魔改造提督の鎮守府ライフ   作:Jeep53

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突如日本以外での深海の攻撃が止み、日本への攻撃が激増。国内の鎮守府のほとんどが沈黙を余儀なくされる事態となった。栗田提督率いる鎮守府(オーバースペック鎮守府)は敵の全洋上兵力を相手に日本を、世界を窮地より救い出すことはできるのか。


未曾有の艦隊決戦が、今、始まる。


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部隊構成
・邀撃部隊

戦艦:伊勢 日向 扶桑 山城 金剛 比叡 榛名 霧島 

重巡:古鷹 加古 青葉 衣笠 妙高 那智 足柄 羽黒 高雄 愛宕 摩耶 鳥海 利根 筑摩 最上 三隈

軽巡:天龍 龍田 球磨 多摩 北上 大井 木曾 長良 五十鈴 名取 由良 鬼怒 阿武隈 川内 神通 那珂 夕張 阿賀野 能代 矢矧 酒匂 大淀

駆逐艦:吹雪、朝潮、大潮、満潮 荒潮 霰以外の全艦艇

軽空母:鳳翔 龍驤 飛鷹 隼鷹 祥鳳 瑞鳳 千歳 千代田 龍鳳

潜水艦:U-511 以外の全艦艇

・空挺部隊

朝潮 大潮 満潮 荒潮 霰 大和 武蔵 長門 陸奥 ビスマルク ティルピッツ プリンツ ドイッチュラント グラーフ フューラー U511

・対シールド部隊

加賀 蒼龍 飛龍 瑞鶴 翔鶴 雲龍 天城 葛城 大鳳

・対ディグ部隊

提督 鈴谷 熊野 吹雪 赤城 防空棲姫 駆逐棲姫 戦艦棲姫 空母棲姫 ヲ級改F レ級F ル級改F 北方棲姫


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文章の特性上、時系列が把握しにくい箇所が多発します。頑張って理解してください。


34 決戦~1~

 時刻はもうすぐ正午と言ったところだ。秋の高い空の下、第一部隊である邀撃部隊が最終ミーティングを行っている。予想接敵時刻まで残り30分弱で、ほとんどのメンバーはもう着水しており、あと少しで出撃できるようだ。

伊勢が埠頭より邀撃部隊を見降ろして立った。

「私は邀撃部隊旗艦、伊勢だ!諸君らには国家、いや、地球の存亡をかけた戦いの第一戦を戦い抜いてもらう。敵は鬼、姫などではない個体の寄せ集めだ。無力化されたほか鎮守府の艦娘とは違い、私たちは類稀なる高ステータスだ。怖気づくな!勝利への道は見えている!」

伊勢が高らかに言い終わった後、水上の邀撃部隊から歓声が上がった。皆の士気は十分すぎるほどに高いようだ。

伊勢が艤装を展開し、水面へと降りた。

「邀撃部隊、抜錨ォォォ!」

湧き上がる歓声とともに邀撃部隊は暁(正午だが)の水平線へと出航した。

 

~朝潮side~

 

 一方、空の上では狭苦しい輸送機の中で各隊ごとの最終確認が行われたいた。

「我々空挺部隊は鬼級、姫級を相手にするわけですが……どう考えても戦力不足じゃありません?いくらステータスが上がていてもこの人数じゃ無理ですよ」

大和さんがボソッと言った。

「大和さん、そんな弱気でどうするんですか。やれるって思えば何だって…!」

私は緊張を押さえつけるように掛かり気味にまくしたてる。

「朝潮、勇気と蛮勇は違う。提督にも何か考えがあるのかもしれないが、いくらなんでもこれでは少なすぎる。そうは思わないか?ビスマルク」

武蔵さんが私をたしなめ、もう一機の輸送機に乗っているドイツ艦隊旗艦、仕事モードのビスマルクへさんへと話を振った。

「そうね、たしかにそうだわ。admiralは何を考えているのかしら?」

無線のノイズの向こうでも、同じ疑問を抱いているようだった。

(確かに…かつての大規模作戦で散々苦労させられた鬼、姫級の実力は提督が一番知っているはずなのに、どうして…)

私が悩んでいるところへドイツ機でない輸送機からの無線が入った。

「こちら提督。朝潮はいるか?」

提督からの無線だった。

「はい、私です。どうかしましたか?」

「すまない、どう考えてもそっちの部隊は戦力不足だ。急いで編成したもんだからどこか抜けていたようだ。俺と姉さんの部隊の一部がそっちの攻略に加わる。大丈夫か?」

どうやら提督も(頭は)人間だったようだ。慌ててミスをすることもあるんだ…

「ありがとうございます。正直戦力不足に頭を悩ませていたのでありがたいです。しかし、そちらのミットシュルディガー(陸軍野郎)への対応は大丈夫ですか?戦力不足になったりは…」

無線がしばし沈黙する。やっぱりうちの鎮守府の戦力では数の面できつかったのかな…?

「…大丈夫だ。あてはある」

「あて…?まぁ、大丈夫だというなら大丈夫なのでしょう。ありがとうございます」

「あぁ、あとで会おう」

そう言って無線は切れた。私は無線をドイツ機へと繋ぎなおした。

「こちら朝潮。ビスマルクさん、提督と深海の方々の一部がこっちの支援に回ってくれるそうです。これで大丈夫ではないでしょうか?」

「そうなのね!ようやくadmiralに私の活躍する姿を見せられるわね!」

どうやら一瞬仕事モードが切れるほどに支援の知らせはうれしかったらしい。…というか、ビスマルクさん提督の事…いや、今はいい。今は目の前のことに集中しよう。

不意に機体がガクン、と揺れて降下体勢に入った。

(決戦は近い…本当はミットシュルディガー(陸軍野郎)の方を相手したかったけど…姫は早く殲滅して一発でいいからあいつらに叩き込んでやる…!)

ガタガタと軋む輸送機の中で私は覚悟を決めた。

 

~加賀side~

 

(…そろそろ伊勢さん率いる邀撃部隊が出発したころね。私たちは後どのくらいで着くのかしら)

私は輸送機内で左手首の腕時計を見て時刻を確認した。

「あれ、加賀さん腕時計なんてしてたっけ?誰にもらったのさ~?」

瑞鶴がからかうようにこっちを見てきた。まったくこの子は…これから死ぬかもしれない戦闘へ行くというのに、呑気なものだわ…

「提督よ。装備の制作過程でできた副産物だって言うからもらったの」

「え”…いいなぁ…」

以外ね…茶化してくるかと思ったのに…って…

「皆さん…何ですかその目は」

輸送機内の皆さんが慈愛に満ちた目でこっちを見てきた。なんなの…

「別に、何でもないですよ」

翔鶴が表情を崩さずに言った。

「全く…調子狂うわね。ゴホン、いい?作戦を確認するわ」

途端に皆の表情が真剣なものへと変わった。

「空挺後複縦陣をとり、私が管制機を発艦、その後艦戦隊と艦爆隊を発艦させてシールド持ちを真上から叩くわ。相手からの攻撃にも十分注意してちょうだい」

私が確認するように見渡すと全員が頷いた。

「早いとこ片付けて、赤城さんに合流するわ。…五航戦、期待してるわよ」

「え”っ、加賀さんが激励を…?」

「何よ、悪いかしら?」

小さな笑いが起こり、しばし和やかな雰囲気が機内に流れたが、突如としてそれは途絶えることになった。

けたたましいブザーの音が機内に鳴り響き、パイロットの妖精さんが振り返って焦った声を上げた。

「嬢ちゃんたち、敵に捕捉されちまった!このままだと墜とされっちまうから済まねぇが予定より遠い場所で降ろさせてもらうぜ!準備を頼む!」

そう言い終わるや否や、機体はかなりの高角度で降下を始めた。

(そんなに急を要することなの…?まだ捕捉されただけじゃ…)

だがその考えはVT信管の炸裂音によって掻き消される。

「パイロット!ハッチを開けて。管制機だけ飛ばすわ!」

「なんだって!?そりゃ無茶だ。この角度で開けたら…」

「いいから早く。やりなさい」

(着水してから発艦したらすぐ落とされてしまうでしょう…なら先に発艦させてしまうまで!)

パイロットはしばし苦悶の表情を浮かべたが思い切ったように手を伸ばした。

「どうなっても知らねぇぞ!?ほらよ!」

鈍い金属音とワイヤーの擦れる音と共に後部大型ハッチが開き始めた。

途端に強風が機内に吹き込んできて、思わず目をつぶった。

「嬢ちゃん、やるなら早くしてくれ!ハッチが吹き飛んじまう!」

その声に私は答えるように甲板を構えた。

「管制機、発艦!」

電磁火薬式カタパルトが軽い炸裂音と放電音を響かせ、機体を対空砲火の最中へと高初速で送り出した。

「管制機、そのまま上昇!高度12000mまで上昇して!弾幕を振り切るのよ!」

その声にこたえるかのように管制機は機首を上げ、秋晴れの空へと上昇を開始した。

それを見届けた次の瞬間、ハッチが大きな音を立てて閉まった。

「ギリギリだったな。あと十数秒で降下可能高度だ。準備を!」

パイロットの声に促され、私たちは配置についた。

(私達の海を…護ってみせる!)

 

 

~提督side~

「いやいや司令官!無理ですって!提督とお姉さん方抜きには無理ですって!」

現在輸送機は空挺部隊の輸送機と共に降下中だ。そして傍らでは吹雪が駄々をこねている。

「大丈夫だ。別に姉さんたち全員が抜けるわけじゃないんだ。すぐに終わらせて向かうさ」

「司令官それフラグぅ!!!!」

吹雪は半泣きだ。どうしたもんか…

「鈴谷、熊野、なんとかしてくれ」

「そんなこと言われましても…吹雪さん、大丈夫ですよ。あいつらなんてグラップルで来たところを殴り返せばいいだけですわ」

「そうそう。後VLSを叩き込めば終わりっしょ!」

「ダメだこの艦隊脳筋だ…赤城さぁ~ん…」

「誘導弾でfinish、ですよ!吹雪ちゃん!」

「ブルーアイズさん…」

「FOX2!FOX2!」

「ル級さ…」

「殴レ!サスレバ道ハ開カレル!!!」

「レ級…」

「ナンカ問題ガアルノカ?殴レ」

「もうだめだぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」

吹雪が崩れた。が、すぐ起き上がった。

「こうなりゃヤケです!敵の弾薬庫に15㎝連射してやりますよ!!」

こうして他部隊よりも何も考えてなさそうな脳筋部隊が結成された。

パイロット…もとい父さんが振り返って言った。

この機体は明石が最初に作った機体のため、人間が操作するタイプなのだ。

「そろそろ敵に捕捉されるぞ!降下用意!」

「了解!…さて、と」

「どうしたの?防ちゃん?」

「いやちょっとね」

俺はそう言って鎮守府へ無線をつないだ。

「こちら提督。明石、頼んだぞ」

「了解です提督。計画は無事進行中、そろそろ第二段階です」

そう言って無線は切れた。これからが楽しみだ。

ブザーが鳴った。

「敵がこちらを捕捉、海面すれすれでレーダー射撃を回避するぞ!…大丈夫かな出来るかな…

「やってもらわなきゃ困る!!」

…だよな、行ってこい息子よ!正面に敵大部隊だ!」

そう言って父さんは操縦桿についているレバーの一つを押した。

重い音と共に後部ハッチが空き始める。VT信管が炸裂する音を聞きながら降下準備を完了した。

「重巡伊吹(決戦仕様)、いっきまーーーすっ!」

 

 

~数分前、敵第一部隊~

「ナァ、レ級Eヨ。今度ノ敵ハドノクライナンダ?」

部隊の旗艦であるレ級eliteは不敵に笑って言った。

「コレマデト何モ変ワランダロウ。同ジ戦力ノ奴ラをマタ潰スダケダ」

その時、前衛のイ級後期型より通信が入った。

「…イ級二ヨルト敵ハ前回ノ鎮守府ヨリ少ナイヨウダ。ナメラレタモノダナ…全艦戦闘準備!」

 

~同時刻、邀撃部隊~

「伊勢さん、敵艦隊補足です。前方に広く布陣しています!」

夕張の報告により艦隊の皆の表情がより一層引き締まった。

「聞いたか!戦艦部隊、レーダーリンク機能起動!先手を仕掛けるぞ!」

キィィン…と言う電子音と共にレーダーが起動し、同期を開始した。

「龍驤!」

「はいよ!管制機はん、レッツゴーや!」

龍驤から管制機が飛び立ち、はるか上空へと舞い上がった。

「管制機との同期完了!いつでも撃てます!」

扶桑が戦艦組を代表して言った。

「軽空母でもやればできるってところを見せてあげる!」

瑞鳳を筆頭に軽空母が発艦を開始する。小規模なれど積んでいる艦載機は正規空母のそれと同じ。十分な戦果が期待できそうだ。

「最初の一射で終わらせる気持ちで行け!前衛戦艦隊、放てぇぇぇッ!」

伊勢の張った声をかき消すように41cm連装砲4基8門の砲声が大気を揺るがした。

それに続くように後続の七隻が斉射した。本来なら交互撃ち方で夾叉を得てから全門斉射に移行するものだが、管制機とレーダーの最強タッグによって命中率が初弾命中を期待できるレベルまでになっていたのだ。

 

〜敵第一部隊side〜

「敵戦艦斉射!発射炎カラシテ41cm、ビッグ7ト思ワレル!」

観測員を兼ねていたチ級より報告が入る。

レ級Eはほくそ笑んだ。敵を捕捉したらすぐ斉射とは、余程の新人(ルーキー)と見える。この距離で当たるわけがない。

「敵戦艦ノ数ハ?全隻41cmカ?」

「ビッグ7ガ8隻!」

「8隻トカソレビッグ7ジャネーダロ」

なんで8隻?ナガトタイプのみがビッグ7に該当するのではないのか?

「敵弾飛来!」

「ヘァッ!?」

もう一隻のレ級の報告に思わず素っ頓狂な声をあげてしまった。

嘘だろ?まだお互いに姿をはっきりと見えていない状況だぞ?発射炎がかろうじて見えるほどだと言うのに!?

レ級の思考は仲間の報告によって中断させられた。

「前衛戦艦隊全滅!?レ級E、ドウシタライイ!?」

「初弾命中ダト!?ビギナーズラックカ!?」

「アワワワワ」

「ソモソモビッグ7ガ8隻ッテ時点デオカシイヤロ!?トイウカ日本ノビッグ7ハ2隻ノハズダロ!?」

「敵第二射来マァァァス!!!」

「回避、回避ィィィィ!」

 

ーーーーーーー

 

「嘘でしょ…なんで当たるの…?」

「扶桑姉さま、そこは素直に喜びましょうよ」

いつもは練度不足と装備の関係で命中精度が他と比べてかなり低かった扶桑型の砲撃が2回連続で命中した。命中だけでも奇跡的と言えるのに…

「敵戦艦爆沈。扶桑、すごいな」

いつもは落ち着いている日向までもが目を丸くするほどの戦果なのだ。つまり、何が言いたいかと言うと…

「レーダーって言うのはすごいな…なぜ当たるんだ」

「さあね、私も細かい原理は分からないわ。さて、第三射行くわよ!今度は距離が近くなったから重巡でも行けるはず。重巡の皆も準備して!」

その後すぐに重たい音を上げて重巡の砲塔群が旋回、仰角をかけ始める。

「なんとかかんとか装置の威力、見せてやるのじゃ!」

「半自動装填装置よ、利根姉さん」

「そうそう、それじゃ。筑摩は賢いのぉ」

半自動装填装置の装備と共に砲塔旋回用のモーターが新しくなったため、従来の砲塔旋回速度よりもかなり速くなっており、戦況にいち早く対応することが可能となっているのが我が鎮守府の重巡の特徴だ。

「この距離じゃ写真取れないですねー…うーん、苦悶の表情を浮かべながら沈んでいく敵の姿を撮りたかったのですが」

「青葉って時折怖いこと言うのよね…我が姉ながら恐ろしいわ…」

「こら、そこ喋ってばかりいるんじゃない、準備はいいか?」

伊勢に注意されて重巡たちが前を見据えた。

「行くぞ、第三射、放てぇぇぇぇぇッ!!」

直後轟音が空気を揺るがし、幾重もの弾道が大気を切り裂いた。

戦艦に加えて重巡の砲声も含まれているため空気の揺れがしばしその場にとどまるほどだった。

「敵中枢に命中を確認!敵、遁走します!」

夕張が焦り気味に言った。

「よし、第二段階だ!水雷戦隊、追撃戦だ!」

伊勢が指示をすると軽巡一隻に対して駆逐艦が数隻、場合によっては潜水艦の部隊が複数、戦艦、重巡部隊の前に躍り出た。

「ようやく出番だね、このまま終わるんじゃないかと冷や冷やしていたよ」

不敵に笑って言ったのは川内型一番艦、川内。鎮守府内では夜戦バカで通っている根っからの武闘派だ。

「後は頼んだぞ。川内。我々はこれより此処を離脱して空挺部隊の支援に向かう。いいな?」

「了解了解、どう見ても数で負けてる空挺部隊の所へ早く行ってあげて!…それじゃみんな、行くよ!」

そう言って川内は駆逐艦たちを引き連れて遁走した敵を追撃すべく改型タービンをフル稼働させて移動を開始した。

それを見届けた伊勢達は川内達とは別な進路へと移動を始めた。目指すはレーダー上に映っている空挺部隊の場所だ。

「うん…?数が多くないか?」

「急遽変更でもあったんでしょうかね?」

 

ーーーーーーー

 

〜空挺部隊、会敵時〜

 

輸送機から飛び降りた俺は妙な高揚感に包まれていた。

「着水ッ!行くぞテメェらぁぁぁ!」

後続が次々と着水し、陣形を整え始めた。もちろん火力特化の単縦陣だ。

「防ちゃん、テンションどうしちゃったの…」

「初めての大規模戦闘だから興奮しているんだろう。私にはよくわかるぞ…それに…」

別機から着水した武蔵がいつのまにかかなり近くまできており、自分の後方を指さした。

「コイツらを早く沈めてディガー(陸軍野郎)を殺してやる!」

「了解ィ!」

「早いとこ沈めちゃいましょうね〜」

「やってやろうじゃねえかよこの野郎!」

「突撃だぁぁぁ!」

そしてため息をついて言った。

もっとヤバいやつ(朝潮型)がいるからな…」

「ほんとね…キャラの面影がないじゃない…あら?ドイツの皆さんは?」

姉さんはふと周りを見渡して言った。ドイツ艦隊の姿が見えないのだ。

「背面に回るって言ってました。挟み撃ちにしたいそうです。ですよね?長門さん」

大和が長門に話を振った。

「そうだが…っ、お前ら!真面目に戦わんか!?」

長門は主砲を斉射しながらこちらに言った。

「あら?私はちゃんと戦ってますよ?次で第二射です」

大和が長門の砲声より一回りもふた回りも大きいそれを響かせながら言い、

「私もちゃんと戦ってはいると思うが」

武蔵が接近してきた巡洋艦を素手で殴って轟沈させながら言い、

「私も、私の仲間たちもちゃんと戦っていますよ?」

防空棲姫は敵機を次々に撃ち落としながら言った。

「私は、真面目に、と言っているんだ!お前らも提督を見習って…」

そう言って長門は提督の方を向いた。

「俺の進路を邪魔するのは誰だぁぁ!?」

「ワタシダァァァァ!」

「喰らえい!」

「ギャァァァァァ!」

「…朝潮型を見習って…」

長門は目を逸らし、朝潮型の方へ向いた。

「突撃!」

「了解!」

「コナイデ!」

長門は陸奥に助けを求めるような目を向けた。

「あらあら…緊張感のかけらもないわね…」

「正常なのは私達だけか…」

そう言いつつも確実に主砲の斉射で敵を減らしていく長門型の2人であった。

 

 

 

「よし、これで鬼級はあらかた片付いたな!主砲2基で十分だったぜ」

俺は額の汗を拭ってみんなに笑いかけた。

「この調子で姫級も…」

嬉々として敵を沈めていた朝潮がドヤ顔でそう言った。

「いや、流石にそれは無理だろう。鬼と姫の間には天と地ほどのステータス差がある。…朝潮、先ほど敵のボスを沈めた時どのくらいかかった?」

長門が調子づく朝潮を制し、聞いた。

「約十分ですね」

「なら一時間はかかかると思ったほうがいい。気を引き締めるようにな」

「その常識を、ぶっ壊す!」

「提督、戦場では味方の誤射による沈没もあり得るよな?」

「すみません許してください何でもしますから」

ドヤ顔で言った俺に対し長門が目が笑ってない笑顔で俺に主砲を突きつけてきた。戦艦のゼロ距離射撃とか洒落にならんぞオイ…

「あの…提督…お姉さんが…」

茶番を繰り広げていると大和がおずおずと前方を指さした。

「ん?、あぁ、まあ見てろって」

姉さんとその配下が敵艦隊に近づき、何か話しているようだった。

 

ーーーーーーーー

 

〜数分前、防空棲姫side〜

 私は防ちゃん達が集まって話し始めるのを見計らって駆逐棲姫、戦艦棲姫、空母棲姫と共にちょっと艦隊を抜け出した。

目的は敵部隊との和解。しっかり説明すれば分かってくれるかもしれない。もし成功したのならば大きな戦果となるだろう。

敵部隊正面でこちらを見据えている泊地棲姫に話しかけた。

「久しぶりね泊地さん、元気だった?」

「…生きていたのか」

私は少し笑い、直後に表情を変えて言った。

「単刀直入に言うわ。和解、もしくは撤退してもらえないかしら」

泊地棲姫はこちらに攻撃しようとする部下を手で制し、怪訝そうな表情をして聞いた。

「なぜだ…?」

「先程の戦いで私たちの戦力は分かったはず。…それに、自分に生きる術を教えてくれた人を手にかけたくはないのよ。ね?“教官”?」

「ッ!!…」

泊地棲姫の表情が揺らいだ。彼女はほぼ最初期から深海棲艦の軍に属している、初代指揮官で攻撃派でも穏健派でもない中立派、私に言語、戦闘術等を手取り足取り教えてくれた先生でもあるのだ。できれば戦いたくはない。

「私には、役目がある…私の目の前に立ちはだかる敵が例えかつての教え子で、どれだけ思い入れがあろうとも退くわけにはいかないのだ」

泊地棲姫の目に光が灯った。それはまるで確固たる意思が宿ったようだった。

「せめてもの情けだ。お前が艦隊に戻るまでの時間を与えよう。…そこからは敵だ。容赦はしない」

「そう…教官とは戦いたくなかったわ」

私は顔を伏せ、教官に背を向けて先ほどきた航路を逆にたどるようにみんなの元へと戻った。

 

 




一旦切ります。こんな感じで小出しにすることしかできなそうです。
…まともな戦闘シーンも書く予定です。
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