今回少しのアレンジを加えて、合計36000文字になりました。
本作二話分のボリュームです。
気に入るかどうかわかりませんが…
どうぞ第8話、御覧下さい!
一柳隊、木葉奈々、そして神楽月涼は今、大型ヘリに乗って東京の下北沢へ向かっていた。
ヘリ内では、出雲から今回の下北沢で起きてる事態について説明を受けていた。
奈々「東京下北沢にケイブが!?」
出雲「そうだ。今現在スモール級、ミドル級のヒュージが多数出現して、街を暴れまわってる。ギガント級の姿はまだ確認されていないとのことだ」
梨璃「ケイブ…ヒュージが通るワームホールの事ですね」
出雲「その通りだ。ケイブがあれば、ヒュージは次々と現れる。ケイブを破壊できるのはCHARMを持つリリィのみだ」
夢結「現在その場にいるリリィは?」
出雲「私立ルドビコ女学院の4人だ。しかし数に押されて対処しきれなくなってきてる。援軍として、エレンスゲ女学園から一人、神庭女子藝術高校から一人、御台場女学校から4人が現場に向かっている」
梅「梅達を加えて主力は22人か…」
出雲「悪いが今回私は別のエリアで戦っている別部隊のリリィ達と合流する為、別行動になる。私の助けはないと思え。主力は私を除く21人だ」
奈々「別のエリア、一体どこへ?」
出雲「別のリリィ達が向かっているケイブの破壊だ。こっちの方はリリィの数が少なく、ヒュージに押されている…ここは私が片付けておくから心配するな」
二水「一人で大丈夫何ですか!?」
出雲「心配はいらん。お前達は自分の役目を成せばいい」
楓「しかし、今回の遠征では私達のレギオン、一柳隊が選ばれたようですが…」
ミリアム「ふむ、百合ヶ丘にはアールヴヘイムやレギンレイヴといった強豪レギオンがいるはずじゃが、何故結成したばかりの一柳隊なのじゃ?」
出雲「アールヴヘイムは前回のヒュージ戦でほとんどのCHARMを半壊している。復帰にはまだ時間がかかる。レギンレイヴはアールヴヘイムの代わりに学院の防衛に専念している。残り二組の遠征レギオンも別の遠征で留守にしている。今回一柳隊が抜擢されたのは、実戦経験を積む事と、遠征での他のリリィとの連携になれてもらう為だ。そして何より、お前達はギガント級を倒している」
鶴紗「そういえば確かに…」
奈々「確か…遠征に行けるレギオンは、ギガント級を一体倒していればの話だったね」
百合ヶ丘女学院では、ギガント級ヒュージを倒した成果によってレギオンに聖白百合勲章と呼ばれる勲章が受章され、これを持つレギオンは守備範囲外での遠征が可能になる。
一柳隊は、ギガント級をノインヴェルト戦術と奈々の連携で倒した功績を残し、学院から聖白百合勲章を受章され、遠征レギオンとして登録されたのだ。
神琳「確かに、遠征での戦いはリリィ同士の連携が重要になりますわね」
雨嘉「私達で大丈夫かな…ううん、やらないと…!」
出雲「その行きだ王。今のお前達なら戦闘技術、経験、どちらも今回の遠征でもやれるはずだ。お互いの能力を行かして戦え。いいな?」
「「「「「「「「「「「はい!!」」」」」」」」」」」
出雲の話に全員がいい返事をした。
楓「それで、何故涼さんも一緒にいるんですの?」
涼「今回の下北沢に出没したヒュージ…百合ヶ丘のデータベースにはない別の個体の可能性があるんだ。僕が百由様にそのヒュージの調査を頼まれて特別に遠征を許可されたんだ」
ギガント級を倒していないリリィ…涼の場合は学院からの依頼で外部での遠征が許可される事がある。
奈々に関しては、ブルーガードで取得したライセンスのお陰で、特別に遠征が許可されている。
奈々「別の個体…」
ミリアム「百由様が気になる別の個体か…」
涼「ノインヴェルト戦術を行う以上、小型ヒュージ達が妨害してくるだろうし、そこは僕と奈々に任せてくれ。僕のレアスキルはこういうのに役立つ」
楓「分かってますわ。訓練の時、助けてくれましたし」
出雲「ともあれ、実際会えば分かることだ。それと一柳、これを受け取れ」
梨璃は出雲からコンパクトな小さなケースを渡された。
梨璃「これは?」
出雲「ノインヴェルト戦術用の弾が入ったケースだ。担当となったレギオンのリーダーに必ず1つ支給されるようになっている」
鶴紗「これを渡すということはまさか…」
奈々「ギガント級が現れる可能性もある」
奈々は出雲が梨璃にノインヴェルト戦術用の弾を渡した理由が分かっていた。
出雲「その通りだ。現場にはスモール級、ミドル級のみだが、映像の状況を見たところビルといった高い建物がほとんど半壊している。ギガント級でなければ出来ない芸道だ」
「出雲先生、そろそろ現場の東京下北沢に到着します」
ヘリのパイロットが出雲にもうすぐ現場にたどり着くことを伝える。
前を見ると、東京下北沢の街並みが見えてきた。
しかしヒュージの出現で街はボロボロに果てていた。
出雲「サーチャーで敵の数は確認できたか?」
「既に分析完了です。スモール級は19体、ミドル級が15体、新たにラージ級が1体確認されました。別の場所ではスモール級が残り2体とミドル級が5体と、今も減っています。更に別の場所はスモール級4体、ミドル級が3体です」
奈々「他のリリィ達は既に合流してるみたいですね」
夢結「梨璃、ここからは今までの防衛戦とは違うわ。気を引き締めて行くわよ」
梨璃「はい。お姉様!」
出雲「今回の任務だ。まず一柳隊は、他のリリィ達と合流、連携を取りながら街全体に徘徊するヒュージを撃退しつつ、後から現れるギガント級の撃破だ」
鶴紗「要するに、仲間と協力して戦えばいいんでしょ?」
梅「梅と夢結も遠征での経験があるからナ。任せてくれ」
二水「ききき、緊張してきました…一体どんなリリィなんでしょう…!」
奈々「落ち着け」
出雲「今回はいつもの防衛とは訳が違うから覚悟してかかれ。神楽月は一柳隊の指揮下に入ってサポートしろ。木葉は…」
奈々「一足先に他のリリィ達と合流します!」
もう出撃する気漫々の奈々であった。
しかし出雲は止めることもなく…
出雲「………無茶はするなよ」
奈々「了解!!」
出雲から許可を貰い…奈々は先にヘリから飛び降り、マギの力で飛翔して下北沢の中央へ飛んでいった。
夢結「奈々!?」
楓「あの子また勝手に!?」
梅「あはは、まあ奈々なら大丈夫じゃないか?」
夢結「いくらマギの保有値が高くても、持ってるCHARMの消費量が高いんじゃ、いつマギが切れてもおかしくないわ」
鶴紗「性能がピーキーだからな。押さえるのは不可能に近い」
ミリアム「アイツぐらいじゃからな。あんなCHARMを扱えるのは…」
出雲「それぐらいはアイツが一番知っているから心配はいらんだろう」
神琳「私達もすぐに合流した方がいいですわね」
雨嘉「うん」
「着陸地点まで後20秒!」
まだ倒壊していないビルのヘリポートが見えてきた。
楓「一柳隊の初遠征ですわね」
一同、CHARMを起動状態にする。
出雲「この際だ。一柳、出撃する時に号令をかけろ」
梨璃「わ、私がですか!?」
出雲「一柳隊の隊長なんだからそれぐらいはやれ」
夢結「梨璃、貴女のレギオンなのだから胸を張って言いなさい」
楓「梨璃さんの号令なら何でもいいですわ」
雨嘉「私も、梨璃の号令が聞きたい」
二水「梨璃さん、お願いします」
鶴紗「頼む」
梨璃「………はい」
ヘリはヘリポートにたどり着き、ドアが開くと梨璃率いる一柳隊と涼が外に出た。
そして梨璃は号令をかける。
梨璃「一柳隊…出撃!!」
「「「「「「「「「了解!!」」」」」」」」」
一柳隊と涼は作戦を開始し、行動を始めた。
一方、単独で移動中の奈々は、小型ヒュージの群れに遭遇するが…
奈々「引き倒す…もとい、斬り倒されたいかー!!」
奈々はカナベラルを降り下ろした時に放った斬撃をヒュージの群れにぶつけ、倒しつつ前進していた。
ちなみに今は商店街を通り、他のリリィ達の反応がある場所へ移動している。
奈々「ブルーガードにいた頃の時に遭遇した群れ程じゃないけど、個体ごとの強さはそれ以上かな…」
この時点で奈々は移動中にスモール級8体、ミドル級6体を倒していたが、ヒュージ自体は見たことのない新しい個体で、ワンランク上の強さを持っていた。
しかし奈々もまた普通のリリィとは飛び抜けた強さを持ち、例えワンランク上のヒュージが相手でも、奈々のマギを乗せたカナベラルを喰らえば一撃である。
奈々「ん?」
突然奈々は先の下北沢駅前で人影を見つけた。
その人影の数は合計10人もいた。
近づく度にその姿がハッキリと見えてきた。
「今回のケイブ…ルドビコ女学院だけでは手が回らないそうですわね」
青紫の制服をまとい、蝶の髪飾りを着けた焦げ茶色の長髪の少女が上から目線の言い方で話す。
御台場女学校 2年生 ロネスネス 隊長 船田純(ふなだ きいと)
CHARMは、ダインスレイフ。
夢結が使っていた物と違い、色が銀色となっている。
「ええ。以上な数で、私達では押しきれなくて…」
焦げ茶色の制服をまとい、ピンクのリボンでポニーテールにした黒髪の少女が話す。
私立ルドビコ女学院 2年生 福山・ジャンヌ・幸恵(ふくやま・じゃんぬ・さちえ)
使用CHARMはフィエルボワ。
ヨートゥンシュベルトに似た形状で、性能はそれ以上である。
純「私達がギガント級を見つけますわ。あなた達はスモール級、ミドル級の相手をしてくれればいいですわ」
「純!」
和風の白い服をまとい、花の髪飾りを着けた白のロングの少女が純をしつける。
御台場女学校 2年生 船田初(ふなだ うい)
使用CHARMはグングニル・カービン。
初「ごめんなさい、純も悪気があって言ってるわけじゃないから」
「いえいえ、気にしてませんから」
幸恵と同じ制服をまとい、ウグイス色の三つ編みのツインテールの少女が気にしてないと言う。
私立ルドビコ女学院 1年生 岸本・ルチア・来夢(きしもと・るちあ・らいむ)
使用CHARMは、アステリオン。
「噂通りの自信家ですね…」
同じ私立ルドビコ女学校の制服をまとった、暗めの金髪で左右に三つ編みをしたメガネの少女が小言を言う。
私立ルドビコ女学院 2年生 松永・ブリジッタ・佳世(まつなが・ぶりじった・かよ)
使用CHARMはダインスレイフ・カービン。
グングニル・カービンと同様、変形構造を省いた真島百由が手掛けた量産機である。
「だが、少しでも戦力は欲しいしな」
御台場女学校の制服に栗色のジャケットを羽織った茶色のショートカットの子が喋る。
首にはヘッドホンをかけていた。
御台場女学校 2年 ヘオロットセインツ 副隊長
川村楪(かわむら ゆずりは)
使用CHARMはダインスレイフ・カービン
「ラージ級もいましたし、こちらも数は揃えたい所ですわね」
藍色の制服をまとい、黒いロングの後ろに黄色のリボンを着けた少女が楪に合わせて話す。
御台場女学校 2年 ヘオロットセインツ 月岡椛(つきおか もみじ)
使用CHARMはグングニル・カービン。
「そう言えば、今回の遠征には、百合ヶ丘女学院のリリィ達も来るとの情報がありました」
首に赤いリボン、白の制服に藍色のスカートをまとい、髪止めを着けた藍色のショートカットの少女が話す。
エレンスゲ女学院 1年 ヘルヴォル 隊長 相沢一葉(あいざわ かずは)
使用CHARMはグングニル・カービン。
「百合ヶ丘と言ったら…あの孤高のリリィ、白井夢結さんがいるあの…!」
赤い制服をまとい、薄紫のロングの左右にリボンを結んだ少女が白井夢結の事を明かす。
神庭女子藝術高校 2年 グラン・エプレ 今叶星(こん かなほ)
使用CHARMはダインスレイフ・カービン。
初「その情報なら、私達も聞いたわ」
楪「夢結にも会えるといいな」
純「会えたとしても一緒に戦える?」
純が夢結の事に疑問を感じた。
楪「夢結がそうなったのは…2年前の甲州撤退戦で、自分のシュッツエンゲルを亡くしてるんだ。その時ルナティックトランサーを使った事から夢結に疑いがかけられたんだ」
夢結のシュッツエンゲル…川添美鈴は2年前、甲州撤退戦で帰らぬ人となっていた。
初「2年前…甲州撤退戦ですわね」
幸恵「ええ。実際、シュッツエンゲルの遺体の傷には、夢結のCHARMで付けた傷跡があったと言われてるわ。でも、連れのリリィが説得したお陰で疑いは晴れたけど…夢結自身、記憶が曖昧な状態で、それ以来自分自身を責め続けていたみたい」
楪「それから夢結は、ルナティックトランサーを封印する事になったんだ」
幸恵、楪は、夢結と一緒に戦った頃があり、夢結に関する情報も、少しは知っていた。
佳世「私も同じルナティックトランサー使いだからわかります。ルナティックトランサーはバーサーク状態で戦う際、その時の記憶が曖昧になるので、恐らく…夢結様はシュッツエンゲルの死の状況をよく覚えていないことが…耐えられないから…」
来夢「それって、夢結様はルナティックトランサー無しで今まで戦っていたって事ですか?」
だとすると、夢結は他のリリィよりも大きなアドバンテージを背負ってヒュージと戦っていた事になる。
レアスキル無しでギガント級以上の敵と戦う以上、苦戦を強いられる事は間違いないだろう。
純「要するに、ルナティックトランサー扱いきれてないって事でしょ?それでシュッツエンゲルを亡くした」
佳世「そ、それは…」
純「私と姉様も、ルナティックトランサー使いですけど上手くやっていますわ」
強気で言い張る純。
佳世「そ、そうですが…」
純「それにここは東京よ。百合ヶ丘のリリィなんてどうでもいい…私達二人でギガント級を見つけて解決すべきですわ!」
「慢心は重大な危機を招きますよ。純さん」
他校のリリィ達の話に奈々が入ってきた。
純「こ、木葉奈々!?」
奈々「百合ヶ丘のリリィなんてどうでもいいと、随分と酷い言い様ですね」
幸恵「奈々さん!」
奈々が目の前に現れて、幸恵、楪、椛、一葉、叶星が奈々の元に集まった。
幸恵「久しぶりね奈々さん」
椛「また会えましたね。奈々さん」
楪「お前もこの遠征に来たのか!」
奈々「はい。こちらこそ久しぶりです」
一葉「奈々さん、こないだの遠征は助かりました」
奈々「いいっていいって」
叶星「こちらの方も、本当にありがとね」
奈々「困ったときはお互い様ですよ」
話してる内に幸恵は奈々の服装に気付く。
幸恵「その服…百合ヶ丘女学院に入ったの?」
奈々「入学当時は百合ヶ丘に入ってましたから」
来夢「幸恵お姉様、この方は?」
来夢が幸恵に初対面の奈々について聞いた。
幸恵「来夢は初対面だったわね。この子は木葉奈々。1年前にルドビコ女学院に協力してくれたリリィよ。奈々さん、この子が私のシュベスターの岸本・ルチア・来夢よ」
シュベスター……
私立ルドビコ女学院では、シュッツエンゲル制度に似たシュベスター制度が存在しており、上級生から契りを交わした下級生はシュベスターと呼ばれるようになる。
彼女…福山・ジャンヌ・幸恵は2年前、来夢の姉、岸本・マリア・未来のシュベスターとして一緒に戦っていたのだが、その未来が幕張奪還戦の準備中に亡くなられた。
その2年後…幸恵の元に、未来の意志を継ぐ妹の来夢が入学してきて、彼女をシュベスターとして迎えた。
来夢が持ってるアステリオンは、姉の未来が使っていた先行量産型で、色もラベンダー色となっている。
奈々「木葉奈々だよ。確か来夢ちゃんだったっけ?お互い1年生だし、よろしくね」
来夢「はい。岸本・ルチア・来夢です。こちらこそよろしくね、奈々ちゃん」
佳世「2年の松永・ブリジッタ・佳世と言います!」
奈々「こちらこそよろしくお願いします」
奈々は二人を見て思った。
奈々(来夢ちゃんは梨璃ちゃんのように優しい子だな…対して佳世さんは何か、二水ちゃんと同じものを感じるな…って…岸本?)
「木葉奈々!」
今度は純がやって来た。
付いていくかのように初も来た。
純「百合ヶ丘からは貴女だけですの?」
奈々「ううん、レギオンと+1名も来てますよ」
初「来てますよって、一緒じゃないの?」
奈々「皆と合流するために単独で来たんですよ。後、純さん」
奈々は真剣な顔で純を見つめた。
奈々「百合ヶ丘のリリィを甘く見ないでくれます?貴女が思ってるほど百合ヶ丘のリリィは弱くありませんよ」
純「盗み聞きとは趣味の悪いことしますわね」
奈々「こっちに響く程声が大きかったので」
純「誰の声が大きいですって?」
奈々「まだ純さんだとは言っていませんよ?」
真剣な顔から遊び半分の表情に変える奈々。
純「ぬぬぬ………!」
初「純、落ち着いて…」
何も言えないのか、悔しがる純を落ち着かせる初。
楪「奈々、一緒に同行しているレギオンって、アールヴヘイムなのか?」
奈々「いえいえ、別のレギオンですよ。特にそのレギオンのなかには…」
「貴女が木葉奈々さんですね?」
誰かが奈々に話しかけてきた。
奈々は声がした方に顔を向けると、来夢と同じ制服を着た桃色のロングの少女がそこにいた。
長い髪は、後ろの左右にゴムで留め、2つに分けている。
私立ルドビコ女学院 1年生 戸田・エウラリア・琴陽(とだ・えうらりあ・ことひ)
使用CHARMは、グングニル・カービン。
奈々「君は?」
琴陽「私、戸田・エウラリア・琴陽と言います。ブルーガードの木葉奈々さんですよね?」
奈々「そうだけど、今は百合ヶ丘のリリィとして…」
琴陽「是非とも1つ…お手合わせお願いします」
琴陽がグングニル・カービンを構えた。
奈々「はあ!?何を言って…!」
琴陽「行きます!」
奈々の話を聞かすに琴陽はそのまま奈々に襲いかかる。
しかし奈々は落ち着いて、咄嗟に琴陽を両手で掴み、そのままショルダースルーで反対に投げ飛ばした。
琴陽「ええっ!?」
投げ飛ばされた琴陽は地面に転がり落ちた。
一葉「………ショルダースルー…」
一同は奈々の突如の対応に思考が止まった。
奈々「今こんな状況なのに手合わせとか、頭おかしいじゃないのあんた!?」
幸恵「だ、大丈夫だった?奈々さん」
奈々「怪我はしてませんから大丈夫です。それより、あの子はなんですか?」
幸恵「琴陽さんは悪い子じゃないんだけど、初めてのリリィに手合わせをする変わった所があるの」
叶星「私と一葉さんも、琴陽さんの手合わせに巻き込まれたわ」
奈々の中で、琴陽はかなりの問題児だと言う認識が定着した。
奈々「それ、迷惑以外の何者でもありませんよ」
琴陽「奈々さん、なんでCHARMを使わないんですか!?」
ショルダースルーで飛ばした琴陽が戻って来た。
奈々「さっきの話聞いてた?こんな状況で手合わせする暇はないから!」
琴陽「CHARMで戦わないと手合わせになりませんよ!」
奈々「話聞く気ねぇだろオマエェ!!!」
「仲間と合流して何やってるのよ?」
遅れて一柳隊も到着した。
奈々「夢結さん!」
楪「夢結?」
幸恵「夢結さん!」
楪と幸恵、奈々が夢結の元へやって来た。
夢結「楪!」
梅「幸恵!」
楪「夢結達も遠征に来たんだな」
幸恵「久しぶり。会えると思ったわ。それに…」
幸恵と楪は、夢結の側にいる皆を見て気付く。
楪「これが夢結の新しいレギオンか…!」
夢結「ええ。名前は一柳隊。そしてこの子が私のシルトにして、このレギオンを作った隊長よ」
そう言って梨璃を紹介する夢結。
楪「ゆ、夢結がシルトを…!?」
梨璃「一柳梨璃です。よろしくお願いします!」
幸恵「福山・ジャンヌ・幸恵よ。よろしくね」
楪「川村楪だ。よろしくな」
椛「月岡椛です。よろしく」
他のリリィ達も紹介を終え、幸恵は再び一柳隊の皆を見て夢結に視線を戻す幸恵。
幸恵「自分達のレギオン…夢結はもう、一人じゃないのね」
純「でもその隊長さん、素人じゃなくて?」
梨璃「私!?」
純「それに、いくら百合ヶ丘の即席の素人レギオンにギガント級の相手は勤まるのかしら?」
初「純…!」
楓「即席の素人レギオンですって!!?」
奈々「純さん、わかっていないのに皆を甘く見ないで貰いますか?」
純「なんですの?」
奈々に言われてムッと来る純。
奈々「百合ヶ丘では、遠征に行けるようになるレギオンはギガント級を1度撃破している事が条件です。ここにいるリリィ達は、ギガント級を倒せる程の力を持ってる強者達って事ですよ」
純「それがどうかしましたの?強者達と言っても、即席のレギオンあることに変わりありませんわ」
奈々「だから分かっていないんですよ。純さん」
純「分かってないって何が?」
奈々「例えるなら、一柳隊は只の即席レギオンではなく、高級ホテルの専属シェフが作った一流即席レギオンって事ですよ!」
奈々の発言に一同コケる。
夢結「奈々…貴女ね…」
純「結局即席レギオンじゃないの!!」
楓「奈々さん貴女もですか!!」
奈々「けなした事は言ってないんだけど…」
奈々は本当に悪気が無いらしい。
梅「そこが奈々らしいけどな…」
初「本当に面白い子ね、奈々さんは」
夢結「私も結構巻き込まれて…!?」
突如夢結は殺気を感じた。
何と琴陽が物凄い殺気で夢結に向かってCHARMを降り下ろしてきたのだ。
幸恵「琴陽さん!?」
来夢「琴陽さん!?」
しかし奈々が二人の横に入り、琴陽のグングニル・カービンを白羽取りで受け止めた。
夢結「奈々!?」
琴陽「!?」
突然の事態に驚愕する奈々、琴陽以外のリリィ達。
梨璃「お姉様!?」
奈々「おい、なんの真似だ…また手合わせなのか?」
奈々も鋭い視線で琴陽を見るが、応じない。
奈々はそのまま琴陽のグングニル・カービンを両手で押し返し、転倒させた。
琴陽「………これは…手合わせじゃない…私は…この人を探すためにリリィになったの」
奈々「夢結さんを?」
琴陽「そう…2年前、私と親友を置き去りにして、見殺しにした白井夢結を…!!」
夢結「!?」
奈々「2年前…まさか…!」
琴陽「貴女はギガント級を相手に戦っていた…貴女なら助けてくれると思った…それなのに…!!」
琴陽は再び夢結に向かって襲いかかる。
梨璃「お姉様!!」
早い反応で梨璃がグングニルで琴陽のグングニル・カービンを受け止めた。
梨璃「こんなことしてる場合じゃ…!」
琴陽「邪魔よ!!」
力ずくで梨璃を弾き返し、そのまま夢結に襲いかかるが…
奈々が琴陽のグングニル・カービンを蹴りで弾き飛ばし、右手で琴陽の胸倉を掴み上げた。
夢結「奈々!?」
幸恵「奈々さん!?」
琴陽「…どうして………どうして私の邪魔を…!!」
琴陽の疑問に奈々は静かな声で喋る。
奈々「君の親友の格好…赤いパーカーを着てたよね?」
琴陽「どうしてそれを…!?」
奈々「私も2年前に山梨県でヒュージと戦っていた。その時に逃げた市民がヒュージに襲われているのを見て、助けたんだ。その後逃げ道を確保して逃がしたんだ」
琴陽「!?じゃあ親友が助けてくれたリリィって…!」
奈々「けど、死んでしまったのなら…それは私のせいだ…夢結さんは関係ない。ギガント級を相手にしてたからね…」
そう言って、奈々は琴陽の胸倉を離した。
奈々「私は弱かった…だから君の親友を見殺しにしてしまった。リリィと呼ぶには…まだ未熟過ぎた」
琴陽「………」
奈々「君の親友を失った気持ちは分からなくはない…私もリリィになる前の3年前は、友達をヒュージに奪われた事があった。僅かだけど、リリィを恨む事もあった…」
琴陽「だったら…!」
奈々「でも恨めなかった」
琴陽「えっ!?」
奈々は真剣な目で琴陽を見つめた。
奈々「その時の私の周囲には……無数のリリィ達の死体が転がっていたから」
琴陽「!?」
奈々が語った事実…それはヒュージとの戦いで散っていったリリィ達の姿の事であった。
梅「………鎌倉防衛戦…だな」
幸恵「鎌倉葉桜学園周辺で起きた過去最大級の被害を受けた戦いね」
夢結「現れたアルトラ級ヒュージに対抗するために、鎌倉に存在する全てのガーデンから抜擢されたリリィ達が立ち向かったものの、殆どのリリィが命を落としたわ」
梨璃「命を…落とした…!?」
二水「初耳です!!」
梅、夢結に合わせて、奈々は話を続けた。
奈々「私は3年前、アルトラ級に目をつけられて友達と一緒に逃げていた。途中小型ヒュージに追われていた事もあった。友達はリリィが助けてくれると願っていた中、当時の私はリリィに興味がなく、ただ逃げることしか考えてなかった…逃げても逃げても振りきることが出来ず…遂には退路を断たれてしまった。瓦礫に隠れて身を隠す所、友達の一人が外に出てリリィに助けを求めた。けど、それが原因で小型ヒュージ達に見つかり、私を除く友達の皆は小型ヒュージ達に殺されていった。それでも皆はリリィに助けを求めた。でもリリィは現れず、生き残った私は、他の瓦礫を通りながらヒュージから逃げていった…」
琴陽「……」
奈々「逃げた私は…何故リリィが来なかったのか疑問を感じた。別の小型ヒュージ達を相手にしたのか、怖くて戦わなかったのか…その答えがわかった頃には、疑った自分が情けなくなった」
そう言って奈々は左手を握り締める。
奈々が言うその答えとは、ヒュージでの戦いで力尽きたリリィ達の事であった。
奈々「リリィも元は普通の少女。私達と何一つ変わらないと…悪いのはリリィではなくヒュージだって…」
琴陽「…」
奈々の言ってることは筋が通っている。
わかってはいるけど、琴陽には関係がなかった。
奈々「戦いが終結した頃には、私の頭の中はそういう認識を取るようになった。そして私の意思は固まりつつあった。もう誰も失いたくない思いを背負って、1年後、百合ヶ丘女学院に入った。強くなって皆を守るって…私のような悲劇には会わせないって…けど、甲州撤退戦でその力不足を痛感した」
琴陽「!」
奈々は、琴陽の親友を死なせてしまった事を自分の力不足だと告げた。
奈々「私は…君の親友を守れなかった…いや、死なせてしまった…ごめんなさい…」
奈々は琴陽に頭を下げて謝った。
しかし琴陽の怒りは静まることはなかった。
琴陽「謝っても…あの子は戻ってこない…!」
奈々「……分かってる」
琴陽「忘れたくても忘れられない…!あの時の笑顔も、叫び声も、何もかも…!!」
奈々「分かってる。だから…」
奈々は構えず、無防備の姿勢になった。
奈々「私に攻撃していい」
夢結「奈々!?」
梨璃「奈々ちゃん!」
奈々「皆は手出ししないで!」
琴陽「何を考えてるの!?白井夢結を庇うつもりなの?」
奈々「勘違いしないで。これは私が招いたこと…ただ夢結さんが巻き込まれただけの事だよ。君が復讐する相手は…この私なんだよ」
琴陽「…くっ!」
奈々の真剣な表情は乱れることなく、琴陽を見つめていた。
琴陽に攻撃されても構わない気である。
対し、琴陽はCHARMを拾ったが、奈々に向けることが出来ずに立ち止まっていた。
親友を死なせてしまったとはいえ、それ以前に彼女は親友を逃がしてくれたのは事実。
そんな彼女を恩人として見るか、敵(かたき)として見るか、琴陽は迷っていた。
そこへ、椛が琴陽の元へやって来て、右手を押さえた。
琴陽「!?」
椛「リリィとして…もっと経験をなさいませ。それから2年前の事を思い返したら…違う答えが、見つかるかも知れませんわ」
佳世「とにかく今は…ヒュージを…」
佳世も説得に入り、琴陽は頭を冷やし、右手に持ったグングニル・カービンを納めた。
琴陽「…………わかりました…」
そして琴陽は夢結の方に近付き…
琴陽「………申し訳ありませんでした」
琴陽は夢結に頭を下げて謝り、この場を静めた。
そして幸恵は奈々にある注意をした。
奈々「幸恵さん?」
幸恵「貴女はもっと自分を大事にして。仲間を心配させない事も、リリィの役目ですよ」
奈々「すいません…」
幸恵「確かに戦いで多くの命が失われた…でも、貴女のお陰で助かった命もある。それは覚えておいて。貴女はリリィとして役目を果たしてる」
奈々「ありがとうございます。幸恵さん」
幸恵の言葉で気が楽になった奈々。
純「そこのちびっ子隊長?」
梨璃「私!?」
純「さっきの貴女…中々いい動きしてましたわよ」
梨璃「あ、ありがとうございます」
純「話を戻しますけど、奈々、何か策があるのかしら?」
純に言われ、奈々はギガント級を倒す策を改めて皆に伝える。
奈々「ギガント級の相手ですが…一柳隊が適任だと思います」
奈々は、ギガント級の相手を一柳隊に任せようと説明する。
純「その理由はなんですの?」
奈々「百合ヶ丘はノインヴェルト戦術の基礎理論の殆どを編み出した名門校です。その為百合ヶ丘のレギオンは対ギガント級としての噂が他ガーデンでも広まっています。ここにいる一柳隊は結成してからそんなに経ってませんが、すご腕の教導官の指導で叩き上げられた強者揃いのレギオンなんです。ノインヴェルトもきっちりこなせますよ?精衛リリィの貴女達でも、他校のリリィ達との連携は簡単では無いでしょ?」
純「言ってくれますわね……やれますの?」
奈々「やれますよ。一柳隊なら」
楓「大きく言いましたわね」
プレッシャーが掛かる発言だが、一柳隊なら出来ると自信を持って言った奈々。
初「純、奈々さんの言う通りだわ。ここは確実に倒すために百合ヶ丘のレギオンに任せましょう。ノインヴェルト戦術は、レギオンで行った方がいいわ」
純「………姉様がそうおっしゃるなら…」
椛「決まりましたわね。なら私達は小型ヒュージを請け負います。一柳隊の皆さんはノインヴェルトでギガント級を相手にする。確実に行くならこれが最善の方法ですわ」
楪「ああ。それで行こう!」
幸恵「私も、椛の意見に賛成だわ」
来夢「私も賛成です!」
初「純もいいわね?」
純「…………わかりましたわ」
夢結「梨璃もそれでいいわね?」
梨璃「はい!」
と、話してる内に奈々は気配を感じ取った。
奈々「この大きなマギの気配は…!」
そして地響きが起き、遠くから蝙蝠に似た翼を生やした巨大な1つ目の生物が顔を出し始めた。
大きさからして、ギガント級で間違いない。
その姿はまるで、1つ目の悪魔…アーリマンを連想させる。
梅「あれは…!」
ミリアム「ギガント級じゃ!」
神琳「み、見て!」
神琳がギガント級に指を指した。
何と、ギガント級の後ろから蝙蝠に似た小型ヒュージが沢山現れた。
二水「次々とヒュージが!?」
雨嘉「産み出してる…!?」
奈々「あれはギガント級の後ろにケイブがある…!?」
佳世「わかるんですか…?」
奈々「いえ、ただ気配がギガント級の近くから感じたんで」
ミリアム「ギガント級がまるで小型ヒュージを産み出してるように見えるのう…」
椛「それにしても…」
鶴紗「あんなギガント級…見たこともない」
夢結「私も、始めてみたわ」
ここにいる全員が見たギガント級は、今まで出会ったモノとは異なる初見の相手だった。
涼「データにはない新種のヒュージか…」
二水「小型ヒュージを先に片付けた方がいいのでしょうか…」
奈々「それは難しいね。あの小型ヒュージはギガント級が生み出したモノだし、放置してたら数を増やされてジリ貧になる」
現在の敵ヒュージは、ギガント級1体とスモール級25体、ミドル級15体と、かなりの数である。
ここは小型ヒュージの破壊よりもギガント級を倒した方がいいだろう。
とはいえ、小型ヒュージも放置しておくと、ギガント級の撃破の邪魔になりかねない。
そう考えてるうちに、小型ヒュージ達が戦闘体制に入った。
一葉「皆さん、小型ヒュージが来ます…!」
幸恵「手初通り、あのギガント級は任せますわ。私達は取り巻きの小型ヒュージの殲滅!」
奈々「ギガント級の攻撃は私が誘導するよ」
涼「援護するよ。一柳隊」
初「行ってください」
各自、CHARMを構えた。
楪「ここからはガーデンなんか関係ない。私達は同じリリィ。手を取り合い、戦う仲間だ!」
梨璃「よろしくお願いします!」
梅「いこう!」
奈々「先に失礼します!」
一柳隊はギガント級の処理。奈々はギガント級の攻撃を誘導。涼はギガント級周辺の小型ヒュージの殲滅。残ったメンバーは周りの小型ヒュージの処理を担当することになった。
夢結「皆、パス回しの方は行けるわね?」
二水「はい!出雲先生の指導でなんとか…」
ミリアム「わしらは問題ないぞ!」
夢結「最初は梨璃が撃って、フィニッシュは雨嘉さんにお願いするわ」
雨嘉「私!?」
神琳「相手は空を飛ぶ上に早いヒュージですわ。天の秤目を持つ雨嘉さんなら適任ですわね」
雨嘉「うん、分かった!」
一方、ギガント級の近くに来た奈々と涼。
奈々「涼ちゃん、一柳隊のアシスト始めるよ!」
涼「ああ、やろう!」
奈々はカナベラル、涼は白銀を構えて、互いの役割りをこなし始めた。
梨璃は自分のグングニルの装填口に出雲から貰ったノインヴェルト戦術の弾を装填し、特殊なマギスフィアを作り出した。
ノインヴェルト戦術の弾から生成されるマギスフィアは、触れた物のマギをすいとる性質を持っており、すいとればすいとるほどそのマギスフィアは強力な物になり、ギガント級を一撃で倒せる程の威力とかす。
ただし、マギスフィアにマギを吸収されることはリリィ自身の戦闘力の低下につながり、マギスフィアを受け止めるCHARMにも負荷がかかるため、濃度の高いマギスフィアを何発も受け止めれば、壊れてしまうだろう。
二水曰く、諸刃の刃である。
そのためノインヴェルト戦術は実質一回切りとなる。
涼「さて、百由様に頼まれた件…済ませておくか」
涼はポケットから懐中時計を取り出した。
これはシエルリント女学薗の学校の説明会に参加し、記念品として貰った物を、カメラ付きドローンに改造した自作品である。
これで、百由に頼まれたギガント級のデータを収集するようだ。
涼はドローンを飛ばし、自動運転で遠距離からギガント級の周囲を回り始めた。
涼「これでよし。後は小型ヒュージ達の殲滅だね」
涼は白銀を起動させ、小型ヒュージの処理を始めた。
夢結「梨璃、まずは神琳さんに!」
梨璃「はい!」
梨璃は神琳にグングニルを向けて、マギスフィアを放った。
そのマギスフィアを神琳はマソレリックで受け止めて、レアスキルを発動した。
二水「あれは、テスタメント!」
レアスキル テスタメント
殆どのサブスキル、レアスキルの有効範囲を広げる領域拡大化スキル。
主な例だと、鷹の目、天の秤目の距離を伸ばしたり、ヘリオスフィアやレジスタの効果範囲を大きくしたりとかがある。
しかし消耗が大きく、使用後はマギによる防御力が落ちるため、仲間の援護は必須となる。
テスタメントを使った後、受け止めたマギスフィアにマギを吸収させる神琳。
そして次にパスするリリィに視点を変える。
ギガント級の攻撃を奈々が誘導、小型ヒュージ達を涼が片付けてるので、一柳隊は攻撃が流れてくる心配が無いため、ノインヴェルトに集中することが出来る。
神琳「ミーさん、頼みます!」
神琳はマソレリックで受け止めたマギスフィアをミリアムに向けて飛ばした。
ミリアム「また変なあだ名をつけおって…グロッピだけでも十分じゃろうに…」
ミリアムは飛んできたマギスフィアをニョルニールで受け止めた。
ミリアムのマギがマギスフィアに蓄積されていく。
ミリアム「お次は二水、行くぞ!!」
ミリアムはニョルニールに付いたマギスフィアを二水に向けて飛ばした。
すこし慌てるものの、二水はグングニルでマギスフィアを受け止めた。
更に二水は、レアスキル・鷹の目を発動し、周囲の状況を把握した。
二水「涼さん、7時、8時の方向に小型ヒュージが来ます!」
涼「分かった!」
二水の鷹の目による状況報告で涼は白銀で接近してくる小型ヒュージ達を迎撃していく。
涼「一柳隊には、指一本触れさせないよ」
二水「梅様!」
マギスフィアにマギを蓄積させたところで、二水は梅にマギスフィアをパスした。
飛んでくるマギスフィアを梅はタンキエムで受け止めた。
梅「受け止めたぞ!」
梅はギガント級に接近し、すれ違い様に通りすぎていく。
ギガント級に接近する理由は、マギスフィアに蓄積するマギの純度を高める為である。
ノインヴェルト戦術をやる際、ヒュージの近くで行う事で、ヒュージの近くに分泌するマギを奪える為、より強いマギスフィアが作れるのだ。
梅「夢結!」
梅は夢結に向けてタンキエムに付いたマギスフィアを飛ばした。
夢結は手慣れた動きでマギスフィアをブリューナグで受け止めた。
しかしここでギガント級が夢結に目をつけてきた。
ところが、奈々のカナベラルの飛ばした斬撃がギガント級に直撃した。
夢結「いいタイミングよ。奈々」
奈々「当然!」
標的を夢結から外すため、後ろからの攻撃を試みる奈々。
ギガント級は奈々に標的を戻し、奈々を追いかける。
夢結「今のうちに…鶴紗さん!」
夢結は鶴紗にマギスフィアをパスした。
鶴紗「受け取った…!」
鶴紗は念をいれるためにレアスキル・ファンタズムを発動した。
ファンタズムの力で未来を予知する鶴紗。
鶴紗「?………純様がこっちに来る!?」
奈々「何!?」
奈々は周りを見渡すと、鶴紗の余地通り、純がこっちの場にヒュージを連れてやって来た。
なんと、ルナティックトランサーを発動しながら戦っていた。
奈々「な、なにやってんのあのお嬢様は!!?」
純はそのままギガント級に向かってやって来る勢いである。
このままだと一柳隊の邪魔になりかねない。
夢結「奈々、ギガント級は私と梅が引き受けるから純さんをお願い!」
奈々「任せるって、マギは大丈夫なんですか!?」
梅「奈々は心配しすぎだゾ。ノインヴェルトを一回ぐらいで戦えなくなるほど梅達は弱くないぞ。ここは先輩に任せとけよナ」
一柳隊全員のマギの保有値は、出雲の訓練により増加しており、ノインヴェルト戦術使用後でも普通に戦えるようになっていた。
特に、長くリリィとして戦ってる夢結と梅なら問題は無いだろう。
奈々「すみません、待っててくださいね!」
夢結と梅にギガント級を任せ、奈々は純を止めに向かった。
一方初は勝手な行動でヒュージ達を倒し、ギガント級に向かう純を追いかけていた。
初「純、それ以上行くと百合ヶ丘の人達にぶつかりますわよ!」
純「だから何ですの!」
ルナティックトランサーの影響なのか、初の言うことを聞かない純。
丁度到着した奈々は、近くにいた幸恵と来夢に事情を聞く。
奈々「来夢ちゃん、幸恵さん、一体何があったの!?」
来夢「実は突然、特型ヒュージが現れて…その相手をしてたの」
奈々「特型!?通常のヒュージより強くて、ノインヴェルト戦術で倒した前例しかないあの…!」
幸恵「その認識でいいと思うわ」
来夢「今私達は特型ヒュージに対してノインヴェルト戦術を行ってる最中だったんだけど…」
奈々はその純の姿に目を向けて、呆れていた。
幸恵「見ての通りよ」
奈々「なるほど。というか純さん、夢結さんを罵倒しといて自分も全然制御出来てないじゃん。仕方ない人だな…止めてくる」
そう言って奈々は純の元へ向かう。
初「奈々さん危険よ!下がりなさい!」
奈々「大丈夫です。ここは任せてください!」
そう言って奈々は純の元へ来て、周囲の小型ヒュージを蹴散らしていた。
純「邪魔をしに来ましたの?」
奈々「それはこっちのセリフですよ!何マギスフィアを持ってギガント級に近づこうとしてるんですか!?」
純が持つダインスレイフには、マギスフィアが付いていた。
ノインヴェルト戦術の最中なのはよくわかるが、通常より多く貯まっていた。
その理由を純は答えた。
純「マギ純度を高める為ですわ!」
奈々「高めるなら何故ギガント級を追いかけるの!?そこらの小型ヒュージでも十分でしょ!」
純「分かりませんの?ギガント級の近くで戦えばマギの純度がより高くなるわ」
奈々「あのね、そのマギスフィア必要以上にマギを込めすぎてるよ!そっちにはノインヴェルト初心者がいるんだぞ!」
奈々の言う通り、純が持ってるマギスフィアはマギ純度が高くなって、すでに9人分のマギが溜まっていた。
純「私に指図しないで!弱い者に合わせたらこっちが弱くなりますわ!」
完全に言うことを聞かない純。
ルナティックトランサーのせいで感情が攻撃的になっている。
元からプライドの高い純の性格なら更に達が悪い。
奈々「完全に負のマギの影響だなこれ…」
純「そこの貴女!」
純が呼んだのは、遠くにいる琴陽であった。
琴陽「わ、私!?」
純は琴陽にマギスフィアをパスするつもりらしい。
純「受け取りなさい!」
初「純!!」
初の言うこと聞かず、純は琴陽に向かってダインスレイフに付いたマギスフィアを飛ばしたが、その速度はかなり早い。
しかも琴陽は対応が遅れていた。
これではキャッチどころか怪我をする可能性も…
しかし、奈々がレアスキル…マスカレイドでインビシブルワンを縮地に派生させ発動し、琴陽の前に立ち、マギスフィアをカナベラルで受け止め、一旦上にすこし飛ばした。
琴陽「な、奈々さん!?」
更に小型ヒュージが奈々と琴陽に光弾を発射してきたが、もう一本のCHARM、ブルメリアを抜き、弾き返し、カナベラルの斬撃を飛ばして小型ヒュージ達を片付けた。
椛「CHARMの二刀流!?円環の御手!?」
幸恵「いえ、レアスキルじゃないわあれは」
楪「トリグラフの特徴に似てるな、あのCHARM」
後から駆けつけた椛と楪、ルドビコ女学院のメンバー。
椛「奈々さん、マギスフィアをこちらに!」
奈々「結構純度が高いですよ。気を付けてください。行きます!」
奈々は椛に落ちてきたマギスフィアをカナベラルで打って飛ばした。
椛は飛んできたマギスフィアをグングニル・カービンでキャッチした。
ここで、佳世が奈々の元へやって来た。
佳世「奈々さん、ここは大丈夫ですからギガント級の方を!」
奈々「わかりました!」
この場を任せ、奈々はギガント級の方へ戻っていった。
一方鶴紗は楓にマギスフィアをパスしていた。
着々とマギを溜めてノインヴェルト戦術を進めていく一柳隊。
奈々がいない間、ギガント級の誘導は夢結、梅が担当している。
一緒に組んで戦ってた機会が多かった二人のコンビネーションは一級品と呼べるものであった。
楓「雨嘉さん、お願いしますわ!」
楓は遂にフィニッシュ担当の雨嘉にマギスフィアをパスした。
雨嘉「これで…!」
アステリオンにマギスフィアを取り込み、シューティングモードに変形させて、レアスキル・天の秤目を発動させ、空中を飛び回るギガント級ヒュージに狙いを定めた。
雨嘉「決める!」
雨嘉は9人分のマギが込められたマギスフィアをギガント級に向けて発射した。
必要な火力は十分込められている。
狙いは確実にとらえている。
だが、ギガント級に直撃する瞬間、何かの障壁が雨嘉の放ったマギスフィアを受け止めた。
夢結「!?」
梨璃「受け止めた!?」
二水「あれは…!」
マギスフィアを受け止めたギガント級に驚く一柳隊。
涼「ん?」
そんな中、涼は障壁の変化に気付いた。
なんとマギスフィアはその障壁を割り、ギガント級に直撃し、爆発した。
ミリアム「やったか!?」
楓「やったかはフラグですわよ!」
爆発が晴れると、ギガント級はまだいた。
鶴紗「生きてる!?」
神琳「でも、ダメージは受けてますわ」
神琳の言う通り、ギガント級の体にはマギスフィアで付いた傷が大きく残っていた。
先程の障壁によってノインヴェルト戦術の威力が殆ど乖離してしまったのだろう。
お互いマギを消耗しているが、まだ一柳隊の方が有利である。
ところが、ギガント級は突然後ろを振り向き、遠くへ逃げていった。
梅「何!?」
ミリアム「ギガント級が逃げた!?」
梨璃「何、どう言うこと!?」
そして合流した奈々。
奈々「ねえ、ギガント級からマギの放出を感じたんだけど、ノインヴェルト戦術はどうなったの?」
梅「奈々!」
夢結「命中はしたんだけど、何かの障壁に阻まれたのよ」
奈々「障壁?」
楓「ノインヴェルト戦術は決まっていましたけど、障壁のせいで威力が落ちて撃破にはいかなかったですわ」
奈々「まるで前のギガント級…ドンノロッシェンの時と似ている…!」
ドンノロッシェン…
2年前…甲州撤退戦で現れたギガント級ヒュージの名前で、ダインスレイフを取り込んだ時はマギの障壁を貼ってアールヴヘイムのノインヴェルト戦術戦術を受け止めた事があった。
今回のギガント級は、その時のヒュージに状況が似ていた。
遅れて、残りのメンバーがやって来た。
ここに来たということは、特型ヒュージは片付けてきたのだろう。
今の状況を知った純はというと…
純「これはどう言うことですの!?ギガント級を逃がすなんて!」
奈々「純さん!」
純「やっぱり百合ヶ丘に任せるべきではありませんでしたわ!」
初「純!」
純の発言にイラっとした奈々。
奈々「純さん……今の状況を見てその答えはないでしょ?」
純「何ですの!?」
奈々「ノインヴェルトは決まっていました。マギも条件をクリアしてます」
純「結果の問題ですわ」
奈々「失敗以外に考えられないんですか貴女は!ここにいる全リリィは一柳隊の戦い方を御見ていたんだぞ!」
純「じゃあどうして!」
奈々は純にブルメリアを当てた。
純「!?」
すると、ルナティックトランサーで溜め込んでいた負のマギが浄化されていった。
来夢「これは…!」
夢結「マギが浄化された…!?」
奈々「このブルメリアには、マギを浄化する効果を持っているんです」
奈々の扱うブルメリアには、マギの吸収の他に浄化の機能も備わっている。
ルナティックトランサーを使う際には頼りになる効果である。
奈々「落ち着きましたか?」
マギが浄化され、落ち着いた純。
純「……ギガント級は何をやりましたの?」
奈々「……バリアを貼ってノインヴェルトの威力を削った」
幸恵「バリア?」
奈々「破ることは出来たけど、威力が落ちて、決定打には至らなかった」
楪「でも何故逃げたんだ?」
一葉「確かに、いくらヒュージとはいえ、逃げる行動をとった前例がありませんでした」
叶星「知性を持ったヒュージかしら…」
夢結「手強い相手になるわね…」
未知のギガント級の強さを実感するリリィ達だが、奈々がここで話題を変えた。
奈々「それよりも…私は他に純さんに言いたいことがあります」
純「言いたい事?何です…!?」
純は突然奈々に胸蔵を捕まれた。
その行動に全員は驚きを隠せなかった。
奈々の表情は、純が怯むほどの怒りに満ちていた。
奈々「あんた、ルナティックトランサー全然コントロール出来てない上に、その勝手な行動でチームワークが乱れ、下手したら仲間を傷つけるところだったんだぞ!わかってるのか!?」
純「だ、だから何ですの…!?」
奈々「仲間の事も視野に入れるのもまたリリィの戦いだ!弱い強いとかもっての他だ!」
純「私が悪いと言うの!?」
奈々「当たり前だ!変わってないよあんた…あの頃から全く!特にノインヴェルトであんなパスの仕方はないだろ!もし琴陽ちゃんが怪我をして必要なマギが減ったらどうするつもりだったんだ!?」
純「これだけのメンバーが揃っていれば一人欠けていても…!?」
その発言を聞いた奈々は、純を地面に叩きつけた。
地面にぶつけられて痛む純は奈々の表情を見て言葉を失ってしまう。
一同「!!!??」
奈々の行動に皆も言葉を無くす。
奈々の表情は無表情ながら、物凄い怒りを感じていた。
まるで、ルナティックトランサーを発動した時の狂気のように…
奈々「………謝れよ」
純「?」
奈々「ここにいる皆に謝れよ!!あんたが迷惑をかけた皆に!!」
夢結「奈々、もうその辺に…」
奈々「謝れよ!!!」
梨璃「奈々ちゃんもうやめて!」
奈々「謝れ!!!!!」
幸恵「もうやめなさい!!」
奈々「謝れって言ってるだろ!!!!!!!!」
突然奈々は、初にビンタで頬を叩かれた。
奈々「!?」
初のビンタに、我に返った奈々。
初「私達は気にしてないわ。離してあげて」
初に頼まれて、奈々は純の胸蔵を離した。
純「………」
純は謝ることもなく、その場を離れる。
初は純の代わりに皆に謝った。
初「ごめんなさい」
奈々「いいですよ。私も暑くなりすぎましたから…すいませんでした」
梅「一触即発だったゾ」
夢結「本当に、あそこまで怒るなんて貴女らしくないわよ」
皆、奈々の事を心配していた。
奈々「もっともです…」
暑くなりすぎた事を反省する奈々。
初「純も、悪気はないの。許してあげて?」
奈々「わかってます。今の純さんを見れば分かりますから」
「楓ーー!!」
奈々「!?」
遠くから楓を呼ぶ声が響き、百合ヶ丘とは違う普通の黒い制服をまとった青のポニーテールの少女がやって来た。
相模女子高等学館 1年生 石川葵(いしかわ あおい)
使用CHARMは2本の武器をくっ付けた第三世代のトリグラフ。
円環の御手が無くても二本で戦えるよう開発された機体である。
楓「葵!?」
奈々「あの制服は…相模女子高等学館の…!」
楓が葵と呼ぶ子の元へ来た。
葵「やっぱり、ギガント級を相手にしてるレギオンって、楓のレギオンだったのね」
楓「どうしてここに?」
葵「百合ヶ丘の遠征メンバーに楓の名前が入ってたから」
楓「会いに来てくれたの?」
葵「また一緒に戦うって、約束したでしょ?」
楓「葵ー!」
喜んで葵を抱く楓。
奈々「楓ちゃん、この子と知り合いなの?」
楓「知り合いではなく、戦友ですわ!」
葵「相模女子高等学館の石川葵よ。よろしく」
奈々「石川?てことは君、精衛(せいえい)さんの!」
葵「娘よ。貴女お父様を知ってるの?」
奈々「今年の雪解け、ブルーガード時代に一度話をしたことがあってね」
神琳「親友とは、中等部から一緒でしたの?」
葵「うん。聖メルクリウスインターナショナルスクールで楓と一緒だったの」
梨璃「聖メルクリウスインターナショナルスクール?」
夢結「横須賀の最重要ガーデンと呼ばれた所よ。百合ヶ丘と並ぶほどのね」
奈々「あの時の精衛さん、能力を伸ばすために娘の希望した百合ヶ丘とは別のガーデンに通わせる事を後悔してたみたいだけと、その様子だと心配は無さそうだね」
楓「私と葵は中等部時代から一緒にヒュージと戦ってましたのよ。今は…」
二水 佳世「蒼き皇女(ひめみこ)の葵さん!!ですよね!」
二水と佳世が割り込んできた。
奈々「おわっ!?息があってる!」
楓「何だか有名人見たいね」
葵「色んなガーデンにお世話になったからね」
ミリアム「心強い仲間が来てくれたのう」
奈々「精衛さんにいい土産話が出来そうかも」
幸恵「久しぶりね」
幸恵も葵の元へやって来た。
葵「幸恵様!ルドビコの時はお世話になりました」
幸恵「何だか、たくましくなったんじゃない?」
葵「今日は成長した所を見せたいと思ってます。それよりも…」
奈々「?」
葵「先程…ギガント級、飛んでいかなかった?」
奈々「うん。逃げていったよ」
葵「え?」
僅かに静寂な間が空いた。
そして…………
葵「えええーーーっ!!?」
以外な事実に葵が絶叫した。
葵「ギガント級が逃げたぁ!?」
奈々「逃げた方角からして、ヒュージネストの方だと思うよ」
葵「事情を説明してもらえる?」
奈々「うん。実は…」
奈々は葵に事情を説明した。
葵「ギガント級がバリアを貼ったせいで倒しきれなかった!?」
奈々「そ、バリアを破ることは出来たけど、ノインヴェルトの威力が殆ど落ちてね…ダメージを受けたとたん、逃げていったのよ」
夢結「逃げるギガント級は、始めてみたわ」
梅「だナ、ダメージを受けたからか、これ以上は危険だと判断して逃げたんだろうナ」
涼「判断の出来るヒュージか…」
椛「手強いですわね…」
楪「まだこの周辺には小型ヒュージがいる」
一柳隊以外のリリィ達が殆ど殲滅したものの、まだ小型ヒュージは残っている。
幸恵「逃げたギガント級も…また戻ってくるわ」
夢結「小型ヒュージは対処できるけど、問題はギガント級の貼ったバリアの正体よ」
楓「ノインヴェルトは確実に決まっていましたわね。それを受け止める程のバリアなんて始めてみましたわ」
奈々「何か特徴があるはずなんだけど…」
夢結「特徴ね…そういえば、当たった直後に金属音のような高い音が響いたわ」
二水「金属音………まさか…!」
二水が何かに気付いた。
梨璃「二水ちゃん、何か分かったの?」
二水「いや、あくまでも例えですけど…」
楪「例えでも構わない。教えてくれ」
楪に押される形で、二水は答えた。
二水「バリアの正体は、マギリフレクターでは無いでしょうか!」
奈々「!?」
佳世「なるほど」
涼「ああ。間違いないよ」
雨嘉「私が放ったマギスフィアが受け止められたのも分かるよ」
神琳「だとしたら、金属音も納得がいきますわね」
梨璃「マギリフレクターって?」
夢結「マギを使った攻撃を、マギのバリアで防ぐスキルよ」
鶴紗「一部のブーステッドリリィも、ブーステッドスキルとして使われてるよ」
奈々「マギスフィアを防ぐ程の防御力を持っているからね」
梨璃「そんなことが出来るの!?」
夢結「知能を持ったヒュージなら可能だわ」
知能を持っているなら、マギスフィアを危険と感じ、マギリフレクターを張ったのも頷ける。
楪「やるじゃん1年生リリィ!」
楪は二水の方を持つ。
奈々「楪さん、その子は二川二水ちゃんですよ」
楪「悪い、二水やるな!」
二水「ゆ、楪様が私の名前を…ぶふぉ!!!」
興奮して鼻血を吹き出し、撒き散らした。
楪「うおおっ!!?」
涼「はい、ティッシュ」
二水「ふ、ふみまへん……」
奈々「二水ちゃん、現場に血を撒き散らさないでね」
夢結「なに考えてるのよ……」
涼からポケットティッシュを渡され、鼻血を拭く二水。
楪は二水の鼻血を避けた為被害はなかった。
奈々「でもこれで活路が見えてきた」
一葉「見えたって、相手はノインヴェルトを受け止める程のバリアを貼るギガント級ですよ。それ以上の攻撃なんて…」
奈々「大丈夫。マギリフレクターは1度発動すると、一定時間使えなくなる。一撃目でマギリフレクターを使わせた後に2撃目を仕掛ければダメージが通るはずだよ」
葵「そうか…今の私達は22人…!」
鶴紗「ノインヴェルト戦術を二隊で行えば…!」
神琳「一撃目は防げても」
梅「2撃目にマギリフレクターが間に合わずに…」
楪「倒せるわけだ!」
雨嘉「それなら勝てる!」
活路が見えてきたリリィ達。
奈々「でも、もうひとつ問題があるよ」
梨璃「えっ?」
楓「他に何か問題でも?」
奈々「マギスフィアでダメージを受けたギガント級を見たところ、かなりの耐久力があるとみたよ。普通のノインヴェルトでも一撃で倒すのは難しいと思う」
叶星「じゃあどうするの?」
奈々「トドメ役となる一柳隊のフィニッシュ担当を、夢結さんに任せたいと思ってる」
夢結「私?理由を教えて?」
奈々「ルナティックトランサーによる強化です」
奈々が出した提案…それはルナティックトランサーを使ったノインヴェルト戦術のフィニッシュショットである。
幸恵「ルナティックトランサーを?」
奈々「ルナティックトランサーには、ヒュージの近くの負のマギを体に宿す特製を持っています。これを利用してマギスフィアを更に強化させる。そうすれば、あのギガント級を一撃で倒せる威力になるはずです」
初「ルナティックトランサーはわかるけど…何故夢結なのかしら?」
奈々「夢結さんのルナティックトランサーはこの中でも高い効果を持っています。その分マギを吸収する量も多いため、この戦法に最適なんです」
夢結「でも私は…」
夢結が使うルナティックトランサーは、これまでコントロール出来ずに大切な人を失い、仲間まで迷惑をかけた例があった。
その事に夢結は、ルナティックトランサーの使用を躊躇っていた。
奈々「夢結さんしか出来ないんです。私では持ってるCHARMがピーキーなので、下手したらマギスフィアを壊しかねませんし…特に私のマスカレイドはレアスキル化にもマギを使いますから効率が悪いです」
先程奈々は、純が放ったマギスフィアをカナベラルで受け止めた直後上に飛ばしたので、マギスフィアは壊れずにすんだ。
もしマギスフィアが長くカナベラルに触れていたら、マギスフィアは壊れていただろう。
カナベラルは常に高出力で起動してる為、マギスフィアを壊しかねないのだ。
涼「…………それしか方法はないようだね」
二水「でも、あのギガント級は素早くて雨嘉さんの天の秤目がないと難しいですし、何よりノインヴェルトの弾はもう…」
幸恵「私も、今回は一つしか持ってこなかったわ」
他の東京地区のリリィ達もノインヴェルト戦術の弾は持っていない。
ミリアム「これではお手上げか…」
涼「弾ならあるよ」
涼はポケットからノインヴェルトの弾を2つ取り出した。
梨璃「ノインヴェルトの弾!?」
神琳「何で2本も!?」
涼「百由様から貰ったんだ。万が一の事を想定してね」
涼はノインヴェルト戦術の弾を梨璃、幸恵に渡した。
幸恵「ありがとう。これなら二隊でのノインヴェルト戦術が出来るわね」
奈々「私は二組がノインヴェルト戦術が完了次第、空飛ぶギガント級を地面に落として動きを止めるよ。動かない的にしてあげるよ」
楓「またギガント級を相手にするのですわね?」
奈々「相手の攻撃を自身に誘うのが囮役の特権だからね」
涼「僕も、周囲の小型ヒュージを片付けておくよ。皆には指一本触れさせない」
ミリアム「だがお互い、ノインヴェルト戦術を一度使っておる。マギは休めば回復するが、CHARMの消耗はそのままじゃ。次使えば壊れるかもしれん」
ミリアムの言うように、ノインヴェルト戦術が行えるのは後一回切り。
弾があっても、CHARMが壊れてしまっては意味がない。
これがしくじれば、次はもうない。
幸恵「次しくじれば、もうギガント級を倒す術は無くなる」
純「失敗は許されませんわ」
夢結「ええ。必ず仕留める…!」
涼「それなら、戦闘区域外に防衛軍の拠点がある。ギガント級が戻ってくるまでの間、そこで休んでマギを回復してくれ」
初「そうね。ついでに各自のレアスキルも把握した方がいいわ」
奈々「私は残っている小型ヒュージを片付けてきます。倒しきれなくなる程増えてからじゃ遅いんで、それにまだマギは有り余ってますからね。やれることはやっておきますよ」
涼「なら僕も残ろう。こっちもマギが残ってる。多い方が早く片付くだろうし」
幸恵「それなら、佳世さんを連れていって。この子も殲滅力なら負けないわ」
奈々「構いませんが…佳世さん…殲滅力……あ」
奈々が何かを察した。
夢結「じゃあ私達は一旦下がるわ。無理はしないで」
奈々「任せてください!」
梨璃「奈々ちゃん、気を付けて」
奈々、涼、佳世を残し、一柳隊を含む18人は戦闘区域から一旦離脱した。
涼は端末を使って、ドローンから送られた情報を調べていた。
涼「現在この戦闘区域内にいるヒュージは、スモール級が40体、ミドル級が20体だよ」
涼が残りのヒュージを二人に教えてる内に、残った3人の周囲には次第に小型ヒュージが集まってきた。
涼「早速来たね」
奈々「ギガント級に備えてここの小型ヒュージは片付けておかないとね。やりますか、佳世さ…」
佳世「やるぞお前らー!!」
奈々「ぬおっ!!?」
突如乱暴な性格に変貌した佳世に驚く奈々。
いつの間にか佳世はメガネを外していた。
涼「凄い変貌ぶりだね…」
奈々「この手のキャラ…佳世さんルナティックトランサー持ちだったか…ギャップありすぎ」
佳世「無駄話してる暇があったら戦え!!」
奈々「は、はい!!」
そう言って、佳世はヒュージの群れに突撃しながら、右手に持ったダインスレイフ・カービンを振るいながら、小型ヒュージを次々と倒していった。
それに続く奈々と涼も…
奈々「恐、まさに鬼神だね…」
涼「僕達もうかうかしてられないね」
奈々「確かに!」
奈々は佳世の前に進み、カナベラルを片手でヒュージ達をなぎ倒していく。
遅れる涼も、左右に漏れたヒュージ達を白銀で倒していく。
佳世「やるじゃねえか」
奈々「多対1の戦闘にはなれてますからね」
涼「僕も、殲滅力なら誰にも負けません」
そう言って涼は何かを語りだした。
涼「あれはそう…百合ヶ丘に現れたギガント級とは別に現れた小型ヒュージの群れ。他の皆の邪魔にならないよう僕は単独で向かい、白銀の餌食にした…考えたら、あの時の僕の戦い方はとても芸術的…」
奈々「涼ちゃん、いつもの妄想はいいから」
涼「これは妄想じゃない!僕の心の物語だ!」
奈々「知らんがな」( ̄― ̄)
と、喋りながら小型ヒュージを減らしていく。
そして15分後…
奈々達の頑張りで、スモール級は残り25体、ミドル級は残り12体まで減っていった。
しかし、ここからがキツいところである。
奈々は長期戦になれてる為、息切れは無いが、
問題は二人。
涼は体力が高い訳ではない上に、実践経験が少ない。
アーセナルとしての活動が多く、トレーニングも基礎程度の事しかしていない。
佳世は体力が平均だが、自身のレアスキル、ルナティックトランサーを使って戦っていた為、体力とマギを消耗している。
二人にこれ以上の戦闘は不味いと判断し、奈々は二人に撤退するよう声をかけるが…
「遅れてすみません!」
奈々「!?」
女の子の声がこちらに響いてきた。
すると響いた方から、ルドビコ女学院の制服をまとった灰色のボブカットの少女が複数のリリィを連れてやって来た。
私立ルドビコ女学院 1年生 長谷川・ガブリエラ・つぐみ(はせがわ・がぶりえら・つぐみ)
使用CHARMはグングニル・カービン。
連れのリリィ達は、グングニル・カービン、ダインスレイフ・カービン等の派生量産機を持っていた。
佳世「つぐみ!」
つぐみ「佳世お姉様、加勢に来ました!」
つぐみは佳世の元に着き、佳世に触れると、佳世から負のマギが浄化された。
奈々「これは…!」
涼「ブレイブか…!」
レアスキル ブレイブ
ルナティックトランサーと対になると言われるレアスキルで、触れた相手に精神の安定をもたらし、対象者が持つポテンシャルの上限を一定時間開放させる。
また、自身の攻撃力を上げる効果を持つが、最大三回が限界となっている。
彼女、長谷川・ガブリエラ・つぐみは佳世のシュベスターであり、ルナティックトランサー持ちの佳世を支えるパートナーでもある。
奈々「つぐみちゃんだっけ?まさか君は佳世さんの…」
つぐみ「はい。シュベスターです」
涼「いいところに来てくれた。早速だけど残りのリリィにスモール級の方を任せるよう頼めるかな?」
つぐみ「わかりました!行きましょうお姉様!」
佳世「ええ!」
佳世はつぐみと連携を取りながらミドル級を片付けていく。
涼「一人で戦う時よりキレが上がってる!僕達も負けてられない!」
奈々「だね!」
涼、奈々も佳世、つぐみの連携に負けないかのように、二人で連携を取りながらミドル級を片付けていく。
残りのリリィ達も、スモール級を倒していく。
そして、30分後…全てのスモール級、ミドル級は奈々達の手により全て片付いた。
奈々達は今、ビルの屋上で休憩を取っていた。
佳世、涼は体力の限界なのか、大の字になって倒れていた。
つぐみや他のリリィ達はそこまで疲れていない上に、マギに余裕がある。
奈々は…言うまでもない。
涼「流石に…疲れた…」
佳世「今までの戦いよりも…結構…動きました…」
奈々「これ以上の戦闘は無理があるか…」
つぐみ「私達も、戦闘区域内から出ようか」
奈々「いや、私は残った方がいいかも」
つぐみ「え?」
奈々はとある方向に指を指した。
指した先の方向につぐみは見ると……
つぐみ「!?」
つぐみは驚愕した。
なんと一柳隊が戦ったギガント級が戻ってきたのだ。
ギガント級自身の体の傷は綺麗に無くなっていた。
ヒュージネストで治したのだろうか…
とはいえ、戦闘区域に入るまで後5分程だと奈々は推測した。
奈々「時間がない、つぐみちゃん、連れと一緒に佳世さんと涼ちゃんを連れて避難してくれる?」
つぐみ「そんな!一人でなんて無茶よ!」
奈々「アイツの攻撃は結構厄介だから、仲間を守っていられる余裕はない。連れのリリィ達でもあのギガント級の攻撃をかわすのは難しい。手遅れになる前に急いで!」
つぐみ「でも、一人でギガント級と戦うのは…!」
奈々「倒す役は…もうこっちに来ている!」
つぐみ「えっ!?」
遠くから一柳隊と東京地区…総勢18人のリリィ達が戻ってきた。
ギガント級が来たことに気付き、行動し始めたようだ。
奈々「私は皆と合流する。つぐみちゃん早く!」
つぐみ「わかりました!気を付けて!」
つぐみ達、佳世、涼を残し、奈々は一柳隊達の元へ向かう。
奈々「体長は万全のようですね」
夢結「ええ。マギもノインヴェルト戦術を行うには十分よ。貴女もまだやれるようね」
奈々「つぐみちゃん率いるルドビコのリリィ達が加勢に来てくれました。力をかなり消耗してるので今前戦から下がらせてるところです」
幸恵「佳世さんとつぐみさんは?」
奈々「マギも体力も限界だったのでこれ以上の戦闘は無理のようです。その代わり取り巻きの小型ヒュージは全て片付きました。ところで琴陽ちゃんは?」
ルドビコ側の方を見ると、琴陽の姿がない。
来夢「琴陽さんは経験が足りないので下がらせました」
奈々「そうなんだ…」
楓「涼さん頑張りすぎですわね。でもお陰でやり易くなりましたわ」
楪「その頑張りに答えなきゃな!」
梅「だな!」
梨璃「奈々ちゃんは無理しない程度に引き続きギガント級の注意を引いて。私達がノインヴェルト戦術で倒すから」
奈々「隊長っぽくなってきたじゃん。了解!」
奈々は囮になってギガント級の方へ向かった。
そして梨璃は皆に指示を出す。
梨璃「みなさん、これより二隊での同時ノインヴェルト戦術…開始します!」
「「「「「「「「「「了解!!」」」」」」」」」」
各自二組に散開し、ノインヴェルト戦術を仕掛けた。
夢結「最初は梨璃、貴女から行くわ!」
梨璃「はい!」
夢結はブリューナグにノインヴェルト戦術の弾を装填し、梨璃に向けてマギスフィアを発射した。
対し梨璃は飛んできたマギスフィアをグングニルで受け止めた。
一柳隊、東京地区のリリィ達にとってこれがこの戦場での2度目のノインヴェルト戦術になる。
しかし問題はCHARMである。
質のいい素材や部品を使ってるブリューナグやティルフィング等は大丈夫だが、グングニルやアステリオン等の量産機だと、マギスフィアの濃度次第で壊れてしまう可能性がある。
そこで一柳隊は、低コストのCHARMを扱う梨璃、二水、雨嘉を最初にすることで、濃度の少ないマギスフィアをキャッチした時に掛かるCHARMの負荷を減らす事でノインヴェルト戦術を行う方法を考えた。
東京地区のリリィ達の持つグングニル・カービン、ダインスレイフ・カービンは、強度を上げた改造を施されており、ノインヴェルト戦術での二回以上の使用にも普通に耐えられる。
椛「楪!行くよ!」
椛も、グングニル・カービンにノインヴェルトの弾を装填し、楪に向けてマギスフィアを放った。
現在この場にいる敵はギガント級の1体だけ。
そしてその相手を奈々が引き受けている。
そのためリリィ達は、ノインヴェルト戦術に集中出来る。
楪「やるぞ!」
楪はレアスキル・テスタメントを発動し、東京地区のリリィ達のスキル効果の範囲を広げた。
楪「純!」
楪はマギスフィアを純にパスした。
梨璃「二水ちゃん!」
梨璃は二水にマギスフィアを渡した。
純はダインスレイフでキャッチし、二水はグングニルでキャッチした。
純「姉様!」
二水「雨嘉さん!」
純はマギスフィアを初に、二水はマギスフィアを雨嘉にパスした。
と、そこへ……
奈々「ごめん、小型ヒュージがそっちに来る!」
奈々の警告を聞き、雨嘉と初は身構える。
すると二人の目の前に小型ヒュージがやって来た。
ギガント級がノインヴェルトに気付き、再び小型ヒュージを出して来たのだ。
奈々はギガント級を相手にしないといけないため、小型ヒュージまで手が回らず、奈々の包囲網を抜けてしまう。
しかし二人には触れさせないと、ノインヴェルトのパスを終えた純、楪、二水が迎え撃ってきた。
純「お姉様に気安く触れないで頂きます?」
楪「邪魔はさせないぞ!」
二水「私だってリリィですから!」
純がルナティックトランサーを使って、前方の群れに向かって飛び出し、次々とヒュージをダインスレイフで斬り倒していった。
純「先程のようには行きませんわよ!」
純も、一柳隊の邪魔をしてしまった事については内心反省してるようだ。
左右に漏れたヒュージは、楪、二水がシューティングモードに変えたCHARMの射撃で確実に倒していく。
二水を含むノインヴェルト戦術を二回行っているリリィ達は、CHARMの強度がかなり消耗している。
低コストの部品しか使ってないグングニルでは、数回敵を切れば壊れてしまうだろう。
しかしシューティングモードならCHARMに掛かる負荷が少ない為、戦う事はは可能である。
楪「やるな!1年…じゃなくて二水」
二水「私も、一柳隊のリリィですから!」
一方、雨嘉はマギスフィアを神琳に、初は椛にマギスフィアをパスした。
奈々「くっ、小型ヒュージを出しすぎだって!」
ギガント級はノインヴェルトを警戒し、奈々の相手をしながら小型ヒュージを更に拡散してきた。
数が増えたら、今処理を行っている純、二水、楪だけでは辛い。
しかし、パスを済ませた雨嘉と初が参加し、小型ヒュージの処理を行った。
雨嘉は遠くからシューティングモードに変形させたアステリオンでミドル級を撃ち倒していく。
二水「雨嘉さん!」
雨嘉「二人はスモール級の方を!」
楪「オーケイ!」
初は純と合流した。
純「姉様!」
初「やりましょう純」
純「ええ。私達、ロネスネスの船田姉妹の力を…!」
初もルナティックトランサーを発動し、純と一緒に新たにやって来た小型ヒュージ達を倒していく。
一方神琳、椛はマギスフィアに自らのマギを与えて行く。
神琳「椛さん、私がテスタメントを使いますわ!」
椛「そして私がレジスタを!」
神琳がテスタメントを発動し、続けて椛が発動したレジスタの効果範囲を広げた。
これがレジスタのもうひとつの効果。
仲間の攻撃力を強化するだけでなく、ノインヴェルト戦術の成功率を大きく上げる効果を持っているのだ。
レギオンを作る際、これを持つリリィは一人入れたいぐらい重要なレアスキルである。
神琳「梅様!」
椛「来夢さん!」
神琳はマソレリックにくっついたマギスフィアを梅に飛ばし、椛はグングニル・カービンに付いたマギスフィアを来夢に向けて飛ばした。
その後、神琳と椛は二水達に協力し、小型ヒュージを処理していった。
飛んできた二つのマギスフィアは、梅のタンキエム、来夢のアステリオンでキャッチした。
来夢「私は前に進む…そして、力を出し切る!」
来夢がレアスキルを発動した。
すると、周囲のマギが変化し、皆のマギが膨れ上がったのを感じた。
梅「これは…!」
雨嘉「マギが回復していく…!」
一葉「あれがレア中のレアスキル…」
叶星「カリスマ…!」
レアスキル カリスマ
邪悪なマギに大して耐性が付き、周囲のマギを浄化して自身に蓄え、入りきれなかった分を味方に分け与えてマギの回復、攻撃力の向上を同時に行える強力なレアスキル。
現在百合ヶ丘でカリスマを所有するリリィは四人のみと、このスキルに覚醒するリリィが少ない事から希少価値が高い。
梅「楓!」
来夢「叶星様!」
梅は楓に、来夢は叶星にマギスフィアをパスした。
一方、奈々はギガント級の攻撃を大きく避けている。
それもその筈、ギガント級は再び無数のレーザーをばらまいてきたのだ。
ヘリオスフィアでは防ぎきれないと考え、縮地でかわしていった。
避けきれないレーザーはカナベラルで弾く。
そこへ梅が縮地を使って奈々の元へ参加し、レーザーをタンキエムで弾いていく。
奈々「梅さん!?」
梅「梅の専売特許を取らせないゾ」
奈々「別に取ろうとした訳じゃ…」
梅「二人でやるぞ。梅の動きに付いてこれるか?」
奈々「望むところです!」
奈々、梅の二人でギガント級を相手にした。
一方マギスフィアを受け止めた楓と叶星。
叶星「楓さん、レジスタの発動をもう少し待ってもらえる?」
楓「なるほど。読めましたわ。それで行きましょう!」
叶星「一葉、行くわよ!」
叶星はマギスフィアを一葉にパスした。
一葉「やりましょう。叶星様、楓さん!」
叶星「レジスタ使いが3人も揃うなんて、珍しいでしょ?」
楓「ですわね!」
一葉はレジスタを発動し、楓、叶星も合わせて発射した。
三人分のレジスタの効果がリリィ達に掛かる。
全リリィ達の攻撃がエンジンが掛かったかのように激しくなり、小型ヒュージ達を早く処理していく。
楓「さて、出番ですわよ。ちびっ子2号!」
楓がマギスフィアをパスした相手は、ミリアムだった。
ミリアム「誰がちびっ子2号じゃ!だがレジスタ三人分の効果を掛けてくれたお陰でわしのレアスキルも更に発揮できる!」
奈々「ミリアムちゃん!そっちに小型ヒュージが来るよ!」
奈々の声を聞き、ミリアムはニョルニールを構えた。
前方にやって来た小型ヒュージの数は雨嘉と初を襲いに来た時より数が多かった。
ミリアム「ゾロゾロ来るよのう…だがわしには関係の無いことじゃ!」
幸恵「そうね。ここで取り巻きを減らしておけばそれで済むのだから!」
いつの間にか幸恵が一葉から渡されたマギスフィアをフィエルポワで受け取り、ミリアムの元に現れた。
幸恵は両手には、右手にフィエルポワ、左にシャルルマーニュが握られていた。
そして二人は背中合わせになり、ミリアムはフェイズトランセンデンス…幸恵は円環の御手を発動した。
幸恵の二つのCHARMより繰り出すマギの斬撃と、ミリアムのニョルニールから放たれるビームが、襲いかかる小型ヒュージ達をまとめて処理していく。
奈々「うわぁ、凄い殲滅力」
二水「は、鼻血が…!!」
奈々「なっ!?」
いつの間にか奈々の近くに二水と佳世が現れた。
佳世「フェイズトランセンデンスと円環の御手のコンビネーションなんて、攻撃力凄すぎ……!」
二水 佳世「ぶっほおあっ!!!」
二水と佳世が鼻血を撒き散らし、運悪く奈々の両目に掛かってしまった。
奈々「ぎゃあああああ!!?目がー!目がァーー!!!?」
倒れて転がりながらもがき苦しむ奈々。
夢結「奈々も何やってるのよ…」
遠くで見ていた夢結は奈々の姿を見て呆れていた。
涼「ほら、このハンカチで吹いて」
奈々「あ、ありがとう…って、涼ちゃん?」
奈々は涼から借りたハンカチで顔に掛かった鼻血を拭き取る。
そこで奈々は涼と佳世がここにいる事に気付く。
奈々「涼ちゃん、調子は大丈夫なの?」
涼「ああ。来夢のカリスマのお陰でマギも回復した。佳世様も回復して一緒だ。僕達も戦おう」
つぐみ「私も手伝います!」
既に佳世はルナティックトランサーを発動していた。
佳世「よっしゃーやってやんよ!!」
ルナティックトランサーを発動した佳世はそのまま単独で飛び出し、小型ヒュージ達を倒していく。
涼、つぐみも、佳世をフォローしに向かう。
ミリアム「後は……任せるぞ、鶴紗!」
ミリアムは最後の力を振り絞って、マギスフィアを鶴紗にパスした。
そしてそのまま倒れるが、楓、二水に支えられる。
楓「また無茶をして…私は早く梨璃さんの援護に行きたいのですけど?」
ミリアム「すまぬ…」
二水「鶴紗さん、後はお願いします!」
鶴紗「わかった」
鶴紗のティルフィングで受け止めたマギスフィアは既に7人分のマギが蓄えられていた。
そこに鶴紗のマギが加えていくと、ついにフィニッシュを決めるリリィに渡す時が来た。
鶴紗「夢結様!」
鶴紗はマギスフィアを、十字路の方で待機しているフィニッシュ担当の夢結にパスした。
夢結「!」
鶴紗からパスされたマギスフィアを、夢結はブリューナグで受け止めて、そのまま取り込んだ。
ちなみに、十字路の反対側には、幸恵からマギスフィアを渡された葵の姿があった。
葵はトリグラフを分離させ、共にシューティングモードに変形させて構えた。
もう片方のノインヴェルト戦術のフィニッシュは、葵が担当するようだ。
一方ギガント級が生み出した小型ヒュージ達は他のリリィ達によって全て片付いた。
これで敵はギガント級一体のみとなった。
幸恵「奈々さん、ノインヴェルトの準備は出来ましたわ。ギガント級を十字路の中央へ!」
奈々「はい!」
奈々はルナティックトランサーを発動し、背中に着けたブルメリアを抜いた。
髪の色が赤茶色から白に変わり、早い動きでギガント級の頭上に移動した。
奈々「おっちろぉー!!」
奈々がギガント級の頭上にカナベラルの渾身の降り下ろしを食らわせる。
ところが、その間にラージ級が割り込み、奈々に向けてビームを発射した。
しかし奈々は怯まず、ブルメリアでビームを防ぎ、カナベラルでラージ級を叩き倒す。
そこにギガント級が上昇し、奈々を押し上げる。
奈々「ぐうっ!?」
夢結「奈々!?」
奈々を心配する夢結。今すぐ援護に行きたいが、今の夢結はノインヴェルト戦術のフィニッシュを担当している。
飛び出すわけには行かないが、ギガント級は空にいるため攻撃が届かず、援護にも行けない。
しかしそこへ、奈々の大声が響いてきた。
奈々「夢結さーん!!私は大丈夫でーす!!」
迷う夢結に、奈々が夢結に自分が大丈夫だと大声で伝える。
夢結はブリューナグを構えて、ルナティックトランサーを発動しようとするが…
夢結は躊躇っていた。
過去に何度もルナティックトランサーをコントロール出来ずに暴走し…
味方にまでその刃を向けてしまい…
そして遂には………かつてのシュッツエンゲルを失ってしまう…
今度発動して、この刃を仲間にかけてしまったら………
それを思うと、夢結はルナティックトランサーを使うことを怖れた。
しかし、ここでやらなければギガント級を倒せない。
ルナティックトランサーの力で更にマギを混めないと、ギガント級を倒せるほどの火力にならないからだ。
皆が頑張ってくれなければ二組による同時ノインヴェルト戦術は完成しなかっただろう。
裏切るわけには行かない。
皆の為にも、ここは決めなきゃいけないと。
しかし、夢結には踏み出す為の勇気が足りなかった。
ルナティックトランサーをコントロール出来なかった時の後と、失敗は出来ない同時ノインヴェルト戦術。
迷いが……プレッシャーが………
夢結を追い詰めていく………
ところがそこへ、梨璃が夢結の元へやって来た。
梨璃「お姉様、貴女はもう一人ではありません!私がいます!一柳隊の皆がいます!」
夢結「梨璃!?」
梨璃「例えコントロール出来なくても構いません!私が全力で止めます!だからお姉様は自分の戦いをしてください!」
そして梨璃は夢結の左手を握る。
梨璃「ルナティックトランサー……発動してください!!」
夢結「!」
梨璃の言葉に夢結は心が動かされる。
あの時に言った言葉…
梨璃の事を信じると…
それを裏切るわけには行かない。
この子の…
梨璃のシュッツエンゲルとして…!
夢結は遂に決心する。
夢結「やるわ!」
夢結は梨璃の言葉を信じて、ルナティックトランサーを発動した。
夢結の周りに禍々しきオーラがまと割り付き、負の感情が押し寄せてくる。
このままではまた、感情をコントロール出来なくなり、暴走してしまう…!
その時…夢結の中にある言葉が浮かんできた…
………………………………………………………
奈々「確かにルナティックトランサーを使えば、ヒュージに近い負のマギを体に宿してしまい、精神が不安定になりがちになります。ですがそれ以上に強い思いを持てば、ルナティックトランサーを完全に使いこなし、憎しみの感情に絶対に負けません。そして、夢結さんにはもうその強い思いを持っている筈です」
………………………………………………………
奈々が言ってたあの言葉を思いだし、夢結は集中した。
夢結「……」
相手を倒すのではなく…守りたい者達の為にと…
夢結は強く願った。
すると…!
夢結「…………制御……出来てる…!?」
なんと、夢結はルナティックトランサーを発動してるにも関わらず、戦闘的な荒い感情が現れなくなった。
髪の色は白くなってるのに、落ち着いていた。
取り込んだ負のマギに耐えられているのだ。
これは正に、ルナティックトランサーをコントロール出来てる証拠である。
夢結は、奈々のあの時の言ってた意味を理解した。
夢結「これなら………行ける!」
夢結は取り込んだマギをブリューナグに注いでいく。
更にギガント級を含むヒュージ達からマギを吸収し、これもブリューナグに注いでいく。
そして、梨璃も…
梨璃「私も手伝います!お姉様と皆を守るために…!!」
梨璃の体から、優しい光が広がっていく。
それは、離れたところにいるリリィ達にも感じた。
楓「これは…!」
二水「マギが回復していく…!」
幸恵「まさか…!?」
来夢「梨璃ちゃんのレアスキルは……!」
涼「それだけじゃない…夢結様のルナティックトランサーの力が更に強まってる!」
全てのリリィのマギが回復し、更にルナティックトランサーの効果も上がっていた。
「うおおおおああああーーーー!!!!」
奈々の叫び声が響いた。
なんと上空からギガント級が落下してきた。
雨嘉「ギガント級が落ちてきた!?」
二水「いえ、奈々さんが上から押してるんです!って、な、奈々さんから更に凄い量のマギを放出しています!」
二水は鷹の目を発動して、上空から落下してくるギガント級と奈々の姿を捉えた。
神琳「ええっ!?」
楪「フェイズトランセンデンスか!?」
鶴紗「いや、奈々はフェイズトランセンデンスの
サブスキルを持って無かったはず…!」
一葉「じゃあ一体…」
ミリアム「恐らく、あれは奈々が持つCHARM、カナベラルとブルメリアの機能の一つじゃろう」
ミリアムが動けるようになり、皆に奈々が大量にマギを放出してる理由について話す。
叶星「あの二本が?」
ミリアム「うむ。あの二本は合体が出来るCHARMなのじゃ」
楓「CHARMが合体!?」
梅「ただてさえ凄いのに更に凄くなるのか?」
ミリアム「性能は察しの通りじゃ。あの状況を見たら予想は付く」
二水「ああっ!」
鷹の目で見たギガント級の突然の行動に二水は驚く。
ミリアム「うおっ、どうしたんじゃ?」
二水「ぎ、ギガント級がマギリフレクターを発動しています!」
純「なんですって!?」
二水はギガント級が奈々の攻撃に対し、マギリフレクターを貼った事に驚く。
それを聞いた皆も同様に驚く。
初「まさか、ギガント級が奈々さんの今の攻撃を危険視したから…?」
涼「ノインヴェルト戦術に近い火力を、奈々は持っていたというのか…!?」
だとすれば…奈々は一人で普通のギガント級を倒せるほどの力を持っている事になる。
初「でも、これで倒しやすくなったわ」
幸恵「後はあの3人に任せましょう」
一方十字路の左右で待機している葵と夢結、梨璃のペア。
葵はレアスキル…ファンタズムを発動し、ギガント級の落下地点を予測した。
葵「夢結様、中央に落ちます。私が発射した後にお願いします!」
夢結「わかったわ!」
二組、発射体制に入った。
そしてギガント級は、葵の読み通り…十字路の中央に落ちた。
葵「行きます!」
葵はトリグラフに込めたマギスフィアを使って二本の大きめのビームをギガント級に向けて発射した。
奈々相手にマギリフレクターを使ったギガント級には防ぐ術がなく、直撃を受けた。
ギガント級のマギが大きく削られていく…
完全に倒すには至らないが、これで十分である。
そして…!
梨璃「これで…!」
夢結「終わりよ!」
梨璃と夢結が支えるブリューナグから、マギスフィアのエネルギーを取り込んだ高粒子砲のビームが発射された。
そのビームはとても大きく、ギガント級を包んでいき、そのまま空の彼方へ飛んでいき……
大爆発を起こしたのであった。
爆発による強風がリリィ全員に降り掛かる。
爆発が晴れると、そこにギガント級の姿はなかった。
マギの気配も、完全に消えた。
リリィ達の勝利である!
梨璃「やりました!お姉様!」
梨璃は夢結を抱いた。
既に夢結はルナティックトランサーを解除しており、髪の色も元の黒に戻っていた。
夢結「私がルナティックトランサーをコントロール出来たのは貴女のお陰よ」
そう言って夢結は梨璃を抱く。
梨璃「お、お姉様!?」
夢結「ありがとう……梨璃」
夢結に抱かれて顔を赤くする梨璃。
その様子を見ていた他のリリィ達…
純「ルナティックトランサー…完全に使いこなせてる…いいパートナーが見つかったみたいですわね」
涼「当然ですよ。あの二人の…シュッツエンゲルの絆は、誰よりも強いですから」
初「私達も、負けてられないわね」
楪「夢結はもう大丈夫みたいだな」
椛「そうですわね」
純「それよりも…奈々のあの一撃…」
初「ノインヴェルト戦術並の威力を持っていたわね」
純「会うたびに驚かせてくれますわね。私達も負けてられませんわ」
初「そうね」
楪「だな」
椛「ええ」
一葉、叶星の二人は…
一葉「今回の戦いで、色々と学ぶことが出来ました」
叶星「私もよ。ガーデンにいるレギオンの皆に言う土産話が出来たわ」
一葉「はい。今回の経験を生かし、また頑張って行きましょう」
叶星「ええ!」
ルドビコ女学院の来夢と幸恵は…
来夢「梨璃ちゃんのレアスキル…カリスマだったんだね」
幸恵「あの子、来夢に似ていたけど、レアスキルまで似るのは驚きだわ」
来夢「後で…梨璃ちゃんにいっぱい話をしたい」
幸恵「きっと仲良くなれるわ」
一方、楓は葵と互いの強さを認めていた。
楓「葵、あの時より更に磨きがかかってましたわ」
葵「楓も強くなったよ。中等部から一気に」
楓「これからも、お互い強くなりましょう」
葵「ええ。リリィとして!」
そして、十字路の中央で大の字になって倒れた奈々の元に、一柳隊のメンバーと一部の東京地区のリリィ二人がやって来た。
梅「大丈夫か奈々?」
奈々「全然…カナリアの反動が大きかったので…しばらくすれば動けるようになりますから」
二水「カナリア?」
ミリアム「そこに転がってるCHARMじゃな」
ミリアムが見た地面には、ブルメリアをくっ付けたカナベラルがあった。
カナベラルの部分は刀身のパーツが伸びていた。
鶴紗「本当にCHARMが合体してる」
ミリアム「後で説明してもらえるかの」
奈々「それでお願い」
佳世「それより、奈々さんもルナティックトランサーをコントロール出来て…」
奈々「はい…」
つぐみ「ブルーガードにいたって聞いたけど、それでもあのギガント級を押しきるなんて…」
梅「2年前に戦ったギガント級が百合ヶ丘に
現れたときなんか、ルナティックトランサー発動して一人で圧倒してたからな」
雨嘉「他のルナティックトランサー使いでもあれだけの芸道は出来ない」
佳世「そこまで…!」
凄すぎて言葉を失う佳世とつぐみ。
神琳「あれ?」
ミリアム「どうしたのじゃ?」
神琳「このCHARM、刃のところが割れていますわね」
奈々「え!?」
動けるようになったのか、奈々は起き上がり、自分のCHARMを拾う。
よく見ると、確かにカナベラルの刃の部分が少し割れていた。
奈々「ああやっぱりルナティックトランサーでの使用は無理があった…」
雨嘉「百由様に頼んで見たら?」
奈々「これ、普通の素材使ってる訳じゃないから難しいかな…後でブルーガードに連絡してみるか」
つぐみ「ブルーガードにもアーセナルがいるの?」
奈々「このCHARMを作った子がいるからね」
梅「しばらく使えるCHARMはそのブルメリアだけになるな…」
奈々「いや、ブルメリアも修理に出しますから実質、代わりのCHARMが必要になります」
二水「代わりのCHARMですか?」
ミリアム「グングニルじゃ駄目なのかのう?」
奈々「あれは梨璃ちゃんの模擬戦しか使わないし、実戦で使うのは無理かな?」
神琳「百合ヶ丘にはまだCHARMがありますから色々試してはどうでしょう」
奈々「そうだね…考えてみるよ」
そう言った後、奈々は周りを見渡す。
鶴紗「どうした?」
奈々「いや、琴陽ちゃんの姿が見当たらない…」
戸田・エウラリア・琴陽は、人目の付かないところで、誰かと通信をしていた。
琴陽「はい……東京地区での実験は成功しました。小型ヒュージの拡散は、リリィに有効な手段だという結果が出ました。しかしリリィ達は2隊同時ノインヴェルト戦術でマギリフレクターを破って倒しました。まさかあのギガント級が駆逐されるとは思いもしませんでした。今後も、今まで通りには行かないと思われます…どうしましょう…」
琴陽は通信を続けた。
琴陽「では、予定通り計画を実行に移すのですね?…はい…大丈夫です……各リリィ達のデータは十分手に入れました。白井夢結の戦闘データもです。ただ……まだ木葉奈々のデータが足りないんです……え?……はい……いいのですか?………はい……分かりました………」
彼女…戸田・エウラリア・琴陽の秘密については………
まだ誰も知らない……
数時間後……一柳隊と涼、奈々は、東京地区のリリィ達と別れを告げ、合流した出雲と共に大型ヘリで百合ヶ丘に帰るところだった。
皆は今回の遠征で疲れて、ぐっすり眠っていた。
ただ、奈々だけは起きていた。
出雲「CHARMの破損は予想していたが、まさかお前のCHARMが破損するとはな」
奈々「無理しました」
出雲「今回のギガント級は一筋縄ではいかなかったようだしな…仕方がない。ブルーガードへは私が連絡しておく。お前も体を休んでおけ」
奈々「私はもう少し外を見てます。今は寝る気分じゃないので」
出雲「そうか…好きにしろ」
出雲はこれ以上言うことなく、操縦室の方へ向かった。
奈々は、窓の外を眺めていた。
遠く離れていても見える下北沢の街並みは、ヒュージ達によってほとんど崩壊していたが、その形は…かつての姿をまだ残していた。
今回の遠征で奈々は、いろんな体験をした。
見たことのないギガント級ヒュージとの戦い…
2年前に助けた少女の連れ合いの琴陽の出会い…
そして、梨璃のレアスキル、カリスマの覚醒…
頭の痛くなる体験だったので奈々は今日、それを考えないでおこうとした。
奈々「…………」
代わりにボロボロになった街を見た奈々は誓った。
この世界から…ヒュージを無くすために…
この世界を平和にしようと…
改めて決意したのだった。
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二水「次回は転入生のリリィが登場します!」
??「荒っぽいことしてくれたね。奈々」
next 木葉奈々の模擬戦ラッシュ
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今回の新CHARM説明
カナベラル
奈々のメインCHARMで、大剣の形をしている。
コストの低いCHARMを真っ二つにしてしまうほど、攻撃力がずば抜けるほど高いが、消費するマギの量もかなり多い。
マギの量を押さえることも出来ないピーキー仕様となっている。
また、ブルメリアとの同調により、二本の使用が可能となるが、その分マギの量も多くなる。
奈々のようなマギの保有値が多いリリィでないと長時間の使用は難しい。
ブルメリア
奈々のサブCHARM。
単体の威力は低いのに対し、消費するマギの量は普通。
その反面敵のマギを吸収、マギの浄化が出来る機能を兼ね備えている。
短剣のCHARMだが、マギの刃を伸ばして、剣に代用することが出来るが、メインとして使うにはおすすめしない。
合体剣カナリア
カナベラルの鍔にブルメリアをくっ付けて合体させた武器。
通常より大きめのマギの刃が生成され、一般のギガント級を倒せる程の大火力を持っている。
その代わり、体に掛かる負担と、消費するマギの量が異常に高く、マギの保有値が高い奈々でさえも、30秒が限界である。
現状使っている素材でも、一度使っただけで破損するほどの負荷がCHARMに掛かる。
流石に沢山の登場人物を話に入れるのは苦労しました。
次の話からは今回ほどの話ではないですが、
気長に待っててくれたら嬉しいです。
それでは、次回をお楽しみに!