巫女ってガラじゃない!!   作:山乃庵

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名前も顔も知らない誰かが

 長老が祖父に代わり、早数ヶ月。

 とても平和である。

 

 観光客は常時人数規制をかけられ、島民の親類外が長期滞在する場合は事前申請が必要になり、それに伴い観光客が宿泊する専用の施設が新たに作られた。

 また島の要所を案内する役職を作り、雷の島・火の島・氷の島へボートで巡るツアーや、玉を奉納する祭壇の見学できるツアーなども作られた。

 

 表向きは観光客(お客様)のおもてなし。

 実際は観光客(不穏分子)の監視と隔離。

 

 ()()として来ているからこそ、島の公的ツアーに参加しない()はとても目立つので、これが防犯にとても効果的だった。

 またツアーにすることで移動する道や人の波を一定に出来たのも大きな利点で、移動時間を管理し把握することで子供だけでも遊べるようになった。

 

 いや、本当にとても快適。

 

 周辺に暮らしているポケモン達も落ち着いた雰囲気になりつつある島に安心しているみたいだし。

 出合い頭バトルを仕掛けてくる観光客が多少なりとも居たことを知ってる身としてはホッと一安心。

 

 …え?ブーメラン?

 ナ、ナンノコトカナー??

 

 なお、これらの施策は祖父が長老となって早々に取り決め実行されたもの。

 まぁお察しの通り仕込み元はリーグの方々で、なんなら事務処理系やらの他にも色々叩き込んでいるという徹底ぶり。

 そのおかげで元一般民ながらも仕事等がしっかりできる長老になっている。

 

 と、それは置いておいて。

 

 

 「ねぇ松ちゃん」

 「なんや」

 「コレ…どういうこと?」

 「どうもなにもあらへんやろ」

 「いや、でもさぁ…」

 「やって見たまんまやん」

 「そうだけどぉ…」

 

 

 松ちゃんとのんびり散歩をして帰ってきたらなんか、あった。

 リビングに、ドーン、と。

 

 

 「これ、きのみブレンダーだよね?…え??我が家はコンテスト会場だった…??」

 

 

 なんでここにあるの???

 

 

 何度目を擦ってみても、個人的に懐かしく感じてしまう、青色のちょっと大きな機械が鎮座している。

 いや、どゆこと??

 

 圧倒的存在感をもつそれを視界から追い出しつつ、お姉ちゃんから手渡された紙を読む。

 うん。

 

 

 いやこれトリセツーー!

 

 

 あっ、これデボン製品なんだ。

 へぇー…っじゃないんだよ!

 いやもうハウトゥ知ってるんだわ!

 ゲーム版もアニメ版も履修済!!

 うっ懐かしのコンディション255ミロカロスたんマスター無双の記憶が…!

 なめらか計算式凡ミスして自爆した過去なんてないったらないんだからね!!

 そしてキットじゃない辺り今現在は(オメガ)(アルファ)でないとみた!

 そーいやすごいにじいろポロック量産したなー!

 

 って!!

 だから!!!

 そうじゃなくってぇ!!

 

 

 「どーしてここにあるのかなー?!」

 「しらんがな」

 

 

 ほんとにな!!

 

 

 宅配便を受け取ったお姉ちゃん曰く。

 差出人は滲んで読めず、けれど宛先名はギリ私だと分かる擦れ具合。

 付いてたメッセージカードには祝辞となぜか御礼の言葉、出来たら先にコッチを渡して欲しかった気がしなくもない。

 さらにはコレで作るといいよ、と配慮されたきのみ類は大量で、各種取り揃えてありますみたいなラインナップ。

 

 

 「んー……よし!」

 

 

 パチンッと頬を軽く叩いて切り替える。

 なした?と首を傾げる松ちゃんにとりあえずニッコリ笑顔を向ける。

 

 なにはともあれ、だ。

 

 

 「お兄さんとおじさん呼んで、レッツきのみブレンダー!」

 「なんや捻りのない掛け声やな」

 

 

 ちょっと松ちゃん、本家ポロックガチ勢じーさんに謝って??

 

 

 そんな訳で。

 

 

 ガチャンガチャンッと現役ポケモントレーナーの動体視力を駆使したクリティカル連打で出来た大量のポロックがこちら。

 とってもカラフル。

 ポケモン達はそれぞれ好きな味をもしゃもしゃしてる、かわいい。

 ピー助は楽しそうにジェ○ガしてる、かわいい。

 シミズさんはそれを見守りながらねんりきでサポートしてる、かわいい。

 みんなかわいい、とても眼福。

 

 ちなみにポロックはコンディションを整えるお菓子であって、ステータスマックスにしたらもう食べれないなんてことにはならない。

 そりゃそうだ。

 だって食べたら出るのが自然の摂理、出たなら食べれるのもまた当然の理ってね。

 元はきのみなんだから、栄養分を身体に取り込んでも蓄積され続ける訳がないってこと。

 

 ただ食べて数日の間は毛艶が良くなったり筋肉が付きやすくなったり…という効果はある。

 コンテストに出るトレーナーはポロック含めた食事管理を調整することでベストコンディションを作って大会に臨んでいるのだとか。

 

 トリセツにそんなことも書いてあった。

 

 なお人間が食べれる用のレシピも載ってたが基本的にポロックはきのみを砕いて濃縮(圧縮?)した製品だからか筋肉は正義(身体が資本)な職業の人か筋肉強火担(ボディビルダー)な人くらいしか進んで食べないお味だった。

 …興味本位で作った結果、3人それぞれ悶え苦しんだので本当に気をつけて欲しい。

 

 後日お兄さんが調べたレシピは普通におやつとして食べれたので、しばらく改造・改良・大生産して島の人達に配りまくった。

 トリセツェ…効果が高いヤツじゃなくて美味いヤツ載せておいてくれよぉ…

 

 ちなみに残り一枠の席はお兄さんのポケモンであるルカリオニキがオールクリティカルをキメてくれたので、ポロック自体の出来は素晴らしいモノだった。

 いじっぱりな性格で、力こそパワーを体現してるルカリオニキは、当ポケたっての希望で作ったオールマトマの実ポロックを至福の顔でもしゃもしゃしてる。

 ポケモンってすごい。(小並感)

 

 

 ところでさ。

 勢いに任せて大量生産しといてアレなんだけどさ。

 

 結局このきのみブレンダー、一体何処の何方がくれたんです???

 

 メッセージカードにあった祝の言葉から察するに誕生日プレゼント兼ねてるらしいけど、私の誕生日まだちょっと先なんですが?

 あとめちゃくそ丁寧にまるで例文みたいに御礼というか感謝の言葉が書いてあったけど、私なんかしました??

 全く記憶にないんですけど…

 

 

 ………ま、いっか。

 

 貰えるものは貰っておこう。

 

 松ちゃん達も嬉しそうに食べてることだしね…!

 

 

 

 

 

 

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