「あと一人麻痺したら引く…それでどうや?」
振り向いた先にあったのは、薄茶のモヤっとボール…改めキバオウの顔だった。
「«ナミング»の範囲とタイミングはもうみんな掴んだはずや。集中も出来とる、士気も高い。麻痺治療や回復もようけ使っとるし、ここで引いたら、次は明日以降になってまう」
それを聞いたハチは再び全力で思考した。
「…わかった、あと一人だな。それとゲージがラス1になった時ともしももう一体のボスが出た時は気をつけてくれ。」
ハチが早口にそういうとキバオウは「わーっとる!」と叫び自分の持ち場へと戻った。
リンドも、こちらは無言だったが頷き、指揮を再開する。
ハチは再びコロシアムを横断しキリト達の所へと合流した。
すかさずアスナが聞いてくる。
「どうなったの!?」
「あと一人麻痺ったら撤退だ」
「そう…」
アスナは一瞬浮かない顔をしたがすぐに頷く。
「せんぱい!もう一体のボスが出たらどうするんですか?」
「おそらく条件は変わらない…と思う。あと一人麻痺ったら撤退だな。」
「分かりました…」
そう言っていろはも浮かない顔をした後に頷く。
「なら、この青いのをとっとと片付けて、私達もあちらに合流しましょう!アスナさん!」
「OK!」
丁度大技をエギルたちにガードされたばかりのナト大佐。
HPは既に1本と少しを残すだけとなっている。
イロハとアスナは阿吽の呼吸で突進しキリトやハチが追いつく前に両脇腹にソードスキルを叩き込んだ。
その攻撃でついにラスト1本に突入した。
するとナト大佐は角の生えた頭を屈めると、グッと力を貯める。
それを見たキリトが叫ぶ
「突進来るぞ!頭じゃなくて尻尾をみろ!その対角線に来るぞ!」
直後、牛はギュンと左旋回してエギルへと突っ込んだ!
しかし先読みしていたエギルは危なげなく回避して突進終わりの牛のシリにソードスキルを叩き込んだ。
さすがの大佐も予想外のダメージに頭の周囲に黄色い光を回転させながらふらつく。
それを見逃さずハチは叫ぶ。
「チャンス!全員。全力攻撃!」
「うぉぉっしゃ!」
フルアタックを成功させたハチ達が距離を置くとナノ大佐は全身を膨らませそのまま爆散した。
その時、コロシアムの反対側でプレイヤーたちがいっせいに叫んだ。
バラン将軍のゲージも最後の1本が黄色くなったらしい。
それを見たアスナが
「よかった、ベータからの変更はなかったみたいね」
それを聞いたキリトが
「みたいだな。…だとしたらハチが持ってきてくれた情報は間違っていたってことなのか?」
そこまでキリトが言いかけたところで、ハチはイロハの顔が微かに翳ったのに気づいた。
「どうかしたのか?」
「いえ…少し気になったんです。…第一層が王なのに二層が…」
ゴゴォン!