時刻は午後4時、出撃がない者が一番暇を持て余す時間だ。大体の者は自室での読書や友達と娯楽室で遊ぶなどして暇をつぶしている。まぁ、
俺は今鎮守府の本棟から出て少し行ったところにある工廠に来ている。そして…
「おい、この資材の残量は何だ」
「「……」」メソラシ
「
答えの分かり切った質問中でもある。
~数分後~
「…で、何かいう事は?」
俺の目の前には正座して項垂れている常習犯が二名。俺が工廠に来ると毎回拝める光景だ。
「「さーせんした」」(棒)
見事なまでの棒読みで返される。
「ぶっ殺すぞてめぇら…何のために資材を備蓄してると思ってるんだよ。お前らが浪費するためじゃねぇんだぞ?資材を集めてくる俺と潜水艦の奴らの身にもなれよ!分からんのか?」
俺がいつもより語気を強めて言うと、明石が顔を上げて言った。
「…もしかして提督、いつもより怒ってます?」
「あぁ、怒ってるとも。人がせっかく開発しようとして工廠に来たら資材が底をつきかけてるんだもんなぁ…」
俺が遠い目をしながらそういうと、明石と夕張の顔からふざけ切った表情が消えた。
「「あ…それは…その、すみませんっしたぁ!」」
二人とも開発が出来ない苦しみを分かっているのだろう、今回は真面目に謝ってきた。
その態度を見届けた俺は表情を戻し、こういった。
「まぁ顔を上げて、そして立て」
その言葉に二人はきょとんとしつつも立ち上がり、黒い油汚れが染みついたつなぎについた埃を手でパンパンと払い、”なんのつもりだ”と言わんばかりに俺の方を見てきた。
その時、工廠の前に一台の大型トレーラーが止まった。
「ナイスタイミングだな」
俺は笑ってトレーラーの方へ歩いて行った。
トレーラーから一人の若い優男が下りてきて、敬礼して言った。
「海軍本部より参りました。花田優樹少尉です!各資材100万ずつ、お届けに参りました!」ビシィ!
それに対し、俺も敬礼で答える。
「ご苦労、確かに受け取った。こんな僻地までわざわざすまんな。今日は
俺の申し出に花田少尉は顔をほころばせて”ありがとうございます!”と言った。
(海軍がこういう純粋な人ばかりならいいんだけどなぁ…)
俺は無邪気な顔で夕飯を楽しみにする花田少尉を見てほっこりしていた。
その後、客人用の部屋に少尉を案内し、工廠に戻ってくると…
「「……」」( ゚д゚)ポカーン
明石と夕張は資材の山を目の前に放心していた。
まぁ無理もあるまい、大規模作戦での功績やその他諸々をフル活用して送ってもらった資材だからな。いつもの備蓄量よりも桁二つくらい違うんだ。
俺は二人の方へ歩いて行って、肩に手を置いて言った。
「おい、放心している場合じゃないぞ。夕飯までにこの資材の一部を使って開発する装備を考えるんだ。いいな?」
そういうと二人はバネ仕掛けの人形のように勢いよく振り向き敬礼し、”了解!”と言った。
その時、工廠の一角に設置されているゲームコーナー、もとい
「んぁ~、もう!このシールドイライラするのじゃ!筑摩、何とかしてくれ!」
「姉さん…突っ込むからいけないんですよ?誘導弾を使えばいいんです」
「じゃがシールドがあるのじゃ!近づかないとダメじゃろう!?」
利根と筑摩の声だ。
(シールドか…そういえばイージスもシールドだった気が…仮にイージスのシールドがACECOMBATみたいな敵の全周を球状に覆う物だったとして…父さん曰く弱点はオゾン層…どういう事だ…?)
俺は未だ見ぬ敵が装備しているとされるイージスについてあれこれと考えを巡らせてはいたが、対抗策となり得る案は出せずにいた。が、
「水平攻撃が効かないのなら急降下爆撃じゃ!それぇぇぇい!」
攻撃が一切通らないことに痺れを切らした利根が攻撃対象に向けて急降下を開始した。
「ちょっ、姉さん!?そいつは上空のシールドもあるから無理だって…」
「あ」ドガーーン mission failed......
「言わんこっちゃない…時間まで待たないと…」
その会話を聞いて俺の頭の中にある一つの案が浮かんだ。
(上空…オゾン層は確か北極と南極が薄かったはず…そうか!真上と真下が薄いのか!)
「利根、筑摩、ありがとな!」
まさに天啓を得たような感覚だった俺は、大声でお礼を言って明石と夕張のところへと小走りに向かった。
「提督…どうしたのじゃ…」
「さぁ…お疲れなのかしら…」
残された利根と筑摩はとても困惑していた。無理もないだろう。ゲームをして姉妹で話していたらいきなり提督から大声でお礼を言われたのだから。
ーーー
ーー
ー
「明石!夕張!艦載機に搭乗可能なパイロット妖精さんを全員集めてくれ!」
俺は少し離れた所へと移動していた明石と夕張に大声で命令した。すると程なくしていつも艦載機に乗って戦闘してくれている妖精さんたちが集まってきた。また怒られるとでも思っているのか、怯えたような目でこっちを見てくる妖精さんもいる。…なんかその怯えた目に快感を感じている自分が怖い…閑話休題、
「この中で急降下爆撃が得意な者はどのくらいいるか?」
俺がそう問いかけると、極少数の手が挙がった。それを見て俺は思った。こいつら訓練が足りねぇ、と。
その後、俺は今度からの戦いに急降下爆撃が必須だという事を(強制的に)納得させ、フライトシミュレーターでの訓練、模擬弾での訓練など、様々な急降下爆撃の練習を妖精さんたちにさせることにした。
「ふぃ~、これでひとまずは何とかなりそうかな…」
俺が妖精さんたちへの指示を終え、一休みしているところに明石が来た。
「提督、今回は何を開発するんですか?私、早くやりたいんですけど」
「私もー」
明石の後ろからひょこっと頭だけ出した夕張も急かしてきた。
「まぁまぁ、そう急かすな。今回のメインは急降下爆撃機、もとい敵の真上、真下から攻撃可能な兵装だ」
俺がそういうと、明石と夕張はすかさず質問してくる。
「なぜ真上、真下なんですか?」
「水平雷撃じゃダメなんですかね?」
まぁ、二人の疑問、意見はもっともなことだ。現在のうちの航空攻撃は水平雷撃がメインだからな…爆撃クルーが少なすぎるんよ…(遠い目
「ダメだ。二人もフライトシミュレーターをやったのなら知っているだろう?敵が展開してくる全周シールド。それを装備した敵が来るが、性質上上部と下部は比較的薄いはずなんだ。だから、急降下爆撃だ。しかも敵のシールドは触ると物質の分解が始まるらしい。だから高速で突っ込んで分解され終わる前に爆撃して高速で離脱できる機体が望ましいな」
俺がそういうと、二人は信じられないというような顔をした。
「あ、あのシールドが来るとか…冗談ですよね?」
「わ、笑えねぇ冗談だ…」
明石の顔は引きつり、夕張に至っては口調が崩壊している。どんだけシールドに苦戦させられたんだか…
その時、夕張がふと我に返ったように俺に聞いてきた。
「提督、その情報はどこの出ですか?あまり信用できないんですけど…」
「開発者だ」
俺が端的にそう述べると、今度は明石が警戒しながら尋ねてきた。
「…深海棲艦ですか?」
「残念ながら、違う。陸軍だ。だがそれを装備して出てくるのは深海棲艦…あとは察しろ」
二人は何かを察したのか、押し黙ってしまった。
俺はその空気を換えるようにパン!と一回手を叩いて話し出した。
「それで、だ。陸海軍親睦会の時に襲撃があるはずだ。その時にはまだシールド持ちは出ないはずだけど、万全の対策で近海警備にあたる予定だ。それに向けて、俺らがやる事は……一つ目、すべてのステータスを高次元でまとめた爆撃機を作る事、二つ目、既存の兵装の能力底上げ、これは主砲に自動装填装置を取り付けたりすることだな、三つ目、深海棲艦に通用する通常の弾薬の開発、だ」
話し終えると、明石が即反応した。
「そんな弾薬どうやって作るんですか!?」
「気合いだ!」
「できるか!」
まるでコントのようなやり取りを繰り広げた後、明石は落ち着いて質問してきた。
「ちなみに、何に使うんですか?その弾薬は」
俺は答えた。
「防衛火器用だ。万が一洋上決戦で敗北を喫した場合、陸上に設置されている両用砲や機銃、機関砲で応戦するためだ」
「…でもそれって威力不足じゃないですか?」
「それはやってみないと分からん。だけど俺の考えでは大丈夫だと思ってるぞ」
「なぜです?」
夕張が不思議そうに尋ねてきた。
「考えても見ろ、大和の艤装の主砲、人型に対応するために縮小されているから8.8㎝砲と同等レベルの口径に見えるだろ?つまり8.8㎝砲で深海棲艦に通用する砲弾作っちまえばもうそれで行けるんじゃないかと思うんだよ。まぁもっとも防衛専用で動かせないけどな……あ、機関砲弾作って工廠に放置されている戦闘機で行けば…」
「なるほど…」
「その手があったか…」
その時三人は思った。
(((なんで人間は深海棲艦に通用するような砲弾を作ろうとしなかったのだろう)))と。
その時、利根が”夕飯の時間じゃ~”と呼びに来たので、一旦その話は置いておいて夕飯を食べることになったのだった。
多分読んでいると「あれ?なんか設定違くね?」とか思うところあるかもしれないですけれど、もしあったら多分時期に直していきますんで許してください。
Q、なぜ人類は深海棲艦に通用する砲弾を作らなかったのか?
A、人類には作れなかったから。その後艦娘が登場してそれの開発の必要はなくなった。誰も妖精さんがそういった砲弾を創れないとは言ってない。