巫女ってガラじゃない!!   作:山乃庵

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ドキドキしながら待ってない

 ちょっと小休憩(耳の回復)を挟んで、今度はヒビキくんのジムバトル!

 さっきまで両耳抑えて蹲ってたヒビキくんは今は脇腹を擦りながらバトルフィールドに立っている。

 

 え、何故擦ってるのか?

 それは権兵衛さんを笑った罪の贖罪ですね!

 

 まぁ軽くチョップしただけなのでバトルに影響はないだろうけど。

 

 

 さて。

 マチスさんとのバトルではHGSS強化版パーティだったのを踏まえて、おそらくアンズちゃんも同じだと思うのできっと出してくるだろうポケモンはこう。

 

 ドクロッグ、ドラピオン、クロバット、マタドガス、アリアドス、モルフォン。

 ちなみに全員レベル60未満。

 

 問題はそのうちのアリアドスとモルフォンを私が倒してしまったので、どうくるのかな、と。

 まぁアリアドスは強化前パーティに2体いたからそっちが来るだろうとは予想してるんだけど。

 

 ヒビキくんは昨日の時点でどくタイプのジムだと知って手持ちを変えていたのでバクフーン以外は知らないのでちょっと楽しみ。

 勉強の成果が出ていることを期待してるよ!

 

 

 「それではジムリーダーアンズ対挑戦者ヒビキのバトル、開始っ!」

 

 

 そんな訳で始まったバトル。

 

 ちなみに気絶しちゃった()審判の変わりにアヤさんが審判してくれてるよ!

 わーい!目の保養ー!

 

 

 アンズちゃんが出したポケモンは、ドクロッグ。

 まぁこれは予想通り。

 

 そしてヒビキくんが出したポケモンが…

 

 

 ……あの。

 …えっと……その…

 

 真っ黒な、つぶらな瞳が、目の前にあるんですけど。

 緑の体躯とご尊顔、黄色い嘴、白い翼の、ポケモンがいるんですけど。

 

 ええっと、どうしよう…

 ヒビキくんこっちガン見してるし…

 

 っていうか、あの、君、今からバトル…

 

 

 ーーースキ。

 

 

 「ファッ?!」

 

 

 頭に直接響いた声に、思わず声が出た。

 しかも全力の好意が伝わって来た。

 エスパータイプと相性が良いと自覚しているけどこれは予想外にもほどがある。

 

 

 ーーーカッタラ、ホメテ。

 ーーースキ、ナデテ。

 ーーートテモ、スキ。

 

 

 ?!!!?!??!?

 

 

 「いい加減にしぃや」

 

 

 パァンとボールが開いて、赤い光が形を作った瞬間、松ちゃんの声がして、目の前のポケモンが、ぶっ飛んだ。

 

 

 「ま、松ちゃぁん…」

 「…まぁ仕方なしや。落ち着きぃ」

 「あぅ…まっちゃ、しゅきぃ…」

 「ん、知っとる」

 

 

 ぎゅぅううぅうぅううぅぅっ!

 

 と。

 いつものように抱き着いて落ち着こうとしてるんだけど視線が、視線がぁ…!

 

 アンズちゃんもアヤさんもヒビキくんもこっち見てるんだけどそうじゃなくってさ。

 

 

 じーーーーーーーーーーーっと。

 

 

 いつもの半目は何処行ったと言わんばかりにかっぴらいてる目が怖いんだよぉ…!

 ずっと好意しか流れてこないけど、純度100%の好意だからなんか怖いんだよぉおぉおお…!

 

 あっ今松ちゃんに敵意向けたな?!

 松ちゃんは私の最高で最優で最愛の相棒なんだかんな?!!

 おこだぞ!!?

 

 

 べしっ!

 

 

 「あいたっ」

 「…こっちは気にせんでええから、はよバトルしぃや」

 「あっはい」

 「わ、わかったわ」

 

 

 なんかもうぐっだぐだな空気にしちゃってごめんなさい…

 

 しぶしぶといった感じでドクロッグに対面してる、ヒビキくんのポケモンことネイティオ。

 

 エスパー、ひこうの複合タイプ。

 どくタイプのジムで、むしタイプのポケモンも出してくるこのジムでは正しい選出ではある。

 ドクロッグに関してはかくとうタイプでもあるからエスパーは4倍ダメージだしね。

 

 …けど。

 

 その背中からなんか、こう、ゴゴゴゴゴッて感じのエフェクトが見えるの気の所為…?

 なんでいきなり私の所に来たの…?

 

 んー…?

 エスパー、ひこうの複合タイプ、だから、とか?

 いやでもそれだけで純度100%の好意になる…?

 そもそも野生ならまだしも、ヒビキくんが捕まえたポケモンだっていうのに…?

 え…そんなことある…??

 

 べしっ…べしっ…

 と、尻尾で床を叩きながら不機嫌を隠さない松ちゃん。

 気にせず抱き着きながら原因を考えるけど、思い当たる理由がソレ(タイプ)しかないんだけど…

 

 えぇー…マ?

 もしこれが当たってるとしたら、アルフの遺跡ら辺、近づいたらどうなるの…?

 コロモリ生息してる洞窟とか、あと、シンボラーとか…

 えっどうなの、どうなるの??

 

 

 なんてぐるぐるずっと考えてたら、めっちゃバトル進んでた。

 気付いたらバトルフィールドにネイティオとニドクインが居たからびっくり。

 

 えっアンズちゃん何体目です??

 もしかしてずっとネイティオ無双してるの??

 ひぇっなんか背中ゾワゾワするぅ…

 

 

 あー…でも、ニドクインか。

 

 と、いうことはもしかして…

 PWTのメンバーから選出かな?

 いや、色々育てているなかから選出してるんだろうけど。

 

 あれはレベル50固定だけど、あのニドクイン、みる限りエースだろうモルフォンと同じくらい育てられてるとみた。

 でも、その…

 

 どく・じめんって、エスパー・ひこうだと辛くない…?

 確か10万ボルトとれいとうビーム覚えてたと思うけど…

 

 あっれいとうビーム…

 

 ………うん。

 

 めっちゃキレイに避けるやん…?

 しかもヒビキくんの指示なかったね??

 

 

 思わず宇宙を背負った私を正気に戻したのは、べしんっと一際大きく鳴らされた、松ちゃんの尻尾の音。

 

 一定のリズムを刻む松ちゃんの尻尾。

 …松ちゃん、ずっと不機嫌ね…?

 でもごめんね、抱き着くのは止めれないです…

 

 いくら効果抜群で攻撃を与えれてもレベル的に多少梃子摺るような感じなのに、なんかのバフでもかかってるのか無双してるネイティオ…

 

 ヒビキくんの指示、一応聞いてるみたいだけど…

 

 

 あの…

 倒したからって、こっちみてドヤ顔やめて…

 あなたのアイデンティティって無表情じゃないの…?

 虚無顔どこいった…

 

 なんのアピールなの…

 

 

 

 ーーースキ。

 

 

 

 「ひぃあっ」

 

 

 ぞわってした。

 

 好意なのはわかるのに、なにこれぇ…

 なんかこう、身の危険?みたいな??の感じる。

 なんでぇ…??

 

 

 「…ほんまええ加減にせんと、潰すぞ」

 「ま、松ちゃん???」

 「フルーラは後ろおってな。そんで何があっても、喋んなや。わかったか」

 「えっ?」

 「わ・か・っ・た・か」

 「はいっ」

 

 

 ゾッとした。

 松ちゃんこれ不機嫌通り越してガチ切れじゃん。

 もう冷や汗かきすぎてガチで寒くなってきたんだけど。

 あっ寒いのはれいとうビー厶の影響??

 

 ……ソッカーー!

 

 ぷるぷる震えながら、松ちゃんに抱き着きながら、後ろに回る。

 いやもうなんていうか後ろにいろって言われたけど、松ちゃんから離れたらそれこそジ・エンドみたいな感覚するからもう無理。

 

 何が起こってるの…

 

 

 そんなこんなで物理的にバトルを見ることが出来なくなったけれども、アンズちゃんとヒビキくんの声を聞きつつ戦況を想像。

 

 …うん。

 アンズちゃん、お疲れ様でした…

 ヒビキくんも、なんか、お疲れ…

 

 

 「しょ、勝者、挑戦者ヒビキ!」

 

 

 わー…

 アヤさんの戸惑いボイスとか貴重じゃない…?

 

 なんて現実逃避した、次の瞬間。

 

 

 ーーースキ。

 

 

 「〜っ!」

 

 

 頭に響く、声。

 さっきよりも強く反響して聞こえる。

 伝わってくる好意も、なんて言うか、こう…

 

 …ドロドロしてる??

 

 向けられている感情を正確に把握しようと、意識して頭を回す。

 っていうか意識しないと、声に集中してしまう…

 

 うぅん…これ、もしかして強制されてる…?

 

 

 「えぇ加減にせぇよワレ」

 「トゥートゥー!」

 「こんドアホ。種族考ぇや!」

 「トゥ、トゥー!!」

 「おのれと一緒にすなや!!念も飛ばすな!洗脳すな!!」

 「トゥ?トゥートゥーッ!」

 「あ"?ぶっ潰すどワレ」

 「トゥー…?」

 

 

 すみません…あの…

 とても…怖いです…

 松ちゃんの声、ひっくいし…

 ネイティオもなんか、ドロドロ感情がこう、粘着性あるものになってきてるし…

 喧嘩?売った松ちゃんにやんのかゴラァって言ったの分かったし…

 

 なんなの、なんなの…

 

 

 「戻れネイティオ!!」

 「ドゥ"ードゥ"ー!!!」

 

 

 ガタガタガタガタ!!!!

 

 ひえっ。

 見たこと無いくらい揺れてる…

 っていうか、え?

 ハイパーボール…?

 あっロックかけてくれた…

 

 

 「あー…その…なんか、悪ぃ…」

 「ほんまになぁ…ソイツ、後でシメるかんな」

 「ま、松ちゃん?ねぇどしたの…?」

 「…フルーラは手持ちみんなと一緒におってや。ちゃんとハナシつけたるから、安心しぃ」

 「どこに安心すればいいのかな???」 

 

 

 そんなぐっだぐだなよく分からない空気の中、なんとかポケセンに戻り、松ちゃん希望のもと、ネイティオとタイマン…

 もとい話し合いをする為に一室を借り、その間ずっとシミズさんが松ちゃん達のいる部屋を睨みつけていたのが印象的で…

 

 時々バキッ?パキッ?みたいな音がしたり、何故か聞き取れない叫び声?怒声?が響いてきたりして…

 

 

 約1時間。

 出てきたネイティオは、どこかしょげていて。

 そのかわり松ちゃんは満足げで。

 

 シミズさん筆頭に手持ちの子達が松ちゃんを良くやった、と褒め称えていて…

 

 

 「あの…だから、なんだったの…?」

 

 

 思わずそう呟いた私に、

 

 

 「いや、お前意外と鈍感なのな?」

 

 

 と、ヒビキくんに真顔で言われたから反射でド突いた。

 

 

 

 

 







トゥートゥー…


ーーーースキ!(挨拶)
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