しかし自分の話の流れとは整合性取りにくい部分もありましたので
パラレル展開という事で(二次創作なので当たり前ですが)よろしくお願いします
天津がまだZAIAエンタープライズジャパンの社長であり、デイブレイク当時の飛電インテリジェンス社長、飛電是ノ助と関わった時の事を絡めて話し出す。
「かつて・・・その後のデイブレイクに繋がるヒューマギアの実験運用都市計画から始まった飛電インテリジェンスのヒューマギア事業は最初から人々の生活補助を目的として始められた訳ではない。元々は日本政府も関わる大型計画が原型となっていたのだ」
「政府も関わる大型計画?」
「そうだ。これは元々日本政府が自国が最も得意とする分野・・・ロボット工学とAI開発の技術を活かし、『人間では活動が困難、もしくは不可能な環境下での代理作業を行う事の出来る自律型ロボットの開発』を行う為のプロジェクト・・・“アークプロジェクト”を端に発している」
「アークプロジェクト・・・おい、まさかそのアークって・・・」
「ああ、その後のヒューマギア開発の過程で生み出された管理衛星“アーク”の由来はそこから来ている。が、今はその話はいいだろう」
天津は再びPCを操作してアークプロジェクトの概要を映す。そこには動植物の特徴が組み込まれたロボット達のデータが。その中の一体、“グリーンマンティス”と呼ばれるロボットの姿に或人が反応した。
「あれ?このロボット・・似てる?」
「どうした社長?コイツが何に似てるんだよ?」
「俺が初めてゼロワンに変身したあの日、初めて戦ったマギアに似てるんだ、このロボット・・・」
かつて飛電或人はお笑い芸人だった。まだ幼い頃、実用試験段階で実験都市で父親型ヒューマギア“飛電其雄”を共に暮らしていたがその時にアークによって起こされたヒューマギアの反乱デイブレイクにより父親であった其雄を亡くした。その直前に交わしていた父とのやり取り、そして“死”の間際に父から託された言葉が今の或人を動かす原動力となっている。
“夢に向かって、飛べ”
その後の或人は皆を笑顔にするという自身の“夢”の為にお笑い芸人となり人々を笑わせようとしていた。そんな彼に転機が訪れたのは祖父、是ノ助の死去だった。飛電インテリジェンスの社長であった彼の死をキッカケに多くの者が動き出す。滅亡迅雷.netの決起、ゼロワンドライバーの製造、イズの起動、AIMSの活動の活発化、ZAIAの陰謀・・・
当時の或人にはそんな事は知る由も無いが、それでも滅亡迅雷.netの活動開始によりシンギュラリティに到達し、自我と呼べる心を持ったヒューマギアがハッキング、暴走する。そして或人が初めて対峙した暴走ヒューマギア“マギア”も自らと同じく人を笑わせる事に喜びを見出した筈のヒューマギアだった。ハッキングにより自我を汚染され、人々の夢を壊し自らが“笑う”。そんな事を或人が黙って見ていられる筈もなかった。飛電インテリジェンスの社長の座を継ぐ事を一度は拒んだ彼がその座と、それによって得られる“力”を手に取る事に何の躊躇いも無かった。
(ゼロワン、それが俺の名だ!)
イズから託されたその力を纏い、或人はベローサマギアを倒し、正式に飛電インテリジェンスの社長の座を継いだ。全てはここから始まったと言っても過言ではないのだから或人にとって決して忘れる事の出来ない出来事であろう。
「あの時戦ったマギア・・・ベローサマギアは両手に鎌を持ったカマキリみたいなマギアだった・・・」
「実際にはゼツメライズに使われたベローサゼツメライズキーに保存されているのはクジベローサ・テルユキイと呼ばれる絶滅生物のロストモデルだ。外観はカマキリに似ているがそれ自体は近縁種では無い」
或人の言葉に滅が答える。実際、この時はゼツメライズキーを管理、使用していたのは滅亡迅雷.netだったので詳しいのは当然ではある。
「確かに・・・言われてみればこのロボット群にはマギアに似ているものがあるな・・・。この“ブルスコング”。不破にそっくりだ」
「喧嘩売ってんのか刃」
「ねえ滅、この“レッドコンドル”ってやつ・・・なんか暗殺ちゃんに似てない?」
「ドードーマギアか・・・確かに鳥をモデルにしたロボットという意味では似ているな」
他にもグレイサイキングとアルシノマギア、キンイロコウモリとオニコマギア、アカ地雷ガマとガエルマギア・・・数体のマギアとアークプロジェクトで設計されたロボットに似た点が見つかる。
「どうしてここまで・・・。ヒューマギア計画の源流である事と関係が?」
「ああ、当時はこのようにロボットに直接動物の能力を組み込んだロボットを開発していたのだ。開発者はこの二人、光明寺博士とギル・ヘルバート教授だ」
二人の老人の写真が映し出される。光明寺と呼ばれた人は穏和なイメージを持っていたが対してギルと呼ばれた者は非常に怪しい目つきをしていた。
「なんか、怖い目の人だね、このギルって人・・・」
「実際、学会では異端児扱いされていたからな。技術力も光明寺博士のが上だった。だが経営的手腕に優れていたようでプロジェクトのロボット開発における資金調達は彼が大部分を確保していた為、いわばスポンサー特権のような形でロボット開発には政府以外にも彼の意向が強く取り入れられるようになった。だがある日、この二名が突然姿を消してしまったのだ、開発途中のロボット群と共に」
「え・・・?」
「結果的にプロジェクトの主柱を失った事でアークプロジェクトは白紙撤回、ロボット制御の為のAI開発の為プロジェクトに参入していた飛電インテリジェンスが計画を引き継ぐ事になり、動物の能力を持った『特定の環境下に特化したロボット』から『人間の特徴を持った汎用性の高いロボット』に変えた事で現在のヒューマギア構想の原型が出来たのだ。そして、災害時や危険区域での活動用ロボットは動物のデータをプログラムしたデータキーを使って人型ロボットに能力を“上乗せ”する方向に変更される事になり『プログライズキー』が作成される事になったのだ」
「そうか・・・それであのロボット群とマギアに共通する部分が出てきたのか・・・」
「技術的に直接繋がりがある訳ではないが、影響を与えたのは1000%間違いないだろう」
「でも、その光明寺博士とウチのじいちゃんにはどんな関係が?」
「そう、失踪以降の光明寺博士とギル教授の足取りはプロジェクトに参加していた私を含め誰もわからなかった・・・。それを確かめる為にある人物を訪ねていたのだ」
「ある人物?」
「光明寺ミツコ・・・光明寺博士の娘さんだ。博士本人は既に鬼籍に入られていたので彼女から話を聞いたのだ。デイブレイクの裏に隠されていたもう一つの戦いを・・・」
「もう一つの戦い・・・?」
「勿体ぶってねぇで早く話せ」
「・・・・・」
天津は黙りながらも再びPCを操作、アークプロジェクトの概要によく似た画面を出す。大まかに見ると大差ないように見えるその概要であったが細部をよく見ると大きく異なっている事に気づく。
「コレ、アークプロジェクトのロボット?・・・ダーク破壊部隊・・・⁉︎」
「コレがアークプロジェクトの・・・いや、ギル教授の真の目的だったのだ」
ギルは災害派遣や危険区域内活動目的でアークプロジェクトによって作られたロボット群を密かに戦闘用ロボットに改造していたのだった。
そして、ロボット開発に従事していた光明寺博士は開発途中でそれに気づいてしまった。しかしギルによって監視がつけられており自由に動けなかった博士はダーク破壊部隊として製作されるロボットの中にギルの野望へのカウンターとなるロボットを一体、製作した。無論、そのままでは他のロボット同様にギルの誘導音波によって意のままに操られてしまう事になる為、博士は悪の命令には従わぬように“良心回路”をそのロボットに組み込んだ。しかし、完成直前にギルに反乱を察知されてしまった博士は既に完成していたダークロボットの襲撃を受けてしまい、やむを得ず良心回路が完全に完成していない状態でロボットを起動させたのだった。
「・・・これが、光明寺博士とギル教授の失踪の真相だ。そしてその未完成な良心回路を組み込まれたロボットこそが・・・」
「ジロー・・・なんだな」
「ミツコ女史によればその後もジローは不完全な良心回路を抱えたままギル率いるダーク破壊部隊との戦いに身を投じたらしい。だがジローは良心回路が未完成だった影響で、ギルの誘導音波に完全に抗い切れずなんども操られかける事があったそうだ」
「・・・辛いよな。身体の中に妙な機械組み込まれて、自分の意思とは関係なく操られるのはよ」
「不破・・・」
不破諌と刃唯阿の二人は変身に使用するショットライザーの関係で脳内に変身に必要なデータの入ったチップが埋め込まれている。そして不破はそのチップ内に滅亡迅雷.netの一員であり同時にZAIAの道具として天津の命令通りに動いていた頃の“亡”の人工知能が移植されていた時期があった。その時は天津やアークの命令を受けた亡により身体を乗っ取られて自身の意に反する行動を強制されていた。その為、ジローの境遇とその辛さや怒りなどは痛いほど理解出来た。そんな不破の様子を見ながらも或人が口を開く。
「天津さん、その戦いは最後はどうなったんですか?」
「詳しい顛末は不明だが、ギルは光明寺博士の拉致に成功すると対キカイダー用の戦闘ロボットに利用したらしい。それがハカイダーだ」
「ハカイダー・・・あの黒いロボットか」
「アークハカイダーのプロトタイプ・・・いや、原型機といった所だな」
「天津垓、利用したとはどういう事だ?光明寺博士にロボットを作らせたのか?」
「違う、そのままの意味だ。良心回路を持つジローがハカイダーを攻撃出来ないよう、光明寺博士の脳髄をハカイダーの頭部に人質として入れたのだ」
「な・・・⁉︎」
あまりにも常軌を逸した凶行に或人は言葉を失う。
「最終的にはジローは光明寺博士の脳を奪還、元の体に移植し直して救出、ギル率いるダーク破壊部隊は壊滅したそうだが・・・。この度重なる脳への負担により光明寺博士は記憶障害を患ってしまい、療養の為日本を離れたそうだ。ミツコ女史が知っているのはここまででその後のジローがどうなったのかは知らないそうだ」
光明寺博士の記憶が戻らなければ良心回路は完成しない。ジローはこの時点で完全な良心回路を得る手段を失くしてしまい、永遠に不完全な良心を持つ事を運命付けられてしまったのだ。
「ジローに・・・そんな辛い過去があったなんて・・・」
「社長、飛電の技術で完璧な良心回路を作る事は出来ないのかよ」
「設計図があれば出来るかもしれないけど・・・でも・・・」
「或人社長」
そこにイズがラボに入ってくる。しかしその容姿は髪や白い衣服などに埃や汚れがあちこちについている。
「イズ?・・・どうしたんだ?それ・・・」
「何かお力になれないかと思いまして是ノ助前社長が生前使用されていた旧社屋にいってました」
「じいちゃんの?」
「その中に、コレが・・・」
イズは古ぼけた旧式のメモリーチップを或人に渡す。或人はそのチップをPCに接続する。すると何かの設計図が表示される。
「これは・・・良心回路の設計図だ!」
「おそらく、光明寺博士が万が一の時の為に是ノ助社長に託していたのですね。しかし、記憶障害でその事も忘れてしまった・・・」
「どうなの?ゼロワン?良心回路は作れそう?」
「設計自体がかなり古いものだから今の技術で再構築する必要がありそうだけど・・・これならプログライズキーに出来るかもしれない」
「良心回路が完全になれば恐らくアークの影響も受けなくなるだろう」
「決まったな。良心回路を作り直して、とっととジローを助けようぜ!・・・・・どうした?社長?」
「え?あ、あぁ・・・なんでもないよ不破さん」
ジロー救出の目処が立ち、各々が志気を上げる中、一人浮かない顔をしていた或人に不破が声をかける。が、或人はそれを慌てて誤魔化す。
「イズ、プログライズキーの作成、よろしくね」
「かしこまりました、或人社長」
「飛電或人、亡から連絡が入った。デイブレイクタウンの近くでジローを発見したそうだ」
「よし・・・皆、行こう!ジローを救う為に!」
決意を胸に仮面ライダー達はジローの下へと向かった。
或人達が出動し、イズもデータのコピーを完了し、良心回路をプログライズキーに再構築する為の準備で一度ラボを出る。すると誰も居なくなったラボのPCに映し出されていた良心回路の設計図に添付されていた音声データが勝手に再生された。
「光明寺君・・・君は・・・」
「是ノ助社長、ギルは自分の野望の為にアークプロジェクトを利用している。奴を止められるのは、私しかいない」
「ならば私も共に・・・!」
「ダメだ、ギルは冷徹な男だ。自分の野望に気づいた者は容赦なく消すだろう・・・君の息子夫婦のように。いや、最悪の場合まだ幼い或人君も・・・」
「む・・・う・・・」
「だからここからは私一人の戦いだ。君はコレの設計図を元に人々の助けとなるロボットを作ってくれ」
「これは・・・!」
「現在私が開発している悪の命令を拒むロボット、その原型となる人型ロボットだ。コイツは高性能な人工知能が親機となり子機となる人型ロボットを制御、管理するタイプのロボットなのだ」
「凄い・・・これなら多くのロボットを制御出来るな・・・」
「このロボットの技術・・・“マザーシステム”がギルに知られれば間違いなく自分のものにしようとするだろう。多くのロボットを一つの悪意で支配出来るのだから・・・。だから君はこのシステムと良心回路の設計図のデータを持って早くここを離れてくれ」
「光明寺君・・・済まない・・・」
「私なら大丈夫だ。必ずこのロボットを・・・完成させてみせる。そしてギルの野望を止めてみせる。或人君の生きる未来の為に。設計図を頼んだぞ」
「設計図・・・“マザー”によって整備、管理される人型ロボット・・・その名は・・・“K”」
そこまで再生した所で加熱によりチップがショート、全てのデータは消え映されていた設計図も音声も途絶えた・・・・。