巫女ってガラじゃない!!   作:山乃庵

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まだまだ沢山

 問題発言、あるいは爆弾発言。

 治安維持の為に来たスタッフが犯罪組織と繋がっている、ととれる言葉使いをしてしまったことはちょっと反省。

 

 でも、聞いて欲しい。

 私だってあのスタッフさんが犯罪組織のスパイだとか裏切者だとか、そう言いたい訳ではないし、そうじゃないとは思うので。

 まぁなんというか違和感があるから断言は出来ないんだけど。

 

 けど、今日のことに関しては、ほぼ間違いなくあの人から漏れていたのだと思う。

 一応の確認として、確かめたいことはちゃんと聞いてみる。

 

 

 スタッフさんは通信機みたいなのを2つ持っていたこと。

 小さい方は10分おきに触っていて、あれは定時報告専用のもので通話機能はなく、また一定時間経っても反応がないと異常事態発生としてアラートが鳴るものであること。

 それから大きな方は通話機能専用で、報告連絡等の他に緊急時用の連絡手段であること。

 

 これは予想通りのことで、まぁそうだろうなという内容だ。

 

 だから私が確認したいことは、そこではなくて。

 

 

 「あれって発信した場所、分かるんですか?」

 「専用の受信機を使えばわかる仕様になってる。でもここにはないよ」

 「そうですか…」

 

 

 発信した場所を特定する機材はここにない。

 でも存在はしている、と。

 

 

 「ちなみにですけど、ワタルさんは私が捕まえたポケモンがヤドンだって知ってましたか?」

 「いや。ポケモンを無事に捕まえたという報告は聞いたが…それがどうかしたのかい?」

 

 

 やっぱり、そうだよね。

 

 

 「スタッフさんの口から私がポケモンを捕まえたっていう事はあの時の一回だけしかなくて、それから帰り道でもヤドンのことは話題にしてなかったハズなんです」

 「うん?」

 「でも誘拐の主犯…リーダーっぽい人は、多分ですけど私がヤドンを捕まえていたことを知ってました」

 「!」

 

 

 ()()()()を捕まえた報告はしていた。

 でも、()()()を捕まえた報告はしてない。

 

 私はそのやり取りを聞いていたから、間違いはない。

 

 無事にポケモンを捕まえたことの報告、それから今から戻ることの連絡、その2つしかない簡素なやり取りだったことをちゃんと覚えてる。

 そして、スタッフさんの口からヤドンという単語が出たのはたった一度だけだということも。

 

 

 洞窟から出てすぐ、松ちゃんを紹介した時。

 松ちゃんが普通によろしくなぁ、と喋ったのを聞いて、ヤドンが喋った?!と言って固まってしまったのだ。

 その後すぐにポケモンが喋るという特異さに驚いてつい大声になってしまったことを謝られたり、それから怪我もなく捕まえれた事におめでとうと言われたり。

 そんな取り留めのないやりとりをした。

 

 きっとこの時に、ヤドキングからいのちのたまを渡されてたんだと思う。

 

 

 結論を言うなら、盗聴されていた。

 でも、それは通信機器から傍受していた訳ではなく、おそらくスタッフさんにつけられたモノから。

 

 

 ()()()()()()があれば場所が分かる。

 ()()()の存在を知っていた。

 ()()()()()()()()()()()()()()()()がある。

 

 それから、そう。

 各機関が疲弊した、その()()()()()を見計らえるような発言もあった。

 

 

 そんなことが出来る場所、どーこだ?

 

 

 「本部に…いや、内通者か」

 「それは分からないです…今私が言ったことは全て想像しただけのモノですから」

 「…そうか」

 

 

 盗聴の機材は、潜水艦内でも事足りたと思う。

 でも専用の受信機はリーグの持ち物で、それはココにはない。

 

 なら、ポケモンリーグの内部に主犯の人が紛れてる可能性があるのでは?

 それに、災害時に各機関と連携をとり、指示を出すのはポケモンリーグ本部だ。

 リーグ本部はバトルフィールドもあるので当然、建物の耐久性や堅牢性は非常に高い。

 常時多くのスタッフがいるから備蓄食料等も充実しているだろうし。

 

 言うなれば、ポケモンリーグ本部がある場所は、色々と都合が良い場所なのだ。

 

 

 「俺は一度リーグに戻る。巫女殿には信用出来る人員をつけるから、しばらく一人で行動するのは控えて貰ってもいいだろうか?」

 「それは別にいいんですけど…大丈夫ですか?」

 「問題ない。そうだな…10日…いや、一週間だ」

 

 

 一週間で全て片付ける。

 ニッコリと、凄味のある笑みでの宣言。

 一瞬背後にげきりん中のカイリューを幻視した。

 

 こわっ。

 鳥肌たった。

 背筋ゾクってした。

 こわっ。

 

 

 

 そうしてワタルさんは島に来ていたリーグスタッフさん達を引き連れて帰って行った。

 

 なお、ジュンサーさん達は在住し、島を巡回することで治安維持に繋がるからと頻度良く見かける。

 おかげで()()()()()()()()()はめっきり減った。

 

 制服効果ってやつかな、すげぇ。

 

 

 たかが一週間、されど一週間。

 

 信用出来る人員として残ってくれたスタッフさんは年重のおじさんスタッフで、まぁ、なんというかバトル強かった。

 自衛の為に捕まえたのだから、とひたすら松ちゃんとバトルして貰っていたのだが、まぁ、ほんと、強い。

 

 ほのおとじめんタイプの使い手らしく、称号でいうなら多分怪獣マニア?とかそこらへん。

 重量級のポケモンの扱いがべらぼうに上手い。

 相棒らしいゴローニャなんて、勝てる気配が微塵もなくて泣きそうなくらいだった。

 

 でもまぁ、そのおかげで対人バトル、という楽しさを知って、その…あの…はい。

 

 バトルって、楽しいね。

 私、ジャンキーじゃない。

 バトルジャンキーじゃ、ない。

 と、おもう。

 思いたい…

 

 

 ついつい、未だに若干いる観光客相手にバトル仕掛けちゃったりしたのは、その、悪いことしたかもってレベルでボコボコにしてしまったけど…

 おじさんスタッフさん、めっちゃ笑顔だったし…

 

 

 いや…だから…ですね…

 

 

 「あの…流石にワタルさんとバトルって、荷が重いと思うのですが…」

 「ははは。大丈夫だよ、この一週間でどれだけ強くなったか聞いていたからね」

 「いやどこも大丈夫じゃない…」

 

 

 どうして私、ワタルさんとバトルすることになったの??

 

 

 

 

 

 

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