アサルトリリィ MIX BLOOM   作:カッパサン

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本当に申し訳ありません!
最近、モチベーションが落ちてて、
投稿に2ヶ月かけてしまいました。
文章の方も気がついたら27000以上も
ありました。
その分良いものに出来たと思います。

後、遂に彼女が出てきます!

ちなみに新章に入った為、主人公を含むキャラクターの紹介をアニメ版のようにもう一度書きました。

それではどうぞ!


Brilliant lily
「9」木葉奈々の模擬戦ラッシュ


「ふわあああーーっ……」

 

 

赤茶色のショートの少女がベッドから起き上がった。

 

 

 

 

 

 

百合ヶ丘女学院 1年生 木葉奈々(このは なな)

 

 

 

 

 

少女…木葉奈々は、自分の部屋のベッドから起き上がり、カーテンを開けた。

 

外の景色は、戦争でもあったかのようにボロボロになった街並みと広大な海が奈々の目に映った。

 

 

 

 

 

今から50年前……

 

 

世界は、突如現れた謎の生物によって最大の危機に達していた。

 

 

その生物の名は「ヒュージ」。

 

 

ヒュージによって、世界中の街、国等が次々と壊滅に落ちていった。

 

対抗しようにも、ヒュージには現在の近代兵器でも効果が薄く、大きさや種類によっては通用しない。

 

あらゆる攻撃手段が封じられ、人類は破滅の危機を迎えようとしていた。

 

しかし人類は諦めずに、ヒュージに対抗できる武器を作ることが出来た。

 

 

 

それが、「CHARM(チャーム)」と呼ばれる、対ヒュージ用決戦兵器である。

 

 

そして…それを使える人間は…

 

マギと呼ばれる力を持つ少女…

 

 

 

 

その名を人達は…「リリィ」と呼んだ。

 

 

 

政府はヒュージに対抗できるリリィを育成するために、「ガーデン」と呼ばれる機関を世界各地に作り上げた。

 

リリィの出現により、ヒュージの脅威は静まりつつあり、今もヒュージとリリィの戦いは続いていた。

 

 

 

奈々が今いるこの場所もガーデンである。

 

 

私立百合ヶ丘女学院。

 

 

鎌倉地区で立てられた名門ガーデンである。

 

 

そして彼女はこのガーデンに通うリリィの一人。

 

 

パジャマを脱ぎ、黒一面に青と白のラインが付いた制服に着替え、夜の内に必要なものを入れた鞄を右手に持って部屋を後にした。

 

 

 

 

 

奈々は百合ヶ丘女学院の校門を通った。

 

周りには、奈々のとは違う黒い制服を着た生徒達が沢山歩いていた。

 

それもそのはず…奈々の着ている制服は百合ヶ丘女学院本来の制服ではない。

 

前の下北沢の遠征での活躍が評価され、学園側から専用の制服を用意してくれた物なのだ。

 

しかし…

 

 

奈々「流石に目立つか…これは」

 

 

奈々の着ている制服が他の生徒の制服と異なるせいか、皆に見られまくっているのだ。

 

更に奈々の活躍は、他の生徒達の耳に入り、今も噂が絶えなかった。

 

 

奈々の活躍に関する内容はとある新聞にも載っていた。

 

 

奈々はみんなが集まっている校内の掲示板に付いた新聞を見た。

 

 

 

 

 

週刊リリィ新聞。

 

出版者は二川二水と載ってあった。

 

 

内容も…

 

 

「一柳隊、下北沢で大活躍!」。

 

「流星のヴァルキリー、木葉奈々!」。

 

「2体同時ノインヴェルト戦術で勝利!」

 

などてある。

 

 

特に奈々に関係する内容。

 

これはギガント級を相手にする奈々が使用した二本のCHARMも掲載されていた。

 

 

 

奈々「流星のヴァルキリー…凄い二つ名が付いたな…でもなんかかっこいい」

 

 

 

奈々もこの二つ名が気に入った様子。

 

そして一番の見所が…その二本を合体させた武器。

 

 

 

 

合体剣「カナリア」である。

 

 

 

威力は非常に高く、ラージ級のヒュージなら一撃で倒せる程強力な物なのだ。

 

その反面、一般のリリィのマギが空になる程の消費量と、体に掛かる負担をあわせ持つ。

 

ノインヴェルト戦術同様、諸刃の刃でもあり、そこらのリリィでは扱えない代物となっている。

 

ある人曰く、ピーキーである。

 

 

この内容を見て、殆どの生徒は、CHARMが強いのではなく、奈々自身が強いという印象が定着された。

 

流石にそんなピーキーなCHARMを使いたいリリィなんていないのだから。

 

 

奈々(時には役に立つね。この新聞)

 

 

今回の新聞が来る前は、意見が別れるほどの噂で、学院中に拡がっていた。

 

 

奈々の強さを評価したり…

 

CHARMがすごいからと奈々を批判したりと…

 

それらが、今回の新聞で終焉した…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

と、思いきや……!

 

 

 

 

「奈々さん、もしよかったら私達のレギオンに入ってくださる?」

奈々「遠慮します」

 

 

焦げ茶色の長い髪をゴムで結んでる3年生の少女が奈々を勧誘してきた。

 

 

 

 

 

百合ヶ丘女学院 3年生 ブリュンヒルデライン主将 出江史房(いずえ しのぶ)

 

 

 

 

 

 

「あなたの力なら私達のレギオンで発揮できる筈よ!」

奈々「それは私が決めるよ」

 

 

今度は明るく黄色いロングの少女が奈々を誘ってきた。

 

 

 

 

百合ヶ丘女学院 1年生 ローエングリン主将 立原紗癒(たちはら さゆ)

 

 

 

 

 

「貴女でよければ、何時でも私達のレギオンに入っても…」

奈々「汐里(しおり)ちゃんに言いつけますよ」

「じょ、冗談よ」

 

 

青髪の2年生少女が奈々をレギオンに誘おうとするが、奈々は相手の弱みを握って対処する。

 

 

 

 

百合ヶ丘女学院 2年生 レギンレイヴ 谷口聖(たにぐち ひじり)

 

 

百合ヶ丘の恋人と呼ばれていたりする。

 

 

奈々が適当にあしらってると、廊下から他のレギオンのリリィがやって来た。

 

奈々を勧誘する為に来たのだろう。

 

 

 

 

 

奈々「鬱陶しいな…」

 

 

 

奈々は高速移動でその場を去った。

 

 

 

各リリィには、「サブスキル」「レアスキル」と呼ばれる特殊な力を持っており、特にレアスキルはヒュージとの戦いでは非常に重要となる。

 

 

 

高速移動が可能な縮地。

 

マギのバリアを張るヘリオスフィア。

 

全体の攻撃力を上げるレジスタ。

 

 

 

特に奈々がさっき使ったレアスキルはマスカレイド。

 

 

所有するサブスキルを一時的にレアスキル化させる強力な能力である。

 

奈々が所有するサブスキルも5つと多く、マスカレイドの使用する幅も多い。

 

このスキルに関しては一部のガーデンで暴露され、今や奈々は有名になっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

勧誘から逃げてきた奈々は、椿組と書かれた札の教室に入った。

 

 

「おはよう奈々ちゃん」

奈々「おはよう」

 

 

桃色の髪の少女が奈々に声を掛けてきた。

 

 

 

 

百合ヶ丘女学院 1年生 一柳隊 隊長 一柳梨璃(ひとつやなぎ りり)

 

 

 

 

 

「すっかり有名人ですわね、奈々さん」

奈々「好きでこうなった訳じゃないよ」

 

 

 

栗色のウェーブのかかったロングの少女が奈々に声を掛けた。

 

 

 

百合ヶ丘女学院 1年生 一柳隊 楓・J・ヌーベル(かえで・じょあん・ぬーべる)

 

 

 

「すみません、最近奈々さんに関する内容か好評だったのですが、ここまで広がるとは思わなかったので…」

奈々「あのね…」

 

 

小柄の茶色のショートヘヤーの少女が謝る。

 

 

 

 

 

百合ヶ丘女学院 1年生 一柳隊 二川二水(ふたがわ ふみ)

 

 

 

 

「今も奈々を勧誘する人がいるからね」

奈々「返って鬱陶しいよ」

 

 

左片方が長いもみあげとシュシュを付けた後ろ髪を前に下ろした黒髪の静かな少女が奈々に話す。

 

 

 

 

 

百合ヶ丘女学院 1年生 一柳隊 王雨嘉(わん ゆーじあ)

 

 

 

 

「その内なれると思いますが…」

奈々「だといいけど…」

 

 

ライトブラウンのロングヘヤーの少女も奈々に話す。

 

ちなみに左目が赤茶色で、右目は髪と同じ茶色のオッドアイになっており、後ろ髪の一部は黒のリボンで結んでテールにしている。

 

 

 

 

 

 

百合ヶ丘女学院 1年生 一柳隊 郭神琳(くぉ しぇんりん)

 

 

 

 

「それで、今日はどうするんだ?」

奈々「そうだね…全然考えてないな…」

 

 

金髪のポニーテールのクールな少女が奈々に今日は何をするか聞いてきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

百合ヶ丘女学院 1年生 一柳隊 安藤鶴紗(あんどう たづさ)

 

 

 

 

奈々「……なんか梨璃ちゃん、良いことあった?顔に出てるけど」

梨璃「えっ?分かる?」

 

 

奈々は梨璃の表情が笑顔になってたのが分かった。

 

 

奈々「転入生でしょ?あの子の」

梨璃「うん!」

楓「私は梨璃さんとの触れ合いの機会が減っていくのがショックですわ」

奈々「スキンシップと見せかけて梨璃ちゃんのお尻を触る機会が?」

楓「誤解を招く言い分はやめてくださらない!?」

二水「みなさん、先生が来ました」

 

 

二水から先生が来たことを聞き、皆は席に座った。

 

 

 

そしてドアが開き、教師を思わせる黒いスーツを着た黒のショートヘアーの女性が入ってきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

百合ヶ丘女学院 椿組 教師 如月出雲(きさらぎ いずも)

 

 

 

 

出雲「ホームルームを始めるぞ」

 

 

そう言って出雲は教台の後ろに立つ。

 

 

出雲「さて今日は、唐突だがこの椿組に転入する生徒を連れてきた。癖のある子だが、仲良くやってほしい。では入れ」

 

 

出雲の声を聞き、ドアから転入生が入ってきた。

 

 

入ってきた子は、2つに分けた髪を三つ編みを前に下ろした薄紫の髪の少女だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

百合ヶ丘女学院 1年生 一柳隊 一柳結梨(ひとつやなぎ ゆり)

 

 

 

結梨「一柳結梨です。今日からこの椿組に転入する事になりました。よ…よろしくお願いします」

 

 

ちょっと切れの悪いしゃべり方で自己紹介する結梨。

 

それでも生徒達は、拍手して結梨を歓迎した。

 

 

 

 

彼女…一柳結梨は最初、鎌倉の浜辺で眠っていた。

 

 

海岸に流れ着いた、マギを失い崩壊したヒュージだった物体の近くで、梨璃が発見した繭の中に眠っていた彼女は、梨璃の持つマギに反応して目覚めた。

 

 

そんな彼女を治療室で看病をしたところ、梨璃が付けてたリングが反応し、彼女がリリィである事が分かった。

 

更に真島百由の検査の結果…スキラー数値は50と出た。

 

これは一柳梨璃が入学した時の数値と一緒の物だった。

 

彼女は何も覚えていない所、記憶喪失だと推測するが…

 

奈々と出雲は違っていた…

 

 

二人は、彼女のいくつかの謎を抱えた。

 

 

一つ目は、彼女は記憶喪失ではなく、始めから記憶がない事。

 

救出した時は喋ることが出来なかった。

 

梨璃が彼女を世話する際、本等を読ませてた事なのか、彼女も少しずつ喋れるようになっていた。

 

恐らく、これは彼女が梨璃の本の内容を覚えた影響だという推測である。

 

 

 

二つ目は、マギの波長が梨璃と同じである事。

 

マギの波長はリリィ毎に異なるが、波長が同じという前例は今まで無かった。

 

奈々は繭を見つけた時、中にいる少女からマギを感じなかったが、梨璃が繭にグングニルを触れさせた瞬間、彼女自身から梨璃と同じマギがあふれでてきたのだ。

 

恐らく、梨璃のマギを受けた影響で同じ波長になったのだろうか…

 

 

現時点で二人が考え付いた答えが、彼女は普通の人間では無い事。

 

優秀な記憶能力と同じ波長。

 

それが何なのかはまだ分からないが、現時点で彼女に危険はない事だけは分かっていた。

 

梨璃になついていた彼女は退院後、一柳隊のリリィとして登録され、一柳結梨という名も梨璃が付けた。

 

そして現在に至る。

 

 

出雲「退院したばかりの彼女は遅れぎみだ。知らない所をクラス同士で教えてやれ」

「「「「「「「はい!」」」」」」」

 

 

クラス全員がいい返事をした。

 

 

そんな中、奈々は結梨を見てある心配をした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

結梨を作った者がどう行動するかである。

 

 

恐らく結梨を作ったのはGEHENA(ゲヘナ)という名の組織だろう。

 

あの組織は、リリィに薬を投与して足りない能力を強化する非人道的な人体実験で生み出した強化人間…ブーステットリリィを生み出している。

 

その過程には、実験の為なら孤立した他のリリィに人工ヒュージを襲わせて、瀕死に負わせたのち、捕獲するという裏工作があった。

 

前の下北沢の遠征でも、GEHENAはそこにいたリリィ達のデータを収集してる。

 

組織の技術力と集めたリリィ達のデータがあれば、結梨のような人間を作るのは可能だろう。

 

その結梨がGEHENAの作ったものなら、手放すはずが無い。

 

あらゆる手段を使って結梨を取り返す事だろう。

 

 

しかし学院も黙ってはいない。

 

ここ、私立百合ヶ丘女学院は、反GEHENA主義のガーデンでもあり、GEHENA関連のCHARMや、GEHENAがリリィに接触することを、学院側では禁じている。

 

また、百合ヶ丘の特務レギオン…ロスヴァイゼにはブーステットリリィの救出等を担当させている。

 

ちなみに同じ反GEHENA派の御台場女学校や聖メルクリウスとは友好関係にあり、逆に親GEHENA主義のシエルリント女学薗とは仲が悪い。

 

しかし中等部時代に通っていた神楽月涼はGEHENA関連の事に触れていない。

 

彼女の作るCHARMにはシエルリントの技術を取り入れるのではなく、参考程度にして自身の技術で作った物となっている。

 

学院側も、彼女の作ったCHARMを高く評価している。

 

それだけこの学院はGEHENAに対する警戒を常に強めているのだ。

 

少し前に、政府が学院に結梨の引き渡しを要求してきたが、上手く追い払った。

 

これもGEHENAが仕組んだ事だと、出雲と奈々は推測した。

 

今後GEHENAがどう動くかによっては、奈々と出雲も仕掛ける気であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時間が過ぎ…午後のホームルームが終わると、奈々、梨璃、二水、楓、雨嘉、神琳、鶴紗、結梨は一柳隊の控室へ向かっていった。

 

今日は結梨を一柳隊の控室に招待するそうだ。

 

 

奈々「後1週間で戦技競技会か…」

梨璃「戦技競技会?」

奈々「梨璃ちゃん達は初めてだったね。戦技競技会って言うのは百合ヶ丘で毎年行われる、リリィとしての能力を競い合うイベントなんだ。私は2年間、ブルーガードにいたから中等部の頃は参加してないんだ」

 

 

奈々にとって、戦技競技会は高等部として初参加となる。

 

 

神琳「高等部なのは私も初めてね。だけど、きっと楽しめると思うわ」

梨璃「へぇ〜。運動会みたいなものかな?」

奈々「そういう認識でいいよ」

雨嘉「百合ヶ丘の競技会って、何をするの?」

神琳「表向きは、日頃の切磋琢磨の成果を披露する場。と言う事ですけどね」

二水「戦技競技会では、クラス部門、レギオン部門、個人部門等の成績を競い合って、最後に選ばれる最優秀リリィには、素敵なご褒美があるそうですよ?」

梨璃「ご褒美!?」

 

 

ご褒美に反応する梨璃。

 

 

二水「今年は、工廠科全面協力の元、CHARMに高級オプション付け放題だそうです!」

奈々「高級オプションか…太っ腹だな」

楓「それは残念。私のジョワユーズに足せる物などございませんわ〜」

奈々「そりゃあグランギニョル製は高級仕様だからね」

「ワシ等工廠科を甘く見るでないぞ!」

 

 

後ろから声がした。

 

振り向くと、学園の上着の代わりにケーブを着た灰色のツインテールの少女がいた。

 

 

 

 

 

 

 

百合ヶ丘女学院 1年生 一柳隊 ミリアム・ヒルデガルド・v・グロピウス(みりあむ・ひるでがるど・ふぉん・ぐろぴうす)

 

 

 

 

 

奈々「お、ミリアムちゃんいつの間に!」

ミリアム「工厰科にかかればどんな魔改造もお手の物じゃ!」

奈々「ということは、強度の強化も!」

ミリアム「もちろん、ご希望通りのCHARMに仕立ててやるぞ!」

 

 

見えを張るミリアム。

 

 

 

ミリアム「と、言ったものの、奈々のはすまんが、ちょっと難しいのう」

奈々「そうか…まあ私のは特殊だからね。気にしないでいいよ」

「へぇ〜。いい事聞いちゃった。電磁式シンクロナイザーとかヘンダットサイトとか予約しとこ〜っと」

 

 

と、そこへ緑髪のロングの少女がミリアムの話を聞き、やって来た。

 

 

 

 

 

 

百合ヶ丘女学院 1年生 アールヴヘイム 田中壱(たなか いち)

 

 

 

 

「ん?壱も狙ってるの?奇遇だわね」

 

 

小悪魔っぽい桃色のロングの少女もやって来た。

 

 

 

 

 

 

 

 

百合ヶ丘女学院 1年生 アールヴヘイム 遠藤亜羅椰(えんどう あらや)

 

 

 

 

 

「ダメだよ。最優秀リリィは天葉様の物だよ」

 

 

 

灰色の長い髪の少女もついでにやって来た。

 

 

 

 

 

 

百合ヶ丘女学院 1年生 アールヴヘイム 江川樟美(えがわ くすみ)

 

 

 

奈々「いっちゃん、亜羅椰ちゃん、樟美ちゃんも!」

鶴紗「出たなアールヴヘイム」

壱「奈々、今回は私達も新しいCHARMで勝負するわ!」

 

 

と、3人は新しいCHARMを奈々達に見せた。

 

 

 

 

壱「このCHARMの名はアロンダイト。ルナティックトランサーや狂乱の闇向けの武器よ!」

 

 

 

壱のアロンダイトは2本の細い刃が付いたシャープな形状の武器になっている。

 

 

 

亜羅椰「私のはマルミアドワーズ。私のレアスキル、フェイズトランセンデンスを支援する機体よ!」

 

 

 

亜羅椰のマルミアドワーズはダインスレイフのような大剣の形状をしている。

 

 

 

樟美「そしてこの子は白雪。涼ちゃんが私に合わせて作ったCHARMよ」

 

 

 

楠美の白雪は、涼が作った物にしては珍しい白と水色の太刀に刃の付いた拳銃がくっついたCHARMとなっていた。

 

 

3人が見せたCHARMに皆は驚く。

 

 

 

奈々「おお、新CHARMじゃん!って、涼ちゃんが作ったのそれ?」

楠美「レーヴァテインとイペタムを使いたかったけど、調整中で使えないから…」

壱「涼からテスト機を貰ったのよ」

亜羅椰「このまま黙っている私じゃないわ。今度の競技会で模擬戦の借りを返してあげるわ!」

樟美「だから…最優秀リリィは天葉お姉様が頂くんだから」

奈々「樟美ちゃん自身は最優秀を取る気ない?って言うか、私の事アウト・オブ・眼中ですかい?」

樟美「いいの。その為にも、奈々ちゃんに最優秀リリィの座は渡さない…!」

 

 

楠美の表情には、やる気が出ていた。

 

 

 

奈々「別の意味でヤル気出してる!?」

ミリアム「もう勝ったつもりか?前にお主等のやり損なったヒュージをワシ等と奈々が仕留めた事があったがの。初の遠征でも強敵とやりあったがの」

樟美「アールヴヘイムも、このあと遠征に向かったの忘れたの?」

 

 

実は一柳隊が帰還してから3日後、アールヴヘイムも遠征でギガント級を2体倒していたのだ。

 

 

奈々「まあ私達が帰ってくる途中でCHARM直ってたし。次の日、入れ替わりで出動したからね」

壱「そういうことよ。実戦の借りは実戦で返すわよ」

亜羅椰「まぁ、そこ等辺のちんちくりんには負けるつもりはないけど?」

ミリアム「何じゃと!?」

 

 

ちんちくりんという言葉にカチンと来たミリアム。

 

 

 

壱「まぁ、精々頑張って〜」

亜羅椰「顔を洗って待っていなさいよ!」

樟美「競技会、楽しみに待ってます」

 

 

 

そう言ってアールヴヘイムの3人は去っていった。

 

 

 

ミリアム「ぐぬぬぬぬぬ…!!」

奈々「こりゃあ早いところ、丁度いいCHARMを見つけないといけないかな…」

梨璃「奈々ちゃん、まだCHARMは直らないの?」

奈々「うん。メテオメタルが来ないことには直しようがないってね」

結梨「メテオメタル?」

 

 

奈々が使っていたCHARM…カナベラルとブルメリアは、ブレード部分が破損していた。

 

ノインヴェルト戦術に何度も耐えられる程の強度を持つ金属…メタルスキンは、ブルーガードのリリィが持つCHARMに使われる強力な素材だが、マギの放出量が増加する合体剣カナリアの使用時に奈々はスペック以上のマギを放出してしまい、耐えきれなかったのだ。

 

今後フルパワーに耐えられるようにするためはそれ以上の強度を持った金属が必要になる。

 

そこで奈々が思い付いたのが、メテオメタルと呼ばれる、メタルスキン以上の強度を持つ金属である。

  

だがそれは普通の金属とは全く異なり、その名の通り、隕石の中に含まれる特殊な金属で、ごく少数しか手に入らない。

 

少し前にとある一人の科学者は、この金属を隕石に含まれる別の物質と他の金属を合成することでほぼ同じ物を再現した。

 

そしてその科学者は、アーセナルの一人にその製法を教え、この世から去っていった。

 

 

今やメテオメタルの入手は困難となり、どこの専門業者にも出回っていない代物となっていた。

 

メテオメタルの製法を知ってるアーセナルの行方も、今では誰も知らない。

 

 

現在カナベラルとブルメリアは修理の目処が立っておらず、今も工廠科の方で保管されている。

 

遠征で頻繁に参加する奈々にとっては、代わりのCHARMが必要になってくる。

 

 

これがもう一つの問題、奈々の代わりのCHARMの件である。

 

 

実は今のところ、どれも奈々に合うCHARMが無いのだ。

 

奈々のマギの高さとリリィとしての高い能力も、並のCHARMでは限界があり、その全力を発揮出来ないのだ。

 

使いやすさと低コストのグングニル、アステリオンでは奈々が全力で込める大量のマギに耐えられず、壊れてしまう。

 

逆に高コストのブリューナグ、ダインスレイフ、ティルフィングだと数分程度なら耐えられるものの、学院で全てのCHARMに標準装備されているクリスタルコアではマギの貯蔵量が不十分で、全力を出せない為使い勝手が悪い。

 

ユグドラシル社、ヒヒイロカネ社、ケルティックデール社以外のCHARMも検証したが、今一つで、奈々に合うものは見つからなかった。

 

更なる案として、楓がグランギニョル製のCHARMを希望するが…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

却下された。

 

 

 

 

 

楓「何故グランギニョル製のCHARMにしなかったのですか?よりにもよって涼さんのCHARMを使うなんて…」

奈々「グランギニョル製は性能がいいんだけど、強度重視な物が無いんだよ。それにこの中で頑丈で使いやすいCHARMと言ったらこれしか無かったの」

 

 

グランギニョル製のCHARMはデザインと高性能かつ高価格な物がメインな為、強度を重視したCHARMが無いのだ。

 

現在奈々が遠征に使ってるのは、涼の作った量産機の虎鉄である。

 

飛び道具こそないが、サイズが小さく、グングニルを凌ぐ攻撃性能と、ブリューナグ並の高い強度を持っている。

 

しかし量産機な為、虎鉄に搭載されているクリスタルコアの保有量はアステリオンと同じである。

 

流石に奈々の高い放出量のマギを込めることは難しく、十分な威力が出せない。

 

他の量産機よりは良いが、奈々にとってはまだ物足りない。

 

 

 

ここでミリアムはあることを思い出した。

 

 

ミリアム「そう言えば奈々、百由様に工厰科に来るよう呼ばれておるぞ」

奈々「工廠科に?」

楓「また何かしでかしたのでは?」

奈々「失敬な。とりあえず行ってみるか。皆、また後で」

梨璃「うん」

 

 

 

 

 

 

梨璃達と別れ、奈々はエレベーターで地下に行き、工厰科の部屋のドアの前まで来た。

 

 

 

 

奈々「百由さん、来ました。入りますね」

 

 

 

そう言って奈々は工厰科の部屋の中へと入った。

 

 

 

「あら、待ってたわ」

 

 

 

髪飾りを着け、眼鏡をかけた青髪の少女が奈々を待っていた。

 

 

 

 

 

 

 

百合ヶ丘女学院 1年生 真島百由(ましま もゆ)

 

 

 

そしてもう一人…

 

 

 

 

 

 

 

 

「来たよ。木葉さん」

 

 

茶色のセミロングの少女奈々に声をかけた。

 

 

 

奈々はその子に覚えがあった。

 

 

 

 

奈々「あ、綾瀬(あやせ)ちゃん!?」

綾瀬「やあ、久しぶり。今日からこのガーデンに入学してきたよ」

 

 

 

 

 

 

百合ヶ丘女学院 1年生 塔ノ木綾瀬(とうのき あやせ)

 

 

 

百由「まさか奈々さんの知り合いだったなんて驚いたわ」

綾瀬「同じブルーガード所属ですからね」

奈々「でもどうして綾瀬ちゃんが百合ヶ丘に?ブルーガードの方は大丈夫なの?」

綾瀬「代役のタンクがようやく実践で使えるようになったし、新しく入ったアーセナルも中々優秀だしね。私が抜けた穴はしっかり埋まってるよ。それに百合ヶ丘女学院は私も興味あるし。奈々がいると退屈しないからね」

奈々「引っ掛かるいい方だけど…まぁいいや。ところで綾瀬ちゃん、ここに来たのはそれだけじゃないでしょ?」

綾瀬「察しがいいね。もしもの時に作った奈々用に調整したCHARMを持ってきたんだ」

 

 

 

 

 

と言って綾瀬は大きなトランクを奈々の前のテーブルに置き、中を開けた。

 

 

 

 

 

 

中には、マギクリスタルが埋め込まれた白い片刃の剣が二本入っていた。

 

鍔の部分は、白い羽を彩った飾りが施されている。

 

 

 

奈々「おっ、私好みの剣!」

百由「綾瀬さんが作ったの?かなりの完成度ね…これは…」

 

 

百由は綾瀬の作ったCHARMを大きく評価していた。

 

 

綾瀬「ユニークCHARM、ツインフェザー…フラガラッハ、トリグラフの特徴を積み込んでるからね。当然だけど、円環の御手が無くても二本で使えるよこれは。後、メタルスキン製だから頑丈に出来てから奈々の戦い方にほぼ対応出来るよ」

 

 

綾瀬はツインフェザーを奈々に渡した。

 

 

奈々「ほぼって?」

綾瀬「カナベラルよりシンプルに作ってる事だよ。その為威力不足が目立つけどね。まあブリューナグ、ティルフィングに毛が生えた程度の性能だけどね」

百由「そのCHARM、飛び道具は付いてるの?」

綾瀬「付いてませんよ。奈々に飛び道具は必要ありませんし…でしょ?奈々」

 

 

ツインフェザーの総合的な強さは、虎鉄を凌駕している。

 

マギクリスタルの保有値、威力もカナベラルのピーキースペックから脱却した性能に収まってる。

 

この武器でグングニル等の量産機を相手にしても、壊す心配はない。

 

奈々には納得のいく性能であった。

 

 

 

奈々「うん、これで十分だよ。しばらくの間はこれで行けるよ」

 

 

奈々はツインフェザーに自信のマギを流し込ませ、契約を終わらせた。

 

 

百由「変形は?」

綾瀬「奈々のマギは特殊で、他のCHARMだと消耗が早く、変形に使ってる部品が破損してしまう事があるんです。だから奈々に使うCHARMには、マギに耐えられるようシンプルかつ強度を重視してるんです。変形構造を省いてるのもその理由ですから」

百由「なるほどね。機能性より武器としての性能を重視したCHARMか。まるで第一世代のCHARMね」

奈々「ブルーガードにいた他のリリィ達のCHARMは、元の第2・第3世代のCHARMを改造したものを使ってますが、こちらも変形機能はオミットされてるんです」

綾瀬「あと奈々、ちなみにそのCHARMは今後、君専用のユニークCHARMを作るために必要な戦闘データを収集する小型コンピュータが内蔵されているから。君の頑張り次第ではカナベラル、ブルメリアを凌ぐCHARMが出来ると思うよ」

百由「あのピーキーなCHARMよりもすごい物を?」

綾瀬「実は前から作りたかった物がありましてね。イメージはある程度固まっているんですよ」

 

 

綾瀬が作る奈々専用の新CHARMに期待が膨らむ奈々。

 

 

 

奈々「いつも通りデータ収集は任せてよ。綾瀬ちゃんにはいつも助かってるしね。それでカナベラルとブルメリアの方はどう?」

綾瀬「メテオメタルの方は材料が来ないとどうしようもないね」

 

 

綾瀬はアーセナルの中で、メテオメタルの製法を知っている一人である。

 

 

百由「所で、修理はどのくらいかかるの?」

綾瀬「材料の合成、各部品の製作に約2週間ですね」

百由「そんなに?」

綾瀬「メテオメタルは手間がかかる素材なのでかなりの時間がかかります」

奈々「まあそれなら仕方ないか。綾瀬ちゃんありがとう」

 

 

奈々は綾瀬にお礼を言った後、ツインフェザー専用のホルダー付きベルトを貰い、それを腰に巻き、ツインフェザーをホルダーに納めた。

 

 

 

綾瀬「うん、中々似合ってるよ」

奈々「これはこれでいいかも。さて、そろそろ戻らないと…」

 

 

そして奈々は工厰科から出ようとするが…

 

 

 

百由「待って奈々さん、そのCHARMを試したいなら、後で訓練場に来てもらえる?」

 

 

百由が奈々を止め、後で訓練場に来るよう頼む。

 

 

奈々「何かやるんですか?」

百由「私もそのCHARMの性能を見てみたいからね。丁度いい模擬ヒュージを用意しておくわ」

奈々「それなら、一柳隊の皆も誘っていいですか?」

百由「いいわよ。ギャラリーは多い方が盛り上がるしね」

奈々「わかりました。ではまた後で…」

 

 

奈々は工厰科から出た。

 

そして、入れ違いにボーイッシュな青のショートヘアーの少女がやって来た。

 

制服は下半身だけ、膝が隠れる程度の長さのズボンをはいている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

百合ヶ丘女学院 1年生 神楽月涼(かぐらづき りょう)

 

 

 

 

涼「やあ綾瀬、早速工厰科に来たか」

綾瀬「ここの設備は充実してるから早く来たよ」

百由「涼さん、前の遠征で収集したデータをまとめておいたから、理事長に渡してもらえるかな?」

 

 

そう言って百由は涼に何十枚程の紙を渡す。

 

前に遠征に行った東京下北沢で起きたヒュージとの戦いをまとめた資料である。

 

 

涼「百由さんが直接行かなくていいんですか?」

百由「別の用事が出来ちゃったのよ。だから代わりにお願い」

涼「別に構いませんが…用事とは?」

百由「この子の作った新しいCHARMよ」

 

 

百由は綾瀬の方に指を指す。

 

 

涼「…………ああ、なるほど」

 

 

涼は気付き、納得した。

 

 

綾瀬「涼、君の作ったCHARM見せてもらったよ。一般の素材で作ってこれだけの強度を出せるなんて、すごいね」

涼「僕も、君の個性的なCHARMにはびっくりしたよ」

百由「これは私もうかうかしてられないわね…」

 

 

実は綾瀬は、入学のついでに自作した量産型CHARMを持ってきていたのだ。

 

お披露目は1週間後の戦技競技会で行うのだが、先に涼は綾瀬のCHARMを見ていたのだ。

 

百由とミリアムも、当然見ている。

 

 

綾瀬「百由様のグングニル・カービンとダインスレイフ・カービンも結構な出来だと思いますけど?」

百由「あれは元々ルドビコ女学院からの要望で作ったCHARMなんだけど…そう言われると嬉しいわね」

涼「あのサイズで機能をコンパクトにまとめられるのは僕でも難しいですよ」

綾瀬「今後、参考にしてもらいますよ」

百由「こちらこそね」

 

 

アーセナルとして仲がよくなった3人だった。

 

 

 

 

 

 

 

一方奈々は、一柳隊の皆に新CHARMの性能テストをやることを伝え、1時間後…一足先に訓練場にやって来た。

 

 

既に訓練場のあちこちには、、ミドル級に相当する8体の模擬ヒュージが配置されていた。

 

 

奈々「流石百由さん、用意がはやいはやい…」

 

 

 

更に観客席に生徒達が続々と集まってきた。

 

 

奈々「………予想はしてたけど…多くなりそう」

 

 

先程百由が全生徒に放送で訓練場に来るよう伝えたようだ。

 

 

その中には、一柳隊一同の姿も…

 

 

 

 

 

「奈々の新CHARMの披露って百由が言ってたけど…」

 

 

青みがかかった黒のロングの少女が言う。

 

 

 

 

 

 

 

 

百合ヶ丘女学院 2年生 一柳隊 白井夢結(しらい ゆゆ)

 

 

「何でもそれ、転入してきた奈々の友達が作ったCHARMらしいゾ」

 

 

 

ライトグリーンのショートの少女が夢結に詳しく言う。

 

 

 

 

 

 

 

百合ヶ丘女学院 2年生 一柳隊 吉村・Thi・梅(よしむら てぃ まい)

 

 

 

二水「手に入れた情報によりますと、塔ノ木綾瀬さんは奈々さんが使っていたカナベラルとブルメリアを作ったすご腕のアーセナルと言われています」

ミリアム「あやつのCHARMも、かなりの代物だったな。防御に適したCHARMと言っておきながら攻撃も充実しとる」

 

 

綾瀬のCHARMは大盾の機体、イージス。

 

殆どのCHARMが武器なのに対し、こちらは防御系のCHARMである、綾瀬が作った機体である。

 

自身のマギを防御に変換し、強力なバリアを張ることで、殆どのヒュージが放つビーム等の熱系の攻撃を受け止められる事が出来る。

 

また、イージスの形状は先端が鋭く尖っており、接近するヒュージを突いて攻撃する事が出来る他、ブリューナグと同じバスターキャノンがイージスの中心部に内蔵されており、攻撃面も中々優秀である。

 

 

 

梨璃「綾瀬さんって、ブルーガードのリリィ達にもCHARMを作っていたんですか?」

ミリアム「そのようじゃ。他社からのCHARMを改造したり、ユニークCHARMを作ったりと、ブルーガードのCHARMは彼女が引き受けていたらしいからの」

結梨「……すごいの?」

神琳「そう言えば、ブルーガードにはグランギニョルが用意した実験機、ラビアンローズを出していましたね」

雨嘉「ラビアンローズ?」

二水「楓さんのジョワユーズの姉妹機として開発された事があったという噂があったCHARMです。外見はほぼ一緒ですが、内部に高粒子砲を内蔵された攻撃に特化した機体です」

楓「ですがブルーガードからの要望で、完成したラビアンローズは作り直すことになりましたわ…」

 

 

ラビアンローズの話で楓は不機嫌になった。

 

 

楓「折角作った完成度の高いCHARMなのに何故、変形機能を無くして強度を重視したスペックにするよう頼むなんて、ブルーガードの考えはわかりませんわ…」

ミリアム「長期の戦闘を想定して、ブルーガードのCHARMはどれも強度を重視して作ってるようじゃ」

梅「お、アールヴヘイムの皆も来たゾ」

 

 

 

梅がアールヴヘイムのリリィ達が観客席に向かう姿を確認し、皆に言った。

 

 

そんな中、金髪のショートの少女がこっちに来た。

 

 

 

 

 

 

百合ヶ丘女学院 2年生 アールヴヘイム

主将 天野天葉(あまの そらは)

 

 

天葉「ねぇ、衣奈見なかった?」

夢結「いいえ、見なかったわ。何かあったの?」

天葉「午後から用事があるって言って会ってないのよ。後、弥宙、月詩、辰姫もいないのよ。何処に言ったんだろう?」

二水「そう言えば、午後のホームルームの後、汐里さんも何処かへ行きました」

ミリアム「まさか…」

 

 

ミリアムは午後にいなくなった5人が何処に行ったのか見当がついた。

 

 

鶴紗「知ってるのか?」

ミリアム「恐らくそれは百由様の…」

 

 

ミリアムがその続きを言おうとした瞬間、ブザーの音が訓練場全体に響いた。

 

 

夢結「始まったわね」

 

 

訓練場のステージ内で準備運動をしている奈々もブザーに気付き、腰に着けてるツインフェザーをホルダーから抜き取って構えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「レディース・アーンド・ジェントルマン!これより、木葉奈々の新CHARMによるエキシビションイベントを開催したいと思います!実況は私、百合ヶ丘1年の高野亜理奈(たかの ありな)がお送りしますよー!」

 

 

スピーカーからハイテンションに喋る少女の声が響いた。

 

 

奈々「亜理奈ちゃん…相変わらずのハイテンション…」

 

 

奈々は亜理奈と名乗った少女の声を聞いて飽きれ顔になっていた。

 

 

亜理奈「さて、彼女の周囲に配置された模擬ヒュージ。こちらは今回の為に百由様が用意した新型!三日月をモチーフにした姿で、サイズはミドル級!強さは折り紙付きです!しかし!流星のヴァルキリー、木葉奈々も今回は違います!彼女が腰に着けてるのは、出来上がったばかりの新CHARMなのです!果たしてその性能は?そして木葉奈々はこのミドル級達を倒すことが出来るのか!?刮目してください!」

奈々「もう新CHARMの情報を入手してるなんて…」

亜理奈「さて、私も喋りすぎたのでそろそろ始めたいと思います。模擬ヒュージ達が動いた瞬間、開始の合図をします!」

 

 

いよいよ始まる事を亜理奈は皆に伝え、奈々は周囲を確認しながら気を引き締める。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

すると、模擬ヒュージ達が一斉に動きだし、宙へ浮かんだ。

 

 

そして全ての模擬ヒュージ達が浮かぶと、同時に試合開始のブザーが鳴った。

 

 

奈々「やるか、ツインフェザー!」

 

 

奈々はまず前に走り、前の模擬ヒュージを右手のCHARMで切り落とした。

 

 

奈々「確かに威力はカナベラルより劣るものの、結構強いじゃん!」

 

 

第一世代を連想させ、シンプルに作られたこのツインフェザーは、奈々のマギに適合しており、カナベラル程ではないが、高い威力を出せる。

 

 

ミリアム「あのCHARMも二刀流が出来るのか」

夢結「二本もあるところ、そうなるわね」

 

 

 

 

奈々は次に左右の模擬ヒュージを狙うが、ここは右の敵に突っ込み、右手のツインフェザーで切り落とした。

 

 

そして反対側の模擬ヒュージに向けて、左手に持ったツインフェザーを投てきした。

 

投げられたツインフェザーは反対側の模擬ヒュージの体を貫き、爆発した。

 

 

そこから奈々は反時計回りに走り、右手のツインフェザーで切って、切って、斬りまくり、次々と模擬ヒュージを4体も倒す。

 

最後の1体の模擬ヒュージが奈々に襲いかかるが、その後ろから先程投げたツインフェザーが模擬ヒュージの体を貫き、奈々の左手に戻ってきた。

 

 

梨璃「投げたCHARMが戻ってきた!?」

ミリアム「フラガラッハの機能、遠隔操作を取り入れるようじゃの」

夢結「それに二刀流で戦ってるところ、トリグラフの特性も兼ねているわ」

神琳「奈々さんの戦いにマッチしてますわね」

楓「奈々さんにはお似合いのCHARMですわね」 鶴紗「嫉妬してるのか?」

楓「別に…」

 

 

最後の1体が爆発し、試合終了のブザーが鳴り響いた。

 

 

 

 

亜理奈「お見事!積み重ねてきた経験で染み付いた戦いと新CHARMの性能…模擬ヒュージ達をあっさりと倒していきました!」

??「ああ…私が1週間掛けて作ったメカクレシエンテが~…」

 

 

百由の声がスピーカー越しに聞こえた。

 

 

奈々「百由さん…ほんとにあの人は…」

 

 

何をやってたんだと思うぐらいの百由の行動に呆れる奈々。

 

 

亜理奈「さて、流石に模擬ヒュージが相手では彼女の相手は務まらないでしょう。お次はこの方達が挑戦を申してきました。どうぞ!」

 

 

亜理奈が喋った後、奥の扉が開き、黒いローブをまとった者が3人か現れた。

 

 

奈々「?」

 

 

奈々の前に立つと、3人はローブを脱いだ。

 

 

 

奈々「な!?」

天葉「に!?」

 

 

天葉が奈々に似たリアクションを取った。

 

 

それもそのはず、ローブを脱いだその3人は…

 

 

アールヴヘイム所属のリリィだったのだから。

 

 

 

百合ヶ丘女学院 1年生 アールヴヘイム 高須賀月詩(たかすが つくし)

 

 

 

百合ヶ丘女学院 1年生 アールヴヘイム 金箱弥宙(かなばこ みそら)

 

 

 

百合ヶ丘女学院 1年生 アールヴヘイム 森辰姫(もり たつき)

 

 

 

弥宙「奈々さん、私達と勝負よ!」

 

 

灰色の長い髪を2つに分けた少女、弥宙がアステリオンをアックスモードにして右手に持っている。

 

 

 

月詩「本当は一対一で勝負したかったのですが、百由様から3人で戦うよう言われましたのよ」

 

 

 

焦げ茶色のロングの少女、月詩が右手にグングニル。左手に虎鉄を持って構えた。

 

 

 

月詩のレアスキルは円環の御手。

 

普通、リリィはCHARMを1つしか使えないが、このレアスキルは、CHARMを2本で扱えるようになり、CHARMの二刀流が可能となる。

 

ただし片方のCHARMの威力が落ちるため、二刀流での総合的な威力は実質1・5倍となる。

 

 

 

 

辰姫「もし負けても恨まないで下さいね!」

 

 

 

長い髪を髪止めして、左右を黒いリボンで止めた水色の髪の少女がティルフィングを構える。

 

 

 

奈々「………噛ませ犬臭が半端ないな」

 

 

 

一方観客席のアールヴヘイム組は…

 

 

亜羅椰「ちょっと、奈々を倒すのは私よ!」

天葉「しょうのない子達ね…」

壱「予想が見えてきたかも…」

楠美「私も…」

 

 

そして一柳隊組も…

 

 

梨璃「3対1!?」

結梨「大丈夫?」

楓「大したことありませんわね」

夢結「ええ。奈々の戦闘スキルは結構叩き上げられている」

鶴紗「辰姫さんはブーステットリリィだけど、奈々はそのスペックを越えているからな」

 

 

 

亜理奈「さあ、3対1の戦いに奈々さんはどうやり過ごすのか?試合開始です!」

 

 

 

そして試合開始のブザーが鳴り響いた。

 

 

 

弥宙「いざ!」

 

 

弥宙が最初に奈々に攻撃しようとするが、奈々はツインフェザーの刃を逆に持ち換え、弥宙を後ろへ払い飛ばした。

 

 

 

月詩「尋常に!」

 

 

 

次に月詩が来るが、既に刃を反対に持ち換えたもう片方のツインフェザーで弥宙と同じように後ろへ払い飛ばす。

 

 

辰姫「勝負!」

 

 

最後に向かってきた辰姫には、二本のツインフェザーを交差させ、そのまま真後ろの観客席まで飛ばした。

 

飛ばされた3人は、目を回して倒れていた。

 

 

開始5秒程で、試合終了のブザーが鳴った。

 

 

 

奈々「フラグ回収お疲れ様」

亜理奈「………面白味もなく、終わりました。レアスキルも使う必要がないぐらいに…流石にこのままではしまらないでしょう…」

奈々「まあ、そうだね」

亜理奈「ですが安心してください!これは悪魔で前座!次の挑戦者を紹介します!百合ヶ丘で一位二位を争うレギオン、レギンレイヴの副隊長の登場です!」

奈々「副隊長……って、まさか…!?」

 

 

 

奈々は先が読めた。

 

レギオン…レギンレイヴの副隊長…

 

奈々、梨璃達がいるクラス…椿組にいるあの子…

 

 

次に来る挑戦者はその子だと…!

 

 

そして扉からその挑戦者は現れた。

 

 

 

現れたのは、2つに別れた髪を三つ編みにした栗色の髪の少女だった。

 

 

 

 

 

 

 

百合ヶ丘女学院 1年生 レギンレイヴ 副隊長 六角汐里(ろっかく しおり)

 

 

 

奈々「し、汐里ちゃん!?」

汐里「こんな形で貴女と勝負することになりましたが…」

 

 

 

汐里は右手にティルフィング…左手に左右上部に刃が付いたメイス、シャルルマーニュを持って構えた。

 

 

 

 

汐里「改めて、貴女と勝負します。奈々さん!」

 

 

 

汐里はやる気であった。

 

 

彼女、六角汐里は家族と一緒の時にヒュージの群れに襲われ、大怪我を覆ってしまった過去があった。

 

汐里と一緒にいた家族も、帰らぬ人となってしまった。

 

汐里自身は、戦闘で負った傷とその後の復帰に向けたリハビリ中の事故で負った傷により、利き腕の感覚が失われてしまい、これからリリィとして戦う彼女自身には絶望的な状態だった。

 

しかし、友人から百合ヶ丘への復学を勧められ、リリィとして戦えるレベルまで回復した。

 

更には同じ円環の御手の使い手であるルドビコ女学院の福山・ジャンヌ・幸恵から戦い方を教わり、レギンレイヴの副将になるまでの実力と強さを身に付けた。

 

今や彼女の強さは、夢結と互角に渡り合えるほどである。

 

奈々にとって相応しい相手だろう。

 

 

 

奈々「ふふっ…いいよ。私も、汐里ちゃんと戦いたかったからね!」

 

 

奈々は汐里の勝負の申し出を呑み、2本のツインフェザーを構えた。

 

 

 

二水「こ、これは誰もが思っていた二刀流同士の夢の戦い…うぎょ!!?」

 

 

興奮して鼻血を出してしまう二水。

 

 

梨璃「うわっ!?」

楓「ちょ、ちびっ子1号ここで鼻血を撒き散らさないでくださる!?」

 

 

二水の鼻血に少し敏感な楓。

 

 

 

亜理奈「これはいい勝負が出来そうですよ!お互いトップクラスのリリィで、期待は十分です!それでは、木葉奈々対六角汐里の試合…開始です!」

 

 

 

亜理奈の合図で開始のブザーが鳴った。

 

 

 

両者、前進して互いのCHARMをぶつけて鍔迫り合いに入る。

 

そこから連撃を仕掛ける両者。

 

 

 

 

六角汐里の戦い方は当時、CHARMの扱いが荒っぽかったが、幸恵のアドバイスによって攻守のバランスが取れた戦い方に代わった。

 

右手のティルフィングで相手に攻撃しながら、左手のシャルルマーニュで連撃を仕掛ける。

 

これが今の六角汐里の基本の戦い方となっている。

 

 

 

汐里の二本のCHARMから繰り出す連続攻撃を、奈々は後退することもなく、一撃一撃を弾き返していく。

 

 

結梨「ほお……」

梅「すごい勢いだな」

夢結「ええ。汐里さんは攻守のバランスが取れた戦いを得意とするのに対し、奈々は攻めに特化した戦い方をするわ」

雨嘉「ドンノロッシェンの攻撃を殆ど弾き返した事もあった」

 

 

ドンノロッシェンは一柳隊結成直前に戦ったギガント級ヒュージで、攻撃手段は無数の触手とレーザーと、殲滅力がそこそこ高い敵である。

 

奈々は、そのドンノロッシェンの触手の連続攻撃を全て弾き返した事もある為、攻めと手数には結構強い。

 

 

二水「そして奈々さんは他のリリィよりマギの保有値が高く、戦闘可能な時間が長いです!」

神琳「更には、エンハンスメントの効果を持つレアスキル…マスカレイド」

雨嘉「実質、複数のレアスキルが使えるパフォーマンスの高いスキル…!」

鶴紗「スペック、テクニック、スキル構成、どれも奈々の強さに貢献している」

楓「最近では、最強の一角と呼ばれていますからね」

梨璃「じゃあこの勝負は…!」

ミリアム「うむ。スペックだけなら汐里が不利になるな」

夢結「けど経験は汐里さんの方が長いわ。汐里さんが奈々の攻撃を防ぎきれるかが勝負ね」

梅「だナ」

 

 

と、二人の戦いを予想する一柳隊の皆。

 

 

 

一方奈々と汐里は再び鍔迫り合いに入る。

 

 

奈々「また磨きが掛かったね汐里ちゃん!」

汐里「奈々さんも、それ以上に強くなってますよ!」

 

 

 

汐里は中等部時代、奈々と違うクラスだったが、訓練や特訓の際に時々出会っては、一緒にやったり、時には模擬戦で戦ったりと、一緒にいる機会があった。

 

結果は、汐里の全勝であった。

 

入ったばかりで経験の足りないこの頃の奈々では当然である。

 

 

だが今は違う…この2年間、奈々は多くの経験を積み、驚異的に強くなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今度こそ勝つと、奈々は決めたのだ。

 

 

奈々はツインフェザーで鍔迫り合いの状態から弾き返し、そのまま攻めていき、汐里を追い詰めていく。

 

右、左、右、左と、交互にツインフェザーを振るう奈々の連撃に汐里はティルフィングで全て受け止めていくが、隙がなく、攻撃のチャンスがなかなか来ない。

 

 

 

汐里「私が追い詰められている…!?」

奈々「汐里ちゃんが思ってる以上に私も強くなったってことよ!」

 

 

奈々のツインフェザーによる強烈な一撃がティルフィングに当たり、汐里はそのまま後ろに押されてしまう。

 

ティルフィングに入った衝撃が汐里の右手に伝わり、感覚を痺れさせる。

 

すぐに汐里は奈々から距離を取るために後退するが、逃がさないと思わせるよう、奈々は後退する汐里に近付く。

 

 

奈々「貰った!」

汐里「やらせない!」

 

 

向かってくる奈々に、汐里は咄嗟にティルフィングの砲塔部分を分離させ、その砲塔部分を奈々に目掛けて蹴り飛ばした。

 

 

奈々「な!?」

 

 

汐里の意外な行動に驚く奈々だが、これを左手のツインフェザーの横凪ぎで弾き返す。

 

しかしそこへ汐里が割り込み、再び鍔迫り合いに持ち込んだ。

 

よく見ると、汐里の右手に持つティルフィングは、刀身部分だけが残った形態になっており、先程より右手の降るスピードが早くなっていた。

 

 

奈々「そんな戦法をしてくるなんてね…」

汐里「普通に攻めるだけじゃ勝てませんからね」

 

 

 

六角汐里が使っているティルフィングは、CHARMメーカー…ユグドラシルが彼女の為に作ったオリジナルCHARMであり、彼女の荒っぽい戦い方に合わせて頑丈かつ多機能を取り入れ、設計した機体である。

 

かつて利き腕の感覚を失った汐里だが、今ではティルフィングのような大型CHARMを扱えるレベルまで回復している。

 

現在汐里のティルフィングは、砲塔部分を分離させたショートブレイトモードになり、軽く使いやすくなっている。

 

汐里はこのティルフィングの砲身部分を分離させ、相手に飛ばし、そこから近接戦で畳み掛ける。

 

これは、夢結との模擬戦で使った戦法と同じである。

 

一方奈々も負けてない。

 

入学当時、奈々は平均以下の強さだったが、約2年間のブルーガードでの訓練と実戦で身体能力が向上し、大型CHARMを軽々と持てるようになっていた。

 

 

スペックの差では、奈々の方が上である。

 

対してテクニックの方は汐里が上。

 

 

しかし、次第に奈々の方の動きが早くなってきた。

 

奈々が汐里の動きを読み始めたのだ。

 

 

そして……

 

 

 

奈々「隙あり!」

 

 

奈々が隙を狙って全力の切り払いで、汐里のティルフィングを弾き返した。

 

 

 

汐里「!?」

 

 

汐里はすぐに遠くへ落ちたティルフィングを拾うとするが、汐里の目の前にもう一本のツインフェザーが向けられた。

 

 

チェックメイトである。

 

 

 

奈々「勝負ありだよ」

汐里「…………………はい。完敗です」

 

 

負けを認め、汐里は奈々と握手した。

 

 

同時に、試合終了のブザーも鳴った。

 

 

 

亜理奈「やりました木葉奈々さん!強敵相手に中々の戦いを披露しました!六角汐里さんも見事な戦いでした!試合の方は早く終わってしまいましが、個人的にはもう少し長引かせてほしかったですが、無い物ねだりしても仕方ありません。観客の皆様、この二人に盛大な拍手を!」

 

 

亜理奈の実況を聞き、観客の皆は拍手した。

 

 

そして汐里は一旦入ってきたドアへと戻っていき…再び奈々の方へ振り向く。

 

 

汐里「奈々さん、機会があったら次は負けませんよ」

奈々「私もだよ。汐里ちゃん」

 

 

再戦を期待し、汐里は訓練場を去った。

 

 

一方、観客席にいる一柳隊組は…

 

 

結梨「ほぉー………」

夢結「あの汐里さんに勝つなんてね…」

梨璃「奈々ちゃんすごい…!」

楓「マギの保有値はそうですが、汐里さんの攻撃を全て受け止めるなんて、普通じゃ無理ですわ」

梅「それに今回奈々はまだ1度もレアスキルを使っていない。恐らく汐里とは同じ条件で勝負したかったんだろうナ」

神琳「円環の御手はCHARMの二刀流を

可能にするだけのレアスキル。似た能力を持つCHARMで戦う奈々さんに取っては対等の条件で戦いたかったのでしょうね…」

夢結「あの子は、一対一の時は正々堂々と戦うって前から言っていたからね」

二水「これはいいスクープになりそうです!メモしておかないと…」

 

 

メモ帳を取り出してシャーペンで今回の一面を書き始める二水。

 

 

雨嘉「そういえばこれ…新CHARMの披露のはずじゃ…」

ミリアム「百由様の事だから、まだ何かあるかもな」

神琳「奈々さんはこれまでの3連戦で余りマギを消耗しておりませんね…」

 

 

 

最初の模擬ヒュージ戦はならし程度の戦闘。アールヴヘイムの3人組は僅か3秒で場外送り。まともにマギを使ったのは汐里との勝負位だが、恐らく奈々のマギはまだ8割程残っているだろう。

 

 

 

夢結「ここからが本番ってところね」

 

 

 

と、夢結は次に何か来ることを予想していた。

 

 

 

亜理奈「さあ、このメインイベントも次が最後の勝負になります。最後の相手は、こちらもレアスキル…円環の御手の使い手!しかも世界初、このレアスキルを最初に覚醒したリリィ!」

奈々「世界初?」

亜理奈「更にトップレギオン、アールヴヘイムの司令塔を務めてるブランセスの名を持つ者…その名は………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

亜理奈「番匠谷依奈様だああーー!!」

 

 

 

 

奈々「な、何と!?」

 

 

 

奈々が依奈の名を聞き驚く中、目の前のドアが開き、薄紫のロングの少女が現れた。

 

 

 

 

 

 

百合ヶ丘女学院 2年生 アールヴヘイム 番匠谷依奈(ばんしょうや えな)

 

 

 

彼女には、右手にグラム…左手にアステリオンを持っていた。

 

 

 

天葉「衣奈ったらあっちにいたのか…」

亜羅椰「衣奈様も奈々と戦いたかったのですわね」

壱「グラムを持ってきたってことは…」

楠美「奈々ちゃんをそれだけ強敵だと認識してるからだね」

 

 

 

ユニークCHARMと呼ばれたグラムは世界で数台しかなく、扱いと運用が難しいが、それに合った性能を持っている。

 

今回は、百由の差し金で特別に許可されたようである。

 

奈々が新CHARMを持ってる以上は、生半端なCHARMでは役不足だと感じたのだろう。

 

 

 

 

楠美「アールヴヘイムのブランセスがついに奈々ちゃんと対決するんだね」

天葉「あの子も戦いたがってたからね。いい勝負が見れそうかな?」

 

 

 

 

アールヴヘイムの皆が喋る中、奈々と衣奈の方では…

 

 

 

衣奈「奈々さん、お手合わせ出来るかしら?」

奈々「え、衣奈さん!手合わせの理由がわからないんですが…」

 

 

奈々には、衣奈に関わることは何一つしていない。

 

しかし衣奈にはあるのだ。

 

 

 

 

衣奈「私はね、奈々さんが羨ましかったのよ。2年前の甲州撤退戦で貴女は、初の遠征でありながら、30体以上のスモール級、ミドル級を倒した功績を残した」

奈々「………でも犠牲者を出してしまった」

 

 

甲州撤退戦に参加した奈々は民間人の保護、リリィ達の被害を無くすために誰よりも前に立ち、ヒュージ達を倒していった。

 

30体撃破したという功績は、学院中で一時的に噂となっていた。

 

しかしその裏で犠牲者を出してしまった。

 

 

安全な所へ逃がしたはずの民間人が殺され、更には二つ上の先輩まで命を落としてしまった事。

 

負傷者はリリィのみ約20人、死者は僅か二人だったが、奈々にとっては、悔やむほどの苦い過去であった。

 

 

 

衣奈「あれは貴女一人のせいじゃないわ。私達の力不足よ。もし貴女がいなかったら、被害は更に大きくなっていたわ」

奈々「だとしても…!」

衣奈「それ以上先を言ったら、参加したリリィ達に対する侮辱になるわよ」

奈々「…!」

 

 

流石に奈々はこれ以上言わなかった。

 

 

衣奈「それに私は、実は一度貴女と戦ってみたかったのよ」

奈々「私と?」

衣奈「今や貴女は夢結と並ぶほどの実力を持っている。さらに貴女は他のリリィには出来ない事をやってのけているわ。まさに最強のリリィになりそうでね」

奈々「なりそうではなくて、これからなるんですよ」

衣奈「言ってくれるわね」

 

 

衣奈の発言に奈々は強気で言い返す。

 

 

衣奈「でもそうでないとね。でなきゃ倒しがいがないもの!」

 

 

奈々を挑発して、衣奈は二本のCHARMを構える。

 

 

 

奈々「衣奈さんも言ってくれますね…望むところです!」

 

 

奈々は衣奈の挑発に自ら乗り、ツインフェザーを再び構えた。

 

 

亜理奈「さあ、このメインイベント最大の盛り上がりになりそうです!この模擬戦はいい勝負が期待されます。お互いトップクラスのリリィ!果たして勝利の女神が微笑むのは誰なのか!?では最終戦…開始です!」

 

 

開始のブザーが鳴ると、奈々より早く衣奈が突撃してきた。

 

 

奈々「!?」

衣奈「先手は頂くよ…!」

 

 

衣奈は奈々の攻撃が来る前に速攻で仕掛ける戦法で挑んだ。

 

 

彼女、番匠谷依奈の戦闘スタイルは攻撃に特化している。

 

かつて六角汐里は衣奈と同じ攻撃特化の戦法をしたかったのだが、前のように重いCHARMが持てなくなった為、断念した。

 

 

同じ攻撃特化の衣奈と奈々。

 

勝負を決めるのは、互いのテクニックである。

 

 

 

 

 

 

至近距離に入ると同時に衣奈はグラムを降り下ろすが…

 

 

 

 

 

 

 

奈々は右手のツインフェザーで衣奈のグラムをあえて受けて、そのまま後ろに流し、のけ反らせた。

 

 

 

衣奈「えっ!?」

奈々「油断大敵ですよ!」

 

 

 

それを見た観客の方でも…

 

 

梨璃「あれは…!」

鶴紗「夢結様が使っていた戦法…!」

二水「ですが、型や動作が少し違います!」

夢結「奈々が私の型を自分流に変えたのよ。まさかこんな形で再現するなんてね」

梅「2年前は夢結の型を覚えようと何度もやってたけど、結局出来なかったからな」

楓「夢結様のが両手なのに対し、奈々さんは片手。とんだ馬鹿力ですわね…」

夢結「しかも奈々は二刀流。カウンターの出が早いわ」

雨嘉「じゃあこの勝負は奈々が有利?」

神琳「いえ、相手はトップクラスのリリィ。簡単には行かないと思いますわ」

 

 

後ろに流された衣奈の後ろを取った奈々はすぐに左手のツインフェザーで攻撃するが…

 

 

衣奈「まだまだ!!」

 

 

咄嗟に衣奈は体を捻らせ、左手のアステリオンで奈々のツインフェザーを受け止める。

 

 

奈々(あの状態から…!?)

 

 

そして奈々から距離を取るようにバックステップで後退した。

 

 

 

奈々「カウンターに素早く反応するなんて、流石ですよ」

衣奈「貴女もよ。変わってるけど、夢結の型を使うなんて驚いたわ」

奈々「それはどうも。ですが驚くのはまだまだこれからですよ!」

 

 

 

奈々は再びツインフェザーを構える。

 

 

 

衣奈「なら、逆に驚かせてあげるわ!」

 

 

 

衣奈も二本のCHARMを構える。

 

 

 

そして今度は同時に突進し、二本のCHARMによる鍔迫り合いに持ち込んだ。

 

しかし、腕力は奈々の方が上で、衣奈は少しずつ後ろに押されつつあった。

 

 

 

衣奈(やっぱり力業じゃ私に分が悪い…ならここは、手数で攻める!)

奈々(力はこっちが上…となれば衣奈さんは必ずスピードと手数で攻めるはず…ならここはパワーで押しきるか?)

 

 

お互い、相手の先を読みながら戦う。

 

衣奈は鍔迫り合いの状態から後ろに後退し、今度は体を回しながら二本のCHARMを振り回して奈々に攻撃した。

 

 

奈々(そう来たか…!)

 

 

 

奈々は両手のツインフェザーをクロスさせ、回転する衣奈の連続攻撃を受け止めていく。

 

流石に攻撃の手を止めず、衣奈の猛攻を防御するしかない奈々。

 

 

 

 

 

 

 

しかし隙を見つけ、奈々は足払いで攻撃中の衣奈の足を払った。

 

 

衣奈「!?」

 

 

足払いでバランスを崩した衣奈。

 

そこに二本のツインフェザーで凪ぎ払おうとする奈々。

 

 

 

 

だが衣奈は跳びながら体を回転させ、ツインフェザーの切り払いを避けた。

 

しかし、奈々は逃がさないと、衣奈との距離を縮めて向かってきた。

 

 

衣奈はすぐに体勢を立て直し、CHARM同士の叩きあいに持ち込んだ。

 

 

叩いては弾かれ、また叩いては弾かれ…と、お互い一歩も引かない。

 

 

 

観客席のアールヴヘイムのリリィ達も…

 

 

 

壱「凄い…」

亜羅椰「あの衣奈様と互角に渡り合うなんて…」

楠美「でも天葉姉様だったら…」

天葉「いや、あの勢いは私では難しいかな?奈々の戦い方はこの百合ヶ丘にいるリリィでも真似出来るものじゃない…出雲先生を除いてね」

 

 

奈々の戦い方を改めて知ったアールヴヘイムの皆であった。

 

 

 

 

 

 

 

勝負開始から30分…奈々と衣奈のCHARM同士の叩き合いはまだ続いていた。

 

しかし変化はあった。

 

 

衣奈に疲れの表情が出てきた。

 

 

奈々との勝負で衣奈は普段以上に集中しながら戦っていたのだ。

 

例え30分でも、必要以上の集中力を使うとなると、普段以上の疲れが出てくる。

 

疲労の衣奈自身に、動きも鈍り始めた。

 

マギも、かなり消耗していた。

 

 

 

 

対して奈々は、まだ体力に余裕があった。

 

模擬ヒュージ、アールヴヘイムの月詞、弥宙、辰姫、レギンレイヴの六角汐里と戦った後でも、ピンピンしている。

 

ギガント級ヒュージとのガチンコ勝負から遠征での大量の小型ヒュージの駆除までこなす彼女の体力は、ずば抜けていたのだ。

 

マギが消耗してるにも関わらず、まだ一般以上の量を残してる。

 

 

 

このまま戦いが長引けば、先に衣奈の体力が尽きて不利になる。

 

衣奈に残された戦法はただひとつ…

 

相手の攻撃をかわし、残ったマギを全てCHARMに加えて強力な一撃を相手にぶつける。

 

 

即ち、短期決戦である。

 

 

 

衣奈「奈々さん、次で決着を付けましょう」

奈々「そうですね。このままだとらちがあかないですしね」

 

 

攻撃を止め、距離をとる奈々。

 

 

 

 

次がラスト。

 

これをしくじれば、負けは確定だろう。

 

それでも衣奈は、これにかけるしか他に選択肢が無かった。

 

 

 

 

 

両者、CHARMを再び構えた。

 

 

 

 

 

 

亜理奈「両者静かになったら、どうやら次で決めるようです…この一撃で、勝者が決まります!」

 

 

 

 

観客の皆も、静かに二人の勝負を見守る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

衣奈「勝負!」

奈々「勝負!」

 

 

 

二人が同時に突進した。

 

 

楓「同時に動きましたわ!」

雨嘉「でも、奈々のあの構えじゃ…」

 

 

 

雨嘉は奈々の構えに気付いた。

 

 

奈々が二本のCHARMを前に向けてないのに対し、衣奈は左手のアステリオンを前に向けていた。

 

 

どうやら奈々の攻撃をアステリオンで受け流し、グラムでカウンターを狙う気である。

 

ちなみに衣奈は自身のサブスキル、軍神の加護でグラムの威力を高めている。

 

また軍神の加護は、楓が持つレアスキル、レジスタのサブスキルでもある。

 

性能こそ劣るが、奈々に大きな一撃を与えられるには十分だろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし、奈々はそれすら読んでいた。

 

そしてCHARMを後ろに向けたのも理由があっての事である。

 

 

 

 

奈々は体を捻って、二本のCHARMを持った両手を伸ばしながら一気に回転し、衣奈に突進してきた。

 

 

 

衣奈「!!?」

 

 

予想外の攻撃に驚く衣奈。

 

 

先程衣奈は回転しながらの連続攻撃を奈々に仕掛けたのに対し、奈々は軸をずらさず、体を前に倒しながら衣奈以上の速さで駒のように回転しながら突進してきたのだ。

 

しかもその速さは、奈々のサブスキル、インビシブルワンの効果で強化されたものである。

 

こうなると、射程の問題で足を狙えない上に隙も殆どない。

 

それどころか、相手の攻撃をまともに受けてしまう。

 

 

 

やむを得ず、衣奈は攻撃を止め、グラムとアステリオンをクロスさせ、防御の体勢に入ったまま奈々の突進を真っ向から受け止めた。

 

しかし大きく押されて始めた。

 

 

 

インビシブルワンの効果で奈々の回転による攻撃は両手のCHARMで、1秒に約8回も振っている。

 

これでは隙の狙いようがない。

 

 

 

徐々に両手が衝撃で痺れていき、押されていき、力が入らなくなっていき、ついに衣奈のグラム、アステリオンが弾かれしまい、地面に落ちてしまう。

 

 

衣奈「!?」

 

 

衣奈は弾かれたCHARMを見たあと、再び奈々の方へ向く。

 

既に奈々は攻撃を止め、構えを解いていた。

 

 

 

奈々「私の勝ちですよ。衣奈さん」

衣奈「……そのようね。見事な戦いだったわ」

 

 

 

衣奈は敗けを認めた。

 

勝負がつき、終了のブザーが鳴った。

 

 

 

亜理奈「す、凄い!素晴らしい戦いでした!!トップクラスのリリィ同士。長い戦いの末、勝利を手にしたのは木葉奈々さんだぁー!!」

 

 

 

亜理奈の解説と共に観客の皆は大拍手した。

 

 

 

亜理奈「最後に惜しくも負けてしまった衣奈様も見事な戦いでした!」

 

 

アールヴヘイム組のリリィ達は…

 

 

 

天葉「あの衣奈に勝つなんてね…」

壱「亜羅椰、楠美、終わったら特訓よ!」

楠美「いっちゃん、なんかやる気入った?」

壱「このままじゃ奈々さんに勝てないのは見てわかるわ。競技会で衣奈様の敵を取るわよ!」

亜羅椰「ええ。このまま黙ってはいられませんわ!絶体強くなってあの奈々を負かせるまでは!」

天葉「私も、奈々と戦ってみたくなったよ。特訓に付き合っていいかな?」

壱「構いません!寧ろ助かります!」

楠美「私も強くなる…奈々ちゃんには絶体に負けない…!」

 

 

今回の模擬戦を見てアールヴヘイム達も新たな目標が出来たようだ。

 

 

 

一柳隊の一同は…

 

 

 

鶴紗「アールヴヘイムの衣奈様に勝つなんて…」

二水「いいネタが取れました!次のリリィ新聞はこれで決まりです!」

梅「こりゃあ夢結もうかうかしてられないんじゃないのか?」

夢結「問題ないわ。梨璃、後で私達も訓練よ」

梨璃「いいですが、もしかしてお姉様もですか?」

夢結「何が?」

梨璃「奈々ちゃんと戦いたいのではと…」

夢結「………よくわかったわね」

梨璃「お姉様が奈々ちゃんをよく見てましたから」

梅「やっぱり夢結も動揺してるナ」

夢結「…………ええ」

楓「私も梨璃さんの訓練に付き合いますわ!」

ミリアム「それなら一柳隊全員での訓練を行ったらどうじゃ?」

神琳「それはいいですわね」

雨嘉「でもどうするの?訓練場はしばらく使用できないし…」

夢結「それなら心配ないわ。外でちょうどいい訓練場所があるからそこでやるわ」

結梨「私も訓練に参加していい?」

梨璃「結梨ちゃんまだ危ないから今回は見学で我慢してね?」

結梨「むぅー」

 

 

そして奈々と衣奈の方は…

 

 

 

衣奈「最高にいい勝負だったわ」

奈々「私もですよ。対人戦でここまで手応えがあったのはブルーガード以来です」

衣奈「また強くなって貴女にリベンジするわ。よろしくね。奈々さん」

奈々「こちらも機会があったらよろしくお願いします」

 

 

お互い笑顔で握手をする奈々と衣奈。

 

 

こうして、新CHARMのテストだったはずの奈々の模擬戦は終わ…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

亜理奈「…………おや?待ってください。何とここで、奈々さんに勝負する新たな挑戦者が現れました」

奈々「え?」

亜理奈「サングリーズル、ローエングリン、エイルまでもが奈々さんの勝負に参加して来ました!」

 

 

他のレギオンのリリィからも奈々と戦いたいと申してきたのだ。

 

 

奈々「いやいやいやいやいや、まてまてまてまてまて!少し休憩させてよ!」

 

 

 

さすがの奈々もこれ以上の連戦は休憩を挟まないといけないようである。

 

 

 

そしてこの日は、奈々の模擬戦ラッシュとなり、後五時間も続いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、奈々の模擬戦が続いてる中、理事長室では代理の男が涼の提出した資料を確認していた。

 

外は夕方の空となり、夕日の光が部屋を明るくしていた。

 

 

 

 

 

 

 

百合ヶ丘女学院 理事長代理 高松咬月(たかまつ こうげつ)

 

 

 

咬月「合体剣カナリア…ギガント級に大きなダメージを与えられるCHARM…その反面、CHARMに掛かる負担も大きく、並の素材では持たないという訳か…」

 

 

合体剣カナリア…奈々が扱うCHARM…カナベラルとブルメリアを合体させた武器で、使い方次第ではギガント級を倒すことも可能だが、CHARMに掛かる負担も大きく、折れてしまう。

 

またマギの使用量が異常すぎる程高く、奈々でも約30秒しか可動出来ない。

 

 

隣には、百由が立っていた。

 

 

 

百由「はい。今後彼女の為にも、あのCHARMは直しておいた方がいいと思います。彼女も承諾してます」

咬月「うむ。政府を通して材料を手配しておく」

史房「しかし、わざわざそのCHARMを使わなくても、新しいCHARMを作ればよろしいのでは?」

 

 

咬月の隣に立つ史房が話に参加する。

 

 

 

そう言われて、百由はタブレットを操作して後ろに用意したスクリーンにカナベラル、ブルメリア、ツインフェザーの内部構造の図を表示させた。

 

 

 

百由「残念ながら、この百合ヶ丘で彼女専用のCHARMを作れるのは綾瀬さん一人です。綾瀬さんの作ったカナベラル、ブルメリア、ツインフェザーは他のCHARMとは異なる構造で作られてるのがわかりました。マギの貯蔵量が多いクリスタルコアを使用してるのはそうですが、それ以外の各パーツや部品は全て大きめの物を使用しており、メタルスキン製で出来てます。これらは彼女の高いマギに耐えられるよう計算されたものだと考えられます。逆にこれら以外のCHARMでは彼女の高すぎるマギに耐えられず、数秒で破損します。特に変形機能を持ったCHARMなら尚更です。ブリューナグ、ティルフィングでも精々2、3分が限界でしょう」

 

 

グングニル、アステリオン、ブリューナグ、ティルフィングの図面を表示させて、新たに表示された可愛い奈々のアイコン画像が二本のCHARMに重なると、破損までの残り時間が表示された。

 

グングニルは僅か1分で、アステリオンは2分。

 

ブリューナグは3分に対し、ティルフィングは3分半となっている。

 

 

百由「現存のCHARMを持たせるより、彼女に合ったCHARMを持たせた方が自身の戦力向上に繋がります」

史房「しかし、何故彼女のCHARMの修理を急がせる必要が?」

 

 

史房の疑問に答えるかのように、百由はタブレットをまた操作して、スクリーンの画面を変えた。

 

映し出されたのは、下北沢の遠征でリリィ達が戦った大きな蝙蝠の翼と足が生えたアーリマンに似たギガント級ヒュージであった。

 

 

 

百由「下北沢にて現れたギガント級ヒュージ…通称アーリマンの形状は今まで出会ったラージ級、ギガント級とは異なり、ゲームやファンダジー等に出てくるモンスターに近い姿となっております」

 

 

スクリーンの方では、アーリマンの横に新たに他のギガント級ヒュージの画像が現れた。

 

 

 

百由「そしてこちらは海で活動を行っているブルーガードが出会った蜂の人工ヒュージです。メカメカしい所はありますが、生物の形をほぼ再現しています」

史房「そのヒュージと、下北沢で現れたギガント級となんの関係があるの?」

咬月「…………サンスベリア」

史房「!?」

 

 

咬月の口から出たサンスベリアという言葉に、史房は驚く。

 

 

 

 

百由「はい。10年前に現れたヒュージを神と称える集団で、百合ヶ丘でも一度戦ってる敵の組織名です。他に多くのガーデンがこの組織の被害を受けたという報告もあり、ヒュージ以上に達の悪い相手だと言われています」

史房「サンスベリアは5年前に壊滅したと政府から報告を受けたけど…」

百由「確証があります。こちらをご覧ください」

 

 

続けてタブレットを操作する百由。

 

 

今度はブルーガードが戦った人工ヒュージの画像を拡大表示させた。

 

 

百由「ブルーガードが戦った人工ヒュージの画像です。こちらのエンブレムを見てください」

史房「!?」

 

 

拡大した蜂の人工ヒュージの尻尾をよく見ると、サンスベリアの花を象ったエンブレムがペイントされていた。

 

 

史房「これは…!」

百由「はい。私達が百合ヶ丘が戦ったサンスベリアの模擬ヒュージにプリントされていたエンブレムを同じものです」

咬月「……」

 

 

更にタブレットを操作する百由。

 

 

 

百由「ブルーガード所属の綾瀬さんから聞いた情報によるところ、サンスベリアの模擬ヒュージはどの個体も耐久力が高く、特にギガント級に匹敵する個体はマギリフレクターが標準されている事がわかりました。このアーリマンもマギリフレクターを持っており、それなしでもノインヴェルトに耐えられる程の高い耐久力を持っていました。綾瀬さんから聞いた情報とほぼ一致しています」

 

 

アーリマンを倒せたのは、奈々のカナリアによる一撃でマギリフレクターを剥がされ、そこに二組のノインヴェルト戦術の直撃によるものだった。

 

それだけでも、アーリマンの耐久力が高いのがわかる。

 

もし奈々がカナリアを持っていなかったら、アーリマンを倒すのは難しかっただろう。

 

 

史房「サンスベリアは…活動が出来るほどに回復したって事…?」

咬月「その答えは…すぐにわかるだろう」

 

 

 

そう話してる内に理事長室のドアが開いた。

 

入ってきたのは出雲だった。

 

 

 

 

出雲「失礼します」

史房「出雲先生?何か情報ですか?」

出雲「ああ。政府を調査してた所、とんでもない情報が見つかった」

咬月「どうだったのだ?」

出雲「予想通りです。政府に紛れ込んだゲヘナのスパイから、GEHENAはサンスベリアから支援を受けてることがわかりました」

史房「!?」

出雲「更なる話で、サンスベリアは2ヶ月前に活動を再開してたようです」

咬月「やはりそうか……」

史房「やはりとは?」

咬月「今までこの5年間、サンスベリアが活動しなかったのは、力を蓄えている為の準備だったという事だ」

史房「?」

出雲「5年前…私が中等部の頃に、突如サンスベリアが襲撃してきた百合ヶ丘防衛戦は覚えているか?」

史房「はい。百合ヶ丘を襲ってきた無数の模擬ヒュージを迎え撃った戦いで、出雲先生が敵の主戦力を叩いて、サンスベリアは壊滅に追い込んだと…まさか…!」

出雲「ああ。私達が戦ったサンスベリアの集団はその一部しかなかった。奴等はこの5年間の間、力を蓄えるために身を隠していた訳だ。今やサンスベリアは大きな組織と化していた」

 

 

過去に戦った敵が力を付けてきたとなると、一筋縄では行かないだろう。

 

 

 

史房「…花言葉で永久…または不滅…その名の通り、何度もやられてはその度に復活する…確かに達が悪いですね」

出雲「更に聞いた情報だと、サンスベリアは新たに耐久力の高い人工ヒュージの開発をしていると聞いた」

史房「じゃああの下北沢に現れたギガント級は…!」

 

 

出雲の話通りになると、アーリマンはサンスベリアの技術が盛り込まれていたという事になる。

 

 

 

百由「ここ最近、サンスベリアの活動も活発し始めています。いずれここにも来る筈です。今度は人工ヒュージを連れて…」

史房「その為のカナリアが必要だと…」

咬月「打てる杭は売っておいた方がいいという訳か…」

 

 

復活したサンスベリアは、5年前に現れた時とは比べ物にならないと思った咬月は…

 

 

咬月「真島君、メテオメタルを作るための材料を手配しよう。出江君、明日全ガーデンに伝えてくれ」

 

 

百由、史房、出雲は気を引き締める。

 

 

 

 

 

 

 

咬月「後日…対サンスベリア緊急会議を行う」

 

 

 

 

 

 

………………………………………………………

 

 

 

 

二水「次回はついに競技会の開幕です!」

奈々「私の強さを見せてやる!」

 

 

 

 

next 百合ヶ丘女学院の戦技競技会!

 

 

 

 

 

 

 

 




次回からは、
アニメの8話をベースに作っていこうと
考えてます。
ちょっと長いですが、面白く作る予定です。

それではまた!
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