勇者リンクS’の人理修復配信RTA   作:はしばみ ざくろ

10 / 121
ようやく春らしくなって嬉し~~ですね。
戦闘シーンは難し~~です。ひーひーいいながら書いてます。


シンデレラじゃない

お転婆でごめん遊ばせ。小夜啼鳥もため息をつく。

敵襲を受けた森は荒らされていく。複数の足音が走り回る。

 

「サーヴァントを探知!更に、複数の竜種反応だ!」

「マスター!」

「戦闘準備!」

 

やべえ普通に構えそうになったわ。

ほどほどにしないとな。俺はほどほどサーヴァントです。

 

「甲高いトランペット以上に不愉快だな。敵意のある靴音ってヤツは」

「この距離でわかるのですか?」

「勿論。音楽家ってだけでサーヴァントになったんだぜ?大気を振るわす波なら正確に聴き分けられる」

 

 

俺だってわかるし!

 

 

○バードマスター 張り合うじゃん

○守銭奴 ちょいちょい音楽家要素だしてくるのかわいいね

○ウルフ ここで口出したらセイバー・・・?って思われるので抑えましょうね

 

 

「さて、我が耳に届くは複数の足音と風切り音。まことに無粋かつ大雑把。僕の音楽は馬鹿共に届けるためのものではないが・・・。折角ここまでやってくるんだ。即興の安物だが、死神の歌を聴いていけ!」

 

どっと現れたワイバーンと生ける屍たち。

顔を顰めたサーヴァント達は、それでも果敢に挑んで行く。

 

「さあ、ライトを当てなさい!行くわよアマデウス!」

「なんでキミがボーカルなのかな!?ああもう!」

「マスター、見ていてくださいましね。清姫、参りまぁーす!」

 

ごお、と魔力を纏った歌声が竜を貫く。

扇子から火の精霊(サラマンダー)のように炎が現れる。視界を塞ぐ竜に巻き付いては、灼熱の業火で焼き尽くす。

暗夜に響く葬送曲が屍達を包む。既に魂もなく、意志もなく。

ただただ未練と無念で這いずる抜け殻を、奇しきラッパの響きが許す。

その最中、リンクの耳が悲鳴を聞き取った。

 

(近くに誰か居る・・・?フランス兵か?)

 

騒然とする現場は音が入り乱れている。聴力のいいものであれば、絞らないと(・・・・・)ダメージになってしまうだろう。

故に気づいたのはリンクだけだった。そんなに柔な耳してませんよ。

 

「マスター!近くに襲われている人間がいる!俺はそちらの援護に回る!」

「えっ!?」

「わっわかった!気を付けてね!」

 

走り出そうと膝に力を入れたリンクの視界に、硝子の馬が映る。

跳び乗った王妃はぱちりとウインク。後ろの少女達に告げる。

 

「マスター、わたしもセイバーさんのお手伝いを!ジャンヌ達、こちらはよろしくね」

「はいっ!」

「勿論です!」

 

二人は音だけを置きざりにして消えた。――――殺気!

槍を握る手に力がこもる。にらみ付けた先にはあの女。

 

「カーミラ・・・!」

 

竜が感情に反応したかのように吼える。

ぎゃあぎゃあ喧しいわ!歓声にしては下の下もいいところ。

 

『サーヴァントが二体!立香、目の前に居る方に集中しなさい!』

 

通信機越しの声に右手を掲げることで答えた。

 

「アーチャー。露払いを・・・!」

「いいだろう。魔力を回せ、マスター!」

 

固有結界、というらしい。

果てなき荒野は彼の全て。大地を覆い獲物に切っ先を向けるその剣は、悪性を貫く正義の贋作(フェイク)。

カッコイイじゃん。と立香は思うけれど、そう簡単な話でもないようだ。

けれど、そうやって魔力を回して呼び出すたびに、誇らしそうな顔をするから。

 

「I am the bone of my sword.(―――体は剣で出来ている)

 Have withstood pain to create many weapons.(彼の者は常に独り 剣の丘で勝利に酔う)

 Yet, those hands will never hold anything.(故に、生涯に意味はなく)

 So as I pray, UNLIMITED BLADE WORKS.(その体は、きっと剣で出来ていた)」

 

月を隠す無粋な竜を無限の剣製は砕き散る。

木々の向こうから現れた敵の姿が、恐ろしくないと言えば嘘になるけど。

振り返った赤い背中とグータッチをした。ずっとそうやって、仕方がなさそうに笑っていてよ。

 

「・・・・・・こんばんは皆様。寂しい夜ね」

「何者ですか、貴女は」

「私は・・・。私はマルタ。ただの(・・・)マルタよ。貴方たちに立ちふさがる、ただの障害です」

『マルタ・・・!聖女マルタか!』

「私を倒し、この胸に刃を突き立てなさい。それ以外に、貴方たちが生き残る術はない――!」

 

血に濡れた聖職者は天に吠える。答えるように暗い森からそれは現れた。

 

『気を付けろ、みんな!彼女はかつて竜種を祈りだけで屈服させた。つまり彼女はライダーとして最上位の――――』

「ドラゴン・ライダーだ。気圧されるなよ」

 

咆哮。

咆哮。

ワイバーンなどは比べものにならない。魔力の伴った衝撃波をマシュの盾が防ぐ。

マルタの杖から放たれる光弾をすり抜け、エミヤの投剣が空間を飛ぶ。

タラスクと真正面からかち合ったジャンヌが、その巨躯を力尽くで受け流した。

 

「ジャンヌ、応急手当を」

「ありがとう・・・立香・・・」

「エミヤ、マシュ。スキル発動!」

「させるとでも!」

 

タラスクのかぎ爪が少女を抉らんと襲う。

雪花の壁はダメージを軽減し、なるべくマルタから引き離すために動き回る。

杖を振りかぶった聖女の、バーサークの怪力がジャンヌを吹き飛ばす。四方から降りしきる剣を撃ち落とし、過程のない祈りの魔力はアーチャーを後退させる。

 

『強い・・・!』

 

こういう時に頼りになりそうなセイバーは一時離脱している。アマデウス達とも分断されている今、自分たちで切り抜けるしかないだろう。

 

「・・・・・・なぜ立ち上がるの?」

「え?」

 

土に汚れながらも体制を直したジャンヌに、女は言葉を落とした。

 

「あの壊れた聖女を見たでしょう。彼女のせいで、この国はますます血に濡れている。フランス兵にとっては貴女も彼女も同じジャンヌよ。――貴女が、どんなに違うと叫んでもね」

「・・・・・・」

「例え貴女たちが彼女を倒したって、この国の貴女に対する嫌悪と恐怖が消えるとは限らない。・・・助けてやる義理なんてないでしょう」

「・・・・・・」

 

甘言でないことは瞳を見ればわかった。女は本気で問いかけている。

 

「――――そんなの決まっているだろう」

「エミヤ?」

「・・・エミヤさん?」

 

返答は男の声だった。ニヒルに笑いながら、それでもきちんと前を見つめている。

 

「ジャンヌ・ダルク。君の心の蟠りは、何も成せなかったという絶望だろう」

「―――――」

「何も変えられなかった。救えなかった。ただ死んだ。――――彼のようには成れなかった」

「わ・・・私は・・・」

 

そうだ私は何も出来なかった。ただ罪だけを重ねて。主の嘆きが聞こえたのに。

 

「俺たちは勇者になれなかった。彼のように世界を救えなどしなかった」

 

そうだ私はリンク(彼)になりたかった。当然のように絶望を切り開き、輝かしい未来を手に入れたかった。

 

「だけど――。ただ無為に死んだと断ずるには、少々救いがありすぎる」

「・・・?」

「俺たちは第二の生を手に入れた。そうして聖杯の知識で知ることになる。俺たちの死の先を。かの魔王すらこう言った。未来は屍の先にしかない」

 

揺らいでいた霊基が定まっていく。ジャンヌ・ダルクをジャンヌ・ダルクたらしめる全てが満たされる。

 

「俺たちが死んでも国も世界も終わらない。意志(命)は続いた。マスター達の時代まで・・・!」

 

こんな結末はわかりきっていた。それでも目を逸らさぬと決めた。あの日の私はまだ生きている。

 

「私は――――」

 

旗が翻る。

 

「私は勇者になれなかった!けれど、あの勇者達のように救えた命があると信じている!私の名前を呼んで、勇気を得る誰かが居る限り!マスター達が、信じてくれる限り!」

 

白い旗が。

 

「私は救いを諦めない!愛したこの国を!生きる人々を!苛む悪竜を許さない!――私自身であっても!」

 

巻き上がる魔力は星の煌めき。天駆ける彗星のごとく。

 

「――良い答えね」

 

ただのマルタ(・・・・・・)は微笑んだ。狂気に浸されているとは思えないほど、優しい笑みだった。

 

「では、これで終わりにしましょう――――。愛を知らない哀しき竜・・・・・・試練の一撃をここに」

「真名、偽装登録――」

「星のように!愛知らぬ哀しき竜よ(タラスク)!」

「疑似展開/人理の礎(ロード・カルデアス)――!」

 

太陽のように滾る熱を纏ってタラスクが突っ込んでくる。

その猛攻をマシュの宝具が防ぐ。威力に後ずさり、衝撃波が周りを吹き飛ばしながらも。

 

『マシュ!』

「所長・・・!皆さん・・・!わたしも・・・諦めない・・・!」

 

覆らない性能性が合ったとしても、この盾の真髄はその心。

守り通すというただ1つの意地が、鉄壁の守りを譲らない。

 

「無駄よ!」

 

白熱をすり抜けたエミヤの剣戟を杖は防ぐ。力と技の両者が獲物を奮って打ち合う。

甲高い金属音の最中に心眼(真)は見抜く。自ら隙を作り攻撃を絞っていく。

一人で戦っているわけではない。だから何のためらいもなく、後ろを信じて任せられる。

 

「終わりよ――」

「ああ」

 

祈りは敵対者を砕き、その背後から飛び出した突きはマルタの脇腹を貫いた。

 

「ぐっ・・・!」

「瞬間強化」

 

反撃に転じる隙はもう無く、振るわれた旗が霊核を砕く。

 

「――――・・・ごめんなさい、ジャンヌ・ダルク。血で汚しちゃったわね・・・。代わりに・・・少しだけ・・・教えてあげるから・・・」

「・・・!」

 

ようやく肩の荷が下りたように消えていくマルタを、月光が照らしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

葬送を済ました錚々たる騎士。世界は待ってもくれないんだ。

 

「怯むな!知性がある!背中を見せた者を襲ってくるぞ!」

「しかしこのワイバーンの数は・・・!」

「うぉおおおお!」

 

それでも必死に抵抗する。その姿は確かに見えている。

 

「ごめんあそばせ、騎士の皆様。ちょっぴり歌うわ」

 

その声は王権の象徴。かつて王という存在が神の代行であった名残。王が持つ、人を統べる力の具現。

 

「つまり私の歌声そのものが武器ということなのだけど。よかったわ・・・竜さんにも届くみたい」

「流石です。王妃」

 

 

俺゙だ゙っ゙でで゙ぎる゙じ

 

 

○バードマスター どうしたどうした

○守銭奴 ずっと手加減してるから溜まってるんだね・・・

○ウルフ どうどう・・・よしよし・・・

 

 

「ご無事ですか?騎士の皆様」

「あ、貴方たちは一体・・・」

「私達は・・・」

「我々は通りすがりの旅人です。どうも今この国は荒れているようですが、何があったのかお聞きしても?」

 

すっと人差し指を立てることでマリーを止め、代わりにリンクが言葉を繋げる。

代表の男――元帥ジル・ド・レェが話す内容は、概ねカルデア側が把握しているとおりであった。

しかし――――。

 

「・・・フランス兵、フランスの民たちは、本当にジャンヌ・ダルクが蘇ったと?」

「・・・・・・・・・・・・」

「彼女が憎しみを持っていると、思っているのですか」

 

言葉が出ないのは、肯定ではなく。

本当は。本当は信じているからだ。信じていたいからだ。

 

「我々は・・・覚えています。彼女の姿を・・・。聖女の勇姿を・・・」

「魔女はジャンヌ・ダルクを名乗っている・・・。でも・・・」

「・・・彼女が・・・フランスを・・・憎むはずがない・・・!」

 

瞳にはまだ光が残っている。この国はずっと戦っている。ずっと、その意志を受け継いでいる。

 

「ジャンヌは・・・勇者リンクに憧れていました」

「え?」

「まぁ」

 

ゼルダの伝説は吟遊詩人に人気の題材だ。

識字率の低い場所ですら、その物語は届いている。

 

「その気高い志を継いだ彼女が、憎しみに身を浸すはずがない・・・!」

「あれは聖女の名を騙る偽物だ!」

 

 

○海の男 照れる

○フォースを信じろ ヒューッ!

 

 

「ええ、私たちもそう思います」

「そう聞いて安心しました。フランスはまだ大丈夫ですね」

「国王亡き今、この国を守れるのは我らフランス軍だけです。必ずや、あの魔女を打ち倒してみせる」

 

リンク達に礼をして、兵士達は去っていった。

森林をくぐり抜けた疾風が血の臭いを届けてくる。戦いはまだ終わっていない。

 

「! セイバーさん。鎖の音がするわ」

「おそらくあのアサシンでしょう。俺が先行します」

 

軽やかに飛ぶように駆けていく男を、マリーは不思議な心地で追いかけた。

彼は明らかにこちら側の人間(・・・・・・・)だ。発する言葉1つ1つに、マリーの持つスキル『魅惑の美声』と近いものを感じる。

 

それなりに高貴な地位の人なのだろうか?だとしたらなぜ姿を隠しているのだろう。

人のプライベートに首を突っ込むほど世間知らずではないが、隠しきれないカリスマと魅力が好奇心を刺激する。

どんなに姿を偽っても身に染みついた振る舞いと格が消えることはない。老熟した精神に、見え隠れする戦士の顔。余りにも上手く笑みで覆い隠している。

大きなリボンで包まれたプレゼントの梱包を、しかしほどくことは許されないだろう。

余りにもわかりやすいが故に、なぜか誰にも気づけない。これはそういう秘密だ。

 

「加勢します。王妃はドラゴン達を」

「ええ、任せて」

 

マリーの視界には、空を覆う竜達しかまだ見えない。

しかし彼には分かるのだろう。カバンから弓矢を取り出し、構える。その隣を硝子の馬が走り抜けた。

ようやくサーヴァントの姿を見つけた時にはもう既に、アサシンの両肩は矢で貫かれていた。

撃ったのは一本ずつだが、余りにも早すぎるが故にほぼ同時に刺さった矢。その場に居た者全ての意識の外から放たれた矢を、彼女が避けられるはずもなく。

突進してきていたエリザベートの槍が勢いのまま霊核を貫いた。飛び散った血が髪を濡らす。

 

「・・・どうして、殺すのかしら・・・。私達は真実同じ英霊(モノ)だというのに・・・」

「・・・そうね。ただ吸血鬼に成り果てた未来(アンタ)と、その途中にいるだけの過去(アタシ)。違いなんてほとんどない」

 

反英雄に救いなどない。血に酔って狂っている。

 

「・・・犯した罪は消えない。どれだけ正しく在ろうと、アタシが許されることは絶対にない」

 

・・・ああ、この娘は。

 

「それでも今はわかるから。それが悪いコトなんだって」

 

幼稚で、未熟で、どうしようもなく出鱈目で。

 

「だからアタシはアンタの不始末(ぎゃくさつ)を放っておくことなんてできない。アタシの結末が変わらない以上、それはただの醜い自己欺瞞かも知れない」

 

なのにどうして、うっとうしいぐらい眩しくて。

 

「それでもアタシは叫び続けるわ!カーミラ(アンタ)みたいにはなりたくないって!」

 

ああ、暗がりの中に戻るよう――――。・・・やっぱり私は・・・生きても死んでもひとりきり――――。

 

「エリー」

「セイバー!あの矢ってアンタだったのね!やるじゃない!」

「ありがとう。・・・カーミラ。還るんだね」

 

目があった。

青い瞳と。

消えゆく意識の中で確かに、その赦しを見たのだ。

 

(―――――ああ。私は―――――)

 

金色の光が見える。

いいのだろうか。

私だって。

救われてもいいのだろうか。

私だって――――――。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

○銀河鉄道123 なんかカーミラに最後なんかした?僕魔法はわかんない

○騎士 視界ジャックして隠蔽魔法が破れるようにしたな。彼女にはあの一瞬だけリンクがちゃんと見えてた

○いーくん 勇者に許されたならまぁ・・・みたいな感じで安らかに還ったのでおけ

 

 

女性には優しくしろってナビィが言ってた。あとあんなに真面目な反英霊もいるんだなって・・・

 

 

○ファイ 何年経っても反省の欠片もない反英霊代表の魔王と近年の殺人者を同列に見てはいけません

 

 

空が白んで朝日が昇る。

透明な空気は体を冷やし、思い出したようにお腹が鳴った。

 

『みんな!無事で良かった・・・』

「お疲れ様です。皆さん」

 

喜びを分かち合う声が通信機の向こうからも聞こえてくる。

夜もすがらの戦いが終わる。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。