魔改造提督の鎮守府ライフ   作:Jeep53

2 / 45
プロローグⅡ

~陸軍地下実験室~

じめじめとした地下空間。コンクリートで固められた壁。天井には裸電球がぶら下がっており、消えかかっては点いてを繰り返している。

その部屋の中では今、医者が一人、多数の資料を見ながら手術を行っている。

 

ふいに、軋んだ音を立ててドアが開き、軍服に身を包んだ男が入ってきた。

 

「首尾はどうかね?ドクター」

ドクターと呼ばれた男は目もくれずに返事をした。

「正直、うまくいくかどうかは五分五分だ…海軍の資料は難しい。失敗しても文句を言わないでくれよ?」

男は半笑いでこう返した。

「なぁに、失敗しても廃棄してまた次の被験体で試せばいいだけさ。資料も本物か怪しいしな。それにそいつはNo.01だ。失敗しても誰も文句は言わんよ」

「…そうか」

ドクターはそれっきり返答せず、黙々と作業を続けている。

「よいしょっ…」

男は部屋の隅に置かれた粗末な椅子に腰かけ、タバコをふかし始めた。

「手術はいつごろ終るかね?」

「今最後の縫合に入っているところだ。待ってくれ」

タバコの紫煙が薄暗い地下室を覆い、視界に靄をかける。

 

ガチャン!

荒々しく金属トレーに縫合針とピンセットを放り投げ、ドクターは男に向き直った。

「終わりだ。間もなく目を覚ますだろう」

その知らせに男は喜色を現しながら言った。

「おぉ、終わったか…血が大量にしみついてるぞ。まるで人を殺した後みたいだな」

「…実質殺したようなものだ…ほら、動くぞ」

 

手術台に乗っていた”被験体”がごく自然な動作で起き上がる。

 

「…普通の人間を見ているように見えるな…」

「外見だけでは普通の人間と大差なく見えるようにしたんだ。目と耳にはカメラとマイクを仕込んである。それに、望み通りの機能もつけてやったぞ。…まぁ、脳に埋め込んだマイクロコンピュータによってこちらの指示なしでは動かせないがな」

 

ドクターが得意げに説明している時、異変は起きた。

 

「ッ…!?グ…ガァ…」

 

突如”被験体“が頭を押さえて苦しみだし、動かなくなった。

「な、なんだ!?ドクター、どういうことだ?」

「チッ!…失敗だ。どうもマイクロコンピュータが合わなかったようだな。…こいつはもう使えない」

「廃棄か」

「そうだな…カメラと指示部を外してから廃棄だな」

そう言ってドクターはカメラと小型のユニットを外した。

「どうして外すのかね?そのまま廃棄すればいいものを…」

「予算の関係だ。察してくれ」

男は納得といった感じで頷いた。

「…眼球が片方ないと怖いな…取り外せたかね?」

「あぁ、早く廃棄してきてくれ。次のやつに取り掛かる」

「わかった」

男は被験体を袋に入れ、部屋を出て行った。

部屋に一人残ったドクターは資料を見ながら計算を始めた。

「…なぜ失敗したんだ……ん?あぁ…ここの構成と数値が違ってたのか……もしあのまま動いていたらバケモノだったな。よし、じゃあ次はここを…」ブツブツ

独り言をつぶやきながら計算し続けるドクターの顔は、無表情のように見えたが、些か悲しそうだった。




誤字等ございましたら報告をお願いします。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。