はめられた。
いや別に悪い意味ではないけど。
なんなら仲間外れにされた、が正しい表現だとも思うけど。
でもさ、けどさ、いやさ。
予感っていうか予想っていうか察してはいたよ。
だからってさぁー…
「つまりおじさんもお兄さんも共犯だった訳ですね。というかお兄さんが計画しました?」
「あははー…正解」
「ならおじさんはこの島で根回ししてたと推測しますが実際は?」
「うん、当たってるね」
「ワタルさんも一枚噛んでるとみた」
「それはほら、僕の上司だもの…一応報告しないとね?」
「そして私がヘッタクソな演技してるのが元長老様方へのヘイト値…反感集めに役立った訳ですか」
「あはー…よく気付いたねー」
「なんか企ててるような感じはあったので。ただ気付いたっていうよりお兄さんならやりそうだな、みたいな推測です」
「ぁー…これは、信頼されてる…?」
「国際警察として自分の性格を把握されるのは不味いと思うよ?」
「あははー……ですよね…」
餌にされて、そして蚊帳の外にされると、なんか腹立たしいっていうかムカムカするというか…
安心して下さい、八つ当たりはしませんので。
怒ってるわけでもないので。
ていうかさぁー…
「祖父を見つけ出すのに約一年…同時進行で島民の方々と顔合わせて情報収集…何かしら事件が起きないよう監視して…不平不満を募らせつつ暴動が起きないよう宥めて…不穏な意思の誘導もといコントロール…そして必要な駒が揃ったから玉首の挿げ替え」
「「……」」
「悪の組織か何かです?」
「それは言い過ぎじゃないかな?!」
「え?」
どこが??
恐ろしいのはこれがリーグのご意向っていう。
しかも完全なる善意というか平和秩序の為。
でもやってることがとても犯罪的。
だってこれクーデターみたいなもんじゃん…?
暴力や武力に頼ってはないけど権力には頼ってる怒涛の政権交代…
まぁ島民の方々が納得してのことだしいいか。
行われたのは多分世間話(扇動)であって、説得(物理)じゃなかったと一応は信じてるから。
…いや説得(バトル)ならありえるのか?
………。
…うん、気にしないでおこう。
「っていうかよく見つけられましたね。私なんて祖父が存命なことすら知らなかったのに…」
「いやぁ実はそこまで見つけるのは大変じゃなかったみたいだよ?」
「そうなんですか?」
「蜜に引き寄せられてたとこを確保した、って言えば分かるかな」
「あははー確かにー。強烈な甘い蜜ですもんねー」
「…みつ」
うん?
もしかして…
「巫女の噂を聞いて、駆けつけたとこを、リーグの人に捕まった?」
「大正解ー!」
「事情を説明したらすぐに協力してくれると言ってくれたそうだよ」
「…そうだったんですか」
噂を垂れ流しにした元長老達は、その所業で己の首を締めた訳か。
ちゃんと口止めして秘密にしておけば、その座から引き摺り墜とされることもなかったのに。
と。
甘い香りじゃなくて甘い蜜って例える辺り、お兄さんもなかなか…いや、元はおじさんの例えか。
今日もエッジがきいた皮肉ですね…
「でも良かったねフルーラちゃん」
「なにがですか?」
「えっだってこれで旅に出れるでしょ?」
「えっ?」
「え?」
「きみ…もしかしなくても説明してないね?」
「あははー…いや、ヨウガンさんも同罪では…?」
「過失のなすり付け合いしないでください」
そんなことするより早く説明プリーズ。
まぁ、とどのつまり。
リーグは初めから長老一派を不要と見なしていたということ。
それはリーグ責任者としてワタルさんが来訪するより前に下された決断で、だからこそ確実にトップをすげ替える為に既に計画は動いていた。
だから私に、巫女に、ポケモンを持たせることも、将来的に旅に出られるという言葉も言えた。
なのだとか。
そもそもの大前提として。
伝説のポケモンに目をかけられた存在に、
何故なら、それこそ最大の理由になるのだから。
カントー地方のオレンジ諸島が最果ての島たるアーシア島、田舎も田舎で辺鄙な秘境。
そんな過疎も少子高齢化も進んでいる小さな島に何故こんなにも力を注ぐのか、という最大の理由。
それは海神として信仰されてるルギアだけでなく、サンダー、ファイヤー、フリーザーの三鳥も伝説とされているポケモンで。
なによりも、確認されている伝説のポケモンの内、その所在している場所が明確なのは、それだけで保護する価値が跳ね上がる。
治安の維持だけでなく、
つまりは、そう。
巫女の生死はまず置いておいて、目を掛けている巫女の自由意志を阻害したら、伝説のポケモンが怒らないとでも?
という声が、リーグでは早々に上がっていた訳だ。
……。
……うん。
………あのさ。
「はじめっから掌の上だったとか、こわっ!!!」
初対面の時なんかちょっと含みある笑顔だなぁとか思ってたけど、ワタルさん、ほんと、イイ性格してるね!?
今まで気付いてなかったのがほんと怖いんだけど!
ねぇちょっと!
お兄さんも!おじさんも!
なんでそんなに笑ってるのかな?!