BORUTO 風が運ぶ鳥と砂   作:shizuru_H

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4話 修行2

「内容は以前卒業試験の時に行った鈴取りだ」

「え~、またあれかよ~」

「ただし今回はサラダはこっち側だ」

「え?私が?」

「そ、サラダはオレのガード兼攻撃役」

「どういうことだってばさ」

「まぁ、待て。説明してやるから。。そういうところはナルトと親子だな」

「ふんっ!良いからルールを説明するってばさ!!」

「ふふっ」

 

カカシから提示されたルールは以下の通り

 ・制限時間は日暮れまでの約30分

 ・ボルト&ミツキ側はカカシから鈴を奪えば勝ち、逆に奪えなければ負け

 ・カカシからは攻撃はしない

 ・他は自由に攻撃してよい。。。が、

 

「「「。。。が?」」」

「野営地&テント&飯を破壊した者には罰を与える!」

ぬっ

カカシがボルトに顔を近づけて宣言する。

「へ、分かったよ。要はサラダを潜り抜けてカカシのおっちゃんをぶっ飛ばせばいいんだな」

「ま、そういうこと。無理だと思うけどね」

「今度はこの前のようにはいかないってばさ、ミツキ!」

「どうしたの?」

「ちょっと作戦会議だ!」

そう言って二人で木陰まで歩いていく。

ごにょごにょ

ボルトとミツキが相談しているのを見ながら、サラダがカカシに問う。

「なんで今回私は六代目側なんですか?」

「ん?やってみればわかるよ」

六代目が言うなら。。。

そう言いながらも、腑には落ちていないようだ。

「六代目、私たちの布陣はどうしますか?」

「ん?サラダが前、オレが後。それ以外は特に決めないよ」

「え?それだけですか?」

「そ、それだけ。まずはサラダの技量を見るのが目的だからね」

ニッコリ

「そっちも作戦準備終わったか~?」

そう言って近寄ってくるボルトも笑顔。

何か秘策があるのだろう。

「あぁ、大丈夫だ。では始めるぞ」

「おう!」

「はい!」

。。。

 

 

「影分身の術、からの~手裏剣影分身!」

ビュンビュン

手裏剣の数が影分身の数倍になる。

「ふんっ!」

キンッ、キンッ

写輪眼になったサラダがクナイで手裏剣を打ち落としていく。

「こんなもん?数だけ多くたって無駄だよ」

「まだまだ!手裏剣影分身からの、うちは流手裏剣術」

「潜影蛇手」

「あ、ずるい!」

手裏剣が弧を描くようにカカシを狙う。

直線でない分、手裏剣の間に距離があり弾くのに手間がかかってしまう。

そして手裏剣の間を縫うように無数の蛇が、不規則に曲がりながらサラダを、そしてその後ろのカカシを狙う

「ほう」

キン!キン!

クナイではじきながらも

「よし、ミツキ行くぞ!風遁・烈風掌」

「うん!雷遁・蛇雷」

第一波を凌ぐより早く次の術が聞こえる。

ぐしゃ

二人の攻撃が、サラダはなく手前の地面にあたる。

風遁と雷遁が被弾した地面は爆発し、サラダとカカシに向かって勢いよく土砂を飛ばす。

同時に土煙が舞い、ボルトたちの居場所を隠す。

目くらまし&礫攻撃に、一瞬サラダの視界が0になる。

「雷遁・蛇雷」

そこを縫うように雷がサラダの脇を通ってカカシに襲い掛かる

よけながらもサラダはカカシと攻撃の間に常に入るように立ち回り攻撃を弾いていく。

写輪眼を使い自分とカカシにあたる攻撃だけを弾き続ける。

弾かなかった攻撃はすべてカカシの横を通って行った。

きんっ

「いくらやっても、無駄よ!」

「へへっ、そいつはどうかな」

「え?」

土煙の間から一瞬ボルトの不敵な笑みが見える。

ぼんっ

にょき

雷に化けていたミツキの蛇がカカシの鈴を襲う。

「おぉ、これはなかなか」

すかっ

口ではそう言いながらも簡単によけるカカシ。

「ちょっとそんなの有り!?」

サラダも何本かの雷を切るが、それでも数本が抜けていく。

そして、

ぼんっぼんっ

何本かの雷が蛇へと変わりカカシを囲う。

そしてその一瞬後、カカシへと襲い掛かる。

「惜しい惜しい」

そう言いながらも全ての蛇の襲撃を紙一重で避けながら逃げる。

ぼんっ

「いっただき!」

一際大きい煙と音と共に、蛇に変化していたボルトがカカシへと飛び掛かる。。。が、

「やっぱり親子だね~」

スカッ

事前に予測していたかの如く、ボルトの手は空を切る。

ずしゃああ

突っ込んだ勢いそのままに、ボルトは顔面から地面へ突っ込んでいく。

「くそぉ!まだまだだってばさ!」

振り向き様に手裏剣を投げようとするボルトだったが、

「残念だけど、ダメみたいだよ」

そう言いながらミツキが歩み寄ってくる

「どういうことだってばさ」

「僕たちまんまと6代目に誘導されちゃったみたい」

そう言って指さした先は、ボルトが突っ込んだ先。

自分たちの野営地だった。

「またこんな終わり方かよ!!」

 

 

「ボルト、ミツキ、最後の波状攻撃はなかなか良かったぞ」

「まさかミツキの蛇を雷に変化させるなんてね」

サラダが悔しそうに言う。

「うん、ボルトが言ったんだ。ちょっと自信なかったけどできてよかったよ」

「その変化を隠すための烈風賞の目くらましだったなんて」

「しかもその蛇でさえ、ボルトが変化するための目くらまし」

「くそ~、そこまでやったのに取れないなんて!」

ただし当のボルトはうまく以下なったことが悔しいようだ。

「いやいや、いい線行ってたよ?相手が俺じゃなければね」

「六代目は最後のボルトの変化の術、分かってたんですか?」

「分かってたわけじゃないけど、何となくね」

だってナルトがよくやってた方法だもの。

口には出さなかったが、笑みはこぼれる。

やっぱり親子だな。と。

「くそ~、サラダの写輪眼は突破できたのに!」

「うん、そこは素直に反省してる」

写輪眼なのに変化の術に気づけなかった。その事実がサラダを落ち込ませる。

「目くらましされた時も、土煙の動きとかは見えてたんだ。だから六代目に届かない攻撃とかはわざとスルーしてたんだけど」

術の変化には気づかなかった。。。

「ま、そういうことだサラダ、まだまだ写輪眼を視界の延長としてでしか扱えていないってことだよ」

「はい、、」

「全体や流れを視れるようになれば、雷のいくつかがおかしいことにも気づけたし。ボルトの変化にも気づけただろう」

「はい…」

ずんっと落ち込むサラダ。

こちらも親譲りだね。

内心でサクラを思い出して微笑むカカシ。

「まぁ、そんな落ち込む程じゃないよ」

ニコッ

「昔のナルトやサスケもそれぐらいだったからね」

」え?サスケさんでもそんな時あったのかよ!?」

ボルトが不思議そうに問う。

どうやらこの弟子の中で師匠は昔から凄い人になっているようだ。

「サスケだって昔は弱かったぞ?それこそ、俺が修行つけてた時もあるし、なんなら写輪眼の使い方も教えてた」

「へぇー、七代目やパパも…」

少しは自信を取り戻したらしい

まぁ今の二人しか知らないと、昔からの天才と勘違いしてしまうのも分からなくもないが。

ただ…

「あぁナルトもサスケも昔は弱かったよ。お前らぐらいの頃から強くて聡い忍なんて、そうそういない。俺もダメだったしね」

なぁオビト、リン

心の中で自虐が入る。

『そうだな』

『そうだね』

二人が笑っている姿が見えた気がする。

「そうそういないってことは、誰かいたのかよ?」

言い方に含みを感じたのだろう、ボルトが聞いてくる。

「ん?あぁ歴代の忍の中にはそういう忍もいたよ」

「六代目が知っている人ではいないんですか?」

「知っている忍でか。。」

脳内にはかつての部下が思い浮かぶ。

幼少の頃より聡く、一族に縛られず里のために犠牲になった男。

彼の眼は、弟の眼としてこの平和を見て喜んでいるのだろうか。

「少なくとあんたではないわね」

「なんだと、サラダ!お前だって大した事ねぇじゃねぇか!」

「なんですって!」

「まぁまぁ二人とも」

いや、きっと喜んでいるだろう。

昔見た不器用な笑顔のまま。きっとこの平和を。

 

一通り訓練も終わり、ゆっくりした時間が流れる。

思い思いに今日の訓練の復讐をしているようだ。

「そういえば昔オヤジに聞いたんだけど、サスケさんの使う千鳥って、写輪眼なしだと使えないんだろ?」

思い出したように言うボルト。

カカシは読んでいた本から顔を上げて

「いや、使える使えないで言えば修行すれば皆会得できるはずだ。雷の性質変化は持っているようだしな」

「え?じゃあ俺達も使えるの?」

「え?そうなんですか?」

自分の作業を止めて、ボルトとサラダが興味津々に聞く。

ミツキも自分の右手を握ったり開いたりしてるので、気にはなっているのだろう。

「まぁ使う分には使えるぞ」

ただし

そう前書きをしてから

「あれは写輪眼があって初めて完成する技って言うだけなんだ。だから現状サラダしか完成させられない」

「え~どういうことだってばさ」

期待した分落胆が大きいようだ。

「術は使えるけど、実戦で使うにはリスクが大きいんだよ。まぁ口で言うより見た方が早いか」

少し離れてろ

そう言って距離を取ったカカシは、印を結んでいく。

かつての友が完成させてくれ、そして再開と別れと共に使えなくなった術。

「雷切!」

バチバチ

「おぉ!」

「見てろ」

手近にあった岩に向けてカカシが走る。

「速っ」

それに合わせて

チッチッチッ

と音が聞こえたかと思うと、

ドガッ

その右手が岩に吸い込まれると同時に、岩は砕け散っていた。

「すげぇってばさ」

他の二人も同じ感想のようだ。

「まぁ今見てもらった通り、写輪眼がなくても出来るは出来るんだよ。でも」

「相手の攻撃が見切れないってことですね」

ミツキが冷静に分析して返す。

「そう。自分の攻撃に特化しすぎていて、相手のカウンターを避けれない可能性が高い」

その結果が眼の傷だしね。口には出さないが。。

「そんなわけで、この術には写輪眼が必要って訳」

「なるほど、そうだったんですね」

関心しているサラダとミツキの隣で、ボルトが眼を輝かせている。

「すげぇってばさ!カカシのおっちゃんも千鳥使えたのかよ」

「まぁね、もともとあれはオレが作った術だし」

「え?そうのかよ?サスケさんしか使ってないからサスケさんの術なのかと思ってたってばさ」

「確かに、私もパパの術なのかと思ってた」

「まぁ確かに最近は使ってなかったけど、、、ショック」

ガーンとショックを受けるかのようにうなだれる六代目火影。

たまには使おうかな。

そんなことを思うカカシ達の頭上をカラスが飛んで行った。

カーカー

まだ風の国は遠かった。。。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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