魔改造提督の鎮守府ライフ   作:Jeep53

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波の音が聞こえる。

日差しはそれほど強くなく、気温もちょうどいい。

現在は午前11時頃。この前まではこの世の終わりかと錯覚するレベルで暑かったのだが、ここ最近は過ごしやすい。

「もう秋だねぇ~」

本日の秘書艦である鈴谷が机にぐでーっと突っ伏しながらのんびりした口調で言った。

「鈴谷、サボる暇があるんなら書類を進めてはくれないだろうか?」

俺は鈴谷の方に目もくれずに言った。

「てぇとく~?人にお願いをするときはその人の目を見て言わないとダメなんだぞ~?」

鈴谷が痛いところをついてくる。

「俺…人と目を合わせるのそこまで得意じゃないんだけどな…」

と言いつつ、鈴谷の方に目を向けると、

「…あれ?書類は?」

書類がなかった。

「へっへーん、終わらせたよー」

鈴谷がニヤニヤしながら答える。

「意外と優秀なんだな…驚いたぞ」

「意外とは余計だぞ~」

鈴谷が俺の脇腹をうりうりしてきた。

「やめろ…字がずれる…よし、これで今日の分は終わり!」

俺がペンをタァン!と置いたところで、執務室のドアをノックする音が聞こえた。

「?どうぞー」

「失礼します!司令官、大本営から直で書類です!」

「直で!?」

吹雪が書類片手に息を切らして入ってきた。

「吹雪ちゃんどしたの?そんなに慌ててさぁ~」

鈴谷が軽く質問すると、吹雪は説明し始めた。

「一枚目は、司令官が着任直後に請求したクーラーについて、これに関しては来年の夏に導入予定だそうで、それまで待機せよ、との事でした」

「うぇ…それマジぃ?」

鈴谷がダルそうな顔をした。

その後、吹雪は3枚ある書類のうちの二枚目と三枚目を差し出してきた。

「私が説明するより見た方が早いかと思われます。では、私はこれで!」

吹雪は一枚目の書類も執務机に置くと、敬礼をして部屋を出て言った。

「いったい何が書いてあるっていうんだ…どれどれ…{この度の深海棲艦の基地無力化の功績を称え、各資材1,000,000ずつを給与する}……はい?」

「うっそでしょこれ!?マジヤバいんですけど」

鈴谷が爆笑している。無理もない。ふつうこんなに大量の給与なんてありえないのだからな。てかそもそも給与があるっていう時点でおかしいことなんだがな…

「それじゃぁ…三枚目には何が書いてあるんだ…?」

俺は三枚目を見て、固まった。

「え~と、なになに?…要するに新艦娘着任って事?いいじゃんいいじゃん、どんどん増えるねぇ♪」

そして鈴谷は喜んだ。

書類の内容を要約すると、”ドイツとの親交で交換留学を実施。艦娘が来ることになったけどどこに配属するとか考えんのめんどくさいからとりあえず一番新しい鎮守府に放り込んでおくね”という内容のものと、”陸軍からの艦娘提供。なんか来たからこれも新しいとこに入れとくね”というものだった。ふざけんな。

「着任日は‥‥えぇ、えぇ、知ってましたとも!今日ということぐらいはね!チクショウ!」

半ばヤケを起こしながら俺は鎮守府内放送のスイッチを入れた。

【大本営からの急な通達により本日より新たに8名の艦娘がこの鎮守府に在籍することとなった。二日酔いじゃないやつらは正門前集合だ!急げ!】

なお、俺は二日酔いでも行かなければならないようだ。(当たり前)

 

 

 

正門前には約半数の艦娘が集まった。

揃える奴が全員揃ったところへ、大本営の車が到着した。

「総員ッ、敬礼!」

俺たちが敬礼をすると、降車してきた艦娘らも敬礼で返してきた。

俺が一歩前へ進み出ると、あちらからは長いブロンドヘアーと碧眼が特徴的な女性が前へ出てきた。

「始めまして。私はここの提督をやっている栗田 防と申すものだ」

「私はビスマルクだ。以後よろしく頼む」

ビスマルクの顔には明らかな警戒の色が見て取れた。異国の地だからだろうか…?

「まずは謝罪をさせてほしい。とある理由で全員での出迎えをすることが出来なかった。どうか許してほしい」

俺はまず一番気がかりになっていたことを話した。

「…構わん。それでは、私の同志にも紹介に入ってもらおう」

ビスマルクはそう言って、一歩下がった。

代わりに出てきたのはビスマルクと同じ服を身に纏ってはいるが、ブロンドでははなく、シルバーの長髪に、赤眼が特徴的な女性だった。

「私はビスマルク級戦艦二番艦、ティルピッツだ。以後よろしく頼む」

それだけ言うと、ティルピッツは下がった。

もうちょっと…なんか、こう、日本艦みたいに個性豊かだと嬉しいんだけどな…さすがドイツ、キッチリしてるぜ…

今度はビスマルク達より一回り小さく、ブロンドのツインテールで碧眼の子が前へ出てきた。

「私はアドミラル・ヒッパー級の二番艦、プリンツ・オイゲンです。…ビスマルク姉さまに手を出そうものなら、誰だろうと許しませんので、ご理解のほどをお願いします」

怖い。眼光が怖いぞプリンツよ。まぁ、これでドイツにも個性があるやつがいるってことは分かった。

プリンツが下がると、今度はプリンツと同じくらいの、黒髪短髪で赤いメッシュが一本入っている赤眼の子が前へ出てきた。

「私は戦艦、ドイッチュラントだ。この体格を見て重巡だの軽巡だの言うやつらもいるが、私は戦艦だ!そこのところを覚えていてほしい。以上だッ!」

そう高らかに宣言すると、そのポケット戦艦は満足そうに下がっていった。

次に、ツインテール風のブロンドヘアーで、灰色の眼をした女性が前へ出てきた。

「私は航空母艦、グラーフ・ツェッペリンだ。…気軽にグラーフとでも呼んでもらえると助かる。以上だ」

若干顔を赤らめながらグラーフ・ツェッペリン改めグラーフは下がっていった。

次は、服装から察するに潜水艦の子。グラーフと同じ灰色の眼にブロンドだが、こちらはロングヘア―となっている。

「私はU-511。以後よろしくね!」

Uボートだ。これは潜水組のいい友達になりそうだな。

ドイツ組は次で最後だ。最後は、ビスマルクたちと似たような服装をしているところから察するに戦艦だろう。こちらはティルピッツと同じようにシルバーヘアーに赤眼である。

「私は、正式名称がない。なので、コードネームで呼んでほしい。私の名はCN:フューラー。戦艦だ。以後よろしく頼むぞ!」

そう宣言し、下がった。

次に前に出てきたのは陸軍の軍服に身を包み、滑らかな黒髪をショートカットにした子だ。

「自分は陸軍所属の特殊船、あきつ丸であります!お世話になります!」

あきつ丸はさわやかな笑顔で言い切り、下がっていった。

俺は全員の紹介が終わるのを待って、一歩前に出てこう言った。

「自己紹介、ありがとう。正式な紹介は追って歓迎会を開くときに行わせてもらう。それまでは鎮守府内で自由に過ごしていてくれ。部屋については明石に説明を頼んである。明石、頼んだぞ」

俺は明石の方向へ振り返った。

「了解です!ドイツ艦の皆さん、あきつ丸さん、ついて来てくださいね」

明石が先導して歩き始めた。

「総員、敬礼っ!」

俺たちは再度敬礼をし、彼女らを見送った。その時、ビスマルクがすれ違いざまに呟いた。

「あとで執務室へ向かわせてもらう」

と。

~~~~

 

 

~~~~

数時間後、ビスマルクが執務室でボケーっとしていた俺の所へ来た。

「んで、何の用かな?」

俺が姿勢を正して聞いた。

「なぜ鎮守府内に深海棲艦がいるのだ?それもボス級の個体がゴロゴロと。どういう事か説明してもらおう」

「あっ……説明忘れてたっ…!?」

その後、事の経緯をビスマルクに説明した。

~~~~~

「なるほど…そういう事ならわかったわ。頼もしい味方って事ね。このことはあきつ丸さんにも伝えておけばいいかしら?」

「あぁ、頼む」

どうやらビスマルクが警戒していたのは出迎えの時に深海棲艦の姿が見えたせいだったようで、謎が解けてからは笑顔まで見せるようになっていた。

「それと…一ついいかしら」

「…?なにかね?」

ビスマルクが多少顔を赤くしながら小声で言った。

「あの…私ってドイツ艦のまとめ役的なポジションにいるでしょう?みんなの模範となるように行動しなきゃいけないの。それでいろいろとストレスがたまっちゃうわけ。…だから…」

「だから、どうした?」

俺は促した。

「たまにでいいから、私の愚痴を聞いてくれないかしら」

と、ビスマルクは恥ずかしがりながら言った。

それに対し、俺は微笑んで答えた。

「何だ、そんなことか。俺でよければいつでも相談相手になる。それと、さっきの挨拶の時の性格は本当の君じゃないだろう?ここでは本当の君を出すことをお勧めするよ」

「なっ…なんで私の本当の性格を知って…あっ」

これで分かった。ビスマルクは結構子供だ。俺はニコニコ笑いながら付け足した。

「それに、この鎮守府には青葉(パパラッチ)がいるから、その仮面が外されるのも時間の問題だろう。自分を偽らない方がいいぞ」

俺の言葉にビスマルクは笑った。

「そうね、そうするわ!じゃあね、Admiral!」

そう言うとビスマルクは上機嫌で執務室を出て行った。

 

後日、邂逅時から180度近く変わったビスマルクの性格に目を白黒させるものが続出したのはまた別の話だ。

なお、ティルピッツはそんなビスマルクの世話を焼く苦労人であったことをここに記しておく。

 

 

~外伝(笑)~

現在は午後七時、晩御飯を終え、俺は工廠に来ていた。

明石と夕張には事前に集合するように呼び掛けてあったので、現在工廠には三人(開発バカ)が勢ぞろいしている。

「さて…」

俺が口を開いた。

「大本営より資材が山のように給与された。その数なんと各1,000,000だ。…あとはわかるな?」

俺がそういうと、明石と夕張が待ってましたとばかりに口を開いた。

「開発と!」ヒャッハー!

「改修だ!」ヒャッハー!

この後、工廠に籠りすぎたせいで大淀や吹雪に三人そろって怒られたのはいい思い出である。




さぁて、フューラーは何なんでしょうねぇ?
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