勇者リンクS’の人理修復配信RTA   作:はしばみ ざくろ

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新素材止めろォ!!!!!!!(シャルルマーニュを引いたけど再臨できない芸人)


簡単なことも分からないのね

『高密度の魔力反応を確認!バッキンガム宮殿上空です!』

『集積した魔霧が集まって雷雲を形成している・・・!?総員警戒!!』

 

天を見上げる人々を、冷たい目で見下ろす者がいる。

太陽の輝きを失ったような、鈍い色の金髪。夜闇にただ1つ君臨する、月の如き瞳。

黒き鎧に身を包んだ、その人こそがブリテンの王。

 

「―――――」

「・・・・・・ッ!!」

「・・・あれは・・・いいえ、彼女は、まさしく・・・・・・アーサー王・・・!」

 

アルトリア・ペンドラゴン・オルタ。

渦巻く漆黒の長槍を手にし、敵対者を屠らんと殺意を向けた。

 

『残った魔霧の殆どを吸収しながら現界している!まずいぞ、この魔力量は・・・!』

「・・・なんて、禍々しい魔力」

「魔力・・・感じるの?」

「はい、わかります・・・。魔霧があっても感じ取れるほどの巨大な魔力が・・・」

 

ニコラ・テスラの時と同じく、盲目的な狂気を感じる。

もっともテスラの時と違って、対話は不可能のようだが。

 

「どうして・・・今更、貴方は現れるんだ。ロンディニウムを救うのなら、もっと、早くに・・・・・・」

「・・・・・・ロンディニウムを救う為に来たわけではないだろう。あれは嵐。すべてを平等に粉砕する災害」

 

モードレッドの言葉に返事を返したのはアーサーだった。

魂の同じ他人を見据える目は厳しく、剣を握る手に力が籠もる。

 

『というかあの槍は・・・まさか・・・、聖槍ロンゴミニアド・・・!』

「世界の表層を繋ぎ止める神造兵器。ある意味、聖剣よりも厄介だ」

「やるしか、ない?」

「ああ、やるしかねぇ。父上に、このオレが、背中なんざ向けられるかよ」

 

鳴り響く雷鳴に囲まれて、再びの戦闘が始まる。

ランサーの掲げた槍から楔が外されていく。標的を見据えた聖槍は、禍々しい魔力を解放した。

巻き上がるは暴風。うなりを上げるは王の愛馬。最果てにて輝く光の力は、今、すべてを破壊する。

 

「来るぞ!」

「マシュ!」

「はい!仮想宝具、展開――」

 

穂先が回転し、風王結界を纏う。極限まで増幅、極大で出力。

すべてを噛み砕け。十三の牙。

 

疑似展開/人理の礎(ロード・カルデアス)――――!」

 

赤雷を伴って発射された、聖槍の威力は絶大。

大雷電階段(ベルクナス・ラダー)の中心でマシュはそれを受け止めた。余波は向かい風となりて、立香たちを襲う。

 

「ぐぅ・・・!」

「チッ・・・」

「立香!僕の方へ」

 

アーサーに手を引かれて懐に仕舞われた。

めちゃくちゃに荒れる髪が攻撃の激しさを表す。踏ん張るマシュの足が徐々に押し返されていく。

あらゆる防御を無視する聖槍は、カルデアの守護障壁すら砕かんと唸る。

 

「う、うううう、ぐ――――!」

『マシュ!マシュ!頑張って!』

『聖槍の威力が増していく・・・!?マシュ!』

 

オルガマリーの声が、ロマニの声が、鼓膜を貫く雷の向こうで聞こえる。

マシュは一瞬、世界に自分しか居ないような錯覚に陥った。

 

「――令呪をもって命ずる」

 

――――いいえ、いいえ。一人ではない。

あの日からずっと、わたしの魂の側には貴女がいるのです。

 

「マシュ、私たちを守って!」

「ああああああああーーーーー!!」

 

牙を折れ。十三番目の盾。

その心が折れぬのなら、その守りも決して崩れぬ。

轟音が耳を劈き、弾けた赤雷がロンドンの空を照らす。静寂は一瞬。

 

『・・・・・・やった』

「油断するな!まだだ!」

「立香、大丈夫だね」

「うん。ありがとうアーサー」

 

黒馬が歩みを開始した。ゆっくりと階段を降り、射程圏内まで近づいてくる。

宝具を防がれたというのに、王の瞳は微塵も揺るがない。暴虐をもたらすために槍を構え直した。

 

「(ナーサリー)」

「(ええ。マスター(・・・・))」

 

けれど、嵐は止むものだから。

傍観していたリンクが呟く。

ひらりと舞い降りたのは小さなクイーン。絵本という名の女王様。

 

「ナーサリー?」

「ご機嫌よう。嵐の王(ワイルドハント)。わたしは誰かの為の物語(ナーサリー・ライム)。一緒に遊びましょう?」

 

頁は捲られた。

これは貴方が夢見た物語。

これは貴方が目指した物語。

 

「―――――ぁ」

 

そう溢したのは誰だろう。

高い高い空が見える。いつの間にか、全員が地面に立っていた。

 

「ここは、」

『フィローネ地方フィローネの森!!!』

『喧しいぞギルガメッシュ!!』

 

だそうです。

 

「繰り返すページのさざ波、押し返す草の栞――全ての童話は、お友達よ」

 

固有結界そのものがサーヴァントと化したもの、それがナーサリー・ライム。

マスターの心を鏡のように映して、マスターが夢見た形の疑似サーヴァントとなって顕現する。現在はリンクと契約しているが、アンデルセンに名付けられた事によって、彼女はかつてのマスターの姿を取ることを選んだ。

それでも、リンクの心象を映し出して宝具に組み込む事くらいは出来る。

 

「ブリテンの王様。どうしてその姿を選んだの?」

「・・・・・・・・・・・・」

「わたしはありすが好きだから。ありすのことを覚えているから。貴方はどうして、人間のまま(・・・・・)なの?」

 

完全な聖槍の女神へと転じる直前に、嵐の王として黒き暴虐であることを選択した。

聖槍の女神ではなく、人間アルトリア・ペンドラゴンとして在り続けることを選択したアーサー王。

それはどうして?

ねぇ、覚えてる?

 

「大人になったから忘れちゃった?世界のすべては明確に、すべての世界は残酷に、貴方の瞳を覚ましたかしら」

「・・・・・・・・・・・・」

「でも物語はここにある。現実を拒んでも、悲しい読み手でも、表紙を捲れば、ほら!緑の風が吹いているわ!」

 

キュイ族が駆けていく。

水龍フィローネが空を泳ぐ。

森の奥から、聖なる気配を感じる。

初めてこの世界を垣間見たときの、あの興奮を覚えてる?

リンクはずっと覚えている。大地を踏みしめて歩んだ、冒険の始まりを――――。

 

「――――――――あぁ」

 

感じ入った声。

郷愁が胸をよぎって、凍てつく瞳が解けていく。

大嵐をも受け止める大空の世界で、ランサーは僅かに微笑んだ。

 

「何故、だと?決まっている――――」

 

狂気が剥がれ落ちた。

故国のために戦い続けた、騎士王が此処に帰ってくる。

 

「世界を、運命を、変える権利があるのは、今を生きている人間だけだと。そう言った彼らを信じている」

 

アーサーが剣を降ろした。

モードレッドは黙って、言葉を受け止めている。

 

「我が身は大鴉の化身。ハイラルを象徴する大翼の勇者のように、このロンディニウムを守護する者である。だから、嗚呼・・・。このような現界は、本意では無い」

 

ランサーの身体がエーテルに戻っていく。自主的な退去を始めたようだ。

 

「・・・・・・迷惑を掛けました。魔術師達よ。次に相見えるときは、敵でないことを願いましょう」

 

絵本は閉じていく。小説は語りを終える。されど意志は永遠に続く。

一項目に戻すように、あるいは二巻目を手に取るように。

勇気を与えられた読み手達が、世界を生きるかぎり。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「たった今、Dr.ロマンから連絡があったよ。作戦は成功だ!地下のアングルボダから聖杯を取り外すことに成功したそうだ」

 

ジキルのアパルトメントはすっかりひとけがなくなっていた。

落雷の雨はとうに止み、暗雲が徐々に薄れていく。

 

「・・・・・・ウゥ・・・・・・」

「あれ、君だけ?ナーサリーはキャスターに付いていったけど、隣の部屋のアンデルセンとシェイクスピアは――」

「・・・ウ」

「ああ、そうか。それはそうだね。聖杯の回収。特異点の修正。それなら、うん」

 

この部屋はこんなに静かだっただろうか。

いつの間にか、あの騒がしさに慣れてしまっていた自分が居る。

 

「時代は正しく修正される。今までの異常事態も出来事も何もかも、消える。すべてのサーヴァントたちは消えて、僕たちの記憶だって修正されてしまうんだろうね」

「・・・ゥ、ゥ・・・ァ・・・・・・」

「ああ・・・うん。そうか。今だけはなんとなく、僕にも君の言葉がわかる気がする」

 

お菓子を勝手に食べるサーヴァントも、紅茶にケチをつけるサーヴァントも、ソファを占領するサーヴァントも、もう居ない。

 

「・・・ゥゥ・・・・・・」

「・・・ああ、そうだね。少し、寂しいな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ま、何だ。お疲れさん。おまえたちのお陰であれこれ助かったぜ」

「ロンディニウムは救われた。僕からも御礼を。ありがとう、カルデアの善き人々たちよ」

 

特異点は徐々に修復されていくだろう。

湿っぽい別れはしたくなくて、モードレッドは笑顔を浮かべる。

 

「おお、そちらが噂のアーサー王ですか。うーむ、主役が栄えそうな美青年!」

「叛逆の騎士殿は相手に絆されやすいな。それとも、異世界とはいえ親が居るから猫を被っているのか?」

「・・・全部終わってからノコノコやってきやがって。いいぜ、そこに並べ。そろって首を落としてやるよ」

 

ぽてぽてと歩いてきて余計なことをくっちゃべる作家共に、モードレッドがにっこりと笑いながら剣の柄を掴んだ。

 

「安心しろ。同時に仕留めてやる」

「保護者の方ー!お宅のお子さんがー!」

「おい保護者。ちゃんと叱っておけ」

「モードレッド、止めなさい。それはそれとして君たちの方にも非があるよ」

 

最後まで賑やかなパーティだ。大団円には相応しい。

立香もマシュも、管制室の職員達も、気の抜けた笑みを浮かべてやり取りを見守っている。

その隅でこっそり胃痛がしそうな顔をしてナーサリーを撫でているのは、リンクだけであった。

 

 

奏者のお兄さん プレッシャーを感じてる

騎士 かわいそう

 

 

『――・・・待った、なんだこの反応・・・!?みんな気をつけて!』

「ドクター?」

 

突然緊張感を持って告げられた言葉に、マシュが戸惑いを返す。

直感の優れたアーサーとモードレッドが次に反応した。・・・何だ、この悪寒は?

 

『地下空間の一部が歪んでる!何か(・・)がそこに出現するぞ!サーヴァントの現界とも異なる不明の現象だ!・・・いや、これはむしろレイシフトに似てるか?」

『そんなはずないわ!カルデア以外にこの技術があるものですか!』

 

オルガマリーの上擦った声が聞こえる。管制室が一気に騒がしくなる。

不安が募った立香は、思わず辺りを見渡した。

 

「え・・・先輩、ヘンです。何も異常はないのに、寒気が――凄くて――」

『・・・空間が開く!くるぞ!』

 

 

空間が歪む。

世界が軋む。

 

 

「魔元帥ジル・ド・レェ。帝国神祖ロムルス。英雄間者イアソン。そして神域碩学ニコラ・テスラ。多少は使えるかと思ったが――――。小間使いすらできぬとは興醒めだ」

 

 

膨大な存在が降り立つ。その場の空気を掌握する。

 

 

「下らない。実に下らない。やはり人間は、時代(トキ)を重ねるごとに劣化する」

 

 

“それ”は笑う。矮小さを指さして。

“それ”は嗤う。すでに見限った人類を。

 

 

『ああクソ、シバが安定しない、音声しか拾えない!どうした、何が起きたんだマシュ!?』

「わ、わかりません。ヒトのような影がゆっくりと歩いてきて――」

「・・・下がるんだ、マシュ。立香の側から離れないで」

 

まるでこの場にいることがエラー(間違い)かのようだ。

危険、という言葉では表し尽くせない。不吉な何か。

 

「――オイ、なんだこのふざけた魔力は。竜種どころの話じゃねえぞ。これは、まるで――」

「伝え聞く悪魔、天使の領域か。いや、それでは足りますまい。このシェイクスピア、生粋の魔術師ではありませんが、キャスターの端くれとして理解しました」

 

無尽蔵とも言える魔力量。

存在するだけで境域を圧し潰す支配力。

 

「まさに、まさに神に等しい創造物!というか神そのもののような気さえします!そうですな、我が友アンデルセン!我々、そろそろお(いとま)したほうがよろしいかと!」

「貴様はどうしてそう大げさなんだ。だいたい神といっても種類があるだろうに。俺が怖いのは編集の神だけだ」

 

さすが、月の聖杯戦争ではラスボスのサーヴァントをやっていただけはある度胸だ。

シェイクスピアは完全に逃亡の体勢に入っている。

 

「・・・・・・まあ、逃げの一手には賛成だが。まさか、本命がこの段階でやって来るとはな」

『本命!?本命ってどういう事だ!?立香ちゃん、状況を報告してくれ!』

「ほう、私と同じく声だけは届くのか。カルデアは時間軸から外れたが故、誰にも見つけることのできない拠点となった」

 

だからこそ生き延びている。

 

「だからこそ生き延びている。無様にも、無惨にも、無益にも」

 

魂を振り絞って。誰に笑われようとも。希望と勇気を灯しながら。

 

「決定した滅びの歴史を受け入れず、いまだ無の大海に漂う哀れな船だ。それがおまえたちカルデアであり、藤丸立香という個体。燃え尽きた人類史に残った染み。()の事業に唯一残った、私に逆らう愚者の名前か」

「――――ドクター。いま、私たちの前に現れようとしている、のは――」

「・・・貴方が、レフの言っていた“王”?」

「ん?なんだ、既に知り得ている筈だが?そんな事も教わらなければ分からぬ猿か?」

 

白い髪。褐色の肌。絢爛な衣装。

きっと、貴い身分のヒトだったのだろう。

 

「だがよかろう。その無様さが気に入った。聞きたいのならば応えてやろう」

 

すべてを見下し、蔑む笑みを浮かべていなければ、少しは気品を纏えたものを。

 

「我は貴様らが目指す到達点。七十二柱の魔神を従え、玉座より人類を滅ぼすもの」

 

“それ”は名乗る。星の自転を止め、世界を滅ぼすもの。

 

「名をソロモン。有象無象の英霊ども、その頂点に立つ七つの冠位の一角と知れ」

 

 

ウルフ テメェか

災厄ハンター ふーーーーーん

奏者のお兄さん 中身違うだろ。大言吐くな

いーくん ほんとだ。肉体と中身別人だな。

Silver bow 重犯罪者がよぉ・・・

海の男 血の気が多いよ~~

 

 

『ソ――ソロモンだって!?確かにそう名乗ったのか、マシュ!?』

「・・・・・・はい、間違いありません。確かにソロモンと・・・紀元前10世紀に存在した古代イスラエルの王と同じ名を名乗りました」

『そんな・・・本当にソロモン・・・。こんな、こんなバカなことが――――』

 

打ちのめされたドクターの声。

動揺、ざわめき、戸惑い、愕然。管制室は揺れている。

 

「ハッ、そいつはまたビッグネームじゃねえか。するってーと何だ。テメエもサーヴァントな訳か?英霊として召喚され、二度目の生とやらで人類滅亡を始めたってオチか?」

「それは違うなロンディニウムの騎士よ。確かに私は英霊だが、人間に召喚されることはない」

「なに?」

「貴様ら無能どもと同じ位で考えるな。私は死後、自らの力で蘇り、英霊に昇華した」

 

 

銀河鉄道123 自力で墓地から復活するな

フォースを信じろ ウチのシマじゃノーカンだぞ

騎士 これ本物のソロモンはどういう顔で聞けばいいんだ

 

 

『み・・・自らの力で、蘇っただって・・・!?』

「私は私のまま、私の意志でこの事業を開始した。愚かな歴史を続ける塵芥――――この宇宙で唯一にして最大の無駄である、おまえたち人類を一掃するために」

「そ、そんなことができるとでも・・・!?」

 

思わず反論した立香を鼻で笑って、ソロモンは続ける。

 

「できるとも。私にはその手段があり、その意志があり、その事実がある。既におまえたちの時代は滅び去った。時間を越える我が七十二柱の魔神によって」

『時間を越える・・・じゃああの魔神たちは本当にレメゲトンにある魔神だったのか・・・!?いや、でも伝承とあまりにも違う!ソロモン王の使い魔があんな醜悪な肉の化け物のはずがない!』

 

ある意味で――――それは正しい疑問だった。

ロマニの知っている魔神の集団は、もっとただのシステム(・・・・・・・・・・)だったから。

 

「哀れだな。時代の先端に居ながら、貴様らの解釈はあまりに古い。七十二柱の魔神は受肉し、新生した。だからこそあらゆる時代に投錨(とうびょう)する」

 

新生した魔神たちは、この星の自転を止める楔である。

天に渦巻く光帯こそ、ソロモンの宝具の姿。

 

「まさか・・・・・・あらゆる時代にあった光の輪は――――」

「そうだ。あれこそは我が第三宝具、誕生の時きたれり、其は全てを修めるもの(アルス・アルマデル・サロモニス)

 

あの光帯の一条一条が聖剣ほどの熱線。

アーサー王の持つ聖剣を幾億も重ねた規模の光。即ち――対人理宝具である。

 

「ち・・・父上の聖剣の何億倍の熱線――。それで人理を焼き払うってのか。テメエ!?」

「――――さて、その光景を見ることのない貴様に答える気はないな。そちらの質問には答えた。次はこちらの番だ、カルデアの生き残りよ」

「野郎、やる気だ・・・!構えろ!」

 

 

ウルフ やばくね?

災厄ハンター やばいですねぇ

守銭奴 やっぱ直接殺るしかないか・・・

 

 

「で、でも――あのサーヴァントには、決して――――」

『マシュ、しっかりするんだ!心を保って、しっかり敵を見る!どんな相手であれ、敵はサーヴァントなんだろう!?なら勝機はある!』

 

怖い。

身が竦む。

勝てるわけがない。

マシュの心を負の感情が覆い尽くしていく。

 

『君の中の英霊は聖杯に選ばれた英霊だ!英霊の格は決してソロモンにひけを取らない!』

「ハ――――英霊の格、だと?そんなものが基準になると本気で思っているのか」

 

毒々しい魔力。

禍々しい術式。

ソロモンとは、これほどまでに人間を憎んでいたのか?

 

「無知とは罪だな。それなりの知恵者かと思えば、貴様らの司令官は取るに足らぬ魔術師らしい。もはや私が気に留めるのは娘、その盾を持つ貴様のみだ」

 

マシュのことだ。

立香の背筋に冷たいものが走る。

 

「さあ、楽しい会話を始めよう」

 

そこからのことを、立香はよく覚えていない。

いや、覚えてはいるのだ。

ただあまりにも非現実すぎて、夢だと思ってしまいたいだけ。

地下を這いずり回る魔神の肉柱。戦闘とはとても言えぬ、一方的な殺戮。

あっという間にキャスター、ナーサリー、シェイクスピアが消えた。

 

「・・・ドクター、レイシフトを。このままでは全滅です・・・・・・!」

『それが、無理なんだ・・・!そいつの力場でレイシフトのアンカーが届かない!ソロモンがいるかぎり、キミたちを引き戻すのは不可能だ・・・!』

「・・・っ、こうなったら・・・せめて先輩だけでも・・・!」

「駄目だよ!マシュを置いてけない!」

 

英霊としての格より、出力そのものが違う。

魔術の祖と謳われた、その逸話は伊達ではない。

 

「王殺しのモードレッド。異界からきたアーサー王。貴様らは特に、念入りに燃やすとしようか」

 

攻撃がくる。

来る、という知覚が出来ただけで、防御は一切出来なかった。

 

「・・・ふざけているな。一度防いだだけでこれか。やはりキャスターでは貴様に刃向かえないか」

「クソガキ・・・!?テメエ、なにして――」

「気まぐれだ、気にするな。おまえには散々働いてもらった借りもあったしな」

 

モードレッドへの一撃を防いだのはアンデルセンだった。

肉体労働嫌いは筋金入りのようで、うまく避けて生存していたらしい。

 

「・・・まだ生きていたか。物書き」

「ああ、読まなくてはいけないものがあったからな。そして――理解したぞ、ソロモン。貴様の正体、その特例の真実をな」

「ほう?いいぞ、語ってみよ即興詩人。聞き心地のいい賞賛ならば楽に殺してやろう」

 

興味が湧いたのか、肉柱の追撃が止まる。

上から目線にも程がある態度で、続きを促した。

 

「ああ、とくと聞くがいい俗物め。時計塔の記述にはこうあった。英霊召喚とは抑止力の召喚であり、抑止力とは人類存続を守る者」

 

彼等は七つの器を以て現界し、ただひとつ(・・・・・)の敵を討つ。

敵とはなにか?決まっている。我ら霊長の世を阻む大災害!

 

「この星ではなく人間を、築き上げられた文明を滅ぼす終わりの化身!其は文明より生まれ文明を食らうもの――自業自得の死の要因(アポトーシス)に他ならない」

 

そして、これを倒すために喚ばれるものこそ、あらゆる英霊の頂点に立つモノ。

 

「――――そうだ。七騎の英霊は、ある害悪を滅ぼすために遣わされる天の御使い」

 

人理を護る、その時代最高峰の七騎。英霊の頂点に立つ始まりの七つ。

 

「もともと降霊儀式・英霊召喚とは、霊長の世を救う為の決戦魔術だった。それを人間の都合で使えるよう格落ちさせたものが、おまえたちの使う召喚システム――――聖杯戦争である」

「な――――オレたちが格落ち、だと・・・!?」

「挑発にのるなモードレッド。格の問題じゃない。これは器、顕現の問題だ。ヤツはただ単に、俺たちより一段階上の器を持って顕現した英霊にすぎない」

 

我らが個人に対する英霊(へいき)なら、アレは世界に対する英霊(へいき)

その属性の英霊たちの頂点に立つもの。即ち、冠位(グランド)の器を持つサーヴァント。

 

「そうだ。よくぞその真実に辿り着いた!我こそは王の中の王、キャスターの中のキャスター!故にこう讃えるがよい!――――グランドキャスター、魔術王ソロモンと!」

 

 

りっちゃん 自分大好きなのはよくわかった

うさぎちゃん(光) 別人なら自分でもなくない?ソロモンのことが好きなんじゃない?

海の男 ソロモンに対して大きめの感情を持ってる方ですか?

 

 

『グランドのクラス、だって・・・!?根源に選ばれた英霊とでも言うつもりか・・・!?』

「――さて、では褒美だ、受け取れ即興詩人。五体を百に分け、念入りに燃やしてやろう」

「アンデルセン!」

 

わずかな悲鳴を残して、アンデルセンも消えた。

 

「・・・テメエ」

「凡百のサーヴァントよ。所詮、貴様等は生者に喚ばれなければ何も出来ぬ道具。私のように真の自由性は持ち得ていない。どうあがこうと及ばない壁を理解したか?」

「っ――――・・・、は。ここまで四つも聖杯を奪われて、何を偉そうに。もう半分も立香にやられて、あわてて出てきたんだろう?負け惜しみにしちゃあみっともないぜ?」

 

モードレッドの煽りに、返ってきたのは憐れみの目だった。

 

「――人類最高峰の馬鹿か、貴様?四つもだと?違うな。すべてを破壊してようやく、なのだ。一つも六つも私には取るに足りぬ些事である。藤丸立香なる者が脅威などと、程遠い話だよ」

 

ため息一つ。踵を返す。

 

「では帰るか。思いの外時間をとったな」

「え?」

「はあ!?帰るって、テメエ一体なにしにきやがった!?」

「いや、単なる気まぐれだが?」

 

 

弾いたっっっ!!!!!!!完!!!!!!!

 

 

騎士 よし

奏者のお兄さん やったぜ

小さきもの 勝ったわ風呂入ってくる

 

 

「ひとつの読書を終え、次の本にとりかかる前に用を足しに立つ事があるだろう?これはそれだけの話だ」

「なっ・・・小便ぶっかけにきたっつうのか!?」

「――――――、は。ハハ、ハ、ギャハハハハハハハハ・・・・・・!」

 

 

フォースを信じろ 結局アレ?アヴェンジャーくんの活躍?

 

 

アヴェンジャーくんに視線を合わせないように伝えて貰って、ソロモン(仮)の視界もいじった

 

 

フォースを信じろ 大活躍じゃん

守銭奴 ソロモン(仮)くんは格上の魔術師に会ったことがないんだね

 

 

「その通り!実にその通り!実際、貴様らは小便以下だがなァ!私はおまえたちなどどうでもいい。ここで殺すも生かすもどうでもいい」

 

「だが――ふむ。だが、もしも七つの特異点をすべて消去したのなら。その時こそ、おまえたちを、“私が解決すべき案件”として考えてやろう」

『助かったのか・・・のか?見逃されるのは癪だけど、ここは黙って――――立香ちゃん!?』

「貴方、どうしてこんなことするの?世界を燃やすのが楽しいの?」

「先輩・・・!」

 

ソロモンが振り返る。

意外そうに、面白そうに。

 

「楽しいか、と問うのか?この私に、人類を滅ぼす事が楽しいかと?ああ――無論、無論、無論、無論、最ッッ高に楽しいとも!」

「悪趣味・・・」

「楽しくなければ貴様らをひとりひとり丁寧に殺すものか!私は楽しい。貴様たちの死に様が嬉しい。貴様たちの終止符が好ましい。その断末魔がなによりも爽快だ!」

 

魔神よりも魔神。

悪魔よりも悪魔。

でも、魔王ではない。

霊基(クラス)の格は高いけど、立香はどこか、心底の愚かしさを感じる。

 

「そして、それがおまえたちにとって至上の救いである。なぜなら、私だけが、ただの一人も残さず、人類を有効活用してやれるのだから――!」

「下がってろ、立香!コイツと話すのは無駄だ、心底から腐ってやがる!」

「・・・魔術王ソロモン。貴方はレフ・ライノールと同じです。あらゆる生命への感謝がない。人間の、星の命を弄んで楽しんでいる・・・!」

「――――――」

 

カチリ。感情が変わる。

カチリ。顔が変わる。

 

「娘。人の分際で生を語るな。死を前提にする時点で、その視点に価値はない。生命の感謝だと?それはこちらが貴様らに抱く疑問だ。人間(おまえ)たちはこの二千年なにをしていた?ひたすら死に続け、ひたすら無為だった」

 

 

海の男 人間に対して大きめの感情を持ってる方ですか?

 

 

「おまえたちは死を克服できなかった知性体だ。にも関わらず、死への恐怖心を持ち続けた。死を克服できないのであれば、死への恐怖心は捨てるべきだったというのに。死を恐ろしいと、無様なものだと認識するのなら、その知性は捨てるべきだったのに!」

 

 

銀河鉄道123 ???

災厄ハンター えっ何急に。それのなにがいけないの

りっちゃん なんか・・・何・・・?人間の人生を見続けて解釈がぶっ飛んだ方?

 

 

「無様だ。あまりにも無様だ。そしてそれはおまえたちも同様だ、カルデアのマスターよ。なぜ戦う。いずれ終わる命、もう終わった命と知って。なぜまだ生き続けようと縋る。おまえたちの未来には、何一つ救いがないと気づきながら」

「・・・・・・っ」

「あまりにも幼い人間よ。人類最後のマスター、藤丸立香よ。これは私からの唯一の忠告だ」

 

まったく聞く気がしなかったけど、一応耳を傾けた。

 

「おまえはここで全てを放棄する事が、最も楽な生き方だと知るがいい」

 

やっぱり聞く必要なかった。立香は憐れみをもって見返す。

先にケンカを売ってきたのは貴方でしょう?

 

「灰すら残らぬまで燃え尽きよ。それが、貴様らの未来である」

 

今更、我が共犯者が止まるなどと思っている時点で、もう貴様の負けなのだ。

おまえは火を点けたぞ。魔術王。

人類最後のマスターの心を焚き付けた。その意味をとくと思い知れ。

影の中で、アヴェンジャーは笑った。

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