ギターを持った少年   作:真仁

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年度が変わり仕事の方も落ち着いてきたのでまた少しずつ進めていきたいと思います。
亀更新ですが暖かい目で見守って頂けたらウルトラ嬉しゅうございます


人と機械の間で

病院を出た或人を追っていたイズはライズホッパーのログを頼りに或人の足取りを追跡、ライズホッパーが停車した場所にたどり着いた。

しかし彼女の目に入ったのは先端から発砲の硝煙を上げるマシンガンギターと地面に倒れている或人の姿だった。或人の倒れている場所にはじわじわと血溜まりが広がってきている。

「或人社長!」

「・・・ぐ・・・う・・・」

ジローの放った弾丸は或人の頭部ではなく右肩を撃ち抜いていた。苦悶の表情を浮かべながらも或人は身体を動かそうとするが蓄積されたダメージで思うように身体が動かずその場から動けずにいた。マシンガンを構えるジローの手は震えていたがイズに気付くとそちらに顔を向ける。

「ロボット・・・いや、ヒューマギアというのだな・・・君も」

「あなたは一体何者ですか。何故、或人社長を狙ったのですか?」

「名はジロー、飛電或人を狙ったのは・・・そう命令されたからだ。命令されればその通りに動くのが“機械”だ」

「命令・・・?いいえ、機械だから・・・ロボットだから命令通りに動かなければいけないという事はありません。私達ヒューマギアにも“心”があるのですから」

「心がある、か・・・。それは本当にお前達ヒューマギアが望んだ事なのか?」

「どういう意味ですか?」

「“心”を持つ事は本当に幸福だと思うのか?」

ジローは一瞬、顔を俯かせたがすぐに怨恨の籠った目でイズを睨みつける。

「俺は人間の身勝手なエゴによって“心”を持たされた・・・。人間と同じ不完全な良心と強大な悪意を。しかしそのせいで一生終わることのない苦しみを抱き続ける事になった!心なんてものがなければ・・・!」

そう吐き捨てたジローの拳は怒りに震えていた。

「もう人間の都合にロボットが振り回されるのはウンザリだ!ましてや・・・人間に奉仕する為だけのロボットを・・・ロボットを商売道具にしているような事など!」

「違う!ヒューマギアは・・・そんな存在じゃ・・・ない!人と共存する事の出来る・・・共に夢に向かって歩める・・・パートナーだ!」

「綺麗事を言うな!人間達は、自分達にとって有益かどうかでしか共存する者を選ばない!人間にとって脅威になれば平気で破壊する!今までもそうやって何体もヒューマギアを破壊してきただろう!それとも・・・お前にとってのパートナーとは“壊れたらまた新しく作り直せばいい”存在の事を言うのか⁉︎」

「それは・・・!」

「ならば何故、或人社長を殺さなかったのですか?」

「う・・・」

「この状況であれば或人社長の命を奪う事は簡単に出来る筈です。でも貴方はそうしなかった。貴方は・・・殺さなかったのではなく殺せなかったのではないですか?」

「俺の中には“服従回路”が組み込まれている!命令通りに動くための悪の心が・・・!」

「でもその悪の命令を止めるものが貴方の中にあるのではないですか?・・・貴方の中の“良心”が、銃撃の狙いを外させた」

「良心・・・ジローの中にもやっぱり“善意”が・・・?」

「違う・・・違う!」

ジローはマシンガンの銃口をイズに向ける。しかしイズは臆する事なくジローを真っ直ぐ見つめる。

「貴方は先程言いました。“人間が勝手に与えた心で苦しむようになった”と。その苦しみとは善と悪の心の衝突、“葛藤”というものです。それは貴方に心が宿っている証拠・・・」

「黙れ・・・黙れぇっ!」

マシンガンが発砲されて弾丸がイズの肩を掠める。

「イズ!ダメだ!逃げろぉっ!」

重傷の身を引きずりながら或人が必死に叫ぶ。このままでは以前と同じようにまたイズが破壊されるかもしれない、いまだに忘れる事など出来ないトラウマが或人の脳裏をよぎる。

「もし貴方に本当に心が宿ってるのであれば、その悪意も・・・乗り越える事も出来る筈です!」

「グゥゥ・・・うああああああっ!」

葛藤を振り払うかの如く叫びを上げたジローの手にしたマシンガンからイズめがけて銃弾が放たれる。今度は威嚇ではない、確実に命中し、破壊する為の銃撃が。

 

 

 

 

 

 

同じ頃、仮面ライダーバルカン、仮面ライダーバルキリーとアークハカイダーは手にした自分達の愛銃による激しい銃撃戦を繰り広げていた。

バルカン シューティングウルフ はそのプログライズキーの特性による正確な狙いで、バルキリー ラッシングチーター は機動力で撹乱しながらショットライザーの光弾を放つ。対するアークハカイダーも機械故の正確且つ無駄のない動きで光弾を回避しながら左手に待つアークハカイダーショットで反撃してくる。

「伊達にアークの力を持ってはいないか!」

「このままじゃ埒があかねぇ!一気に片付けてやる!」

そう言うとバルカンは後部に大型のシリンダーの付いた青いプログライズキーを取り出し、シリンダーを回転させてプログライズキーを起動させる。

『ランペイジバレット!』

そのままキーを力任せに強引に開くとショットライザーに挿し込む。

『オールライズ!』

「変身!」

トリガーを引くと同時にプログライズキー内に内包された10体のライダモデル、ウルフ、コング、チーター、ホーネット、スコーピオン、ファルコン、シャーク、タイガー、ベアー、マンモスがバルカンの周りを囲むように出現、バルカンのスーツも変化し変身待機状態に移行する。

「フ・・・!」

しかしアークハカイダーは動じること無く手にした銃を下ろす。するとアークハカイダーの口に当たる部分から耳障りな音が聞こえてくる。

「なんだ?この音は?・・・奴の口から出ている・・・口笛なのか?」

バルキリーがハカイダーの“口笛”に気づくのも束の間、バルカンの周りのライダモデル達がその動きを止める。

「何⁉︎」

「残念だったな・・・。行け!」

アークハカイダーの号令と共に動きを止めていたライダモデル達が再動、バルカンに集中攻撃を仕掛ける。

「な⁉︎・・・ぐああああっ⁉︎」

狼や虎、鮫、チーターが手足に噛みつき、隼や白熊が爪で切り裂き、蜂と蠍が突き刺し、ゴリラが殴り、マンモスが踏み潰す。変身待機状態故に装甲が固定前の素体状態のバルカンではひとたまりもない。変身が解除され、ボロボロになった不破がその場に崩れ落ちる。

「不破⁉︎」

「隙だらけだ」

不破の方に気を取られた一瞬の隙をついてアークハカイダーは光弾をバルキリーに撃ち込む。

「ぐうぅっ⁉︎」

命中した際の衝撃で体制を崩したバルキリーにめがけてアークハカイダーはアークハカイダーショットを構えた左手を腰の所に添えて右手を銃身に添える独特の構えを取り、連続で光弾をバルキリーに撃ち込む。

アークハカイダーショットの集中砲火を受けたバルキリーは全身のアーマーから火花を散らしながら崩れ落ち、変身が解除される。

「や、刃・・・」

「残念だったな、俺の口からはライダモデルのコントロールを奪う特殊高周波が出せる。高周波をライダモデルに浴びせれば制御を乗っ取れるのさ」

「な、なんだと・・・」

「もっとも、直接ライダモデルに浴びせないといけないから“弾丸に内包して放つ”ようなものには使えないけどな。お前達を真っ先に排除出来たのはラッキーだった」

そう言うとアークハカイダーは銃の狙いを二人に絞る。

「まずは二人、破壊完了だ」

「くっ!」

咄嗟に不破は刃を庇い盾になる。その時、彼らの真上から赤い羽が舞い落ちてきた。

「む?なんだコレは・・・?」

「赤い羽・・・まさか!」

『バーニングレイン!ラッシュ!』

鳴り響いた電子音に反応し、三人が上を見た瞬間、紅蓮の炎と共に真紅の戦士がアークハカイダーめがけてキックを放つ。

「ハアァァァッ!」

「グオッ⁉︎」

咄嗟に両腕でガードするアークハカイダーだったが完全に威力を殺し切る事が出来ず、後方に吹き飛ばされる。着地した真紅の戦士は背中に展開した翼を収納し、倒れている不破と刃の方に振り向く。

「大丈夫かい?バルカン、バルキリー」

「迅!」

真紅の戦士、仮面ライダー迅“バーニングファルコン”がその姿を現す。「迅、飛電或人が狙われている!」

「話は亡から聞いてるよバルキリー。それに飛電或人の方は大丈夫」

 

 

 

イズに向けて放たれた銃弾は命中する事は無かった。全てがイズの前に現れた男によって剣で弾かれていた。自分の銃撃を防いだ者をジローは睨みつける。

「この世に悪意がある限り、俺たちがそれを監視し続ける」

手にした剣を鞘に納めて男はそうジローに言い放つ。

「それが・・・滅亡迅雷.netだ」

傷ついた身体を起こしながら或人はイズを助けた者の名を叫ぶ。

「来てくれたのか・・・滅!」

滅と呼ばれたその者はイズを、そして或人の方を見る。

「過ちは繰り返させない・・・今度は救ったぞ、飛電或人」

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