勇者リンクS’の人理修復配信RTA   作:はしばみ ざくろ

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この世界は私の提供でお送りしました

「ひとつ、昔話をしてやろう。・・・・・・煙草が欲しいところだが、贅沢は言うまい」

 

男はそう言って、役者達に向き直った。

 

「他愛のない昔話だ。だが、世界で最高の復讐劇であると宣う者もいる」

 

すきま風も聞こえない。監獄塔は静まりかえる。

 

「ある海の傍らに愚かな男がいた。誠実な男だった。この世が邪悪に充ちているとは知らぬ男だった。故に、男は罠へと落とされた。無実の罪によって」

 

シャトー・ディフで十四年。男は時間を過ごした。

拷問の雨あられ。止まぬ無数の呻き。死にかけ共の大合唱。死臭の中で育まれる殺意。

 

「監獄塔から生還した男は――――復讐鬼となった。人間の持つ善性のすべてを捨てて、男は、悪魔が如き狡猾さと力を手に入れていたのだ」

 

そして男は、憤怒のままに復讐へと耽った。

自らを地獄へ送った者どもを、一人ずつ、たっぷりと恐怖を与えながら手にかけて!

 

「クク・・・・・・。ああ、今でも思い出せる。連中の顔、顔、顔!我が名を告げたときの驚愕!己が忘れ去っていた悪行の帰還を前にした絶望!クク――ははは、はははははははは!あれこそが復讐の本懐!正当なる報復の極みなる!」

「それは・・・。きみの経験なの、アヴェンジャー」

「フッ。逸るな。年長者の話は、最後まで聞くものだ」

 

とはいえ概ねここで終わり。男の復讐はここで終わり。

 

「男は、最後の一人を見逃した。・・・・・・自らの悪を捨てたのだ、という者もいる。最後の最後に善性を取り戻したのだと。――――愛を、得たのだと」

「愛・・・かぁ」

「男は確かに復讐を止めた。そう、失われた筈の愛を取り戻したのだろう。男は、復讐鬼たる自身を愛し続けた寵姫と共に何処へなりとも消え失せた」

「ハッピーエンドに聞こえますね。何をそんなに怒っているのですか?」

 

その通り。ハッピーエンドの物語。

男の人生は物語になった。或いは、物語こそが男の人生であったのか。

 

「いずれにせよ――――物語は至上の喝采を浴び、無数の想いを受け、復讐の神話となった。かつて男は復讐の神を叫んだが、哀れ、男自身がソレに成り果てたのだ」

 

男は人類史へと刻まれた。

世界最古の神話のように。あの魔王のように。悪役共のように。

人々が夢想する荒ぶるカタチのままに。

 

「そして英霊と化した男の魂は、魔術の王が時を焼却せんとする頃になって、ひどく特異なサーヴァントとして現界した」

「エクストラクラス・アヴェンジャー」

「如何にも。混ざり合う魂の復讐鬼よ。貴様がここに降り立ったのも、ある意味では必然だろう」

「・・・・・・真名は?」

 

一歩、踏み込む。

立香の問いかけにも男は動じない。ただ、不敵な笑みをもらすだけ。

 

「我が身はアヴェンジャー。永遠の復讐鬼なれば!」

「それはもう聞き飽きました。そろそろ本性をお出しになったら?」

「・・・エドモン(・・・・)ダンテス(・・・・)

 

さあ、その名を呼べ。

第七の裁き。傲慢の名を冠する―――――。

 

「なんですって?」

「アヴェリン、知ってるの?」

「・・・・・・はは、ははははははははははは!」

 

アヴェリンが正鵠を射る。

男は腹の底から笑う。

やはり、気づくとしたら貴様か。

 

「否!否!それは無辜の罪で投獄された哀れな男の名!そして恩讐の彼方にて、奇跡とも呼ぶべき愛によって救われた男の名!決してこのオレではない。ヒトとして生きて死んだ人間(エドモン)の名なぞ!相応しいわけがあるまいよ!」

「きみはエドモンから分かたれた、復讐という概念?」

「最近そういうの多いですね。貴方はまだ、まともそうですが」

 

男の返答はない。

何かを断ち切るように瞳を閉じ、再び開く。

この望郷さえ、直に不要になるだろう。

 

「話は終わりだ。最早、このシャトー・ディフも役目を終える。七つの裁きは破壊されるのだから」

「七人目の支配者は?」

「どう考えてもコイツですよね」

「後は、光差す外界へと歩むのみ。だが・・・・・・」

 

シャトー・ディフを脱獄した人間はいない。

そう、ただ一人を除いては。

 

「幾億の怨念を伴って再構成された此処も同じく、やはり、出られるのは一人のみ」

「4人いるね」

「自分はカウントしなくていい」

「私は再召喚でカルデアに戻れます」

「じゃあ2人だな・・・・・・」

「残される1人は、当代のファリア神父となる」

 

絶望をくじき、希望を導くモノとして命を終える。

それはそれで、意義深き事ではあるのだろう。

 

「おまえか、オレか。どちらが生き残り、どちらが死ぬか。――――さあ、仮初めのマスター。覚悟するがいい」

 

コートを翻して佇む男の前に、ジャンヌ・オルタが立ちふさがる。

アヴェリンは立香の後ろに下がった。手を出す気はないようだ。

 

「当然ながらオレは朽ちるつもりはない。折角、再びこの世に舞い戻ったのだ。オレはオレの好きにするさ。おまえを第二のファリア神父として、オレは生きる」

 

よくもまあべらべらと、思ってもいないことが言えるものだ。

もうそんなつもりちっともないくせに。ジャンヌ・オルタは内心で毒づく。

 

「そして、お前の物語は終わる。実に簡単だ。――幕としよう。最後の最後で、おまえの魂は真に堕ち果てるのだ」

 

男のきんいろの目と、立香のあかい目が重なった。

 

「だが、もしも・・・・・・!おまえが歩み続けると叫ぶのならば!おまえが!未だ希望を失っていないのならば!――(オレ)を!殺せ!

 

襲いかかる青黒い炎を、ジャンヌ・オルタが旗で叩き落とす。

怨念の炎を纏った拳が繰り出す格闘術を、憤怒の業火を纏ってはじき返す。

 

「神の領分たる復讐を司るこのオレを!傲慢の具現――第七の『裁きの間』の支配者を!世界を救うために――殺せ!」

 

アサシンに勝る超高速移動。ジャンヌ・オルタの機動では追いつけない。

だから――立香がいるのだ。

 

「オルタ!合わせて!」

「ええマスター!竜の魔女(行きます)自己改造(スターを集めて)うたかたの夢(バスターで殴る)!」

「緊急回避!」

 

踏み込んで振るわれる拳を、紙一重で避ける。

くるりと一回転。勢いのまま、旗が男に叩きつけられた。

軸足そのままに横蹴り。男は思わず、防御に意識を取られた。その一瞬が命取り。

 

「全ての邪悪をここに」

「ぐ、う・・・!はああああああああ!」

 

雷撃のような魔力が、抗うように膨れあがる。

閃光が放たれるかと思った両手は、右肩に剣が突き刺さったことで止まった。

 

「瞬間強化!」

 

攻撃に転じる一瞬の間。力の限り投擲された剣が、男の肩を貫いたのだ。

負けを確信した男が浮かべた小さな笑みを、アヴェリンだけが見ていた。

 

「これは憎悪によって磨かれた我が魂の咆哮――吼え立てよ、我が憤怒(ラ・グロンドメント・デュ・ヘイン)!」

 

怨念の魔力が燃え上がる。怨嗟の炎が焼き尽くす。

骨の髄まで、霊基の核まで。

 

「――見事。成る程、オレの戦い方を把握していたか・・・。流石は仮初めのマスターだ」

 

煌々と燃えさかる炎の中で、男は満足したように息を吐いた。

 

「満足ですか?永劫の復讐鬼」

「はははは!そうだな、気分は悪くない。そうとも、オレは一度でも味わってみたかった・・・!かつてのオレを導いたただひとり、敬虔(けいけん)なるファリア神父・・・・・・あなたのように!」

 

絶望に負けぬ誰かを。

おぞましい罠に落ちた、無辜の者を。

我が、せめてもの希望として――――。

 

「――アヴェンジャー」

「はは!そうだ!分かっているじゃないかマスター(・・・・)!認めよう!おまえはオレを殺してくれた!おまえはオレに勝利を導いた!」

 

泣いているの?

その言葉は立香の心の中に収まった。

そう指摘することすら、なんだか無粋に思えたからだ。

 

「オレは勝利を知らずにいたのだ。復讐者として人理に刻まれながらも、オレは・・・。最後には救われたエドモン(オレ)だったが故に・・・。復讐を成し遂げられず、勝利の味を遂に知らぬままの巌窟王(オレ)を持て余し続けた」

 

そして遂には魔術王にも敗北した。

霊基も誇りもズタズタに裂かれ、この監獄塔に設置された。

 

「だが・・・お前だ。藤丸立香。おまえはオレに導かれ、障害を砕き、塔を脱出する。それは何と・・・希望に満ちた結末であろうか」

 

監獄塔が崩れていく。空間がほどけていく。足下が消えていく。

とっさに抱え込まれたジャンヌ・オルタの腕の中で、立香は男に手を伸ばした。

 

「アヴェンジャー!」

「歩むがいい!足掻き続けろ!魂の牢獄より解き放たれて――――おまえは!」

 

ありったけの祝福を、受け取るがいい!

 

「いつの日にか、世界を救うだろう!」

「また――また会おう!アヴェンジャー!私!」

 

ありったけの希望を、どうか貴方も受け取って!

 

「まだ貴方と話したい!何も知らないの!私が私で在るために――きっと貴方も必要だ!」

 

暗黒の底に全ては堕ちていく。

全ては永遠に消えるだろう。

 

「・・・・・・再会を望むか、アヴェンジャーたるオレに?はは、はははははははははは!ならばオレはこう言うしかあるまいな!」

 

立香とジャンヌ・オルタが、光の差す方へ引っ張られていく。

きっともう間もなく、カルデアで目覚めるだろう。

 

「“――――待て、しかして希望せよ”と!」

 

長くて短い、悪夢が終わる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「かっこよく消えようとしているところ悪いけど、まだ働いて欲しいんだわ」

 

逆さまの視界。掴まれた右足。

落ちそうになった帽子を咄嗟に押さえた後、アヴェンジャーは顔を上に向けた。

 

「・・・漆黒の復讐鬼」

「第四特異点で魔術王に会ってマスター・リツカが邪視で殺される。・・・・・・お前がいれば解決じゃね?」

 

 

銀河鉄道123 どうなん?

災厄ハンター 詳しい人

奏者のお兄さん 要は視線が合わなきゃいい訳だから、そこの隠蔽が出来れば

騎士 まぁ居ないより居る方がいいな

 

 

「足りない霊基は自分がくれてやる。世界の為に、マスター・リツカの為に働きたまえ」

「・・・・・・何故、貴様がそんなことをする?世界の命運には興味がないと思ったが」

「自分らはねーけどリンク共はある。だけど悪属性のリンクは自分らだけだ。こういうとき(・・・・・・)困るよな」

 

 

Silver bow あっこいつアヴェンジャーのこと手下にしようとしてる!!!!!

りっちゃん 今後こういうことがあった時代わりに行かせようとしてる!!!!!

いーくん 面倒くさいことを回避するための労力を惜しまない。勇者に必須のスキルですね

 

 

「ほら受け取れ!食え!オラッ!!!」

「ぐっふ!?」

 

 

うさぎちゃん(光) 口に無理矢理詰め込むな

ウルフ バリ噎せてる

 

 

「よし行け!!!ゴーカルデア!!!」

「あああああああぁぁぁぁ――――!?!?」

 

 

小さきもの 投げるな

バードマスター 人間パワフルピッチャーマシーン・・・・・・

守銭奴 すぐギャグオチになるんだよな・・・・・・

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