先日のポロックに合わせるきのみ選別が終わって一段落、本日は雲一つない晴天なり。
何種類か作った試作品を同品質で作れるようにポロック職人見繕って
ちなみにきのみブレンダーはこれからも日々使用することを考えてリビングから島の集会所へ移動させた。
そうして今日はタンカン島に来ている。
起きて早々な私と姉は無駄に元気な祖父に連れられ、あれよこれよと船に乗せられ約4時間、慣れもあるけど無駄に整ってるキャビンのおかげで船酔いは無いものの突然の強行に怒るよりも呆れ果てていた。
曰く、今日を逃すと次は来年まで待たねばならないらしい。
せめて前日に何か言ってよと姉はぼやいた。
私は聞こえるよう盛大に舌打ちしてやった。
しょげたじじぃなんぞしらん。
タンカン島に行くことは前々から聞いてたけど今日だとは聞いてないので致し方ない。
しかも起きてすぐ出発とかどアホでいらっしゃる?
ホウレンソウしっかりしてくれ?
素でちょっと抜けてるとこあるのは察してたけど悪化するからテンパるな。
そして余りに突発的なことだった為、早朝日向ぼっこしてた松ちゃんとサンパワーの補充中だったシミズさんを置いてきてしまった。
なのでバトルジャンキー2匹が本日のメンバーです。
ストッパー不在怖いよぉ…
ちなみに本日のお供はおじさんです。
上陸したものの未だにバケツとお友達になってる。
どうりで他の島に行く時同伴しない訳だよ…
ポケモンライドは酔わないけど長時間乗り物に揺られるのはダメらしい。
一瞬どこの滅○魔○士かなと思った私は悪くないと思う。
そして祖父から友人だと紹介されたポケモンウォッチャーのミドリカワさんと共に昼食をとり、お腹を満たしてちょっと歓談。
どうやら私達が連れて来られたのはお手伝いを兼ねているらしい。
饒舌に話すミドリカワさんと、それを興味深そうに聞いてる姉には悪いがちょっと待って欲しい。
私、ちゃんと覚えてるぞ、この島のこと。
だって、ミドリカワさんが、さっきからペラペラ喋ってること、めっちゃ聞き覚えある。
ポケモンウォッチャーであるミドリカワさんが、長年観察し続けている、そのポケモン。
コイキング。
この島の中央にある湖で産卵し、孵り、海に行き、そして一年後に戻ってくるコイキング達。
そのコイキング達が川を上り、滝を上り、湖に到達する日が今日なのだとか。
私は察した。
祖父が、私達に見せたいモノを。
頼りのおじさんは、昼食も食べれず瀕死の状態だったので、復活したら合流ということになった。
一応の保険としてガラガラをつけてくれたけど、今回は立地含めて相性が悪いから正直頼りにくい…
居ないよりマシだけど。
まぁそんな訳で、私達はコイキング達が何匹滝を登ったか数えるというお手伝いをすることになった。
んー…これはアニメとは違う展開…
まぁケンジくん居ないし、そうなるか…
詳しく思い出そうとして、ふとよぎる、眩い閃光。
そろそろ上がってくる頃だと、そう聞いて、背筋に悪寒が走った。
いや、うん、大丈夫。
だって、ムサコニャ居ないし…!
ピー助と椿さんも居るし、とりあえず問題ない。
と思いたい。
ーーーーービチビチビチビチィ!
そうこうして勢い良く飛び跳ねて来た、オレンジの体躯をもった、ポケモン。
まごうことなく、コイキングだ。
しかしながら、その数がエグい。
川の色がもはやオレンジ一色で、しかも激しく跳ねながら登るから本来の水の色がわからないくらい。
リアルで見ると、物凄い迫力。
というか、数の暴力。
この全てが滝を登ろうとしてる訳だ。
そして滝を登りきった個体が進化する…
多分スパトレみたいなもんかな。
たきのぼりがあったら一発だけど、コイキングはわざマシンもひでんマシンも使えないもんね…
息つく暇もなく登っては弾かれ落ちまた登るのを繰り返すその姿をひたすら観察。
必死に食らいつくように全力で滝に向かうコイキング達に、ちょっとテンションが上がってきた。
声は出さないけども思わず応援して、登りきった個体があると嬉しくもあって、感動的だった。
だって、あのコイキングだよ?
はねるしか持ち技がない、コイキングだよ?
すごくない??
しかもコイキングって、個体にもよるけど10㎏あるんだよ…?
それが滝登りしてるって、すごくない?
そんなこんなで全ての滝登りが終わる頃には既に夕暮れ時。
あとは湖に潜ってるコイキング達が進化するだけである。
そわそわと私達の反応伺ってる祖父には悪いけど、この回は見たから知ってるんだよね…
おそらくシミズさんの進化見れなくてショック受けてた私を元気付けようと思っての今日連れて来てくれたんだろうけど、見たかったのは自分の子達の進化であって、こーいうことじゃないんだよねーー…
そうして始まった進化の光景は、壮観だった。
次々と白く眩く発光し、肥大し、そして夕闇に馴染む青色の姿になる。
進化の光は湖に反射し輝いて、現れた青色を照らしては消えて、儚くもあって。
…うん。
キレイ。
素直に見れて良かったと思えた。
が。
その瞬間、ゾクリ、と背筋が凍る感覚がした。
「お、お姉ちゃん…」
「どうしたの?」
「…にげよう」
「へ?」
袖を引っ張り、意識を傾かせてくれた姉に、告げる。
「なんか…嫌な予感がする…」
どういうこと?と続けたらしいその声は、祖父の野太い破裂音でかき消えた。
「ぶぇーーーくしょんっ!!」
お ま え な に し て く れ と ん の じゃ ?!
慌てて祖父の口を押さえるミドリカワさん。
だがしかし、手遅れである。
だって。
コイキングが進化した姿、それ即ち、ギャラドス。
ギャラドス∶きょうあくポケモン。
気性が荒く、一度怒り出すと口からの破壊光線で周囲を破壊し尽くす凶暴なポケモン。
進化したてで、続々と立て続けに増えていくその青の巨体が一斉にコッチを見た。
つまり、後はもう、わかるな?
「…こっち、見てるね」
「見てるわね」
目の前の絶望を見てくれ。
私の予感大当たりだよ嬉しくないよ…!
昼中感じた悪寒は、もしかしてコレだったりする…?!
タイプ相性不利だというのに、スッと前に出て壁になってくれるガラガラは間違い無くイケメン。
ただ…種族的に小さいから向こう丸見えなんだよね。
「…こっち、近付いてきてるよね」
「近付いてきてるわね」
ぶるぶると震える私と姉は、もはや泣く寸前である。
というかこれ、正しくヤベェというヤツでは…?
しかもコッチに向かってくる数増えてるし…!
どうする?
今からでもピー助出して
いやでも数が多すぎて普通に無理。
2、3匹ならどうにかなりそうだけど、軽く10を超えてる相手じゃ無謀にもほどがある。
というか、君達を出すと悪化する未来しか見えないから却下。
いやでも、だったら、どうすりゃいいの??
というかおじさんいずこ???
ーーーーグギャアァアァアアァァ!!!
大きく開いた口、集まるエネルギーの光、その正面にいるのは、私達だ。
「「ひぇっ」」
ギュと抱き合って、悲鳴を飲み込む。
まって、まってまって!
なんで進化したてのギャラドスがはかいこうせん撃てるの?!
進化したなら今レベル20でしょ!?
はかいこうせんはレベル52で覚える技じゃないの?!
おかしいでしょ!?
湖の底に技マシンでもあるの!?
それともレベル50超えのコイキングだったとでもいうの?!
アッー!お客様!お止め下さい!!お客様!困ります!進化したてではかいこうせんはお止め下さい!!お客様!お客様ーっ!?アッーーーー!!!
「カイリュー、はかいこうせん!」
恐怖と混乱が一周回って思わずネタに走ったその瞬間、まばゆい閃光が視界を焼いた。
「え?」
「ふぁ?」
思わずもれた惚けた声を許してほしい。
バサリと降り立った大きな影。
だいだい色の巨体、体躯に比べ小さめな翼、頭から生えた二本の触角。
間違いなく、カイリューだ。
「君達、大丈夫だったか?」
「は、はい…」
「うん…」
カイリュー、はかいこうせん!の台詞に一瞬ワタルさんかと思ったけど明らかに別人だね??
お姉ちゃんより年上っぽいけど、え、だれ。
でもなんか既視感あるし…
ほう?
ユウジさん、とな??
今期開催されるオレンジリーグの為に手持ちの最終調整中だった??
んー…?
黒髪オールバックに、モンボのネックレス…
で、この声は…たぶん、遊○さん?
…んん?
カイリュー使いの、○佐さん…?
あっ!!
あぁーーっ!わかった!!思い出した!!!
チートカイリュー使いじゃん!!!
10コ技を覚えてるガチチート!!
ノースリーブじゃないから気付かなかった!!
お姉ちゃん!呑気に会話してるけどその人オレンジリーグのヘッドリーダー!!!
この!オレンジ諸島の!!チャンピオン的存在の人だよ!!!
貴方の先鋒メタモンに毒されて厳選オールメタモンパーティで殿堂入りした記憶が走馬灯のように蘇ってきて泣きそう!!!!
でも助かったからありがとうございます!!
この涙は黒歴史から来るものではなくて!助かって安心したからの涙なので!!
だから!!
お気になさらず!!!(ひぇっ声がいい…)