無事に双子ちゃん出産しました。
10/24、季節は秋。
かつてSAO事件と騒がれていた世間も過去のものとなり、十数年は過ぎ去った頃。
仮初の世界で結婚を遂げたとある二人は現実でも愛を育み、数々の事件を乗り越えた先にようやく結ばれ、本物の夫婦となった。
今では二人の子宝に恵まれ、順風満帆な生活を営んでいた。
これは、そんな二人の何気もない結婚記念日でのお話。
都内のとあるマンション。
そこには夫・桐ヶ谷和人と妻・桐ヶ谷明日奈が住む一室があった。
今日は二人とも休日になっており、ゆっくりと家の中で過ごしていた。
二人のいるリビングには赤ちゃんベッドが設置されており、そこにはスヤスヤと眠る双子の姿があった。
気持ちよさそうに寄り添いながら寝ている二人の姿を見て、ソファーに腰かける和人と明日奈は微笑んでいた。
「気持ちよさそうにお昼寝してるね、和人君」
「そうだなぁ。なんだか何処かの誰かを思い出すな」
「あ、それって昔の私たちの事かな?」
「うーん、さてどうでしょうな」
お互いに身を寄せながら会話を弾ませている和人と明日奈の二人。
手の指を絡ませ、寄り添う互いの足で遊びながらゆったりとした時間を満喫している。
ふと夢の中で冒険しているであろう昼寝中の双子を見て、和人はとある話題を提案した。
「久しぶりに俺達がしてきた冒険、振り返ってみないか?」
「振り返るっていうと?」
「ほら、ここ最近は忙しかっただろ? 皆とパーティーで集まるのは午後からだろうし、思い出語りしたいなって」
「いいね。じゃあ君としてきた旅の事、語ろうか」
愛しい夫からの素敵な提案を聞いて、満面の笑顔を浮かべる明日奈。
愛する妻の出会ったときから何一つ変わってないその笑顔を見て、少年の時から相変わらないときめきを内に秘めながら、今までの冒険の思い出を振り返ることにした。
「まず、SAOでの話の時だけど、S級食材を取って料理をしてもらったことがあったよな」
「そうだよね、今思えばアレがきっかけになったよね。キリト君のと結婚」
「あの食事がきっかけで、アスナと久しぶりに組んで、それで74層のボスを倒す事になって」
「それからしばらく休もうとする私のかけて団長とデュエルしたり、それ白い服着るキリト君を見れたよね」
「それから……危ない目に遭って、それで、その……アスナをキス、しましたよね」
「うん……それとあの時言ってくれた言葉は鮮明に覚えてるよ。『俺の命は君のものだ。最後の最後まで君のために使う』って」
嬉しそうな笑みを浮かべながら明日奈は和人の腕を抱きしめる。
女性特有の柔らかさと彼女自身のぬくもりを心地いいと感じながら、和人はその後の出来事を思い出す。
―――彼女の家で食事を澄ました後、勘違いした彼女が下着姿になったあの光景。
―――そして自分の愛を証明するために、彼女と身体を重ねた事。
あの時の事は十数年たった今でも鮮明に覚えている。その時の明日奈は色んな顔を見せてくれたが、特に悶えている時の彼女は……。
と、思考にふけっていると、睨みつけてくる彼女の姿に気付いた。
「和人君、今変な想像していたでしょ」
「し、してませんしてません!」
「ウソ、していたよね。その、私の事で……」
「……スイマセン、あの時のアスナも、今の事に及んでいる時の明日奈も、来るものがあります」
「そこまで正直に話されると怒れるものも怒れないわよ、馬鹿!」
『自分のイケない姿』を想像していた夫に顔を真っ赤にさせながら怒鳴り声を上げる明日奈。
その際に双子の赤ちゃんが驚いて泣かないか心配していたが、相変わらず夢の中で微睡んでおり、二人は息をついた。
それを確認した後、腕を絡めながら明日奈は和人に訊ねた。
「そんなに私が魅力的なんですか」
「そりゃもう、好きですよ。明日奈さんの事は」
「……許さない、また帰ったら証明してよ。愛してくれるって」
「そりゃもう、君の事は愛してやまないから」
すねる彼女も可愛いとふと思い、和人は突き出された彼女の唇へ接吻を落とす。
二人の愛を語る時間は、まだ始まったばかりであった。