」
攻めの姿勢で挨拶する燈にビビる二人。
一葉率いるヘルヴォルを見て純は声をかけた。
純「それが今回の新しいヘルヴォルですわね?」
一葉「はい。過去のヘルヴォルと違い、信頼できる仲間達で構成しました」
奈々「前のヘルヴォルは酷かったけど、一葉ちゃんの作ったヘルヴォルは安心できるよ」
ヘルヴォルはエレンスゲ女学園のトップレギオンで、序列1位のリリィはこのレギオンの隊長として任命される。
前のヘルヴォルは、能力はトップクラスなのに対し結束力が無く、チームワークは最悪であった。
その為、殆どのリリィ達がその被害にあってしまい、ヘルヴォルの印象は最悪なものとなってしまった。
しかし、そんなヘルヴォルを変えるために動いた序列1位の相沢一葉は、スペックより結束力を重視した構成として、信頼できる者を指名した。
それからヘルヴォルの印象は少しずつ変わっていった。
一葉の仲間を見捨てないという正義の意思により、新生ヘルヴォルによる被害は無くなっていった。
ガーデン側も最初はスペックを無視した構成に不満を持ったが、今のヘルヴォルの活躍を見て以来、口を出せなくなっていた。
そして、一葉がヘルヴォルのメンバーに指名したのが、この四人である。
千香瑠「初対面の方もいるので改めて紹介します。芹沢千香瑠。御台場迎撃戦では梅さん達と一緒に戦いました」
梅「久しぶりだナ、千香瑠!」
瑤「初鹿野瑤…よろしく」
藍「佐々木藍…よろしく~」
と、CHARMを抱きながら礼をする藍。
雨嘉「かわいい……」
恋花「ヘルヴォル影のリーダー、飯島恋花よ。よろしく!」
梨璃「か、影のリーダー!?」
恋花の悪ノリの冗談で梨璃を困惑させる。
奈々「梨璃ちゃん、今のは冗談だから」
一葉「恋花様、嘘は止めてください!」
恋花「ノリが悪いなぁ」
奈々「恋花さん、調子に乗ってると夢結さんの怒りを買いますよ?別の意味で」
恋花「う…」
夢結「奈々は私を何だと思ってるのよ」
奈々「梨璃ちゃんのシュッツエンゲルでしょ?」
夢結「そうだけどもうちょっと言い方が…」
奈々「ない」
鶴紗「きっぱり言ったな」
楓「ホントに抜け目のないリリィですこと」
叶星「ふふっ、じゃあ次は私達のレギオンも紹介するね」
グラン・エプレは神庭女子藝術高校が誇るトップレギオンで、御台場女学校から転入してきた今叶星が隊長を勤めている。
規則が緩めで、出撃選択制を採用している神庭女子藝術高校では最低限の訓練しか受けていないが、リリィ単体のスペックが高く、レギオンでも優秀な戦闘能力と連携力を持っている。
ちなみにグラン・エプレは仲のいいレギオンとガーデン内では有名になっている。
そんなグラン・エプレのメンバーがこちらである。
高嶺「宮川高嶺よ。よろしく」
紅巴「と、土岐紅巴です。よ、よろしくお願いします…!」
おどおどした様子で挨拶する紅巴。
灯莉「ボクは丹羽灯莉だよ。みんなよろしくね!」
姫歌「定盛姫歌。グラン・エプレのサブリーダーで、世界で一番可愛いアイドルリリィよ。よろしく」
梨璃「アイドルリリィ?」
奈々「リリィの中のアイドルって事みたい………ん?」
奈々はふと、後ろ姿の幸恵を見て何かに気付いた。
奈々「幸恵さん、そのジャケットのエンブレムって…」
幸恵「ん?ああこれの事?」
幸恵は後ろを向き、ジャケットのエンブレムをみんなに見せた。
そのエンブレムはモノクロの薔薇の絵がプリントされていた。
奈々「幸恵さん、新しくレギオンを作ったんですか?」
幸恵「そうよ。名前はアイアンサイドよ。メンバーは8人しかいないけどね」
初「アイアンサイド…際立った強さや勇敢さを持つ者という意味ですわね」
幸恵「そういう意味で、私が設立したレギオンよ」
二水「幸恵様は確か、テンプルレギオンに所属してましたよね?」
紅巴「テンプルレギオンはルドビコの最強レギオンって言われてましたが、どうして別のレギオンを?」
幸恵「話すと長くなるかもしれないけど…」
「そこにいましたか…」
奈々達の元へ、史房がやって来た。
奈々「史房さん!」
史房「そこにいましたか。梨璃さんと結梨さん、一柳隊と他のガーデンのレギオンもご一緒のようですね」
夢結「史房様、奈々の事は…?」
史房「わかっています。奈々さんが今回二人を連れていったのも。しかし政府は貴女に何らかの処分を受けるようにと申してきました」
梨璃「ええっ!?」
雨嘉「GEHENAの人達は捕まったのに?」
史房「政府の中には、GEHENAに関係なく奈々さんの事を不満に思う者もいるんです。今回の件に対しても、政府は奈々さんへの処罰を求めています」
純「自らの過ちを認めず、他者の罪を尊重する…汚い政府のやることですわね」
梨璃「そんな…」
奈々「まあしょうがないね。今回の行動はこうなることも覚悟していたし…」
史房「それなら、早速報告に…?」
突然、史房の携帯電話から着信音が聞こえた。
史房は電話を取った。
史房「はい。史房です……えっ!?」
夢結「どうしたのですか?」
史房「…………大海原にヒュージネストが出現しました…!」
「「「「「「「!!?」」」」」」」
史房の報告を聞いて、藍以外のリリィ達は驚愕する。
史房の報告を聞き、現場に着いたリリィ達。
着いた場所は鎌倉の海付近である。
海の向こうには、天まで届く程の大きな渦が現れ…
その遠く離れた場所には、ギガント級を凌ぐ大きさのテントに似たヒュージがいた。
更にそのヒュージの前方の先は、大きくえぐられたかのような跡が残っていた。
まるで、大地が裂けられたかのように…
これは、そのヒュージが放ったマギの収束砲によるもので、リリィ達は、その威力を目の当たりにしていた。
梅「何だあのヒュージ…!?」
奈々「キノコのボイル焼きか!?」
夢結「こんなときにくだらないギャグを言わないで!」
藍「美味しそう…」
千香瑠「藍ちゃん、食べられないからね」
初「そういう問題かしら……」
純「大きさからして、ギガント級のようですわね…」
恋花「しかもあのヒュージが放った攻撃…」
一葉「はい…山を一瞬で焼き尽くすなんて…」
神琳「あれはマギを直接攻撃に使っている…」
叶星「それもかなりの量を使ってるわ」
高嶺「あの威力なら、納得するわ」
紅巴「あわわわわ……」
雨嘉「でも、そんな事したら、あっと言う間にマギが無くなっちゃうのに…」
初「いいえ、相手はあのギガント級…何も考えずにあんな高出力を撃つとは思えないわ」
幸恵「あれだけのマギを…どうやって…」
一方、結梨は始めてのヒュージを見る。
結梨「あれがヒュージ?」
梨璃「うん…だと思うんだけど…何か…」
梨璃は海の向こうにいるヒュージに何か違和感を感じた。
夢結「ヒュージは、マギに操られる事があっても、自らマギを操る事はないはずよ?どうして…」
奈々「ダインスレイフが刺さったヒュージの件もありますし、このヒュージも何かからくりがあるはずですよ」
結梨「あのヒュージやっつける?」
奈々「当然!放っておくと、大規模な被害は免れない…なりより、市民達のいる居住区まで届く距離の攻撃をしてくるヒュージを放っておけない」
そう言って、奈々の体が宙に浮く。
奈々がルナティックトランサーの一部分を発動し、重力無視の状態になったのだ。
夢結「奈々!?」
奈々「相手は水上。まともに戦えるのは空が飛べる私だけです」
初「待って奈々さん!貴女は純との戦闘でマギを消耗してるのよ!」
奈々「今回は状況が違う。次にあの砲撃が放たれたら今度は百合ヶ丘の方に被害が出る!ここは短期決戦を仕掛ける!」
奈々は重力無視のまま縮地を使ってヒュージの方へ飛んでいった。
雨嘉「飛んでいった…」
燈「器用な方ですこと」
梨璃「私達も早く百合ヶ丘へ…」
結梨「私も行く!」
そう言って結梨が巨大ヒュージに向かって走り出した。
しかも海上を、すごいスピードで走りながら。
梨璃「あ!!」
千香瑠「あのスピードは…!」
梅「あれ縮地だ!梅のレアスキル!」
梅が言った通り、結梨の驚異的なスピードは縮地によるものだった。
姫歌「な、なんなのあれ!?」
二水「結梨ちゃん、海の上を走っています!」
梅「見りゃ分かるけど、梅だってそんな事した事ないぞ!」
いくら縮地とはいえ、海上を長くは走れない。
しかし結梨の移動は、重力を無視するほどの以上な加速を出している。
海を走るには十分な加速である。
ミリアム「フェイストランセンデンス…ワシの技を組み合わせたのじゃ!」
恋花「私も使えるけどね」
一葉「そうか…縮地の効果をフェイズトランセンデンスで強化したのか!」
神琳「それってデュアルスキラー?それともエンハンスメント?」
エンハンスメントはサブスキルを一時的にレアスキル化させるブーステットリリィ専用のスキル。
元のサブスキル…Awakening(アウェイキング)とインビシブルワンをレアスキル化させれば可能である。
デュアルスキラーはレアスキルを2つ所有するリリィの珍しい能力の名称である。
レアスキル単体でも強いが、他のレアスキルと組み合わせると非常に強力な力を発揮する。
カリスマの力でルナティックトランサーの効果を高めるのが良い例である。
さっき結梨が驚異的な加速を起こしたのはフェイストランセンデンスからの縮地によるものだとミリアムが告げていた。
しかし純は、それとは違う答えを出した。
純「いえ、あれは恐らくマスカレイドですわ。先程奈々と同じマギの流れ方を感じましたわ」
幸恵「マスカレイド!?」
来夢「それって奈々ちゃんのレアスキル…!」
楓「確かマスカレイドはエンハンスメントとアルケミートレースもどきの機能を持っていましたわね」
初「それとこれは奈々さんから聞いた話だけど、S級になると派生したレアスキルを2つ同時に使えるようになるみたいですわ」
二水「2つ同時!?」
鶴紗「それって、デュアルスキラー以上の性能を持ってるってこと!?」
純「奈々自身のマスカレイドはA級でしたわ。これまで彼女がレアスキルを2つ同時に使った所は無かったですし」
夢結「でも、何故奈々のレアスキルを…!?」
ミリアム「わからんが、あの様子だとすぐにマギを使い果たして終わりじゃが…」
梨璃「っ!!」
放っておけないのか、梨璃がヒュージに向かっていった結梨を追いかけに海の上を跳んでいった。
夢結「梨璃!!」
来夢「梨璃ちゃん待って!」
楓「走ったって追い付けませんわ!!」
楓の言う通り、結梨はフェイズトランセンデンスからの縮地でロケット並の速さで向かってるのに対し、梨璃は必死で海の上をジャンプしながら結梨を追いかけるが、速さが足りず、その距離は遠退いていく一方。
梨璃「まだ無理だよ!本当の戦いなんて!!」
それでも結梨を追いかける梨璃だが、呼び掛けが届かず、ただ離されていくだけであった。
代わって奈々は海の上のヒュージ目掛けて移動していた。
奈々「間に合うか……え!?」
マギを感知し後ろを見ると、海の上を走る結梨が奈々に追い付いてきた。
奈々「ちょ!?結梨ちゃん早!じゃなくて、危ないって!」
結梨「私も戦うよ!奈々!」
奈々「このヒュージは並のリリィでもヤバイんだってば!」
結梨「そのヒュージ…繋がってるよ!」
奈々「繋がってる?」
結梨の言葉に何か引っ掛かる奈々だが…
海の上のヒュージがマギを集め始めた。
奈々「マギをすぐチャージした!?早すぎる…!?」
奈々はこの時、結梨の「繋がってる」という意味に引っ掛かり、ヒュージネストの方を見た。
奈々「………まさか…!」
ようやく海の上のヒュージが放ったマギの収束砲の秘密が分かった奈々。
浜辺の方では…二水が鷹の目で周囲の状況を皆に知らせていた。
二水「何か変です。ヒュージのマギとネストのマギが呼び合って…まるでネストのマギを吸い取っているみたいな…!」
二水も海の上のヒュージの無尽蔵なマギの秘密に気付く。
瑤「ネストから!?」
神琳「ネストからマギを供給されているのだとしたら、無尽蔵にマギを使えると言う事だけど…まさか…!」
一方奈々と合流した結梨は…
奈々「攻撃が来る!結梨ちゃん、私の後ろに!」
結梨「うん!」
奈々の指示で後ろに回る結梨。
すると、海の上のヒュージが無数のマギの弾幕をばら蒔いてきた。
奈々は腰の2本のツインフェザーを抜き、高速で向かってくる弾幕を次々と弾き返しながら前進していく。
しかし、ここで奈々がこちらに向かってくるマギの気配を感じ取った。
後ろを見ると、結梨を追いかけに来た梨璃の姿が遠くから見えた。
奈々「梨璃ちゃん!?」
ところが、集中力を変えてしまったのか、弾幕のいくつかが奈々の横を通りすぎてしまった。
奈々「しまった…梨璃ちゃん避けて!!」
大声で遠くの梨璃に呼び掛けるがもはや遅し。
弾幕の1つが梨璃の前頭部に当たり、花弁の髪飾りを掠めるが、気を失ったのか、バランスを崩してしまい、墜落した。
奈々「!!………くっそおーっ!!ヒュージー!!!」
怒りで奈々はルナティックトランサーを発動し、弾幕の勢いが収まった所で単独で飛び出し、ヒュージが作り出した8つのリングの1つをツインフェザーで破壊する。
結梨も、フェイズトランセンデンスの影響でブースト状態のまま飛び、グングニルでリングを破壊する。
結梨「やあああー!!」
同時にグングニルのマギクリスタルコアが普段以上のマギを集めていた。
奈々「結梨ちゃん!?」
結梨「私だって戦える!だって百合ヶ丘のリリィだもん!!」
奈々「………速攻で片付けよう!!」
結梨「うん!!」
ヒュージは再び奈々と結梨に目掛けて弾幕をばらまくが、奈々が空中、結梨が海上と、標的がバラけているため弾幕が薄くなり、回避が容易になっている。
更には奈々のルナティックトランサーによる重力無視の高速移動と結梨のフェイズトランセンデンスからの縮地の高速移動でなかなか当たらず、次々とリングが破壊されていく。
奈々「きえろおおおーーー!!!」
結梨「やあああああーー!!!」
そして奈々はヒュージのコアらしき部分目掛けて2本のツインフェザーを前に向けたまま超加速し、結梨はグングニルで巨大なマギの刃を作り出し、そのままヒュージに降り下ろした。
奈々はヒュージを貫いていき、巨大なマギの刃はヒュージを飲み込むかのように消し飛ばしていった。
しかしここで、結梨のグングニルのマギクリスタルコアが限界を超えてしまったのか、砕け散ってしまい、奈々のマギも僅かとなった。
そしてやられたヒュージのマギが暴走し周囲を包み込みだす
。
これに巻き込まれてしまえば無事ではすまない。
生還の望みはない。
奈々「爆発する…!!結梨ちゃん!」
奈々は結梨を見つけ、手を伸ばした。
そして結梨も奈々に気付き、奈々の手を握って……
結梨「みんなをお願い」
奈々「え?」
結梨は奈々を遠くへ投げ飛ばした。
奈々「結梨ちゃん!!」
投げ飛ばされた奈々はルナティックトランサーの効果が切れ、動けなくなり、遠退いていく結梨を見ることしか出来なかった。
そして残った結梨は、フェイズトランセンデンスの効果が切れ、マギ低下状態になり、宙に浮いたまま動けなかった。
それでもやりきったような感じで安心した結梨。
結梨(梨璃…………)
結梨(私、出来たよ………………)
一方、駆けつけた幸恵と来夢は、救助した梨璃を担ぎ、ヒュージがいた場所が大爆発したのを目撃した。
来夢「やったの……?」
幸恵「そのようね………」
来夢「奈々ちゃんと結梨ちゃんは…!」
幸恵「わからない…でも行かないと…来夢は梨璃さんをボートへ連れてって」
来夢「はい」
来夢を残し、幸恵は爆発した場所へ向かっていく。
幸恵「!」
幸恵が見つけたのは、海の上で浮いたままボロボロになり、気を失ってしまった奈々の姿だった。
少し遠くには、2本のツインフェザーが浮いていた。
幸恵「奈々さん…!」
幸恵は見つけた奈々とCHARMを拾い、後からボートで来たヘルヴォルのメンバーとすれ違いつつ、ボートへ戻っていった。
奈々を救助後、今度はヘルヴォルが爆発した場所へやって来たが、そこに結梨の姿はなく…
あったのはコアが砕け散った結梨のグングニルだけだった。
その後も探索したが、結梨は発見されず…
ついには……
一柳結梨の死亡が決定されたのだった。
一方…夕陽が沈む頃、遠くの浜辺では爆発した方角を眺めていた黒いドレスをまとった紫色長い髪の少女がいた。
その表情はまるで悲しんでいた。
「さようなら…………オリジナル………」
………………………………………………………
梨璃「もう…誰も失いたくないから…!」
next リリィ達は戦う
第12話でした。
結梨ちゃんが原作通り、ヒュージの爆発に巻き込まれましたが、この話では今回奈々のレアスキル…マスカレイドを習得してました。
これがこの後の話のキーを握ります。
さてこの作品ですが、次の話から新章に入ります。
タイトルは「The lost bloom」。
このタイトルの意味が何を表しているのか、それらを考えづつ、期待してください。
時間かかるかも知れませんが、自分なりにいい話にしたいと思っています。
それでは!