幻想郷夢幻録   作:唐辛子

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プロローグ 夢を見ることは、人生の美徳の一つだと思う

 唐突に自己紹介をさせてもらう

 

 俺の名前は、夢幻(むげん)。今年で26歳のただのしがないサラリーマンだ

 

 月給はだいたい20万で、今は地下駅のベンチで過ごしている

 

 家は、二十歳になった時に飛び出してきた

 

 それから6年間の間、職場を転々としながら生きて来た

 

 たしか、前の仕事は知り合いに手伝ってもらって

 

 いろいろとあれなものを売る仕事をしていた

 

 そして今は、普通のサラリーマンとして生きている

 

 家に戻る気になんかなれない。だから、こうしてホームレスもどきな

 

 生活を送っている。なぜもどきなのかと言うと

 

 正直、お金はある。だが、マンションやホテルに住もうとも思わない

 

 そんな事をしたら、一発であのクソな大人たちにばれる

 

 だから、俺はこんな所で生活をしているのだ!

 

「さてと。今日の一杯を飲みますか」

 

 そんな俺の仕事終わりのささやかな楽しみが、酒を飲むことだ

 

 まあ、俺は酔わない方だから、味を楽しんで飲む事が出来る

 

「それじゃあ、さっ・・・・・・おい!」

 

 ?「あら失礼」

 

 だが、そんな俺の楽しみを奪おうとする奴が一人いる

 

 八雲紫・・・・・通称BBAだ!

 

「俺の物に手を出すな!」

 

 BBA「いいじゃない、少しぐらい分けてくれたって

 

 私とあなたの仲でしょ?」

 

「そうだとしても。これは俺が買って来たんだ!

 

 飲みたいなら、それ相応の物をくれよな」

 

 ん?なんだ、意地汚い?あたりまえじゃないか!

 

 自分の物をただで上げるほど、俺は優しくは無いんだよ!

 

 BBA「・・・・・・・・・」

 

「・・・・・・・どうした?」

 

 なんか急に黙り込んだBBA。ものすごく真顔である

 

 BBA「ねえ、さっきから気になっていたんだけどいいかしら?」

 

「お、おう」

 

 なんだろう。いつも胡散臭い笑顔しか浮かべていないこいつが

 

 いきなり真顔になったら、ここまで違和感があるのか。新発見である!

 

 BBA「とりあえず・・・・・・作者!!」

 

 作者「はい!」

 

 うお!なんか出て来た!

 

 BBA「さっきから出ているこのBBAって文字は何かしら?」

 

 作者「はい!この文字の読み方は、ばばあと読みます!」

 

 あ、こいつ死んだな

 

 BBA「・・・・とりあえず」

 

 作者「・・・・・・・・・?」

 

 BBA「いっぺん死んで来い!!」

 

 くぱぁ!

 

 ・・・・なんかギリギリアウトな音が聞こえたんだが

 

 作者「それでも俺は!ふざけることを止めない~!!」

 

 そんな言葉を残して。変な奴がスキマに消えた

 

 紫「ふう。悪は滅んだわね!」

 

 ものすごくすがすがしい笑顔になった紫

 

 ・・・・なんか、文字が変わっている気がするんだが

 

 紫「変わったんじゃなくて、元に戻ったのよ」

 

「俺の心をかってに読むな」

 

 紫「だって、あなたって単純なんだもの」

 

 そう言って、コップに入れたお酒を一口飲む紫

 

 ・・・・・・・・あれ?

 

「おいおい!何ちゃっかり飲んでんだよ!」

 

 紫「あら、ごめんなさい」

 

「・・・・・全く誠意がこもっていないんだが」

 

 紫「こめてないもの」

 

 この女は!

 

 紫「もう。そんなに怒らないでよ。今日はちょっと話があって来たのよ」

 

「・・・・・は、話・・・ですか?」

 

 紫「・・・・どうしていきなり敬語になるのよ」

 

 いや、だってな!こいつの話とか、マジで嫌な予感しかしない!

 

 前にこんな話を聞いた時は、いきなり海外でマフィアに追われたことがあった

 

 あの時ほど死を覚悟した事は無い!断言できる!

 

 しかも元凶が、この目の前の女なのだ!

 

 なんか、むこうの仲間の一人を拉致したらしい

 

 それがなぜ俺の責任になるんだ!

 

 紫「自分の罪を認めなさい」

 

「それでも俺はやっていない!・・・・いやマジでやってない!」

 

 紫「わかっているわよ。それに、今回はそんな事じゃないから、安心して」

 

 そう言って、俺に微笑む紫。その笑顔が、胡散臭くなければよかったんだが

 

「で?・・・・・内容は?」

 

 紫「近々、あなたは幻想に迷い込む」

 

「・・・・・・・は?」

 

 幻想に迷い込むって・・・・・謎である

 

 紫「だから、ちょっと忠告しに来たの」

 

「・・・忠告?」

 

 紫「アナタのしたいように、やりたいように生きなさい」

 

「・・・・・よくわからんが。そんなの言われなくても当たり前だ」

 

 紫「そう。なら、問題は無いわね」

 

 そう言って、スキマの中に消える紫

 

「・・・・変な奴」

 

 なんか、今日は色々と疲れたから。そろそろ寝ることにする

 

 それにしても、一体どう言う事だ?

 

 幻想に迷い込むだとか・・・・やりたいように生きろとか

 

 全く訳が分からん。まあ、とりあえず寝ることにする

 

 

 

 暗い・・・暗い・・・暗い・・・暗い・・・暗い・・・暗い・・・暗い

 

 

 

 助けて・・・助けて・・・助けて・・・助けて・・・助けて・・・助けて

 

 

 

 ・・・・・暗闇の中から、女の子の声が聞こえる

 

「・・・またか・・・」

 

 実は、俺には生まれつき、変な体質の持ち主だ

 

 他人の夢に入り込む。人のプライベートを覗き込むような力だ

 

 どうしてこんな力があるのか。それはわからない

 

 だが、この力を持っている俺は、無意識のうちに

 

 他人の夢に入ってしまう。自分の夢自体、見た事が無い

 

「今回は、どんな奴の夢なんだ?」

 

 そんな俺がひそかに行っている事。ボランティアみたいなことなんだが

 

 実は、その夢の持ち主の話し相手をしているんだ

 

 いや、カウンセリングと言った方が良いか

 

「・・・あれか」

 

 目の前に、扉が見える。木製で出来た扉だ

 

 俺は、何の迷いも無く、その扉を開ける

 

「・・・・・」

 

 扉の先に広がっていたのは。真っ赤な部屋と、一人座りこむ女の子がいた

 

 ?「・・・だあれ?」

 

 かなり幼い声が、部屋に響く。見たところ、5,6歳ぐらいだな

 

 金色の髪に、血の様に真っ赤な目。病気なんじゃないかってぐらいに白い肌

 

 そして、人間には、生えているはずのないもの

 

 背中から、木の枝の様な物が生えている

 

 その枝に左右それぞれ7つの宝石の様な物もついている

 

 どう考えても、こんなものが人間に生えている訳がない。と言う事は・・・

 

「妖怪」

 

 ・・・いきなり何を言っているんだと思うだろうが。これが真実だと思う

 

 実際、さっきまで会っていた、八雲紫も、立派な妖怪だ

 

 正直、紫以外の妖怪に会うのは初めてだが

 

 この子も見た目に反して、BBAなのだろうか?

 

 いや、あれがBBAだからこの子もBBAだと言うのは、失礼か

 

 ?「妖怪?」

 

「ああ、違う違う。俺の名前は夢幻。ただの人間だ」

 

 ?「・・・・フラン」

 

「・・・・?」

 

 ?「私の名前。フランドール・スカーレット」

 

「そうか」

 

 名前からして、海外の妖怪だろうか?

 

 それにしても、この部屋の色。すごく目に悪いな。さっきからチカチカして仕方がない

 

「こんな所で何しているんだ?」

 

 この部屋には、何もない。ただ真っ赤なだけの部屋だ

 

 フラン「ここで、待っているの」

 

「誰を?」

 

 フラン「あの子を・・・・・お姉ちゃんを・・・・・・・・・・を」

 

 最後の方が聞こえなかったが、どうやら姉妹を待っているようだ

 

「こんなところで待ち合わせか」

 

 フラン「あの子が来ないと、私はここから動けないの」

 

「迎えに行けないのか」

 

 フラン「ここで、お姉ちゃんを待っていないと」

 

 ・・・なんだ、この違和感

 

「なあ、そのお姉ちゃんと、あの子ってのは誰なんだ」

 

 フラン「あの子は、レミリア・スカーレット」

 

「レミリア・・・か」

 

 同じスカーレット。姉妹の一人か?

 

「それで、お姉さんの方は?」

 

 フラン「お姉ちゃんの名前は。レミリア・スカーレット」

 

 ・・・・・・・は?

 

 どういう事だ。ウソには見えない。いや、夢の中でウソを吐けるようなやつを見た事が無い

 

 じゃあ、あの子と、お姉さんは、同一人物

 

「・・・・・お前・・・誰だ?」

 

 フラン「・・・・・・?」

 

 こいつ、さっきから言動がおかしい。いや、それ以外の何かがおかしい

 

 フラン「・・・・このままじゃいけないの」

 

「・・・・・・」

 

 フラン?「このままじゃ。あの子が死んでしまう」

 

 フラン「だからね・・・・・・」

 

「・・・・おいおい」

 

 いつの間にか、後ろに同じ姿の女の子がいた

 

 フラン?「私を、ここから・・・・・」

 

 フラン「フランを、ここから・・・・・」

 

 フラン・フラン?「「出して!!」」

 

 ・・・・やばい。やばいやばいやばい!!

 

 何がやばいのかは分からない。だが、とにかくやばい!

 

 俺はこの突然の危機感に従い、ここから逃げた

 

 この夢から出るには、俺が目を覚ますか、この夢の持ち主が目を覚ますかの二つだ!

 

 それまで逃げ回るしかない!

 

 フラン「何処に行くの?」

 

「なっ!」

 

 部屋から出たかと思ったら、何故かまた部屋に入っていた

 

 くそ!厄介な夢だな。どうやら、主導権はあっちにあるみたいだ

 

 フラン?「ねえ、ここから出して」

 

「出たいなら、自分で出ればいい」

 

 フラン「ダメなの。それはダメ」

 

「なぜだ?」

 

 フラン?「あの子が、私をここに閉じ込めた」

 

「・・・お前のお姉さんが、ここに閉じ込めた。なら、どうして待っているんだ?

 

 自分から、外に出ればいい」

 

 フラン「無理なの。それはダメなの」

 

「・・・どうしてだ?」

 

 フラン?「この外に、彼女がいる。彼女が、私の命を握っている」

 

 彼女。また、新しい人物が出て来たな

 

 フラン「だから・・・・・・フラ・・・・・ン・・・・・・を」

 

「おい!」

 

 突然、倒れそうになったから、慌てて支える

 

 フラン「・・・・・・・・・」

 

 眠っている。夢の中でか?そんなこと、今まで見た事が無い

 

 フラン?「・・・・・・・」

 

「・・・・・・・」

 

 しまった!まだこいつが残っていたか!

 

 フラン?「・・・・ありがとう」

 

「・・・・え?」

 

 ドックン!

 

「くっ!!」

 

 おかしい!夢の中のはずなのに、なぜこんな痛みが

 

 フラン?「お願い。私を連れだして。あの子を、助けて」

 

「ま、まて・・・」

 

 意識が薄れていく。そんな中で最後に見たのは

 

 金色の長い髪と、真っ赤な目。白いワンピースのような服を着て

 

 背中には、コウモリのような羽が生えた、一人の女性だった




ここまで読んでいただきありがとうございます
この作品は、不定期更新になります
ですが、かならず完結させるので安心してください
それでは、次回もお楽しみに
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