BORUTO 風が運ぶ鳥と砂   作:shizuru_H

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5話 砂との結び

「やっと着いたってばさ~」

ボルトの言葉に心無しかほかのメンバーも顔を綻ばせる。

 

道中毎日鈴取りをしながらも、予定通り風の国に入れたボルト達は、

風影である我愛羅との面会待ちで、応接室に通されていた。

「でも何でいきなり風影様がお会いになるんだろうね」

サラダの疑問の通り、一行はまず我愛羅と会うことになっていた。

いくら親睦があるとは言え、ただの任務でいきなり里の長と会うことなどほとんどない。

「嫌な予感がするな。。」

カカシはよく当たる勘を覚え、そうつぶやいたのだった。

 

ガチャ

一刻程過ぎた頃、我愛羅とカンクロウが部屋に入ってきた

カンクロウの手には袋がある。

「ボルト、サラダ、ミツキ、久しいな。」

我愛羅が挨拶をする。

「「「はい!」」」

「それにカカシも、まさかお前が来てくれるとは思わなかったが」

カカシと握手をしながら、そう伝える。

「まぁね、丁度暇してたし。それに、、」

カカシの目が袋を見つめる。

「なんとなく、きな臭いのを感じたからね」

「あぁ、そうだな。さっそくで申し訳ないがこれをみてくれ」

すっ

古い刀が数本テーブルに置かれる。

「古いクナイ?刀?」

「これが何か関係するんですか?」

サラダもよく分からないといった表情で聞く

「これは、木の葉の武器だが、相当古いな」

「え?そうなんですか?」

「まぁこれは分からないだろうね、しかも」

「しかも?」

「うちは一族が好んで使っていた武器だ」

「え?そうなんですか?」

「あぁ、もともとは猫バァ様のところで扱っていたが、うちは一族が減ったので取り扱わなくなったようだ」

「そのようじゃん、でもこっちも見てほしいんだ」

がちゃがちゃ

「こっちも刀かよ」

「これは雲隠れの武器っぽいね。」

刀の柄の部分に雲隠れの印がある刀を掴んでサラダが答える。

「あぁ、その通りだ。雷影に聞いたところ。。。」

そう言って言葉を切る我愛羅。

「金閣銀閣が好んで使っていた武器だ」

「金閣、銀閣?」

聞いた事のない名前に、ボルト達は首を傾げる。

「私知ってます。昔二代目火影と二代目雷影を倒した大罪人だって」

サラダが答える。

「二代目!?そしたらすげぇ昔じゃねぇか。本当にその金閣銀閣の武器なのかよ」

「あぁそうらしいじゃん、うちの古株たちもそう言ってたじゃん」

カンクロウが肯定する。

「でもこれ全部使い物にならなぜ、刃の部分なんかボロボロのもあるし」

「そうね、いくらいい武器でもこれだけ状態が悪くちゃ」

ボルトとサラダが疑問を投げかける。

「それについては現在調査中じゃん」

「あぁ、しかもことはそれだけじゃない。先日それを発見した場所には昔の大蛇丸の施設と似たものがあった」

我愛羅が表情を若干歪ませながら答える。

「人体実験?」

「いやそれはわからない。」

わからない?どういうことですか?

大蛇丸と言う言葉に反応し、ミツキが質問する。

「俺たち砂の忍が行った時には、施設がボロボロだったじゃん」

「誰かに攻撃されたのかよ?」

「そう言う訳でもないみたいじゃん、外からと言うよりは自爆みたいな感じだった」

 

カンクロウたち曰く、ボルト達が里を出た同日カンクロウは部下を率いて里外の丘の元にいた。

その丘には昔の軍事施設があった場所だが、今は廃棄されていたはずだった。

だがそこで不振な人物を見かける報告が何件か出たため、砂を襲った集団のアジトになっている可能性もあり捜査しに来たのだった。

しかしそこで見たのは、何度も爆発したかのような施設の跡に砂を襲った賊と思わしき複数人の遺体だった。

 

「でもそれだけじゃないんですよね?」

「あぁ、それで終われば賊の自滅で事件解決だったんだが」

カンクロウが苦虫を潰したような表情で

「一人逃げて行ったじゃん」

 

カンクロウたちも現場を見た当初何かの事故で賊のアジトが爆発し、それに巻き込まれたのだと思った。

しかし調査を開始すると、爆発に巻き込まれず無事だった施設内では複数の戦闘痕が見受けられたらしい。

また爆発して全損していたように見えたのは、施設の前面だけで、いくつかは無事な部屋もあった。

ただし無事だった部屋も普通の部屋ではなく、試験管と培養液が鎮座する研究室が大半だったそうだ。

 

「元は砂の施設だったけど、あそこでは兵器や忍術の開発は行っていても、人体実験のようなことは行っていなかったじゃん」

「じゃあ誰かが運び込んだってことかよ」

「あぁ、それが賊なのか、あるいは。。。」

 

丘の入り口から進んだ奥の部屋が研究室だった。

カンクロウたちはいくつもの試験管の中を見ていった。

そのほとんどは緑色の液体だけだったらしい。

しかし、一際大きい試験管の中には白い生き物のようなものが残っていたらしい。

 

「生き物のようなもの?」

ミツキが反応する。

「あぁ、その中身がこれだ」

写真を何枚か机の上に広げる。

それは真っ白な人の腕のように見えた。

しかし、明らかに肉がなく薄っぺらく、どうやら皮だけのようだった

「何これ気持ち悪い。」

あれ?何か見たことあるような…

「これは、白ゼツ?」

カカシの目つきが鋭くなる。

「白ゼツってあの!?」

一度対峙したことのあるボルト達も反応する。

思いだしたくもない強さの化け物。

前大戦はあんなのと戦っていたと知り、素直に感心したものだった。

そんなものを再生しようとしている時点でろくなものではないだろう。

もしくは、、、

「またこの前みたいに、昔の施設の残りとかはねぇのかよ」

どちらも嫌だが、復活させようとしている訳ではなく、たまたま残っていただけの方が気が楽である。

「残念だがそれはない。調査結果としてあの施設は、最近転居されたものと判明した」

我愛羅が頭を振る。

「でもそれなら誰が。。」

「誰かは分からない。だが、、」

 

轟音が鳴り響いた。

カンクロウたちが部屋を調べていた時だった。

とっさに身をかがめるが、音は鳴りやまない。

どうやら攻撃されているらしい。

だがカンクロウ達に直接ではなく、施設を破壊しようとしているらしく、その証拠に施設の壁や天井にどんどんと亀裂が走っていった。

ぴき、ぴき、

部屋全体から嫌な音がする。

「やばいじゃん!とりあえず一旦外へおくぞ!」

音はどんどん大きくなる。

「俺が先導する。合図と共にはしれ!サンショウウオ!」

背中の巻物から自身の傀儡を召喚し、一番前へ。

これで敵の攻撃が何であれ、外に出るぐらいの短い時間は守れるはずだ。

最悪他の傀儡を囮にしてでも、皆を外へ。

決意を固め

「いくぞ!」

走ったのだった。

 

ごくっ

「そ、それで?無事ってことは大丈夫だったんですよね?」

「あぁ、それが、、、何もなかった」

「は?」

やってられないとばかりに腰に手を当てて、首をふるカンクロウ

「部屋を出た瞬間攻撃が止んでそのまま外まで一直線だったじゃん」

まぁ崩壊に巻き込まれなかったのは良かったが。

そう付け加えた。

「そして外に出たときに何かを見たんだね」

カカシが問う

「あぁ、少し離れたところからだったが明らかに人だった」

「顔は!?」

「さすがに顔までは分からなかったが、背中に何かを背負っているようだった」

まるで昔の俺のようじゃん。。。

「え?」

ボルト達には分からないが、確かに昔のカンクロウは傀儡を背負って行動していた。

時には傀儡と自身を入れ替えて敵を欺いたりもしていた。

あの時はまさか敵国の忍とこうも仲良くなるとは思っていなかったが。

 

「ええっと、つまりどういう状況なんです?」

サラダが恥ずかしそうに質問する。

「あぁ、俺もよくわからなくなってきたぜ」

こちらは気にもせず。

「つまりだ。元々俺たちに来ていた依頼は、賊が死んだことで終了」

カカシが場を纏めるように話し出す。

「しかし、新たな不審人物が登場。聞いている限り味方ってこともないだろうしね」

「あぁ」

我愛羅が渋い顔で肯定する。

「少し任務に変更はあるが、木の葉の武器がかかわってることに変わりはない。」

「そうですね」

「ま、それなら俺たちの任務は基本変わりなしってことで、砂と協力して解決にあたるってことだろうね」

「あぁ、すまないなカカシ」

「気にしない気にしない。ところでナルトには?」

「連絡はしておいた。時期に返答が届くだろう」

「分かった。しかし。。」

 

白ゼツ、うちはの武器、金閣銀閣の武器、そして人体実験施設

死んだ複数人の賊

もしそれが爆発による死ではなく、何かの結果として処理されたのだとしたら

「嫌な予感しかしないね」

「どういうことだってばさ」

我愛羅やカンクロウも目を伏せる。

気付いているようだ。

もしかしたら、盗難にあった武器は武器が目的ではなく、

そこについていた血。DNA情報が目的だった可能性に。

いくら優秀な忍とは言え、ケガを負わないこと忍は稀だ。

しかし忍である以上、ある程度のケガならば戦うだろう。

自身の血で濡れた手で、武具を握って。

だから、武器が使えるかどうかなど関係ないのかもしれない。

「穢土転生の術」

「えど?」

「死者をよみがえらせる術だ、」

 

「誰か犯人に、心当たりはねぇのかよ?」

「1人…いる」

「そうなんですか?」

てっきり何も情報がないんだと思ってた…

サラダが声に出さずつぶやく。

「誰なんです?」

「ケラクと言うなの、砂の元忍だ」

カカシの問いに答える我愛羅は複雑な表情だ。

「元ってどういうことだってばよ?」

「元々活躍していたのは前対戦の少し前、砂の暗部としてだ。

ただあの対戦の折、最後の十尾との戦いで負傷し、その後忍を辞めたのだ。」

「なぜその人だと?」

忍び自体常に危険と隣り合わせだ。それが暗部となればなおさら。

むしろよく生き残ったものだとさえ思う。

「ケラクは元々実戦よりも情報収集や解析と言った裏方の仕事が得意な忍だったのだが、一人での潜入や調査も出来ることから暗部に抜擢されたのだが」

「が?」

「アイツが収集していた情報こそが穢土転生であり、大蛇丸についてだったのだ。」

「暗部か、なるほど。」

なるほど、砂が苦い顔をしていたのはそういうことだったのね。

カカシは内心では理解しつつ続きを促す。

互いの暗部の情報は、今でこそある程度情報交換しているが、以前は皆無だった。

その中で探っていた内容が内容だけにあまり他里に伝えたくなかったんだろう。

火影だったカカシにはその気持ちがよく分かった。

「で、でもなんで砂が大蛇丸を探ってんだよ?木の葉に任せれば良かったじゃねぇか」

「確かに。その頃はもう同盟を結んでいたんですよね」

その質問の温度差に気づかぬまま、ボルト達は聞く。

「あの頃はまだ木の葉を信用していない砂の忍も多かったじゃん。そして大蛇丸が死んだと言う噂が流れた時にその研究結果を集めようとした上役もいたんだよ」

「あの頃は俺も風影となって日が浅い。まだ全ての人と繋がれた訳ではない。」

今の大国の関係しか知らない若い世代はあまり納得がいかないらしいが、あの時代を生きた忍達は痛い程共感出来た。

「って言うか大蛇丸ってミツキの父親?だろ。それに伝説の三忍なんだから早々噂信じないと思うんだけど?」

「そうですよね?私もあったことありますけど、えっと、その、簡単には死ななそうと言うか…」

以前会った大蛇丸は見た目若く。本当の不老不死のようだった。そんな忍びが死ぬなど。。

「そうだな。だけど信じるに足る根拠もあったじゃん」

「根拠?」

「殺した相手がうちはサスケだと同時に噂されたからな」

「パパ!?」

「サスケさんかよ!なるほどそれなら納得だってばさ!」

「え、でもいくらパパでも。子供のころでしょ?それなのに三忍を倒すなんて」

サスケの実力は知っているが、それ以上に不気味な何かを大蛇丸は放っているように見えた。

「まぁ、実際は倒せていなかったわけだが」

「本当に倒してたら僕はここにいないですしね」

ミツキが笑う。

「お前そういうこと笑顔でいうなよな」

「まぁ、そういうこと。でもそれを他里に信じさせるぐらいサスケは強かった。色々とね」

カカシが声のトーンを落として伝える。

「あぁ、実際サスケは強かった。それは俺もよく知っている。」

我愛羅も懐かしそうにただ少し複雑そうにつぶやく。

「今はサスケよりこっちじゃん。」

「あぁその通りだ。だが穢土転生を行うには生贄が必要なはずだ、やつにはそんな生贄は得られえないだろう」

「そうなのか?」

「奴自身の戦闘能力はそんなに高くはない」

「近くの村には警備を出している」

「白ゼツを培養できるほどの設備もないはずだ」

「だとすると何が狙いだ?」

 

「わからない、ただ今度もやっかいなことになる前に何とかしなくてはならない。それは同じだ」

 

 

 

 

 

 

びゅ~

乾いた風が、サラダの頬をなでる。

夏の夜とはいえ砂の夜は木の葉より寒い。

その中で、月を見上げながらサラダは考えていた。

 

パパは強い。そして噂でしか知らない昔のうちはも強かったのだろう。でも今は。私は。。。

 

「サラダと言ったな。こんなところでどうした?」

びくっ

「風影様!?」

突然かけられた声に、体が浮き上がってしまう。

「あぁ、すまない、驚かせてしまったか?」

「いいえ、そんなことはないです」

「夜風に当たりにきたのか?」

「あ、はい」

その横顔に、何かを感じ取ったのだろう。

「隣、いいか?」

「え?あ、はい」

「何か悩んでいるのか?」

隣に並んで、砂がくれの里の様子を見る。

驚いた顔で我愛羅をみるサラダに、

「これでも一応風影だ。悩んでいるかどうかぐらいはわかる」

「いえ、その」

「同じ里の者には話しにくいことでも、別の里の俺になら話せる悩みもあるだろう」

ゆっくりサラダを見ながら微笑む我愛羅。

なんとなくその顔がナルトと被る。

「まぁ、無理にとは言わないが」

「そんなことないです!是非聞いてください」

 

それからサラダは自身の悩みについて打ち明けた。

自分の実力、襲ってくる敵の力量との差、

周りと比較してもそこそこ強い自信はある。

そう自負するぐらいには努力してきたつもりだし、実際結果も出してきた。

そして「うちは」としての力、写輪眼。これだけでも他の忍より大きなアドバンテージだ。

だけど、どんどん強くなっていくボルトを見た時、7代目やパパの実力を垣間見た時、ふとそう思ってしまうのだ。

「もっと私に力があればって」

「ふむ、それは誰かを守りたいからか?」

「え?いや、そんなことは、、、もちろんあります。皆を仲間を守りたい。。。」

オオツキが攻めてきた時私は守られるしか出来なかった。

他の時もそう。

大事な時はいつも守られてばかり

「そうか、なら大丈夫だ」

「え?」

いきなりの肯定に、面食らいつつも我愛羅の方を見ると、風影は月を眺めていた。

「人は誰かを守りたいと思ったとき、本当に力が出せるようになるものだ」

そして月を見ながら呟く我愛羅の横顔は何かを懐かしんでいるようだった。

「ナルトが俺にそう教えてくれた」

「七代目が、、」

「あぁ、そしてサスケもな」

「え?パパも?」

意外な名前が出てきたことに驚くサラダに

「あぁ、あいつも中々に情の厚い男だ。そうは見えないかもしれないがな」

と笑いながら言う。

「へぇ~、意外です。あ、でも何となくは分かるかも」

「そうか」

良い関係を気付けているのだろう。

その笑顔には確かな信頼が見えた。

 

「いい時代になったものだ。まさかこうやって、ナルトやサスケの子達と話が出来ようとは」

「あの宜しければ風影様たちの昔の話を聞いてもいいですか?」

「俺たちの?」

「はい、ボルトが先日昔の木の葉に行ったって聞いて。私も昔の木の葉のこと知りたいのに」

悩みを打ち明けて、この人はナルト同様信頼出来る人だ。

そう思ったサラダは、先日の不満を口にしてみた。

「あぁサスケたちが過去に行った話か、」

「はい、私その頃のパパやママに興味があるんです。その頃のことを知れば、強くなるヒントがあるかもしれない」

昔か、、

『化物』

外に出ればたとえ砂の中にいてもそういう目で見られ、常に孤独と怒りの中にいた。

そうでないと心が壊れてしまいそうで、乗っ取られてしまいそうで。

「あの頃は戦時中ではないとはいえ、今とは違い不安定な時代だ。あまり聞きたくない話もあるかもしれない」

「それでも知りたいんです!」

真っすぐな瞳だ。ナルトのような。そしてサスケのような。

そしてある意味自分のような。

しかし、この子は道を踏み外すことはない。

何となくそう思えた。

ならば、痛みを伴う話でも伝えるのが、次世代へ繋ぐ自分の役目だろう。

「分かった。しかし、ちょうど見回りに行く時間だ。良ければ一緒に来るか?」

「はい!」

「では道中でその話をしよう」

 

さらさら

砂が二人の前に集まり、絨毯を形成し、

ふわっ

砂の塊が宙を浮く。

「乗れ」

「え?は、はい」

歩いて回ると思っていたサラダは驚いたが、慌てて手を差し出す我愛羅に捕まり、砂の絨毯に乗った。

 

 

 

風影として里を回るとき、時折過去を思い出す。

そして過去と向き合うのは未だに、恐怖を感じる時がある。

ナルトに会ったあの頃から考えたらありえないことだが、今は恐怖を感じる。

あの時、木の葉に行かなければ

あの時、サスケと戦わなければ。

あの時、ナルトに教えられなければ。

きっと今の自分はいないだろう。

一尾を抜かれ死んでいたか、それとも兵器のまま恐れられ憎みに囚われながら生きていたか。

月夜に砂の絨毯での見回り。いつもは静かに民の暮らしを見て、平和であることに感謝する。

そして今生きていることに、生かしてくれているものに感謝する。

そんな時間。

しかし今日は昔話に身を投じよう。

 

 

「木の葉崩しは知っているか?」

「はい、あの、砂隠れが木の葉に奇襲をかけてきたって」

びくっ

いきなりその話から始まると思っていなかったサラダは、そのワードに身を固くしてしまう。

木の葉崩し

ある意味それは、木の葉と砂の間では禁忌に近い話題だった。

「あぁ、そう固くならずとも好い」

サラダが緊張したのを感じ取ったのだろう。我愛羅が優しく諭す

「俺が昔の木の葉で伝えられることは、あまり多くはない。別の里なのでな」

「はい」

「それでも始まりは木の葉崩しからだ。ならばそれを語らねばなるまい」

「。。」

「安心しろ、国同士の話をする気はない、今は風影ではなく、ナルトやサスケと同世代の忍として話をするだけだ」

「分かりました」

風影ではなく、一人の忍として話をするということ。

それがどういう意味かきっとこの少女はわからないだろう。だがそれでよいのだ。

 

中忍試験の時だ。

まだ俺が一尾に憑りつかれて、不安定だったころ。

里からの命令で木の葉崩しのために、木の葉の里に行った。

様々な忍に会った。

そして思った。ここは壊そうと。

「え?」

いきなりの物騒なワードにサラダが反応する。

「あの時の俺にはそう思えた。特に、特にリーとガイを見て」

試験の時、リーにとどめを刺そうとする俺を、ガイは止めに入った。

そしてまだ戦おうとするリーを見て涙を流した。

それがとても苛々した。

壊してしまえ。両方壊してしまえ。頭の中でそう聞こえるようだった。

ここには自分を苛立たせるモノが多い。

その時はそのいら立ちが何なのかわかっていなかった。

決勝戦で、ナルトとネジが戦った時、初めてナルトをきちんと意識した。

同じ何かを持つ者がいると。

「九尾?」

「そうだ、俺以外の尾獣を宿す者をはじめてみた」

そして勝利したナルトを周りの忍は認めていた。

その言葉を聞いてやっぱり苛々した。

なんであいつはあんなに明るいのかと。

なんで俺とは違うのかと

そしてその苛々を考えていたら自分の番になった。

「そこでの相手がサスケだった」

「パパと戦ったんですか!?」

「あぁ、強かった」

砂のガードが追い付かぬほどの攻撃を繰り出してきたサスケ。

そして千鳥。

カカシ直伝のあの技。

ある意味あの技が木の葉崩しの開幕の狼煙となったとも言えるだろう。

あの技は絶対防御であるはずの砂のガードを破ってきた。

結果、おれは暴走し、それに起因して木の葉崩しが始まった

「パパが引き金になったの?」

「それは違う」

不安そうな少女に全力で否定する。

あれはたまたまだ。本当はもっと遅く、周りの気が緩んだタイミングを狙っていたのだろう。

それを問答無用で引きずりだした。

それほど強力な技だった。

「サスケが引き金ではあったが、あそこで引き金を引かなければもっと最悪のタイミングでもっと大勢が不幸になっただろう」

サスケのおかげで助かった。そういう我愛羅の顔は、とても穏やかだった。

「その後、木の葉崩しの最中に、俺を追ってきたサスケ、サクラ、ナルトと戦った」

「第七班」

「そうだ、サスケはそこで仲間を助けるため、その思いで自力以上の力で食らいついてきた」

「サクラは傷ついたサスケをその身を挺して守った。尾獣の強大な攻撃から」

「ナルトは二人を守るため、同じ尾獣の力を使ってまで俺を倒した」

「九尾…私も何度も守って貰ったことがあります!」

うちはシンに襲われた時、里を壊滅させられそうになった時、助けてくれたのはナルトと九尾の力だった。

 

 

「最後は七代目が勝ったんですか?」

キラキラとした目でこちらを見るサラダ

「最後は頭突きで起こされたがな」

「頭突き!?」

「あぁ、泥臭い最後だった。だがそれで良かった」

我愛羅は懐かしそうに自身の頭を撫でた。

「そうまでしてでも守りたいと言ったナルトの本音が良く伝わってきた。」

力を使い切って這いつくばってでも俺を倒して、仲間を守ろうとしたナルト。

「あいつがそこまでして守りたいといった仲間が何なのか。それを知りたいと思った。」

その結果がきっと今なのだろう。

「そのおかげで俺も仲間を作りたい。絆を大切にしたいと思った」

「わぁ」

「そして今の砂の仲間と同じぐらい、ナルトやサスケも大事な友だ。そしてあいつらがいるから、

安心も出来るし、もっと強くなろうとも思える。困っているときに助けられるようにな」

「はい!」

 

その後も色々話した。

その中で我愛羅に対する信頼が上がっているのが分かる。

「サラダよ。焦る気持ちも分かるが、仲間を思うお前ならきっと強くなれるだろう。それこそ昔の俺たち以上にな」

「はい!ありがとうございました!!」

サスケ、ナルトに続いて尊敬できる人が増えた夜だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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