ギターを持った少年   作:真仁

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ゼロワンvsジロー

「飛電或人の抹殺だと⁉︎」

「なんで飛電の社長を狙う!」

不破と刃はショットライザーを構え警戒しながら突如豹変したジローに問う。ジローの顔は変わらず肌がクリアパーツのように好き通り目は怪しげな赤色に発光している。そしてその目が頬にかけて流れる一筋のラインはまるで涙を流しているかのようにも見えた。

「理由などない」

「何?」

「そう“命令”されたから従う。それが機械だ」

「命令された?誰にだ!」

ジローはその問いに答える事無く、その場を去ろうとする。

「おい待てジロー!」

不破はそれを止めようとジローの肩を掴む。しかし、

「うおおっ⁉︎」

その手は不破を遥かに上回る力で解かれそのまま掴まれた腕ごと放り投げられてしまう。不破はそのまま近くの街路樹に叩きつけられてた。

「ぐうっ⁉︎」

「不破⁉︎」

不破に気を取られた刃が一瞬、目を離した隙にジローは二人の前から消えていた。刃はすぐに亡に連絡を取る。

「亡!例のヒューマギアに接触したが逃げられた!奴は飛電或人の命を狙っている!至急飛電インテリジェンスにこの事を伝えるんだ!」

 

 

 

 

 

病院を出た或人は自分を病院まで運んだというギターを持った少年の手がかりを探して街中をライズホッパーで走っていた。

何故それほどまでに或人がその少年にこだわるのか?それは彼の“目”を見ていたからだった。バイクから放り出されたあの瞬間、或人の目に一瞬だけ写った後ろ姿。その時に右目が僅かにこちらを見つめていたのだ。その目は穏やかだが悲しみも帯びた相反する二つの感情が籠った、そんな目であった。

イズとの会話で彼がヒューマギアではないかという仮定に至った時、或人の中で一抹の不安がよぎった。もし彼がシンギュラリティに達して自我を獲得したヒューマギアだとしたら、彼の目の中に見えた僅かな悲しみが何かの拍子に“悪意”に転じる事になるかもしれない。自分や滅、エスなど様々な者達の抱いた“悪意”にアークは呼応し、力を与えた。

僅かな負の感情もアークに呼応すれば自分では止めようのない強大な悪意になってしまうかもしれない。そのような最悪な事態になってしまう前に彼を悪意から救いたいとの思いから或人は行動を開始したのだった。

「出会ったのは確かこの辺の筈・・・ん?」

自身の記憶を頼りにライズホッパーを走らせていると道路の真ん中に立つ人影を見つける。近づくにつれてその姿がハッキリと見えてくる。青い衣服に赤いギター、間違いなく探していた少年だった。或人はライズホッパーから降りると彼に駆け寄る。

「君、俺を病院に運んでくれた子だよね?お礼が言いたくてずっと探してたんだ!ありがとうね!」

或人は笑顔で礼を言う。少年は俯いており顔はよく見えない。

「・・・礼なんていらない」

「いやでもコッチは命を助けてもらったからさ?お礼を言うのは当然の事だし」

「だから必要無いのさ」

「え?」

そう言うと少年は背負っていた赤いギターを取り出す。演奏でもするのか?と或人は呆気に取られて見ていたが何かおかしい。ギターのネックの先端が或人の方に向けられている。まるで“狙いを定める”かのように・・・。

「・・・これからその命を奪うのだからな!」

少年が顔を上げるとその顔は内部の機械が透き通って見えており目は或人のみた穏やかなものとは程遠い怒りに満ちた真っ赤な目をしていた。

「ッ⁉︎君はやっぱり・・・!」

「死ね!飛電或人!」

少年の声と同時にギターのネックの先端が変形し銃口が現れ、そこから無数の弾丸が雨のように発射される。或人は間一髪後ろに飛び退いて銃撃をかわす。

「君は一体・・・⁉︎」

「俺の名はジロー。お前を抹殺する為にこの街に来た」

「なんだって⁉︎」

「次は外さん!」

ジローは再びギターの先端のマシンガンを構えると或人に向けて発泡する。或人は狙いを定められないよう走り出す。逃げる或人の後を追うように銃弾が地面に撃ち込まれ道路を破壊していく。銃撃を回避しながら或人は腰に飛電ゼロワンドライバーを装着、右手に持ったプログライズキーのボタンを押す。

『jump!』

待機状態に移行したプログライズキーをゼロワンドライバーの右側のスペースにかざす。

『オーソライズ!』

ゼロワンドライバーがプログライズキーを認証した事でキー側のロックが解除されると共に何処からともなく巨大な黄色のバッタを模したライダモデルが姿を現す。

「む⁉︎」

バッタのライダモデルは或人とジローの周りを飛び跳ね回り、ジローを牽制する。それにより或人を狙ったジローの射撃が妨害され僅かに隙が生まれた。或人はロックの解除されたプログライズキーを展開しゼロワンドライバーに装填する。

「変身!」

『プログライズ!』

ゼロワンドライバーに装填されたプログライズキーをドライバーが読み取り、それと同時に或人の身体を強化スーツ“ライズアーキテクター”が覆い、その上からライダモデルを装甲に変換、或人の身体に装着される。

 

『飛び上がライズ!ライジングホッパー! 』

"A jump to the sky turns to a rider kick."

 

バッタの力を宿した仮面ライダーゼロワンの基本形態、“ライジングホッパー”がその姿を現す。

「その姿・・・」

「ゼロワン!それが俺の名だ!」

「“ゼロワン”・・・か・・・」

“ゼロワン”という言葉に僅かに反応するジロー。怒りに満ちた険しい目が一瞬だが、悲しみに満ちたものに変わった事に或人は気づく。

(今の目は・・・?ジローはゼロワンと何か関係があるのか?)

そんな思考もジローの放った銃撃で中断される。バッタの特性を活かした跳躍力でかわすとジローから距離を取る。

「どんな姿になろうと俺のやる事は変わらない!飛電或人を抹殺する!」

ジローはマシンガンをゼロワンに向けて構える。

「やはり君もアークに・・・?君に何があったのかはわからないけど・・・これだけは言える」

ゼロワンもアタッシュカリバーを展開し、構える。

「お前を止められるのはただ一人!俺だ!」

そう言ってゼロワンはジローに向かっていった。




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