魔改造提督の鎮守府ライフ   作:Jeep53

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長かった…
小説書き始めが2021/01/24 …今日は2022/3/17…なっげぇ

こんな小説を読んでいただきありがとうございました。


エピローグ

西の空がやや橙色に染まり始める頃に鎮守府に帰投した俺を待っていたのは鎮守府所属の全員だった。

笑ったり泣いたりしている全員に手を軽く振りながら埠頭へと上がると、吹雪が飛びついてきた。

 

「よかった…!司令官が無事で…」

 

どうやらほんとに心配してくれていたらしい。やっぱり吹雪はいい子だなぁ。

吹雪の頭の上に手を置いてポンポンとしていると長門が尋ねてきた。

 

「提督、傍から見るとほとんど傷が無いように見えるが、花田との戦いはどうだったんだ?」

「瞬殺だったが?」

「じゃあなんで最後あんな意味深なこと言ったんですか!?ねぇ!司令官!?」

 

ケロッとして言う俺に引っ付いていた吹雪が俺の身体を揺さぶってきた。

 

「いやぁ、もしかしたら勝てないかもなぁってちょっと本気出したら、ね?」

「心配したんですからね?無線が来るまで生きた心地しなかったんですからね!?」

「いやあ、悪い悪い」

 

吹雪がポカポカと殴ってくる。俺は殴られつつ皆の方に向き直って話し始める。

 

「というわけでだ。戦争はほぼ終わった。これから個々の処遇について上から指示が…やめて吹雪。そろそろ痛い。…はい、ってことでしばらくはフリーだ。手始めに祝賀会でもやらないか?」

 

艦娘たちが沸き上がる。戦うために存在している彼女らでも娯楽には目がない。早速何人かが食堂へと駆けて行った。

 

「これから俺はちょっと事務作業に入る。明石と鈴谷、朝潮型各員、あと軍医さんはちょっと俺について来てくれ。では、解散!」

 

めいめいが仲の良い仲間たちと他愛もない話をしながら埠頭を去っていく。夕焼けによって朱く染められた埠頭に残った俺らにしばしの沈黙が訪れる。

 

不意に鈴谷が口を開いた。

 

「提督…ごめん、あの時私ちょっと取り乱してて…」

 

うつむいてしゃべる彼女を手で制して俺は話す。

 

「こちらこそ済まない。あの状況で冷静さを保つこと自体無理な話だ。あの計画は基地もろとも吹き飛ばしてきたから今後再発することはない…と思う。それで、今はどんな容体だ?」

「それについては私からお話しします」

 

軍医さんが一歩前に出て話し始めた。

 

「熊野殿は帰投後明石殿から艦娘としての治療、私から人間としての治療を受けまして、当分は目も覚まさず寝たきりになるかと…」

「なんだって…」

「思われたのですが」

「へ?」

 

思わぬ軍医さんの切り替えしに俺は間抜けな声を出してしまい、明石がそれを見て吹き出した。

あの野郎後で覚えておけよ。

 

「私達では説明しようがない驚異的な回復力で回復され、今はまだ全力で動くことはできませんが、医務室内で薬品整理などを手伝っていただけるほどには回復なさられました。ほんとに驚きですよ」

 

軍医さんの説明を聞いた俺は足の力が急激に抜け、倒れかけてしまった。

 

「よかった…ホントによかった…じゃあ鈴谷、もう大丈夫だな?」

「うん、大丈夫大丈夫。それじゃ、私は宴会の準備に行ってきてもいいかな?熊野のために食べやすいもの作ってこなきゃ」

「おう、行って来い行って来い」

 

鈴谷が去った。黒く染まり始めた空に金星が輝きだす頃、今度は明石が話を切り出す。

 

「提督、私がここに呼ばれたのは何でですか?まさか仕事とか…」

 

軽口をたたく明石に俺はふっと笑って言った。

 

「そのまさかだ。工廠に行くぞ。朝潮たちもついてきてな」

「分かりました!」

「えぇ…ようやく落ち着いたと思ったらまた仕事ですか…」

「明石殿、文句を言いすぎるともっと仕事を任されますよ?」

「うえっ、それは勘弁…」

 

文句をたれる明石を引き連れて俺らは工廠に向かった。

 

 

 

工廠へと到着した俺はその最深部へと迷わず歩みを進めていく。普段はほとんど訪れることのない場所だ。

奥のドアを開け、金属の螺旋階段を降り、とあるドアの前で俺は振り返った。

 

「朝潮達についてきてもらったのは他でもない、霞を復活させるためだ」

 

唐突すぎる俺の申し出に朝潮達は戸惑い始める。明石と軍医さんは当事者でもあるため驚いてはいなかったが。

 

「アンタねぇ、嘘つくにしてももう少しマシな嘘をつきなさいよ。今更私たちの心をもう一回荒ませる気!?」

 

満潮が食って掛かる。俺に向けているその顔は強い語気とは裏腹に悲しそうだった。

 

「嘘はつかない。とりあえず入ろうか」

 

俺はそう言って軽い金属のドアを押し開ける。ドアは少しきしみながら開き、その先にある部屋をあらわにした。

真ん中にはカプセルのようなものがあり、それ以外にはほとんど何もない部屋だ。

朝潮達はその真ん中にあるカプセルに駆け寄る。その中には応急処置を施してある何時ぞやの霞がそこにいた。

 

「霞!聞こえる?提督さん、これ生きているのよね?」

 

戸惑う朝潮達に明石が説明する。

 

「霞さんは今所謂コールドスリープ状態にあります。温度を下げ、かつ特殊な方法で生命を維持しています。方法に関しては軍機なので言及しないでくださいね?…それで提督、どうやって復活させるんです?」

「これだ」

 

そういって俺はもらったものを取り出した。その装置はこの前泊地棲姫からもらったものとかなり似ていた。

 

「あぁ…艤装に接続するものですね。…何ですか?これ」

「俺にも分からん。ただ治せるとだけは言える」

「はぁ…、ま、やってみますよ」

「もしもの時は軍医さん、お願いしますね」

「了解しました」

 

朝潮達がカプセルから離れ、明石が装置をもって近づく。明石はそれをカプセルの側面にはめ込んだ。どうやらソケットがそこにあるらしい。

 

「ソケットがそこにあるってことはこのカプセルは艤装代わりなのか?」

 

俺が質問すると、明石がこちらを見ずに機械をいじりながら答える。

 

「そうです。これを艤装としてつないで生命維持につなげてるんです。それはそれとして、ほんとにこの装置で治…」

 

明石が疑いの声を発しようとしたその時、変化が起こった。

カプセルの中の霞の身体が徐々に修復され、血色がよくなってきたのだ。それも尋常じゃない速さで。

まるで某ター〇ネーターのT-1000を見ているようであった。

そこから数秒の後、カプセルの蓋がプシューと言いう圧搾空気を吹き出す音と共に開いた。

 

「あぁクソ、痛いじゃない…ってあれ?私…生きてる?」

 

そこには困惑しながらこっちを見つめる霞がいた。

即座に朝潮が駆け寄り、抱きしめた。

 

「えっちょ、朝潮姉さん?苦しいんだけど…」

「よかった!本当によかった…!」

「えっと…満潮姉さんこれはどういう…」

「うるさいバカ!今は黙って抱きしめられてなさい!」

「えぇ…?」

 

さらなる困惑の中にいる霞を姉妹たちが取り囲み、みんなで泣いていた。

空気を読めない俺は声をかけようとしたが、明石に口をふさがれ連れ戻されてしまった。

 

「朝潮型の皆さん、この後食堂で祝賀会がありますので霞さんに状況説明の後、いらしてくださいね~」

 

明石が俺を引きずり、軍医さんがにこやかに微笑んでその部屋を退室するという何ともシュールな状態で俺はその部屋を後にした。階段になっても明石が俺を放してくれなかったのでものすごく痛かった。

 

「提督正気ですか?あの状態で声かけようとするとか…姉妹水入らずの時間を楽しませてあげてくださいよ。ほんとにデリカシーがないですね」

「正直すまんかった」

「提督殿にはマナー講座でも受けてもらいましょうかね」

「すみませんでした」

 

 

 

その後少し怒られたのち、俺らは食堂での祝賀会の準備に加わることとなった。食堂はさながらクリスマスパーティーのように飾り付けられ、皆が笑顔でせっせと準備をしていた。

明石は機械系の準備、軍医さんは暴れだした奴らがけがをしたとき用の救急キットの用意、俺は料理をすることになり、それぞれ分かれた。

 

手を洗い、エプロン三角巾をつけて俺は厨房へと入る。

鳳翔、間宮、赤城に加賀など、料理は主に空母が担当しているようだった。

 

「あっ提督、ちょうどいいところに!そこの野菜全部切ってもらえます?」

「わっかりましたぁ」

 

忙しそうにしていた鳳翔さんが俺を見つけてすかさず指示を飛ばす。今の鳳翔さんは自分も料理しつつ全員に指示出しを行うという鬼神のごとき働きっぷりを見せている。この人正直戦いより料理の方が向いてるんじゃなかろうか。

野菜を切り終わった後も肉や魚やいろいろな調理に参加し、全品ができるころには鳳翔さん以外の厨房要員は死にかけであった。

 

「ほら!まだ終わりじゃないですよ!立って、ほら加賀ちゃんつまみ食いしないの。運ばなきゃですよー!」

 

鳳翔さんに促され、へとへとになりながらも俺らは料理を食堂の机へと運んだ。

ようやくすべてを運び終え、残すは俺のあいさつのみになった。

俺はエプロン三角巾を外し、しっかりした服装に着替えてからプチ式台の上に立ってマイクのスイッチを入れた。

 

 

 

「この度、深海過激派と手を組んでいた陸軍総司令部を吹き飛ばした。もう陸軍連中(やつら)とかち合うことはないだろう。我々は勝利したのだ!様々な心配はそれぞれあるだろうが、今はすべてを忘れて楽しんでほしい。そしてここからはお知らせだ。まず一つ目。もう見たから知っている人はいるだろうが、霞が復活した。みんなが知っている霞だ。これまで通り接してやってほしい。次に二つ目。明日の始業は昼からとする。つまり…」

 

俺が言葉をためるとちょっとざわついていた艦娘たちが静かになった。それを見計らって俺は高らかに宣言した。

 

「朝まで騒いでもいいってことだ!準備はできたか!?それじゃ、カンパーーーイ!!!」

『カンパーーーーーイ!!』

 

食堂中から乾杯の声が上がり、耳が壊れそうになった。

食堂には歓喜の渦が巻き起こっている。俺の宣言後、食堂内はさながらライブステージのようににぎやかになった。

壇から降りた俺はその中に紛れていくのだった。

これについては、後日また綴るとしよう。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

夜の闇のなかでただ一つの星のように煌々と窓から光を放つ食堂。宴会開始からしばらくして、風に当たるために一人で外に出てきていた俺はそれを見て実感した。

 

戦争は終わった、と。

 

 




祝!完結!
本当に長かったです。ありがとうございました。
番外編にて今回の祝賀会の様子を描こうかなとは思っております。(予定)

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
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