Infinite ARMS -ALLICE-   作:X-ARMYのキャロルちゃん推し

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『』内はアザゼルのテレパスです。


融合(フュージョン)

 サイレンと轟音がやんだ後、辺りには叫び声が充満していた。耳を澄ませば何か助けを呼ぶような声も聞こえる。

 

 ところが不思議なことに、しばらくすると悲鳴が止んだ。この時私は、轟音の正体は軍隊とかの襲撃ではないかと想像したのだが、にしては発砲音が聞こえない。まあ人造人間なんてトンデモ技術のある世界で、まともな発砲音のする銃が使われているかと言われれば怪しいところではあるが。

 

 ともかく、自分も声を上げてみることにした。ここで一人でいるよりはマシだろう。

 

 

 

「すみませーん。誰かいらっしゃいますか?」

 

 

 返答は何か金属を叩くような、貫くような音だった。もしかしたら襲撃者は人じゃない? この施設は対エイリアン用の兵器開発のためだったりして。怖いなぁ、戸締まり……できないんだったわ。手が無いからね!

 

 頭の中で茶番を繰り広げているうち、音を立てていた何かはすぐそばまで来ていた。ふとおでこに冷たい感触を感じる。

 

 

「──ぐぅっ!?」

 

 

 そして、私と()()の意識が混ざった。私は()()の数百万年の孤独な旅のごくわずかを覗き見て、()()は私の──おそらくは前世含む──記憶を見たのだろう。テレパスのようなものが直接脳内に送られてきた。少しつたない日本語だった。

 

 

『あなたはわたしをしっているの?』

「……見えないからわからないなぁ」

『じゃあ、みえるようにしてあげる』

 

 

 その言葉の意味をかみしめる前に、私の目を何か金属のようなものが覆った。不思議な密着感を感じる。それと、少しむず痒い。

 

「ねぇ、見えるようにするってどうやって?」

『ろんよりしょうこ、っていうんだっけ?まあみててよ』

 

 やがてぴったりくっついていた金属製アイマスクが取れた。私は閉じた瞼ごしに、数か月ぶりの光を感じた。

 

「……そんな……本当に……?」

 

 恐る恐る瞼を開く。見覚えのある部屋、破壊されたドア、視界の端にちらちら映る金色の髪、それと……私の額に触手を触れさせている岩塊のようなものが見えた。それがただの岩塊でないことは、表面に人間の、ここの研究者の苦しむような顔の模様が浮かんでいることからわかる。

 

 私はこれとよく似たものを知っている。アザゼルだ。

 

 

 

 アザゼルとは、『ARMS』において物語の根幹を成す存在である。その正体は地球外から飛来してきた鉱物生命体だ。軍事結社『エグリゴリ』は実験によってアザゼルがヒトとの融合を求めていることを突き止め、適性のある人間を選び出しアザゼルの一部を移植した。例えば右腕とか。それがARMSと呼ばれるものだ。

 

 

「いや、ありがとう。まさか再び見えるようになるなんて思ってもなかったよ。改めて自己紹介しよう、私はA11番だ。君は宇宙から来た鉱物生命体で間違いないかい?」

『たぶん、あってる。あなたのきおくのなかに、わたしとにてるすがたがみえたの。それはたぶんわたし」

 

 

 不思議な話だった。つまり漫画の登場鉱物が現実世界に現れて、たまたまその存在を知っていた私と出会ったというわけだ。

 

『私のことを知っててくれて、うれしい』

「なんとなくわかってきたぞ。君も人間と融合したいって感じ?」

『それは正確じゃないわ、私を知っててくれた人。私はもう、一人で宇宙をさまようのは嫌なの。だから、私が融合したいのはあなただけ』

 

 

 そう伝えてくるやいなや、アザゼルは私の体に触手を伸ばし、包み込んだ。腕も足もないので私は為すすべなく飲み込まれていき、ついに首から下がアザゼルに飲み込まれた。

 

「ちょ、ちょっと待って?なんか体の感覚がないんだけど!」

『いったん分解して作り直すの。理解、分解、再構築ってやつね』

「それ違うやつじゃない!?」

 

 そっかー、記憶覗き見たんだったらほかの作品だって見たよね。アザゼルがどんどんオタク文化に染まっていく……。

 

 

『……おっけー!あとは圧縮して終わりよ』

 

 見ると体を包んでいたアザゼル自体が徐々にしぼんでいき、やがてそこには()()()()な私の体だけが残った。

 

「おお、すっごい」

『動かしてみて。こっちで筋肉の電気信号とのすり合わせをやるわ』

「よくわからないけど了解」

 

 

 試しに右腕を上げようとすると、少し遅れて体が反応した。もう一度やると、今度は思った通りに動いた。なんとなく言いたいことが分かったので、その辺を歩いたり跳ねたり踊ったりしてみる。

 

『うん、こんなものかしら』

「大丈夫そう?じゃあさっさと逃げよう、エグリゴリに見つかったら面倒だし」

『エグリゴリ?この研究所は関係なかった気がするけど……まあ、いいかしら。では、強く願って。願う心がARMSの力になる。でしょ?』

 

 

 

 その通りだ。私は記憶の中の姿を強くイメージする。

 

『──そうだ。A11なんて名前つまらないわ。私がアザゼルなんだから、貴女はアリスと名乗るべきよ。見た目も寄せたんだし』

「そりゃ名案だ」

 

 アリス、それは原作でアザゼルと適合した最初の人物だ。金髪の少女。

 

『さあアリス、願って。願うことがARMSの力になる、そうでしょ?』

「そうだね」

 

 

 記憶の中のとあるARMSを強くイメージする。それは両足のARMS、白兎(ホワイトラビット)。第一形態では、脹脛のスラスターから空気を噴射することで高速移動や超跳躍、短時間の飛行を可能にする。

 

 

『ねえ。──力が欲しい?

「ああ、欲しい。ここから逃げ出して、自由になるための力が」

力が欲しいのなら、くれてやる。()白兎(ホワイトラビット)、所有者の足となり翼となりて導くもの、勇気を司りしもの

 

 

 全身に回路のような模様が走り、体が作り変えられていく。足はウサギのように曲がり、全身は滑らかな曲線をもつ甲冑のように覆われていく。その姿は機械のようでもあり、生物のようでもあった。全長はおよそ2メートルほど。頭部にはこれもウサギのような角が生えている。そして何よりも特徴的なのは、背部の蝙蝠のような巨大な羽。骨格に当たる部分には噴出孔が備わっている。

 

 これが白兎(ホワイトラビット)、第二形態。

 

 

 

「さあ、行くよアザゼル。一緒に世界を見に行こう」

『……ええ!とっても楽しみだわ!』

 

 

 圧出空気、噴出開始。羽から勢いよく空気が噴き出し、体が宙に浮く。

 

『もっと、もっと願うのよ。そうすれば私たちは音速だって超えられる。誰も止められない』

「空の遥か彼方まで……どんな風よりも、音よりも光よりも早く飛び越えろ!白兎(ホワイトラビット)!」

 

 

 

 

 

 

 

 その日、とある無人島から、亜音速の人型物体が飛び立った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




正直な話、見た目に関しては私の表現より実物を見た方が分かりやすいしかっこいいと思います。実は一番描写が難しいのは何かに例えにくい白兎なんですよね……。
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