その後、昼飯を食べるために食堂に来ていたところ、ここ最近見かけていなかった人影たちを見つけた。
「朝潮…?もう大丈夫なのか?」
俺は恐る恐る声をかけた。
工廠からワイワイとみんなで他愛もない話をしながらここまで来たが、引きこもっていた朝潮をはじめとした朝潮型が食堂で昼飯を食べているのを見て、皆押し黙ってしまった。
不意に満潮が席から立ち上がり、こちらへツカツカと歩いてきた。俯いているため表情は確認できない。
元来気が強く、霞としょっちゅう言い合いになりつつも仲がかなり良かった子だ。いったい何を言われるのか…
「ねぇ、アンタ、大淀さんに聞いたんだけど、艦隊の改修やってるんですって?」
満潮は顔を上げた。そこには俺らが想像していたような暗い顔はなく、むしろその逆で決意に満ちた、落ち着いた目だった。
俺がその予想外の表情に驚いて固まっていると、満潮が口を開いた。
「私たち朝潮型で新装備を考えたの。作ってくれるかしら?」
「それは…霞の敵討ちか?」
「えぇ、そうよ。私たちの、この手で深海棲艦共を叩き潰してやんのよ!」
満潮が語気を強めて詰め寄った。俺は多少驚いたが、話を続けた。
「そうか…復讐は虚しくなるだけと聞くが、大丈夫か?」
「そんなの元より百も承知よ!いいから、作って!」
「司令官、私からも…私たちからも、お願いします」
朝潮が満潮の隣へやってきて言った。どうやら決意は固いようだ。
「分かった…待っていろ。ただ…」
「「ただ…?」」
俺は一息吸ってから言った。
「まず飯食っていい?」
「バッカじゃないのアンタ!?もうちょっとそこはカッコよくしめなさいよ!!」
これまで張り詰めた空気で、誰も一言も発しなかった食堂に笑いが訪れた。他の朝潮型についてもその後いろいろ聞いたが、闇堕ちとか言う最悪のシナリオは避けられたように見受けられた。
「ねぇ、提督。ちょっといい?」
食事を終え、工廠に向かおうとした時ふと背後から声をかけられた。
「その声は、鈴谷か。どうした?」
「熊野のことなんだけど…」
その後、話を聞いたところ、どうやら熊野の様子が最近おかしいらしい。訓練中やたら命中精度が上がったが、訓練後に偏頭痛や立ちくらみをよく起こすようになったらしい。昨日に至っては射撃中に立ちくらみが生じたとのことだ。
「それに、最近夜おかしいんだよ熊野…最初は寝言かな、って思ってたんだけど、どうやら起きてるみたいだし…」
「どんなことを言ってるんだ?」
「やめて、もうやめてって言ってるの。死にかけで帰ってきた日からなんかおかしいんだよね…」
「そうか…熊野には休むように言っておいてくれ。多分一時的な症状だろう」
「だといいんだけど…あ、そうそう、鈴谷のことももちろん強化してくれるよね?熊野をボコったやつはボコり返さないと!」
「OK、大丈夫だ任せとけ」
俺は鈴谷に笑いかけ、その場を後にした。
朝潮型の件は…多分解決した。今考えるべきは…熊野のことと、攫われた花田少尉のことだな。
熊野については多分ここ最近の色々な事が重なった結果引き起こされた事だろう。多分。花田少尉は…早いとこ深海棲艦を潰して救出するしか…いや、それよりも今、生きてるのか?もしかしてもう殺された後じゃ…
俺は色んな事を考えながら、工廠へたどり着いた。
他の奴らはまだ来ていない。
「さて、と、朝潮型からの改装計画書に目を通して、鈴谷のやつも考えますか…どれどれ…」
そう言って俺はペラッと白紙の表紙をめくった。
そしてすぐまたペラッと閉じた。
「??????????」
俺は眉間をつまんで天井を仰ぎ、もう一度表紙をめくった。
「見間違いじゃねぇよなぁ…」
そこには、”朝潮型重雷装巡洋艦化計画”の文字があった。
「えーと、何々…?」
俺は深く考えないようにして書類をさらにめくった。
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朝潮型重雷装巡洋艦化計画
北上さんと大井さんみたいにしてください
朝潮型
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「えっ、終わり?」
その書類にはその文のみ記載されており、具体的な装備数や図面などは一切なかった。
まあ駆逐艦の子たちにそんなことはなから求めていたわけではないが、面食らった。
「うーん…よし、やるか」
俺は考えるのをやめた。
「よっしゃできた!」
「何が出来たんです?」
あれから十数分ほど後、工廠には元のメンバーが勢ぞろいしており、各々自分の作りたい装備を作るべく製図台に向かって延々と線を引いているところだ。
「朝潮型の皆に頼まれてたやつと、鈴谷にさっき個別で頼まれた改造計画案が出来上がったんだ。見るか?」
「我が息子の技量、見せてもらおうじゃないか」
「どんなのどんなの?」
いつの間にか工廠内全員が俺のところにやってきていた。
「今回のやつは妖精さんと相談の上技術的に可能と言われたやつだから野暮なツッコミはしない方向で」
俺はそう前置きをしてから計画案をみんなに見せた。
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朝潮型重雷装巡洋艦化計画
・船体の全長を118mから160mへ変更
・船体の全幅を10mから13mへ変更。舷側装甲の重装甲化
・主機を艦本式タービン2基2軸からLM2500IECガスタービン2基2軸へ変更。これにより最大速力が50ノットへ
・主砲を15㎝単装砲1基へ減少
・魚雷発射管を61㎝4連装10基へと増加
・艦尾にlegelMk.15を装備
・25mm連装対空機銃を4基追加
鈴谷大規模改装計画
・船体の全長を200mから210mへ変更
・船体の全幅を20mから30mへ変更。装甲強化と装備のための幅確保
・主機を艦本式タービン4基4軸からLM2500IEC-改ガスタービン5基5軸へ変更。最大速力36ノット。タービン始動から前進開始までの期間を30秒までに短縮。
・主砲を30.5㎝3連装砲2基(前2基)へ変更。砲塔上部装甲を100mmへ変更。
・魚雷発射管を61㎝3連装4基から61㎝5連装2基に変更
・対空装備をすべて取り払って
・カタパルト2基から
・後部砲塔があった場所に弾倉回転式VLSを2基装備。誘爆を防ぐためそこの弾薬庫は特に装甲が厚くなっている。
・艦橋を一新。前後にCIWS、大型対空レーダー、小型レーダー、対水上レーダー等を装備。
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「バカなのでは?」
第一声は明石の一言だった。
「それ妖精さんの技術力侮辱することになるかんな。それにどうせお前もっとヤバいの作ってただろ。見せろ」
「息子よ…よくやった」
「防ちゃん…」(遠い目)
「私はいいと思いますよ!」
「夕張…ありがとう。さて次は父さん、行ってみようか」
「うむ。私のは装備ではないが…」
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艦娘空挺計画
・工廠内に放置されている輸送機と戦闘機を用いて行う。
・戦闘機の銃弾には対深海棲艦弾頭を用いた機関砲弾を使う。
・大まかな動き:輸送機に艦娘を艤装展開状態で乗せ(展開状態で乗るため搭乗員数は多くて10人ほど)、道中の矮小な敵は護衛機の機関砲弾によって処理、ボスの目の前で艦娘らを水平雷撃の要領で投下。その後離脱する。
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「これだ!あの輸送機の使い道これだ!!!!!!」
俺は突如現れた格好の計画に対して思わず大声を挙げた。渡りに船とはこのことだ。
「うわっ、どうしたんですかいきなり大声を挙げて…」
夕張が耳を押さえてこっちを見た。
「いやな、民間人輸送用の輸送機が民間人が避難しちまったことで必要なくなってたんよ。この計画は採用だ!父さん!」
「えぇ…輸送機必要なくなってたのね…」
明石が目に見えて落ち込んだ。
「でも、これはいい案ですね!ついでに魚雷くっつけましょう!」
そしてすぐに回復しやがった。
俺はくるっと姉さんの方に向き直っていった。
「姉さん達は何か無い?」
「えぇと、私達のは…」
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深海棲艦ステージアップ計画
・深海棲艦は資材を消費することで強化することが出来る。深海にその資源は乏しくステージアップできる深海棲艦は少なかったが、地上ではそうではないため、これを期にステージアップを行うというもの。
・ステージアップ効果:全ステータス向上
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「作者飽きてね?」
「奇遇だな息子よ。私もそう思う」
「いったい誰に何を言ってるんですか…次は私ですよ!」
夕張が自信満々に計画書を差し出してきた。
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高速大艦巨砲主義計画
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「やな予感しかしないが?」
「なんでです!?」
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・大和型を筆頭に戦艦の皆さんの装甲、火力を中心に改良する。
・扶桑型、金剛型、伊勢型の主砲を41㎝連装砲に換装。
・長門型を46㎝三連装砲に換装
・大和型を51㎝連装砲に換装
・ドイツ艦は据え置き(事前に聞いた所、今の口径がいいとの事)
・前線艦種のタービンをLM2500IEC-改ガスタービンに換装。
・機関始動から前進開始まで2分に短縮
・最大速度をそれぞれ10ノットずつ程度増加
・それぞれにレーダーリンク機能を装備
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「とまぁ、こんなもんですよ」
「うん、こんなもので済ましていいレベルの物ではないね」
「提督、考えるのやめないでくださいよ。次私ですよ?」
「あっそっかぁ…」
「提督、目をそらさないで!見てくださいよ、ね、ねえってば!!!!」
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空母改装計画
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(あれ…?名前普通だな)
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・正規空母の船体の全長、全幅を増大し、装甲化、搭載数も増大させる。
・正規空母はすべてアングルドデッキに改装し、甲板は硬質コンクリートを主な素材とする。(破孔修理の簡易化のため)
・アングルドデッキ上には埋め込み式レールガンが装備されており、現在鎮守府で運用している艦上機全ての発艦が可能。
・タービン強化。LMシリーズを使用する。
・エレベーターは前後二基とし、発艦準備用と収納用に分ける。
・全空母にCIWSを一基ずつ配備。
・軽空母は多少の装甲化とタービンの改装のみ。それでも元の正規空母くらいの装甲にはなる。
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「バケモノだけど…甲板のアイディアは素晴らしい。これで被弾しても即修復、さらに発艦が出来るな」
「でしょう?私もこれ思いついた時自分が信じられませんでしたよ」
「すごいわね明石…」
「明石君…いや明石師匠とお呼びしようか」
「さすが鎮守府随一の工作艦ね」
「スゴイ」「サスガ」
(あ…居たんだ姉さん以外の人…)
こうして開発はこの後も続けられ、やばいのが多数誕生したらしいが、それはまた別の話。
「ていうか提督、鈴谷さんのあれ、VLSの中身は何なんです?」
「アスロックとトマホークとかいろいろだ」
「ぶっ壊れじゃないですかヤダー…」(青ざめ)
次回からは最終戦に行きたい。まだイージスも出せてねえしな
今回は提督が一番ぶっ壊れてた気がする
追記(9/18)鈴谷の装備を変更。