魔改造提督の鎮守府ライフ   作:Jeep53

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久しぶりの番外編ですどうも。
クリスマス編に引き続き番外編の時空は本編のどことも関係がありませんのでご注意を。誰も死んでないし誰もケガしてません。

今回のこの話は起承転結とか何も気にせずに多分こんな感じの日常ってのを書いただけです。多分飽きます。


番外編「七夕」

 ある平和な夏の日の昼下がり、俺はクーラーから提供される涼しい風に当たりながら執務をしていた。

ここ最近は深海棲艦の活動があまりなく、艦娘たちの間では「夏バテでは?」などと囁かれている。当鎮守府はほぼすべての場所にクーラーが支給されているので夏バテはあまり起こらない。皆思い思いの事をしながら休暇(のようになってしまっている通常勤務日)を過ごしている。

 だが、そんな暇な時間をうまく使えずに持て余す子もいる訳で……

 

「司令官!」ドアバァン!

「青葉、ノックをしろ。ドアはやさしく開けろ。やり直しだ」

 

「司令官!」アオバァン!

「結局ドア開ける力は変わら…まて、音がおかしくないか?」

「気にしたら負けです!つまり提督の負けです!」

「えっ待って、めっちゃ納得いかない」

 

とまぁ、このように執務中にもかかわらず突撃隣の執務室してくる輩がいる訳だ。賑やかなのはいいことだ。仕事は進まないが。

 

「それで?新聞記者(青葉)が一体何の用だ?」

「よくぞ聞いてくれました!司令官、今日は何の日ですか?」

 

何の日…だと?今日は何月何日だったかな…?

 

 

カレンダー「7月7日ダヨ」

 

 

「七夕だな」

「えっ!?よく分かりましたね?」

「おういい度胸してんじゃねぇか表出ろ」

「まぁという訳でして、七夕パーティーをやろうと思うんですよ」

「おい…はぁ、それで?」

ちっちゃい子ら(駆逐艦たち)にはサプライズにしたくてですね、材料を…」

「私が責任をもって買って来よう」

「えっ仕事は」

「今終わらせた」

 

そういう話なら大歓迎だ。みんながハッピーになることなら何でもやって見せよう。

 

「じゃあ鈴谷さん呼んでおきますね」

「…なぜ呼ぶ」

「えっ?一緒に買い出し行くんじゃないんですか?クリスマス以降いつも買い出しは一緒じゃないですか」

「あー…いや、今回は鈴谷にもサプライズという事にしておこう。というか俺とお前とあと誰かとで行って他全員にサプライズにしてやるってのはどうだ」

「あっ、それいいですね!誰にしましょうか」

 

ふふん、提督たるもの妙案がポンポン出てくるものなのだよ青葉君。さて誰を連れて行こうか…

 

 その時俺は見た。まるで「家政婦は見た!」ばりの覗き方でこちらを見つめる奴らを。無言の圧力で混ぜろと言ってる奴らを…

俺は青葉の後ろを指さして言った。

 

「役者は揃ったみたいだぞ」

 

ーーー

 

 執務室にそろったのは、青葉、明石、夕張、そして意外にも鳳翔さんだ。なんでもおいしい七夕料理を皆に振る舞ってあげたいんだそうだ。材料買い出しのための外出届を出しに来たら面白そうなことが始まりそうだったから交ぜてほしいという事らしい。鳳翔さんがこういう催しに加担するのが意外だったのか、青葉は目を丸くしていた。明石と夕張は知らん。神出鬼没だからな。

 俺は改めて計画を確認する。

 

「まずここ(鎮守府)から抜けるための作戦だ。この人数でテクテク歩いて行こうものなら怪しまれるし、最悪付いてきちまう子もいるかもしてない。そこで町へは俺の自家用車で行くことにする。四人なら乗れる…はずだ。これで怪しまれることはないだろう。町に着いたら手分けして買い物だな。青葉、リストはもうあるんだろう?」

「ここに」

 

青葉は数枚の紙をひらひらさせながら笑った。目が輝いてがる。めっちゃ楽しみなんだろうな。

 

「そして、ここからは帰ってきてからだ。工廠で飾りの概形を作って、すぐさま食堂へ突撃、鳳翔さんはその間食事の準備を頼みます。そして突撃後二分以内に飾りつけを終え、全員を呼び出す。完璧だ」

「このような催し物をやるのは初めてなので、楽しみです」

 

おおう、うきうきしてる鳳翔さんの破壊力高すぎんか。この場にいる全員が尊みで死ぬぞ。

 

「それじゃあ、三十分後に工廠併設の車庫集合な」

 

ーー

ーーー

ーー

 

 その後特に何もなく町についた俺らはばらけて買い物を済ませることにした。俺と青葉で小物類、明石と夕張は笹とかその辺、鳳翔さんは食糧全般の買い出しだ。

 

「折り紙が10セット…短冊用の厚紙5セット…なぁ、青葉」

「なんでしょう?」

「これお前らでも買えたよな。笹とか含めて」

「いやー、せっかく平和且つ七夕なんですし、買い出しも司令官と一緒に行きたいじゃないですか」

「なんだお前、今日はやけに素直というかなんというか…」

「まぁそんなことはどうでもいいんでちゃちゃっと買って帰りましょう」

「やっぱりいつも通りだった…そうだ青葉、先に戻っていろ。すぐに追いつく」

「…?分かりました」

 

追加の用事を済ませ、駐車場に戻ってくると俺の車から笹が生えていた。どうやら絶賛笹を積み込み途中だったようだ。

 

「おい明石!これどこで取ってきた!?」

「その辺の山です!」

 

これ町に出てくる必要本当になかったんじゃ…?

そう思いながらトランクを覗くと食材の袋はもうそこにあり、鳳翔さんの買い物が終わったことを示していた。

 

「恐ろしく早い買い出し…俺は見逃したね…」

「司令官、ボケてる暇はないですよ。帰りましょう」

「辛辣ゥ…」

 

ーー

ーーー

ーー

 

 鳳翔さんは重たい袋を抱えて厨房へ、俺たちは材料を小脇に抱えて工廠に向かった。

 

「明石、クーラーだ!」

「はいっ!」

「夕張!机の上を整理しろ!」

「誰が夕張メロンだってぇ!?」

「言ってねぇよ!?」

「青葉、ステイ」

「私何もしようとしてませんよ!?」

 

広めの机の上に積まれていた書類を手で払いのけ、買ってきたものたちを荒々しく置く。

何かの缶に入れてあるハサミと糊を人数分取り出し、配った。

 

「目標は二時間だ。五時には終わらせていつもの六時からの飯に合わせるんだ。作るのは厚紙で短冊、折り紙で会場に張り巡らせる用の鎖、あとは笹につける吹き流しとかだ。どんな飾りがあってもいいぞ。とりあえず作るんだ」

「「「了解!」」」

 

「俺と青葉で鎖、メロンは短冊、明石は飾り全般だ。もし買って来た材料がなくなったら他の人のところを手伝うように」

「今メロンって!メロンって言った!」

 

夕張が何か叫んでいるが気にしない。紛らわしい名前をしているのが悪いのだ。

 

ーー

ーーー

ーー

 

「で…できた…」

 

 約二時間後、俺らは飾りを完成させていた。誰だサプライズにしようとか言ったやつ。手が足りな過ぎたぞ。

いや、サプライズにするにしてももう少し人数は欲しかった。切実に。

 

「司令官、死んでる暇はありませんよ。食堂に人が集まる前に飾りつけしないと」

「…そうだな。とりあえず青葉、飾りを持て。俺は脚立を持つ」

「あいあいさー」

 

 青葉が飾りをビニール袋に入れて担ぎ、明石と夕張が笹を持ち、俺は脚立を小脇に抱える。

 

「食堂の裏口まで競争だ!行くぞ!」

 

食堂の裏口は工廠から直で行くことができる。走ってもだれかに衝突したりするリスクはないのだ。走るしか選択肢はないだろう。

 食堂についた俺たちはすぐさま飾りつけを始める。窓際には笹を立て、飾りをポンポンとつける。そして食堂全周に鎖飾りをよくある形で取り付けた。*1

 

「飾りつけ終わり!鳳翔さんを手伝え!」

「「「了解!」」」

 


 

 今日は一日提督が居なかった。執務室に行ってもいないし、そのあとすぐ工廠に行ってもいなかったし。守衛さんに聞いたら買い出しに行ったみたいじゃん?…なんで鈴谷も連れてかないのさ!いつも連れて行ってくれてたのに。私何かしちゃったかなぁ…?

 今日七夕だったから一緒にお出かけしたいとかも考えてたのに…もう一回工廠の方に戻ってみようかな…

 

「食堂の裏口まで競争だ!行くぞ!」

 

ふと聞きなれた声がして振り返ってみると、脚立を抱えた提督が青葉達と走っていくのが見えた。あっ…青葉が持っているのは…ふふ、なるほどね。提督なりに考えてくれてたんじゃん。

 確かに、提督は私に構ってくれるけど私が独り占めするのも良くないしね。たまにはみんなでワイワイパーティーするのも楽しそう!そうと決まればちょっとだけおめかししてこようかな~

 

「あら鈴谷。随分とご機嫌ですわね。提督は見つかったの?」

「おっ、くまのん。居たよ~。どうやらサプライズパーティーを計画してたみたい。私を誘ってくれてもいいのにね」

「いっつも二人で買い出し行ってる新婚夫婦がなんか言ってやがりますわ」

「新婚夫婦じゃないし!?半年くらい経ってるし!」

「論点はそこじゃねーですわーーー!」

 

えぇ…?じゃあどこだって言うのさ…

 


 

 「よし、準備終わり!俺は館内放送してくるからお前らは会場整理を頼む!」

 

飾りつけはもちろん、料理も並べ終え、あとは鎮守府全員を呼ぶだけになっていた。

青葉をはじめとする面々(鳳翔さん除く)は憔悴しきっており、椅子に座って虚空を見つめている。

 執務室についた俺は壁のマイクを取って放送を入れる。

 

『こちら提督だ。今日は七夕、という訳で七夕パーティーを用意した!ご馳走が食べたいものは食堂へ急ぐんだな!』

 

途端に鎮守府が慌ただしくなる。恐らく駆逐艦のちっちゃい子たちがダッシュで食堂へ向かっている音だろう。

そういった駆逐艦とは対照的に途中から参加しようとか思っている呑兵衛もいるだろうから追加で爆弾を投下しておく。

 

『ちなみにだが、今日のために俺が秘蔵していたワイン、日本酒、あとは本場ドイツのビールもあるぞ』

 

鎮守府の大型艦寮の何部屋かで慌ただしく準備を始める音が聞こえた気がした。

 

ーー

ーーー

ーー

 

 「みんな集まったか?」

 

数分後、食堂に全員が終結した。皆ここ最近の日常に何かスパイスとなるものが欲しかったようで、その目は輝きに満ちている。

 

「いまみんなの目の前にある料理は鳳翔さんをはじめとする厨房組が腕によりをかけた超絶豪勢な七夕料理だ。味わって食べるよーに!さて、飲み物は持ったかぁ!?」

 

俺が手に持ったジョッキを掲げると、全員が反応してジュースや酒やらのコップが掲げられる。

 

「七夕パーティーを楽しむぞ!乾杯!」

『乾杯!!!』

 

 全員の元気な声が響き、楽しい七夕パーティーもとい宴会が始まった。

憔悴しきっていた面子(青葉 明石 夕張)も笑顔で料理に舌鼓を打っている。

どれ…俺も頂こうかな……

 

旨い!!

 

こんなおいしい料理があっていいのか?ちらし寿司にそうめん、鶏むね肉巻きに春巻き、さっぱりした料理が俺たちの胃を満たす。いやぁ…準備頑張ってよかった…!うまい!うまい!

 

ーーー

 

 食事もひと段落してきたところで俺はまた壇上に登り、マイクを取った。

 

「さぁみんな、今日は食事だけじゃないぞ?只今より、ビンゴ大会を開催する!」

 

食堂が歓声に包まれる。酔いも回り始めている戦艦や空母の面々のノリ具合が特に異常だ。

 

「ちなみに景品は間宮券。サブでほとんどのお願いが通る魔法の書類がついてくるお得仕様だ」

 

より一層熱気が濃くなった気がする。メインよりサブで会場が沸き上がったのは気のせいだろう。

 

「予めビンゴシートは各員に配っておいた!完全ランダム配置だから公平だぞ!…それでは行くぞ。最初は…25!」

 

一部で歓喜の声が聞こえる。いろんなところから聞こえることからちゃんとビンゴシートは分散しているようだ。

 

ーー

ーーー

ーー

 

 「さぁ、玉も残り少なくなってきたぞ!残りの商品数は2つ!」

 

順当にゲームは進み、5つ用意していた景品のうち3つは吹雪、明石(ヤベー奴)防空棲姫(もっとヤベー奴)に渡っていた。残り2つの間宮券を狙って会場は白熱していた。

 

「次は…67!」

「ぐっ…66ならあるのに…!」

「ま、またリーチができた…!」

「ない…不幸だわ…」

 

前言撤回、阿鼻叫喚である。そんなに皆間宮券欲しいの…?いやまぁ気持ちはわからないでもないんだけど…

 

「次行くぞー。えっと、12!」

「くっ…」

「確率とはこうも残酷なものか…」

「不幸だわ…」

 

そんな時、段々とカオスになっていく雰囲気を切り裂くような声が上がる。

 

「やった!ビンゴ!」

「こちらも…五航戦と同時なのは不本意ですが当たりました」

 

なんと、ビンゴが同時に二人出たのだ。

 

「おー、すごいな二人同時だなんて。それじゃぁ、瑞鶴と加賀の二人に残りの景品を渡して、今回のビンゴ大会は終了になる。ちなみにだけど当たらなかった人にも鳳翔さんと間宮さんが作ってくれたお菓子があるから、受け取ってから帰るように。以上、解散!」

 

 ビンゴが当たらなくて気を落としていた子たちもお菓子の事を聞いて喜んだみたいだった。よかった…鳳翔さんにお願いして作ってもらって本当によかった…!

 

 もう夜も遅いためパーティーはこれで終わりになる。秘書艦(鈴谷)に声をかけてから俺は食堂から執務室に向かうことにした。明日の分の仕事を進めておこうかと思ったのだ。

 

「鈴谷。パーティー後で悪いんだが仕事があってな。もしこの後暇だったら執務室に来てくれ。来なくても大丈夫だ」

「あ、おっけ~」

 

ーーー

 

 結局それから数時間がたった頃、鈴谷はやってきた。

 

「提督、仕事まだある?」

「あるぞ~。ほれ」

 

そう言って書類を隣の机に置く。鈴谷がテーブルに着いたのを見計らって俺は話を切り出した。

 

「鈴谷」

「なに?プレゼント?」

「えっよく分かったな」

「えっマジ!?」

 

二人して驚いてしまった。

 

「いやな、クリスマスの時に鈴谷は俺に万年筆プレゼントしてくれたじゃないか」

「あー、提督がくれたものが大きすぎて忘れてた」

 

指輪をこちらに見せながら冗談めかして鈴谷が言った。

 

「ハハハ、それで、あの後鈴谷用の万年筆も注文しておいたんだ。気に入ってくれるといいんだが」

 

そう言って俺は今日文具屋に受け取りに行った小さな革ケースに入った万年筆を鈴谷に差し出した。

木目調のグリップに控えめな装飾が施されており、”鈴谷に似合うだろうなぁ”の一心で価格を気にせず買ったものだ。結果として俺が使っているモデルと同じものになったのは偶然だろう。はたして受け取ってくれるだろうか。

 

「めっちゃ嬉しい!しかもこれ提督とお揃いじゃん!マジ嬉しいんだけど!」

 

鈴谷ははしゃぎながらそれを受け取った。やはり鈴谷には笑顔が似合う。万年筆はとても気に入ってくれたようだ。

 

「早速明日から使うから!ありがとう提督!…あ、私何も用意してないや…」

「いやいやいや、普通七夕って贈り物する日じゃないから。大丈夫、気にしないで」

「えー、でもなんかなぁ…あっそうだ」

 

鈴谷が何かを思いついたように俺に近づいてきた。

瞬間、頬に何か柔らかいものが触れた。

 

「えっ、ちょ、鈴谷…」

「お、織姫からのプレゼントだよ!また明日っ!」

 

 鈴谷は顔を真っ赤にして執務室を出て行った。小さな革ケースを大事そうに抱えながら。

俺はというと鈴谷の感触が残る頬を片手で押さえて放心していた。

 鈴谷とのスキンシップはお互いに奥手なところが災いしほとんどなかった*2ため、今俺は非常に驚いている。もちろんいい意味で。

 

「あっ、鈴谷帰っちゃったじゃん!?」

 

仕事が二倍に増えた(元に戻った)ことに気づきげんなりしつつも、俺は手を動かし始めた。今日はなんだか頑張れそうな気がする。ふむ、これを鈴谷パワーと名付けようか。

 

ーーー

ーー

 

後日、執務室での一件がまた青葉新聞にすっぱ抜かれ、鈴谷が赤面し、提督が青葉を追いかけまわすという事が起こるのだが、それはまた別の話である。

 

Fin

*1
UUUUUUみたいな感じ(伝われ)

*2
本人の感覚。正直鈴谷が秘書艦の時の執務室は他の子たちが居続けられない雰囲気だった。




読者「こいついっつも鈴谷に何かあげてんな」
ワイ「鈴谷しか勝たん」

ここまで読んでくださりありがとうございました。久しぶりなので些か変な個所はあると思いますが多少のミスには目を瞑っていただけると幸いです(笑)
文字数も少ないですがご容赦を。今の自分にはこれが限界でした。

誤字脱字、または不適切な表現等ありましたらご指摘いただけると幸いです。それではまた。
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