Infinite ARMS -ALLICE- 作:X-ARMYのキャロルちゃん推し
「視界良好。さあ、どこに向かおうか?」
上空およそ数百メートルを飛びながら、アザゼルに尋ねてみる。
『そうねー。やっぱり、人が多いところがいいわ。貴女から離れるつもりはないけれど、ほかの一般の人間も見てみたいの』
「うーん、そうすると大都市か……ああでも私、多分戸籍なんてないんだよなぁ」
私が外国語を話せないので、日本から離れるのはとりあえず無し。田舎であれば身元不明の少女でも面倒見てくれる人が現れたり……するのかな? いやでも田舎って排他的とも聞くよなぁ。
「そういえばさ、
そう尋ねるとアザゼルは少し残念そうな口調で答えた。
『知識が足りないの。あの研究所の人間って人体知識ばかりで、高度で専門的な物理演算をする人間がいなかったみたいなのよ』
「残念。じゃあ学習も今後の目標だね」
そうこう言っているうちに陸地が近づいてきた。私は目に力を込め、ARMSを起動させる。
「
それは両目のARMS。第一形態では大気の動きから筋肉の収縮まで視界のあらゆる情報をつかみ取ることが出来る。変形は特になし。その眼で地上を確認し、人がいないことを確認してからゆっくりと何処かの砂浜に着地した。ARMSを解除すると、肉体が普通の少女のものに戻った。ただし、服はダメになった。
「とりあえず脱出成功!」
『おめでとう』
一先ず自由になった喜びを噛み締める。裸の解放感とか、抜けるような青空とか、波際の貝殻とか、ジェットにんじんとか、全てが輝いて見え──
『あれ、何かしら?』
そう、ジェットにんじんである。ジェットにんぢん空飛ぶにんぢん、とは誰の歌だったっけか。
「なんぞ?あれ」
『こっちに近づいてきてるみたいだわ』
「追手?あのふざけたフォルムで?誓って言うけど、エグリゴリはそんなお茶目な組織じゃないよ」
『知ってるわよ、記憶見たんだから。ねぇ、そんな事より、もうすぐこの砂浜に来てしまうわ』
やばいな。
「逃げた方がいいかな?」
『仮に私たちのことを追いかけてきたのなら、ARMSの形態移行も見られているかもしれないわ。もしそうなら、今後のためにも目撃者を放っておくのは悪手ね。最悪も覚悟した方がいいわ』
「……そう、だね」
ARMSは『腕』という意味ではなく『兵器』という意味である。作中で戦闘生命と語られていたように、戦いに関して人間の追随を許さないものだ。私は左手に僅かに力を込め、
『着陸まで5……4……3……2……1』
ドォン!
共にニンジンの先端が地面に突き刺さり、そのあと縦に二つに割れた。その中から人影が飛び出してくる。
「捕まえたぁ!」
「なにごとっ!?」
砂埃が巻き上がる中砂浜に押し倒されて、ぐぇっと声が漏れた。やはり敵襲か、と体に力が入るが、それを押しとどめるように相手の手が重ねられた。
「ふ、ふふ、最高だよ。後にも先にもこんなに興奮したのは初めてかも」
「ロリコンの方ですか?」
「失礼だね君!」
因みに脳内ではアザゼルが『なるほど、これが百合なのね』などとほざいている。余計な文化を吸収するんじゃない! そう注意しつつ私は
「どちら様ですか?」
「あー、私のことを知らなくても無理はないよね。私は天才科学者の束さんだよ。君に名前はあるのかな、宇宙の旅人君」
「束さん、ですか。私はアリスです。それで、天才科学者さんが私に何の用ですか?」
「そうだねぇ、それを説明するためにも……一緒に来てくれないかい?」
束さんはそういって私を起こした。私はざっと脳内でメリットを並べ立て、アザゼルと相談した。アザゼルの望みは人と触れ合うことだった。
「ねぇ束さん。この世界には、様々な人と触れ合えて、専門的な技術が学べて、戸籍とか身寄りのない少女でも暮らすことが出来る都合のいい施設とか、あったりする?」
「──あるよ。一つだけ、とびっきりのが。じゃあこうしよう。君をそこに通わさせてあげるから、私の物になってよ」
「やっぱりロリコンじゃないですか」
「違うよ!君のことを隅から隅まで調べたいだけだよ!」
『付いて行ってもいいんじゃないかしら。最悪
それは最終手段である。まぁアザゼルもこう言っていることだし。
「まあ、いいですよ。答えられないこともありますが、それでも良ければ」
「ふふ、私を誰だと思ってるんだい?文字通りの
私は差し出された手を握った。これが、私とこの世界のファーストコンタクトだった。君だって知っているはずだ、不思議の国へとアリスを誘う案内人は──いつだって兎なのさ。たとえそれが機械製だったとしても、ね。
束さんの口調とダヴィンチちゃんの口調が脳内で混ざり気味。まじめな対応のガチ天才ってなかなか創作物で見ない気がする。どっちかと言えば飄々としてたり、人の心が分からなかったり、底抜けに明るかったり。