祝賀会から一週間が経った。
日本も各国も変わらず未だ出現する深海棲艦。それでも前年に比べたらその件数は少ない。ただ、いつまたその件数が増加するのか分からないという不安はあれど、日本国防軍は常に警戒態勢である。故に国民たちは安心して暮らしている。
光一が任される鎮守府は、近くに小さな港町がある。
最初は住民たちも国防軍が近くにいることで不安の色を隠せなかったが、時が経つに連れて不安は安心に変わっていった。
漁を行う際の護衛艦隊派遣。そして日々の哨戒行動。更には漁場となる海域の遥か先まで艦隊をやって、安全を確保してくれたのだ。
勿論、これには地域住民のためというのもあるが、艦娘たちのためでもあった。
そもそも各鎮守府の艦隊が日々の深海棲艦撃退行動に参加出来る艦娘は限られている。
多くの艦娘を出撃させるのは実際可能だが、大艦隊となればそれ相応のリスクとコストが高まる。
故に基本的には一つの艦隊六人編成で、四つの艦隊まで事にある方が効率がいいのだ。
しかしそうなってくると、そこに参加出来ない艦娘らが悪い言い方だが暇を持て余してしまう。
負傷による修復や艤装の整備の手間を踏まえても、九六人揃えば十分に作戦行動が可能。それにこの人数は四つの艦隊を常時出撃させる場合のことであり、海域によっては一つの艦隊だけの場合もある。寧ろそちらの方が多い。
各鎮守府に在籍する艦娘は優に一〇〇を超えており、光一のところもそうだ。訓練や他鎮守府の艦隊と演習、または資材確保の遠征に就かせても、必ず余る人数だ。
艦娘たちの休息や病欠等を加味しても、余る。
故にその際には地域安全保全任務に就いてもらうことになるのだ。
そうすることで艦娘たちも中弛みせず、緊張感と誇りが保てるのである。
「う〜ん、深海棲艦は相変わらず海ならどこにでもいるなぁ。まあ僕が着任した頃よりは圧倒的に数は減ったけど」
これまで見てきたものと、最近のデータを比べ、独りごつ光一。
一見真面目に執務室で過ごしているように思えるが、
「そうじゃのぅ……しかし、余裕が出て良いではないかえ? 妾は坊とこうする時間が増えて実に嬉しく思うぞ?」
光一は現在進行形で初春母上の膝枕を堪能中。
当初、執務室は洋室だったが、光一が母たちから膝枕をされたい一心で家具妖精に頼んで床の間のある和室にしてもらったのだ。
初春はママ艦隊では副旗艦。初期艦電の次に鎮守府へやってきた古参の艦娘で、当初は光一を女々しい男だと思っていたが、いざ共に過ごしてみると庇護欲を唆られ、甘やかしてみるとなんとも言えない快感を覚えたことで、それからどっぷりと母上として接するようになった。
「そうだね、母上。はぁ、母上のお膝気持ちいい……母上のいい匂いもする」
「ほっほっほ……愛らしい、愛らしいのぅ。そんなに妾の腿に頬を擦り寄せて……こりゃ、こりゃ♪」
「うわぁ、母上くすぐったいよ。首筋突かないで」
「坊が愛らしいのが悪いんじゃ、ほっほっほ♪」
戯れ合う光一と初春。
前々からこの二人はこうであるが、
「提督は今日も初春と仲良しだね〜♪」
「あの……私たちもいるんですよ、提督?」
「これは何かの罰ゲームか? もしかして、若葉が昨晩寝ずに艤装解体作業をしていたのがバレたのか!?」
初春の姉妹艦の子日たちも、当然補佐で執務室にいる。
子日は相変わらず無邪気にのほほんとしているが、若葉も初霜もこの場違い空間に居続けるのはごめんこうむりたい所存。
「子日、初霜。若葉を即刻部屋に戻して寝かしつけてきて。報酬に新作伊良湖最中の試食券を与えよう」
しかし光一は若葉の自爆を聴き逃しはしない。
光一の一言に子日と初霜は『はっ!』と声を揃え、ガッチリと両脇から若葉を捕まえ、自分たちの宿舎部屋へと連行して行く。
「に、二四時間寝なくても……」
「残念なことにもう二四時間を超えている。明日の朝まで部屋で待機すること。この命令違反を確認した場合、罰として赤ちゃん週間を設ける」
「りょ、了解!」
若葉は抵抗することなく、子日たちに連れられて行った。
赤ちゃん週間とは、光一がその者を許すまで世話したい欲に飢えた艦娘たちの赤ちゃん役をやらせるという恐ろしい罰である。
艦娘たちの中には母性が強い者たちがいて、その者たちは常々光一の世話を焼きたがっている。
しかしそれが出来るのはほんの少しだけ。光一には既にママ艦隊が存在し、世話はその者たちに任せているのだ。
なので世話欲求を解消するために、希望者たちには光一と触れ合う時間を設けている。
そこである程度はガス抜きはされるが、それでも満足には達しない。
故に罰として世話する側を作り、世話したい側の欲求を解消するのが最も効率がいいのだ。
世話を焼かれて一瞬バブみの沼に沈み掛けた者たちもいるが、やはりそこは正常な理性が働いて浮き上がって来られる。
「若葉には困ったものだなぁ。もう少し休んでくれないと……」
「愚妹が心労を掛けて申し訳ないのぅ」
「ううん。母上の妹だからこそ、僕は心配するんだよ」
「そうか、そうか……ではでは、せっかく親子水入らずになったのじゃ、うんと甘やかしてやるとしよう♪」
「母上〜♪」
こうして、光一は今日もゆったりと母上の愛に溺れていく。
のじゃロリママってなんかいい←
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