女体化リンクは僕も考えてたんですけど、女装のほうが"""""イイ"""""な・・・。ってなったので没になりました。
「初めまして、勇者ヘラクレス。我が名はリンク。風の勇者だ」
「ぼくは あすてりおす」
「狂気に浸されていても、話を聞く思考はあるか。なら一応聞いておくけど、降参する気は?」
まず聞こえたのは、踏み込みの衝撃で割れる床の音。
次に金属音。剣と斧剣がぶつかり合い、甲高い声を響かせる。
アステリオスはそこまで来てようやく、二人が鍔迫り合っていることを視認した。
「ぅ、わ」
衝撃が突き抜ける。大人と子供の体格差なのに、リンクは平然と斧剣をはじき返す。
体重と筋力の乗った乱撃が襲い来る。それを正確に受け流しながら、剣に魔力を集めていく。
剣の光に反応して距離をとったヘラクレスを、ソードビームが追いかけた。
避ける、けど。
輝きに目が眩む。想像よりも膨大な魔力を込めて放たれるビームに、全身が反応する。
その無防備な身体に、剣の一撃が叩き込まれた。
「アステリオス」
「・・・?」
「こっちにおいで。そこにいると危ないぞ」
聞き慣れない第三者の声が、アステリオスを呼んだ。
スタジアムのように広い迷宮の、壁の装飾に腰掛けている男。何か飲んでいる。
知っているような、知らないような・・・?既視感を覚える青年は、アステリオスを手招きをした。
「おまえ どうやってここに・・・?」
「姿消しの魔法。アステリオス、俺が誰だかわかるかな」
金髪、青目、長髪。リンクにどことなく似ている男。手に持っているのはよくわからないけど。
「ときのゆうしゃ?」
「ぴんぽーん。花丸をあげよう」
○ウルフ 先代何してんすか!?!?!?
○災厄ハンター なんか飲んでる!なんかおいしそうなの飲んでる!
○奏者のお兄さん スタバ奢ってもらった
○ウルフ スタバで買収されたの!?!?!?!?
「さて、説明する前にまずこれが先」
青いオカリナを取り出す。響き渡るは時の逆さ歌。
時の勇者が知覚する、空間の時の流れを遅くする。
その音色に紛れてヘラクレスが蘇生した。再び繋がった首をぐるりと動かして、驚愕を詰め込んだ目で見ている。
「時、すまんの。あとでフィレオフィッシュを奢ってやるから」
「てりやきバーガーがいい~」
○騎士 マックに行こうとすんな
すっ、とヘラクレスを指さす。指先まで美しい青年に見つめられ、ヘラクレスが居心地悪そうに身じろぎした。
「狂乱の檻よ、壊れろ。勇者ヘラクレス、その真の姿を思い出せ」
爆発――――したようにアステリオスは感じた。
実際は膨大な、聖杯数個分に匹敵する莫大な魔力が発生しただけなのだが。
迷宮を照らす輝きは、されど目を刺すような光ではなく。
隣に座る青年のように柔らかく、暖かく、そして美しい光だった。
魔力の渦から現れたヘラクレスの、岩石のようだった肌は人間味を帯び、腕の部分の突起は無くなっている。
覇気、闘志、威圧。理性、礼節、高潔。全てが揃う。
「――――――こ、れは」
○うさぎちゃん(光) ほほう。これはこれで中々・・・
○Silver bow ・・・一応言っておくけど、これでもう言い訳は出来なくなりましたよ
○騎士 無敵か?
○バードマスター 頼もしっ
○守銭奴 頼むぞお前に賭けてんだ
○守銭奴 Fuooooooooooooo!!!!!!
「おはようヘラクレス。さあ殺し合おうか」
蕩けるような声で、綻ぶような笑みで、少年は言う。
そして間髪入れずに弓矢を構えた。突進、間に合わない。回避、不確定!
「う、おおおおおおおおおオッ!!!」
視界を埋め尽くす数十発の矢、追撃するさらに多くの矢を斧剣を振り回して凌ぐ。
篠突く雨のごとく。降り注ぐ矢、矢、矢!僅か数秒の間が、永遠のように感じられた。
「・・・っ!」
光。
・・・いや、光の矢!速い!
気づいたときには既に遅い。吸い込まれるように両腕を貫く。
こんなにも速かったのか・・・!
この矢だけは防御不能。あらゆる厄災を討つ聖なる力。
心臓の痛みは一瞬だった。
「アステリオス、風は決して君を軽視したわけではなくてね」
「うん」
「本当は君の経験のためにも出しゃばらないつもりだったけど。今後のことを考えるとここでヘラクレスをちょっ、・・・説得しておいた方が良さそう、だそうだ」
「せっとく?」
「カルデアにはスーパーヘラクレスが必要だから、味方するように言質を取るとかなんとか」
○Silver bow 調教(ノリノリ)
○ウルフ 調教(ストレス発散)
○フォースを信じろ なにカルデア戦争でもすんの?
○フォースを信じろ ああギリシャの触媒か
肉体が蘇生する。無意識に手の中に弓矢を呼び出した。
現れた弓に矢をつがえて離す、その僅かな間に自身のクラスがアーチャーになっていることを自覚する。
音速を超える速度で矢は放たれた。
「(素晴らしい・・・)」
場違いな感嘆。
矢を凌ぐ剣捌き。剣舞のごとき優雅さ。あれが勇者リンク――――。
矢を討つ合間に迷宮の柱を掴み、砕き、投げる。宝具なのだから天井が崩れることもないだろう。
かすかに目を見開いて、リンクが回避行動をとる。
柱、矢、柱、矢。――――盾!あれは、勇者の盾か・・・!?
ソードビームが周囲の矢を焼き、すり抜けてきた矢をリンクの持つ盾が受け止め、追撃してきたヘラクレスの拳を防ぐ。吹き飛ばされる体。
「はああああ!」
効いてない。盾とジャンプで衝撃を殺された。
即座に徒手空拳を振るう。腕力ならこちらの方が上のはず―――――!
「な、っに・・・!?」
投げられた盾を避け正拳突き。鳩尾に入った・・・・・・!?
倒れるリンクの体を包む紫のゆらぐ光。それが
・・・!
何か来た。紙一重で避ける。
首筋を掠るブーメランにぞっとしたのは一瞬。突風が体にぶち当たり、ヘラクレスのそれ以上の追撃を阻む。
「あのはっぱは なに?」
「あれはデクの葉。風を起こしたり、両手で持ったら空を飛べる」
○厄災ハンター マジックシールドとかいうクソ盾の存在を許していいんですか?
○いーくん どうした。親でも殺されたか
○うさぎちゃん(光) 練習試合でウルボザの雷を無効化されてからずっとキレてる
○厄災ハンター 負けろ!!!!!!!!!!!!!
「ほらもう一度!」
投げられたブーメランを避ける。背後から聞こえる風音を振り切るように動。
「 」
なに。
何?
何が起こった?
首が落ちたことしかわからない。
「いま うごきがとまった?」
「あれは相手の時を止めてるんだよ。夢幻の剣と夢幻のスフィアの合わせ技」
青い柄に、砂時計の装飾。まぶしい光を纏う聖剣が一振り。時と勇気の精霊の加護を受けて力を発揮する。
まじまじと見る間も無く投げ込まれたバクダンとブーメランが、もう一度ヘラクレスを殺した。
「またとまった?」
「また止められたな。ああなると永久コンボだ」
ハンマーが頭蓋を砕く。これで5回、ヘラクレスは死んだ。
○厄災ハンター ケッ!!!
○うさぎちゃん(光) これは罵倒したいけど自分もビタロックを乱用してるので強く出れないの時の顔
○騎士 解説ありがとう。シーカーストーンの便利さが浮き彫りになっただけだな
「アステリオス」
「な、に?」
「折角だ。儂の宝具を見せてやろう」
「うん!」
蘇るヘラクレスは戦意を失っていない。斧剣を握り直した。
「そうこなくては。――いくぞ。フォースを貪る魔神よ。大海の藻屑と化せ。夢幻の境に巣くうその身、我らの一撃に沈め!
リンクの声に呼応して海が現れた。
ぴちゃん、と水しぶき。
迷宮だったはずの場所には、青い青い水が踊っている。
「えっ」
一瞬自分が溺れる幻覚を見て、アステリオスは声を上げた。
「アステリオス、大丈夫だ」
「あ れ?」
「ここは固有結界の外だから」
「こゆうけっかい・・・」
ここはリンクが旅をした海。晴れ渡る蒼穹と暖かい日光。どこまでもどこまでも続く大海原。
未知なる世界への冒険心を擽る、誰もが夢見た伝説の海。
「―――――ぁ」
心を揺さぶる青い世界。
「あ、あああああああああああああ!!」
記憶を振り切って咆哮する。感情のままに宝具を解放した。
リンクが召喚したのは小さな白い船。赤と青で彩られた、お世辞にも立派とは言えない船だけど。
リンクにとっては赤獅子の船と同じくらい、大事な大事な船なのだ。
莫大な魔力と砲撃音がアステリオスの目を眩ます。決着はもうつく。
・・・前にばたーん!と大げさな音を立てて、甲板に男が飛び出てきた。
「何!?」
「あっお疲れ~」
「何!?!?!?」
「あのひとだれ?」
「ラインバック。風の相棒の一人」
○りっちゃん 居るんだ
○いーくん お疲れちゃうねん
「ヘラクレスは風の勇者が好きですね」
微笑む恩師。半人半馬のケンタウロス族、ケイローン。
苦難と狂気と戦いに明け暮れた生前の、数少ない穏やかな時。
「・・・このギリシャで、風の勇者を気にしない者は居ないと思います」
「そうですね。風と共に大海原を駆け巡り、魔王を倒し、姫を救い、新天地に辿り着いた。偉大なる先人です」
生まれが偉大でなくとも、勇者になれるのだ。英雄になれるのだ。
旅の少年、一族の末裔、ゼルダの幼馴染み、鍛冶屋の孫、牧童、見習い機関士、鍛冶屋見習い、騎士の家系。
そして誰かの生まれ変わり。
・・・・・・じゃあ、自分は?
不貞によって生まれた、生まれてきたことを憎悪される自分は?
「・・・師は、どのリンクが好きですか」
「私ですか?・・・そうですね、皆尊敬すべき方ですが・・・」
なぜそんな質問をしたのか、はっきりとした理由を思い出せない。
ただなんとなく、会話をしたかったのだろう。
「・・・・・・・・・」
「師?」
「・・・時の勇者は、立派ですね」
厚い本の表紙をなぞる指先。透明な言葉。
きっと師も、言うつもりではなかったのだろう。
「彼と両親の繋がりは、時の一族であるという事実だけ。だけど彼がそれを知ったのは、ハイラルを出たずっと後です。わざわざ父母との繋がりなど求めずとも、彼は自分が愛されているとわかっていた・・・」
「・・・・・・」
「記憶が無くとも、記録が無くとも。初めから何も無かったことになっても、彼は繋がりに固執しない。この別れが永遠でないと信じているから・・・」
師の顔を見れなかったのは、ヘラクレスの弱さだ。
かける言葉を1つも持っていなかった。・・・己というものは、本当に。
「私も彼のように、強くなれればよかった」
それは私も同じだ、師よ。
狂気に負けぬ理性が、血に抗う心が、運命を打ち砕く力が。怒りに身を染めぬ意志が、あればよかった。
けれど全ては過去の話。もう覆せぬ罪の証。
青い青い地平線を目指して、船で未来に向かった。友が出来た。砂のようにこぼれ落ちていったけど。
ヘラクレスはリンクになれなかった。風の勇者にはなれなかったのだ。
「勇者ヘラクレス」
止めてくれ!
そんな声で呼ばないでくれ。そんな名前で呼ばないでくれ。
そんな、美しい眼で見ないでくれ・・・・・・。
「狂乱の檻よ、壊れろ」
耳障りのいい低音の声。甘さの乗った青年の声。
脳裏で光が弾けた。全身を拘束していた、見えない鎖が壊れていく。
靄のような思考が鮮明になっていく。
「真の姿を思い出せ」
真の姿――――――?
己は。私は。・・・私は。
私はただ。
妻と子と共に、穏やかに暮らせればよかったのに。
海を眺めて過ごした幼少期。
ヘラから憎まれ、同年代には腫れ物にされ。それでも捨てきれなかった憧れ。
いつか彼のように――――この海を――――。
リンクの宝具はヘラクレスの命を六つ殺す。
魔神を討つ砲弾。半神などなすすべもなく。
これで十一回、ヘラクレスは死んだ。
この状況からでも勝つ方法は、ゼロではないけれど。
もうヘラクレスの心は折れてしまった。地に膝をついて項垂れている。
「・・・へらくれす どうしたの?」
「・・・ここで風に勝っても、どうしようもないことに気づいたかな」
ヘラクレスが居なくなっても、イアソンは止まらない。止まれない。
今のヘラクレスには、友を救うこともできないのだ。
――――――そんなくだらない諦めなど、風の勇者には関係ないけれど。
「立て、ヘラクレス」
「・・・・・・」
「お前が今するべき事は、ここで膝を抱えていることか?違うだろう」
○騎士 意外とメンタル弱いのか?
○小さきもの そりゃあそこまでボコられればこうなるよ
○守銭奴 ッシャア!!!!!!!!フゥ!!!!!!
○Silver bow もっとヘラクレスくんのこと心配してさしあげろ
ゆらり、と顔を上げる。
優しい眼をした風の勇者がいた。
「イアソンを助けたいんだろう?」
頷く。
「なら立つべきだ。戦いはまだ終わっていない」
差し出された掌は、自分よりもずっと小さくて。
自分よりもずっと、多くのものを救ってきている。
泣きそうなくらい、力強い手だった。