「バクフーン戦闘不能!よって勝者フルーラ!!」
「ッしゃオラ!ピー助サイコー!!」
「チョピーーーッ!」
「あ"ぁあ"ぁ"ああ"ぁ"ぁ?!ウソだろマジかよすまねぇバクフーン!!」
罅割れたりも凸凹もしてない、砂埃は立ってるものの本当にバトルをしてたのかという、バトル開始前と大差ないキレイな状態のフィールドには、たしかに目を回して傷を負い倒れたバクフーンがいる。
対してほんの少しだけ傷を負ったもののほぼ無傷に近しい元気な勝者は判定の声を聞いて嬉しそうに羽ばたき優雅に空を一周、興奮そのままに可愛い咆哮をあげたトゲキッスは今日も絶好調のようでなにより。
1vs1、持ち物あり、道具なしのバトル。
滑空してきたプリティなピー助をぎゅっと抱き寄せて、土埃やら気にせず全力スキンシップで褒め労る。
指示通りにバトル出来て偉いねぇ…!
楽しかった?
そっかそっか、今度はもっと楽しいバトルしようねぇ…!
んふふふふ…!
「あー…なんだ。今回の敗因は…ってか、もう…なんだコレ。バトルってかただの蹂躙じゃねぇか…?」
「む。それは異議アリです。これは洗練され計算し尽くされた戦術です。まさしく最強のトゲキッスの姿です」
「…………いやまぁ、たしかに戦術としては完成されてんだけどな…?」
「さいあくのせんじゅつだろぉ…!!」
「はぁん?ヒビキくんにはこの美しい戦術が理解出来ないの??脳筋ゴリ押ししか出来てない人は黙ってな?全力でポケモンの特性・技・能力を活かしてこそバトルトレーナーの本領でしょうが」
「ゔぁァア゙ァ゙ァん゙!お前まじで性格悪ぃ゙ぃ゙い゙ぃい゙っ!!」
「ア゙?懇切丁寧にタイプ相性その他諸々教えてあげてる私にそーいう事言う??明日から合格点80以上にするよ?」
「んア゙ァァ゙ァぁ゙ア゙ァあ゙ぁ゙ごめ゙ん゙な゙ざい゙ぃい゙ぃ゙ぃ゙!!!!」
これが負け犬の遠吠え。
ハハッ哀れだな。
まぁ白い悪魔な戦術はリアルでもイケると分かったのは良い収穫。
ゲームと違ってレベル差は当然だけど、その場の環境やらトレーナーの判断力やらその他諸々考えないとポシャる可能性は無きにしもあらずだけど。
ターン制じゃないからマジでトレーナー次第な戦術なんだよねぇ…
でもまぁうん。
フハハハハ!ずっと
ってやってちょっと私も楽しかった。
ちなみに今回持たせた道具はするどいくちばし。
ひこうタイプの攻撃技を1.2倍にする効果がある。
1vs1だったし、素早さ負けてるけどまひらせてしまえば後はこっちのもんだったけど、レベル差的に削るのにバフが欲しかったので。
ピー助は初手回避に専念して貰ったけど、傷を負ったのはその時だけで後はピー助の独壇場だったので今回は理想的なまひるみだったのではと満足満足。
なお2階席にて観戦してたトキワのジムトレーナーさん達は見てわかるドン引き顔を晒してる。
グリーンさんは戦術として認めてくれたんだから柔軟に受け入れよ?ほかにも害悪な戦術はあるんだよ?
「でもヒビキくん、実際コレ勉強になったでしょ?」
「こんな一方的なバトルで何を学べってーんだよ?!」
「レベル差があろうが戦い方次第では相手を蹂躙出来るし勝てるってことだよ」
「つっても余りにも発想がゲスすぎ。どう教えられたらこんな戦術思いつくんだよ」
「グリーンさんは知ってるかと思いますが、私のバトルの師匠はヨウガンさんとお兄さんですよ」
「なら仕方ねぇな」
納得されちゃった(テヘペロ)
ちなみに今回のバトルは、バッジは揃ってないからジムバトルは出来ないけどどれだけ成長したのか知りたいっていうのと…
例の資格の一次二次と受かってしまってるので一応現状のバトルの腕を把握したい…
っていうグリーンさんの要望から。
グリーンさんとバトルするのでも良かったけど、それだとヒビキくんが拗ねそうだったからね…
審判してるグリーンさんとか貴重では?
グリーンさんが下さったタマゴから生まれたピー助の!活躍を!!見て!!
という感じでつい全力を尽くしてみた結果でもある。
当ポケもはりきってたから満を持しての活躍です。
なお知っての通り特性はてんのめぐみなので。
はりきりではないので。
メッチャやる気に満ちてたとはいえ圧勝しちゃってゴメンね!!
そんなこんなでジムの回復機を使わせて貰って手持ちの子達の体調は問題なし。
そろそろお暇して次の町に行こうかと、ヒビキくんをせっついて。
ジムの出入り口にてグリーンさん筆頭にジムトレーナーの方々に見送られ足を踏み出した、その時。
バサリ、と。
私達の前に、大きなだいだい色が降り立った。
珍しいポケモンとはいえ、個人的に見慣れたその存在に驚きはしたものの、ふと浮かぶ疑問。
はて。
ワタルさんかはたまたユウジさんか。
何か緊急の用事でもあるのだろうかと見上げて、思わず固まった。
人懐っこい笑顔をした、そのポケモン。
帽子と肩掛け鞄を持った、郵便屋さんスタイルの、そのポケモン。
ニコニコしながらずいっと手紙を差し出してくる、そのポケモン。
その存在に、困惑し戸惑う。
差し出されたソレを拒否するように、思わず一歩下がった私がどう見えたのか。
スッと間に入ってくれたのはグリーンさんで、ついでにと手紙を受け取っていた。
仕事を終えたらしいその子は、降り立った時より力強く羽ばたいて、颯爽と飛び立って行く。
それを目で追って、完全に見えなくなったところで肩を叩かれ、ハッと、息を吐いた。
緊張から身体が強張って震え、背中には冷や汗と、正直立ってるだけで全力な状態。
だって、これはあまりにも予想外で、どうしたらいいのかわからない。
「おい、大丈夫か?」
「だ、いじょ…ばない…です…」
「だろうな。おい、一旦ジム戻るぞ」
「は、い」
「……しゃーねぇな」
ひょい、と。
身体が浮いた。
膝裏と、背中に、温かな温度。
視界にグリーンさんの顔面アップ。
「??!?!!?」
「大人しくしてろよ?流石に暴れられたら落としちまう」
「ひゃい…」
スタスタと、さっきとは違う意味で硬直した私を運ぶグリーンさんに、若干生暖かい眼差しのジムトレーナーさん達。
やめて…そんな目でみないで…
羞恥で死にそうな私を気にもしてないのか、ソファに座らせられて、膝に毛布を掛け、あったかいお茶まで手に持たされて、甲斐甲斐しく世話をやくグリーンさん。
よくわかってないだろうにソレを手伝うヒビキくんとジムトレーナーさん。
あ、お茶美味しい…ほっとする…
「…落ち着いたな?」
「ふぁい…」
心配したと眼が語ってるし、実際さっきまでの行動はそうとしか取れないので、受け入れたし尽くされた訳で。
震えも治まったし、緊張も解れてきたし、身体的には問題ない。
「で。あのカイリューになんかあんのか?それともこの手紙か?」
まぁ当然、聞かれるだろうその疑問に、なんと返すべきなのか。
でも、けれど、だ。
「…手紙では、ないです」
「じゃあカイリューか?」
「………はい」
「話せるか?」
「はい…あのカイリュー、から…憎悪と、嫌悪…とか、怨み恨み、の、感情が…流れて、きて……それで…その…」
言い淀むのは、自分でも呑み込みきれてないから。
本当に、驚いたのだ。
どうして、なんで、と。
疑問ではなくて、困惑した。
「あのカイリューは、人工的に作られた存在です」
どうして分かったのか、なんで分かるのか。
自分に対して、戸惑ったのだ。
劇場版、スタート…!