これは別に誰からも求められていないけれど、戦闘描写適当すぎたなと思って書いた蛇足です。
「いいかにーちゃん、この世界での戦いはほぼ初見殺しで決着がつく」
「初見殺し」
スイッチに入っていたドンキーコング3を二人で協力プレイしながら、俺はにーちゃんに持論を語ることにした。
俺は戦闘能力的にクソザコなので、にーちゃんと模擬戦をして強くしてあげることはできない。
だが一応、転生者という身の上ではあるので、微弱な知識マウントみたいなのは取れるはずだ。多分。
「命は2個ないからな。いっかい致命傷キマったらそれで終わりだ」
俺の操作するドンキーがワニを倒す。
ドンキーでいうところのワニは、マリオでいうところのクリボーだ。
主人公と違って一回死んだらそれで終わり。
にーちゃんは主人公だからワンアップキノコで蘇れたものの、今後同じことができる保証はない。
虎杖悠仁には絶対的に経験が足りていない。
模擬戦は呪術高専の連中とだけ。
実際の命を賭けた戦闘は雑魚呪霊と、この段階では真人と花御、それから壊相兄者か?
あ、一応俺もいた。
どの漫画でもそうだが、主人公というのは戦いの中で成長する。
一番伸び代がある奴が主人公になるもんだからな。勇者とかもそう。
経験があればあるほど伸びる。
百聞は一見にしかずだが、一聞だって役に立たねえわけじゃねえだろう。
「術式というのは隠されるもので、本人以外の誰も、下手すりゃ本人だって術式の全てを理解してはいない。だから相手が何をしてくるかわからない。攻撃が決まるのは不意打ちだから。正面切って攻撃ぶち当てて倒せる相手はよほどの格下相手だけなんだよ」
「よ、よほどの格下……」
ドンキー的に言うなら、ワニはワンパンで倒せるが、ボスはワンパンじゃ無理ってことだ。
あとごめん、よく考えずに言っちゃったけど攻撃方法が正面切ってぶん殴る一択のにーちゃんにとって普通に悪口だなこれ。
「タネがわかってても強い術式はあるが、それだって結局はタネがわかっていても不意を打てるからって場合がほとんど。わかるかにーちゃん、五条悟を基準にしちゃいけないんだぜ」
五条悟は常にスターとったマリオだからな。
あいつ絶対教育者向いてないんだよ。
生徒よりも圧倒的に強いサンドバッグにしかなれないだろ。
「俺が釘崎とにーちゃんを倒したのも結局は不意打ちだ。にーちゃん達はずっと兄者と戦ってて、そのあと登場した俺も同じ術式を持っているという理解をした」
それ自体は正解だ。
俺と兄者の術式はまったく同じである。
兄者は俺の上位互換みたいなもんなんだけどな。
だから宿儺の指によって強化された俺は壊相兄者二号機みたいになった。
普段の俺が兄者より優れているところといえば、血液の生産量くらいだろうか。
俺の血液には兄者のようにものを腐蝕させる性質はないので、たくさん血を作れたからってそんなに役に立てられる気はしない。
「だから俺も、わざと兄者とおんなじような攻撃方法ばかりを使っていた。釘崎をオトした首絞めも、にーちゃんを溶かした血の雨も、兄者はやらなかったから、そもそも攻撃方法として頭ン中になかったろ」
俺が釘崎に向けて伸ばした血液は、途中まで針のような鋭さを持っていた。
だから釘崎は今までと同じように横に飛んでそれを避けたし、釘崎ならそうすると思っていた俺は途中で血液の勢いを変更して鞭のようにし、釘崎の首を絡め取ったのだ。
にーちゃんの上方に飛んだのもそうだ。
釘崎をオトされたので、にーちゃんは俺が中距離戦法をとると思っただろう。
近距離で戦うにーちゃんからは絶対に距離を保つと。
だからにーちゃんは攻めの一択、俺とは常に距離を詰めようとすることを見越していた。
俺が空中に逃げたのは、空中ならば追ってこれないだろうと俺が考えたからで、だったら追いかけるために上に跳べばいい——というところまでが、俺のにーちゃんへの思考誘導である。
血の雨攻撃はそこそこ広範囲に及ぶが、真横に猛ダッシュされれば、にーちゃんの膂力ならば逃げ切られていただろう。
だからこそ、その膂力を上にだけ向けさせた。
途中で横に方向転換することが無理になったであろうタイミングで、雨を降らせたというわけである。
警戒されている攻撃方法とは別の攻撃をぶち当てる。
これはかなりキく。
「兵法にある、彼を知り己を知れば百戦危うからずってのは、敵や自分を知れって言ってんじゃねえんだよ。全てを知れるわけがねえんだから、危うくない戦などないってことだ」
だからゲームで無敗を誇っていた俺だって、雪玉を投げて攻撃してくるボスのこと忘れてて初見殺しされることもあるよね。
しなしなの実写版ピカチュウみたいな顔をしながら、俺はスイッチのコントローラーを一旦置いた。
「だから五条悟は強い」
「え、なんでそこに戻んの?」
「あいつの持ってる六眼がそういうのだから。初見殺し殺し。でもあいつは相手の術式知ろうとする前に適当に無下限ぶっぱするからバカ」
「誰がバカだー?」
「いたーっ!」
頭部への突然の衝撃に、目の前に星が散る。
気がつけばにーちゃんに抱き込まれ、頭をよしよしされていた。
「血塗がカワイソーだろ! 年下いじめんなよセンセー!」
「いや150歳でしょ」
生まれてからは数日だもん。
「頭はやめろよーっ! もっとバカになったらどうするんだよ!」
「あれ? 自分のことバカだと思ってるんだ?」
「うん? うん。五条悟は俺よりはバカじゃないと思うよ。バカだけど」
「罵倒が複雑だなぁ」
は? バカは罵倒じゃねえだろ。
バカの方がぜってえ人生楽しく生きられっかんな。
難しいことを難しく考えるやつは、うまく生きられるかもしれないがそれだけだろ。
頭がいいやつは目標を達成しやすいが、目標の達成はイコールで幸福じゃねえんだよ。
まあバカは罵倒じゃないとは思ってるけど、普通に挑発で「バーカバーカ」は言う。
日本語ってあんまり罵倒の語彙がないと思うんだよな。
かといって本当に殺したいときにしか「殺すぞ」は言っちゃいけないと思います。
「五条悟は幸せそうでいいよな」
「罵倒が複雑だなぁ」
だから罵倒じゃねえわ。
んベーっと舌を出してやると、「お、やるかぁ?」と言われたので俺も「やるかぁ!?」とスペシウム光線を出す構えをとった。
光線は出せない。出るとしたら血である。
「こら、喧嘩すんなって」
「なめるなにーちゃん。俺はこういう時の解決方法を知っている」
俺程度の挑発にすぐ乗ってくるところとか、やっぱ五条悟って真人と似ている気がするな。
喧嘩は精神年齢が同じやつとしか発生しないと聞いたことがある。
俺と真人はまあまあ生まれたてだけど、五条悟お前……。
俺は五条悟に人差し指をズビシ! と向けた。
「スマブラで勝負だ五条悟!」
「よーし、ゲームでも僕が最強だって
「あ、俺もやるー」
このあとめちゃくちゃ勝利した。
「いやそれハメ技でしょ!」
「抜け方あるよ、こっからはメテオだけどな!」
「待って待って待って!」
「バカめゲームに待ったはなしだーっ!」
ちなみに、五条悟の「もっかい! もっかい!」はめちゃくちゃ真人に似ていた。
血塗はスマブラだとカービィを使います。