愛する君と結婚してどれほどだったのだろうか。
このマンションの一室に引っ越し、共に過ごして一年以上は過ぎてしまった。
君と共に暮らせる日を夢見ていた私にとっては、ようやく待ち望んだ幸せだ。
そして今日、10/23。
私は彼……今では旦那様となった和人君と一緒に、ドライブに出かけていた。
夜の夜景が流れていく中、私は彼に訊ねてみる。
「ねえ和人君、今どこに向かているの?」
「ああ、夜景が有名な展望台だよ」
辿り着いたのは、彼の言う通りいつぞやかTVで有名になった星が見える展望台だった。
私達二人がやってくると、前方を光る街並みと夜空に広がる星々が出迎えてくれた。
「わぁ、綺麗!」
「気に入ってもらえて何よりだよ。明日奈」
「うん、とっても素敵な光景だよ」
「そっか。最初見た時、あの場所に似ていたから」
あの場所?首をかしげながら私はふと思い出す。
今は無き城、アインクラッドにあった61層のセルムブルクでの私の住居から見える夜景。
今目の前に広がる光景と酷似していた。
「そっか、セルムブルクの!」
「ああ。きっとアスナなら気に入ると思ってさ」
「忘れるわけないよ。君と一緒にいるって決めた日も見たよね」
数年前にもなるあの日、告白されて共に生きると決めた日。
人生の『初めて』を捧げ、彼と身体を重ね合わせた後、目に入ったのは夜の街並み。
まるでこれからの私達二人を祝福するかのように明かりを灯していたあの時の光景は今でも印象に残っている。
その時の事を覚えていてくれていた彼に私は感動と愛おしい気持ちが同時にこみあげてきて、涙が出てきた。
「ありがとう、覚えていてくれて」
「むしろお礼を言うのはこっちのほうだ。こんな俺を好きになってくれて本当にありがとう」
彼は私に腕を回すとそのまま抱きしめる。
少し肌寒い季節のせいか、彼が近くにいると暖かく感じる。
彼は身をゆだねて彼の暖かさを確かめながら、彼の言葉に耳を傾ける。
「今日は俺が明日奈に結婚を申し込んだ日だよな」
「うん……あの時は嬉しかったなぁ」
「今となっては、正真正銘アスナと俺は夫婦になった。今でもとっても嬉しい」
「どうしたの、改まって」
顔を見上げると、彼は照れ臭そうに顔を赤く染めている。
そんな様子を思わず笑みを浮かべて見つめていると、真剣な面持ちになった彼が言ってきた。
「その、なんだ。何度でも言いたいから君に言う」
「う、うん……」
「―――結婚してくれてありがとう。俺は、桐ヶ谷和人は桐ヶ谷明日奈を愛しています」
「……ッ!私も同じだよ、桐ヶ谷明日奈は桐ヶ谷和人を愛しています」
私は涙を零しながら、彼――和人君に抱き着いて、御礼代わりのキスをプレゼントした。
夜空で照らす星々が私達を祝福するかのように輝いていた。