ずしん…ずしん…ずしん…
と、歩く度に心做しか揺れる足元に気を付けつつやっと到着した本日の宿泊予定の町。
しかしながら視線が痛い。
いや注目の的なのは私達の後ろを陣取ってるカビゴンなんだけど。
カビゴンの平気身長は2.1m、体重は460kgのハズなんだけど、このこ目測2.5m余裕で超えてるんだけどビックサイズだよね??
成長し過ぎでは???
栄養のあるものいっぱい食べましたってか??
高い高ーいってやられた瞬間地上3m超えたあの瞬間はマジで生きた心地しなかった。
ほんとにこわかったんだからな。
ところで私達を案内してくれている青年ことカラクサさん、カビゴンと物凄く仲良くなってるんだけど…
トレーナーの手持ちになったからって、暴れないとは限らないんだよ?
大丈夫?ちゃんと知ってる??
「んでさ、何で役所じゃなくてポケセンに行くんだ?」
そう、町民の視線を集めながら向かう先はポケセン。
バタバタしてるであろう役所じゃないんです。
いやだってさぁ…
「ヒビキくんと違ってポケモン図鑑持ってないからね」
「…ん?それ関係あんの??」
え…マジで言ってる?
いや、マジで言ってる顔だね??
思わず半目になった。
君ってばほんとよく旅に出れたね?
というか図鑑持ちの弊害だったりする??
「ポケモンが病気もってたりしないか検査する為と捕獲申請の為だよ。図鑑持ってたら検査は簡易的にやってくれるし、申請も自動的にやってくれるけど、そうじゃないと手続きが必要なの」
「へぇー…」
「…トレーナーズスクールで絶対に教わることだよ」
「へ、へぇ…」
おいコラ、目を逸らすんじゃない。
そもそもトレーナーは年に一回持ちポケモン全てに種族別の予防接種受けさせる義務があるし、その費用は自己負担なんだぞ。
ジョウトとカントーは陸続きだから免除されてるけど、海を跨いだ地方を行き来するトレーナーは検疫とかもっと面倒な手続きとかあるんだよ?
当然自己負担で!!
一応リーグから金銭的援助があるけど、強さに見合った補償なので。
例えるならバッヂ2個所持のトレーナーなら、リーグは3匹分まで補助してくれる。
実力に合った分だけしか出さないので、もしこのトレーナーがボックス含めて20匹とか捕獲していたら 17匹は自分で全額支払うことになる。
トレーナーはお金がかかる職業でもあるんだ…
その分トップトレーナーはとても稼げるけど…
ちなみに。
博士や研究機関から依頼されて捕獲する場合、おや登録はトレーナーだけど、所有権は博士や研究機関なので支払いは向こう持ち。
なんなら捕まえるのにかかったボール代も負担してくれるよ!
そういえば病原菌対策の下りで思ったんだけど、ポケルスの扱いってどうなってるんだろう…
ゲームだと4日で死滅する基礎ポイント倍増させるお役立ち病原体だけど。
アニポケだと確か戦闘能力が強化するウイルス扱いだったような…?
色違いヘラクロスコマンド押し間違えて倒しちゃったら感染してたんだよなぁ…確率ェ…ピンクェ…
とまぁそんな話はおいておいて…
もしかしてヒビキくんがそういう手続きとか忘れそうだから図鑑を渡された…とか?
…若干ありえそうではある。
将来有望なトレーナーにあの手この手で恩を売りつけようとリーグの先行投資っぽいよね!
まっ私には関係ないことだしいいけどね。
別に羨ましくなんてないんだからね!!
そんな訳でポケセン到着ー。
ついでに皆も回復しておいでー。
あっジョーイさん、すみませんけど小部屋お借りしてもいいですかー?
ありがとうございまーす。
さて。
「んじゃ、とりあえずヒビキくんは昨日の復習しててね。後でテストするから」
「げっ」
「カラクサさんは私とお話ししましょう!」
「へ?あっはい!えっでも何を…」
「後でジュンサーさんとか来ると思うのでその打ち合わせを」
「え」
カラクサさん居たから一応不法侵入じゃないけど、権兵衛さん捕まえた場所って私有地だったし…
バトルしてないから土地荒らしてないけど、捕まえた権兵衛さんが諸々やらかしている訳ですし…
もし既に害獣指定されてたら、ちょーっと面倒な事になので…
まぁそれよりも件のトレーナーの方がよっぽど問題なんだけど…
そんな訳で。
カラクサさんと雑談交えて擦り合わせしつつ、ヒビキくんにテスト作って受けさせて、ラッキーが回復し終えたボールを持ってきてくれたのでお礼にきのみをあげて、テストの採点しつつカラクサさんに野生ポケモンの危険性を説きつつ、権兵衛さんから松ちゃん経由で事情聴取したり、ヒビキくんに追試受けさせながら次のテストを作成して…
と。
約2時間なかなかに忙しかった。
打ち止め理由はジョーイさんがジュンサーさんと役所の方が来ていると教えてくれたから。
はい予想通りー!
さてさて。
悪いことしてないからどんとこーい!
って、思ってたんだけどなぁ…?!
なぁぁあんでカビゴン捕まえる為に偽トレーナーに依頼しただのトンチンカンな冤罪かけられなアカンの??
頭オカシイんじゃないのぉおおぉ???
思わずニッコリ笑って
落ち着けって?
オーケーオーケー、大丈夫大丈夫!
私、とっても冷静だもの!!
ん?おやおやぁ?
どーしてヒビキくんとカラクサさんは頬を引き攣らせてるのカナー??
とりあえず松ちゃん、息苦しいへるぷ。
ちゃんと丁寧にお話し合いするから手ぇ離してぇ…
そんな呆れたって感情送って来ないでよぉ…
はぁー…もー…そもそもの話さぁー。
「依頼で来たってトレーナーをちゃんと確認しなかったお役所さんの仕事が杜撰なだけじゃないですかー」
「ぅぐっ」
「しかもそのトレーナーに同行者着けなかったのなんて完全にお役所さんの不手際じゃないですかー」
「んぐぅっ」
「それにそれにぃ詐欺トレーナーがしたお粗末な仕事を即日確かめなかったのだってお役所さんの怠慢じゃないですかー」
「ぐふっ」
「カビゴンだって起こすために吹いた笛を気に入られただけでお役所さんの言うような捕まえる意思なんてなかったですしー」
「ゔっ」
「町に来て早々に難癖つけられてぇ、しかもジュンサーさん引き連れてとか早々に逮捕でもしたいみたいですよねぇ。もうほんと怪しすぎてぇ何か隠したいことでもあるんですかぁ?」
「っ…ぅ…」
「やだぁー!何か言って下さいよぉー図星みたいじゃないですかぁ!」
にこにこにこにこ。
笑顔で丁寧にお話ししてる私、偉い。
あらやだー。
どうして皆さんの頬が引き攣ってらっしゃるんですかねぇ?
仲のよろしいことですことー!
「そうだ。ジュンサーさんジュンサーさん」
「は、はいっ」
「私がゲットしたカビゴン、もう害獣登録されてたりしますかぁ?」
「い、いえ!まだ申請段階で止めてます!トレーナーにゲットされたポケモンと一致しているか確認した後に申請は取り下げさせていただきます!」
「あ、ほんとです?良かったですー」
にっこにこにこ。
私も頬が引き攣りそうだけと笑顔笑顔ーってね。
ジュンサーさんと役所の方からタラタラ汗が流れてるように見えるのは気の所為ということにして、どうしてヒビキくんとカラクサさんは壁際まで下がってるのかなー?
私、怒って、ないよ!
「あっ、そういえばお伝えしたい事があったんですよぉ!」
「なっ、なんでしょうか!」
「カビゴンから教えて貰ったことなんですけど、詐欺トレーナーさんは大きな音響機器持ってるみたいですよ」
「へ、ぇ?」
「なんでも農園のある私有地はラジオ等の電波が届かないようにしてるそうで。だからお休み中のカビゴンを起こすのにラジオのチャンネルを使うことは元々不可能だったんですよねぇ」
「はぁ…」
「詐欺トレーナーさん、準備良いですよねぇ。だってわざわざ音響機器を持ち込んで、カビゴンを大音量で叩き起こして、追い払ったんですもん」
あまりにもな爆音だったらしく、機械割れした音は不愉快にも程があり、ぶちギレた権兵衛さんは暴れ回り、そして機械音が嫌いになってしまったらしい。
うーん、これはギルティ。
それがどうした?という顔をしてる役所の方、鈍感すぎるので帰ってどうぞー。
何かを察した顔をしたジュンサーさん、一応頼りにしてますからねー。
まぁ、何が言いたいかっていうと。
「まるではじめから電波が届かないことを知ってたみたいですよねー!」
「!!」
一礼して慌てて出ていったジュンサーさんを見送り、クエスチョンマークを浮かべてる役所の方にはニッコリ笑って一言二言物申して問答無用でお帰りいただいて部屋はスッキリ。
…部屋の隅っこで何故か震えてるお二人さん、どした?
「お前、怖い…」
「え、どこが?」
ヒビキくんの言葉にガクガクと首を縦に振るカラクサさんの顔色が青白くってちょっと心配。
やだなぁもう、私二人には何もしてないじゃんねー?
というかさぁ、そんなこと言うけどさぁ…
「お役所仕事…職務怠慢は許されないでしょ?だって大人なんだから、
私の知ってる
それに冤罪かけられたらちゃんと晴らしておかないとね!
それからそれからぁ…
「権兵衛さんにトラウマ植え付けたトレーナーはギルティなので!」
にーっこり。
ポケモンに悪影響及ばした犯人はちゃあんと捕まえないといけないもんね!
お手伝いしようと思ったのにまさかこうなるなんて思わなかったけど!
まぁ、それはともかく…
「あ、ジョーイさーん!今日宿泊したいのでお願いしまーす!」
とりあえず今日の宿確保しないとだったわ。
後ろで怖っとぼやいてるの聞こえてるぞヒビキくん。
どこが怖いんだよ、ほんと失礼だなぁ…
さぁて、と。
明日までに何も進展してなかったら、どーしてやろっかなぁー!