巫女ってガラじゃない!!   作:山乃庵

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反省会はじめっ!

 ふっと目を覚ましたら、木目調の天井が目に入った。

 多分だけど、ここは島唯一の診療所。

 

 最後の記憶は、宗教画よりも神秘的な海神の姿。

 

 海上に浮き上がった記憶も、島に辿り着きた記憶もない。

 だからきっと、私はあの後気絶したんだと思う。

 

 なんだっけ。

 ブラックアウト…だっけ?

 原因は…酸欠、じゃないな。

 急激な水圧変化…?急浮上…?が原因?の…なんやかんや、かな??

 うーん、うろ覚え。

 けどまぁ、そんな感じだろう。

 

 軽くだけどズキズキと痛む頭で、そんなことを考える。

 

 周りに人の気配はなく、けど、居るのは分かったから、口を開く。

 

 

 「松ちゃん」

 「なんや」

 「私どれくらい寝てた?」

 「二時間くらいやな」

 「そっか…」

 

 

 気絶してから起きるまでの時間として短いのか長いのかは分からないけど、ちょっと頭痛とだるさがあるくらいで、まぁ動けなくはない。

 だから遠くで…というか、外でバタバタと動いてるのを見に行こうかな、と。

 

 そう思ったら、松ちゃんがのしかかってきた。

 

 え、なに、どした?重いんだけど??

 あと毛布ごと押さえられると起き上がれないんだけど???

 

 

 「医者さん来るまで安静にしときぃ」

 「えぇー…大丈夫だよ?」

 「嘘やん。頭痛いんやろ」

 「あう…」

 

 

 バレテーラ。

 

 感覚が伝わり易い(エスパータイプと相性が良い)、というのはこういうとき嘘とかつけないのだな、と学習。

 致し方ないので、力を抜いて布団に埋まる。

 

 どことなく満足そうな松ちゃんに、手を伸ばして頭を撫でる。

 

 ヒンヤリとした温度は気持ち良くて。

 ぷにぷにもちもちの感触も気持ち良くて。

 ぐい、と、掌に返ってくる感覚は、心地良くて。

 

 

 「…私、大丈夫だよ」

 

 

 大きな怪我とかしてないし。

 松ちゃんも一緒にいるし。

 こうやって戻って来れたし。

 ちゃんと、生きてるし。

 

 それに、

 

 

 「いま、捕まえてるんでしょ?」

 「せやなぁ」

 「なら、大丈夫でしょ」

 「ぅんー…いや、あかん」

 「えー…」

 

 

 私がここにいるってことは保護されたわけで。

 少なくとも身の安全は確保されているわけで。

 でも、体調とかそういうの関係なしに、外に出て欲しくないようで。

 

 ふむ、もしかして。

 

 

 「あいつ、逃げた?」

 「…せやで」

 「そっか…」

 

 

 なるほどね…

 

 どうやって逃げたのか、については別にどうでもいい。

 だって逃げる算段は元々あったみたいだし…

 

 まぁ…いいか。

 

 ところで、ちょっと気になってたことがあるんだよね。

 

 

 「ねぇ松ちゃん」

 「なんや」

 「松ちゃんのさ、ずつきの威力、えげつないの、気の所為?」

 「ナ、ナンノコトヤー?」

 「いや誤魔化すの下手くそか」

 

 

 ふにふに触ってる手から、ビクリと跳ねたのが伝わってきたのに、誤魔化せるとでも思ってんのかい??

 ついでに冷や汗までかいて、わざとらしく目を逸らして…何を隠してるのかな?

 

 

 「……あんな」

 「うん」

 「長にな、これ、持たされてん」

 

 

 そう言って渡されたのは、赤紫色の玉。

 

 ポケモンに持たせる道具で、玉。

 そして、さっきの問いの答えで渡されたことを考えて…

 

 もしかして︰いのちのたま

 

 いのちのたま、とは。

 技の威力が1.3倍になる変わりに攻撃する度にHPの1/10が減る、というちょっとピーキーなアイテムだ。

 

 …いや怖っ!

 持ってるの知らなかったんだけど!?

 回避ばっかさせてて良かった!!

 これ下手に反撃してたら自滅してたやつ!!

 はー?!怖っ!!

 

 って、あれ?

 いのちのたまって第何世代のアイテムだっけ??

 ってそうじゃなくって。

 

 

 「これをヤドキングから持たされたの?いつ?」

 「入り江から出てすぐやな」

 「私がスタッフさんと話してる時ってこと?」

 「せやなぁ」

 

 

 私が無事にゲットしたことを報告していた、あの僅かな時間で、ヤドキングから渡された、と。

 

 …ふむ。

 未来予知で見えた、ってとこかな。

 だからあの時、皆が来てくれたのかな。

 

 

 「松ちゃん」

 「なんや」

 「だれか呼んできてよ。頭痛も治まってきたし、起き上がるくらいならいいでしょ?」

 「…ん、わかったわ」

 

 

 ちゃんと大人しくしとるんやで、と言いながら出て行った松ちゃんを見送ってから、身体を起こす。

 

 まだちょっとだるいけど、まぁ、問題ない。

 

 服は着替えさせてくれたみたいだけど、髪はパサパサだから水浴びしたいな、とか。

 あいつは逃げたらしいけど、多分まだ諦めてないんだろうな、とか。

 自衛の為に捕まえに行ったハズなのに、脱出したとはいえ拐えられちゃったな、とか。

 

 思ったり、考えたり。

 それで考えて、考えて。

 

 予想で推測で、証拠はないけど、なんとなくの確証はある。

 

 うん。

 

 

 「巫女殿。目が覚めたと聞いたが、大丈夫かい?」

 「あ…はい、大丈夫ですよ、ワタルさん」

 

 

 ぞろぞろと、松ちゃんが連れて来てくれたのは、島唯一のお医者さんと、ワタルさん、それからジュンサーさん二人だった。

 他の人は居ない。

 

 四人増えただけでも、大分圧迫感ある。

 いや、部屋が狭いから仕方ないんだけど。

 

 

 簡単な問診を受けて、目とか喉とか検査されて。

 問題なし、と言われてホッとした。

 

 これで問題ありだったら数日は大人しくしないといけないだろうから、ね。

 

 

 にまり、と。

 口角が上がった。

 

 考えていた結論をワタルさんに言う為に、お医者さんには退室してもらう。

 

 どうかしたのかい、とワタルさんは聞いてくれるから、まぁきっと、いまから言う事は驚くかもしれない。

 

 

 「ワタルさん、お願いがあるんですけど」

 「なんだい?」

 「私と一緒に行ったリーグスタッフさん、捕まえて下さい」

 「は?」

 

 

 きょとん、と。

 ジュンサーさん達も目を見開き固まるのが、ちょっと面白い。

 

 だって、そうでしょ。

 

 

 「あの人から私のこと、あの誘拐犯達に伝わってたんだと思います」

 

 

 そうじゃないなら、なんだって言うんだ。

 

 

 

 

 

 

 

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