照りつける日差し、吹き付ける暴風、飛び散る水飛沫、揺れる大地、荒々しく響く衝撃音。
ビリビリと肌を伝う緊張感と、高揚感。
レベルの高いポケモン同士のバトルは周囲に、自然に影響を与えるほどの威力で。
ここだけが季節を無視した無法地帯になっている。
距離を開け対峙する二人の年は親子以上に離れていて、そして素の造形や雰囲気は全く重ならないのに、この一時だけは、とても似通って見えた。
それはきっと、肉食動物の狩りの最中。
獰猛な、逃がすものかと獲物を定めたその瞳が、爛々と煌いていた。
激しいバトルだ。
すれ違う一瞬で交わされた攻撃の余波は甚大で、私は耐えるのに精一杯なのに。
気にならないとばかりに、そんなもの感じ無いとばかりに目まぐるしく出される技の指示に淀みはない。
何を狙っての攻撃技で、合間に挟まれる補助技の効果を最大限に利用して、どう回避させると次に繋がるのかと、頭が焼き切れそうなくらいにくるくる変わる戦況を追う。
その攻防に付いて行くのが今の私の限界で、その先を読みとる事が出来なくて、悔しい。
でも、それでも。
いつかこんなバトルがしてみたいと思った。
こんなすごいバトルをやりたいと魅入った。
ドォンと、空気が揺れを伝える。
ドシンと、倒れる音が聞こえた。
土煙が晴れて、傷付きながらもそこに堂々と立っていたのは、ワォオオォオォンと、勝利の咆哮を上げた。
ウインディ。
ほのおタイプで、分類はでんせつポケモン。
でも、そうでなくとも
だって、そう。
それは、
王座に居たのは一瞬だけ、打ち負かされた相手は同日に旅立った
それでも著名人たる祖父の威光を掻き消すように、自らの実力をカントー地方に轟かせた。
その少年は、グリーンという。
そして聞いてくれ。
とても重要なことだから。
なぜグリーンさんがここにいるのか、なんてことじゃない。
なんと、このグリーンさん、
「うんうんなるほど。やっぱりバトル
「だぁからこの俺がわざわざこんな島まで来たんだろ」
「こら、こんな島なんて言うんじゃないよ。とってもいい所だろう?ね、フルーラちゃん」
「いや私的には不便極まりない島だと思います」
「ほら、島民が言ってんぞ」
「おやおや」
こ え が 小 林 ○ 子 !!
いやなんでぇ!?
その声はシゲルじゃん?!
絶対これサートシくぅんの声じゃん!??
江○拓也さんとか福○潤さんとか逢坂○太さんとかじゃないのなんで!!?
イケボ期待してたのになぁっ!!!!
いやまぁ確かにね?ワタルさんが千○進歩さんだったしね?アニメボイスだなって思ったけどね??
シゲルとグリーンは別物じゃん???
と、まぁ、ね。
心の中で叫んだから、多少は落ち着いたと思いたい。
いやでも、やっぱちょっと…うん。
…声変わりに期待しよう。
そして、はい。
さっきスルーした本題ね。
どうしてグリーンさんがこのアーシア島にいるのか。
簡単に言うと、研修。
来期からジムリーダーを担う為に勉強にきているのだ。
その教鞭を振るうのは、リーグより派遣された護衛任務を請け負っているおじさんスタッフ。
なんとびっくりなことに、実はこのおじさんスタッフさんは、
つまりサカキ氏の前任。
トキワのジムリーダーが捕まり、そして不在のまま早一年。
隣のニビや比較的近場のタマムシのジムリーダーが手を貸してくれていたものの、流石にこれ以上不在だとトキワの森等の周辺の治安維持などに問題が出る。
新規ジムリーダーを募ろうにも、トキワのジムリーダー業務には
そうでなくともトキワジムはチャンピオンロード、もといセキエイ高原のお膝元で、カントー地方最後のジムとして相応のレベルが求められる。
そこで白羽の矢が立ったのがチャンピオンを辞退した少年達。
実力は当然のことながら、ポケモンの知識も豊富で申し分ない。
そうして
そうこうして就任しようにも、ジムリーダー業務を引き継ぐ相手が、前任が居ない。
ので。
前任の前任であるおじさんスタッフの元に訪れた、という訳である。
多分チャンピオン連続辞退の件とか、トキワジムリーダー逮捕に至った経緯とか、その他諸々の事情を含んだお話しをしたんだろうな、と。
色々とぼかされて聞いた話を勝手に自己補完するとこんな感じ。
グリーンさんは普通の、勝つためのバトルは文句なしに強い。
けれどジム戦を模したバトルをするには
という訳で。
手加減の仕方をバトルしながら学びましょう、と言うのがさっきのバトル。
いやぶっちゃけ#手加減、とは。なバトルでしたけどね?
相手に合わせてポケモンの強さを調整するなんてこの島じゃ無理ですけども。
それでも迫力満点な見てて楽しいバトルでしたけど。
そんなゆるーい指導を真剣に受けるグリーンさんを改めて観察。
しながら手元をもふもふ。
「ぶい?」
「んー。君のご主人はストイックだなぁって」
「ぇぶい!」
「よしよし。君はかぁいいねぇ」
嬉しそうにふわりと揺れた尻尾に、頬が緩む。
大きな長い耳、茶色の体躯にボリュームある胸元の白い毛。
しんかポケモン、イーブイ。
かわいい見た目で愛玩のペットポケモンとしても人気の高い、ポケモンだ。
でもこのイーブイは、かわいいだけではない。
丁寧にケアされていると分かるとてもふわっふわの毛並みはクセになるくらいに気持ち良い。
けれど、撫でる手から伝わる確かな筋肉がこの子の強さを教えてくれる。
雰囲気というか、リラックスしているようで周囲へ警戒を怠らない用心深さとか、ね。
「んー…君、あのウインディといい勝負しそう…いや寧ろ若干、君のが強い…?」
「お、よく分かったな。個体レベルだとこのイーブイのが高いんだぜ」
「ヒァ°ッ」
「あ?なんつった??」
び、びっくりした。
イーブイもふりに癒やされてたら突然のグリーンさんで変な悲鳴でた。
うわメッチャ恥ずかしい…
あー…ご主人に擦り寄るイーブイかぁいいんじゃあ…
「ま、コイツの強さがちゃんと分かるってことは噂通り巫女の目は確かな訳か」
「え」
「やっぱりワタル君から何か言われたのかい?」
「まぁ…ジムリーダー業務を学ぶついでに巫女殿と交流して来るといい、って」
「それはまた面白いことを…」
いや、え、なに。
なんて?
グリーンさんがこの島に来たのってワタルさんの差し金だったの??
って待っておじさん!何さ面白いことって!!
遺憾の意!
「お前の相棒ってあそこで日向ぼっこしてるヤドンだろ?」
「え、はい、そうです」
「ふーん…どう育てるか、もう決めてんのか?」
「一応…」
「言ってみ」
「え」
「言え」
「はいっ」
いや何唐突に。
なんか怖いし…
けど、まぁ、うん、ヤドンの育成でしょ?
「ヤドンがヤドキングに成りたいって言ってたのと、特性のこともあるので、物防を上げて…だから一撃は絶対耐えれる要塞型…素早さは低いから、トリックルーム覚えさせて、で、先制逆転させて、特攻でドカンと決めるか、デバフかけて交代させる感じ…です」
「…へぇ」
「ぅわぁぉ」
にんまり。
そんな笑顔を向けられて、思わず後退る。
一歩、踏み出されて距離は無くなってしまった。
いや足のコンパスー!
カントー人の癖に足長いなこの人!!
なんて思った、ら。
「いるか?トリックルームのわざマシン」
「へ」
「だから、わざマシン。ちょうど持ってるんだよ。いるか?」
「ほ、欲しいです!!」
うっそマジで?!
…あ!そっか!そうじゃん!
HGSSでジム戦後にくれるやつ!!
トリックルームじゃんね?!
やっほい!!!
「コイツ、今いくつだっけ」
「もうすぐ8歳になるって聞いたよ」
「へぇ…この年でこんだけ育成論立てれんなら、いいな」
「ふふふ…ワタル君と似たような事言ってるよ」
「げっ…まじかよ…」
そんな会話してたなんて知らない。
知らないったら知らない。
兎にも角にも!
これでヤドンの戦い方に進歩が!!
よっし頑張るぞー!