勇者リンクS’の人理修復配信RTA   作:はしばみ ざくろ

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惨憺たる結末は美しさを纏うほど

最上階のスイートは、夜景を展望できる絶好の客室。

香辛料よりもぴりりと辛い空気が部屋を支配していなければ――の話ではあるが。

 

『(なんか相手のサーヴァントは臨戦態勢ですよ!?)』

「(空気が重いです・・・Ⅱ世さん、一体どうやって切り抜けるつもりなんでしょうか・・・・・・)」

 

呑気なのは霊体化しているリンクと、どうやら勝ちを確信しているらしいⅡ世、取りあえず真面目な顔をしている立香だけだ。・・・結構居るな。

 

「昨夜のうちにアーチゾルデに問い合わせた。ライネスの名代などと、よくも根も葉もない法螺を吹いてくれたものだ」

「それでもなお我々との会見に応じてくださった、ということは・・・」

「問い糾したい事もまた別にある。昨夜のキャスターについての思わせぶりな発言だが」

 

そこで一度言葉を切って、ケイネスは居住まいを正した。

こちらに圧を与え、交渉を優位に進めようとする仕草が身についている。リンクは一人感心した。

 

「なぜ聖堂教会の動向を事前に知ることができた?」

「それが私にとっての事後・・・遠い昔の記憶だからです」

「なに?」

 

ケイネスの気難しそうな顔にほころびが生じた。

一方のⅡ世は穏やかな表情を崩さない。

 

「埠頭(ふとう)でサーヴァント戦が行われた翌朝、監視役が各陣営に招集をかけキャスターの優先的抹殺とその褒美を提示する。・・・・・・私の知識は、それだけではありません」

 

Ⅱ世が部屋の空気を掌握し始めた。

ケイネスもディルムッドも熱心に話を聞き始める。

 

「あなたが当初この戦いにおいて召喚する予定だったのが征服王イスカンダルだったこと。そのための聖遺物を、時計塔の聴講生ウェイバー・ベルベットに盗まれ、やむなく代わりにディルムッド・オディナを使役していること」

「どうしてそれを・・・・・・」

「そのサーヴァントに魔力を供給しているのは貴方ではなく、婚約者のソラウ・ヌァザレ・ソフィアリ嬢でしたね」

 

カルデアの職員がディルムッドの解析をすれば、確かに魔力はケイネスから来ていない。

 

「ああソラウ嬢といえば、貴方の書斎に恋文の下書きが残されていましたよ。ええと、たしか書き出しは『麗しき我が想いの君よ、その瞳には朝露の輝きを宿し・・・・・・』」

「ええい、やめんか!もういい!貴様はいったい何者だ!?」

 

 

センスはありそうな恋文だな

 

 

○バードマスター ラス、その節はトイレの人にわたしてごめんね

○奏者のお兄さん トイレの人の方が大ごとだからね・・・

 

 

「レディ・ライネスの名代であることは事実です。ただしその肩書きを賜るのは、いまから四年ほど後のことになります」

 

思わず怒鳴って椅子から傾いたケイネスが、その言葉を聞いて椅子に座り直す。

 

「故にいま申し上げた諸々は、すべて私の『過去の記憶』に属する事柄です」

「・・・ほほう」

「そこで一笑に付さないところは、さすがアーチボルトの長、といったところですな」

「時間渡航者か。そういう研究に血道を上げている輩もいるとは聞いている」

 

おだての言葉を挟んでいきながら、ケイネスの興味をうまく惹いていく。

エルメロイⅡ世となってから身につけただろう話術が存分に発揮されていた。

 

「実現の目処などない。馬鹿げた探求だと思っていたが・・・・・・それにしても、もう少し納得のいく説明が欲しいところだ。魔法に手が届くほどの術理ともなれば、当然、生半可なものではあるまい?」

「それでは、かいつまんで説明させていただきます。しばしご傾聴を」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なるほど、地球環境モデルを投影し過去を観測、英霊召喚システムを応用したレイシフト・・・・・・。それらすべてを、霊子演算器の導入によって可能にしたわけか」

 

 

○守銭奴 そうだったのか・・・

○フォースを信じろ 知らなかった・・・

 

 

「霊子演算器・・・アトラス院ではそのような試みが為されている、と風の便りで聞いてはいたが・・・」

「はい。それらすべての魔術的偉業が、アーチボルト門閥(もんばつ)によって達成されることになります」

『(えーッ)』

『(ハァ?)』

『(なんて堂々とした嘘・・・!俺でなきゃ見逃しちゃうね)』

「(管制室静かに!!)」

 

Ⅱ世のアクロバティック説明によりにわかに職員達が騒ぎ出したが、音声がオフだったためことなきを得た。

オルガマリーはⅡ世(あのひと)のボーナス減給しようかな・・・と一瞬思った。やめてあげてください。

 

「未来のアーチボルト家が、そこまで大それた成果を挙げた、と?」

「もちろんケイネス卿の卓越した采配と総括あっての成果です。今後の時計塔におけるあなたの躍進が、様々な学派の成果を吸収しこの一大プロジェクト『カルデア』の実現にいたったのです!」

 

Ⅱ世のオンステージ!効果はばつぐんだ。

 

「フン。私にアトラス院との繋がりはない。むしろあの偏屈たちを毛嫌いしている。あの悲観主義たちと手を取り合う事はない。ないと思っていたが・・・ふ、ふふふ」

 

先ほどまでの堅苦しい顔は何処へやら。ケイネスはもう機嫌のよさを隠し切れていない。

 

「(元弟子にこうも手玉に取られるか)」

「(時計塔のロードって・・・)」

「そうかー、うん。まああり得ぬ話ではないな!」

「(いやこれはケイネス卿が単純すぎるだけだな)」

 

ニッコニコである。

 

『(ええーッ)』

「(なんだか全然、まったく、イメージと違う人ですね・・・)」

「いやぁ、そろそろ降霊科と鉱石科だけでは派閥争いの切り札には足りないかな、とは思っていたのだよ。何か別口の研究にも手を付ける頃合かとね。うむ、しかしまさかそんな方向にも才能あったとはなぁ私」

 

急に早口になった。

 

「そうかー歳食ってからも大人げなく本気出しちゃうかー」

「流石です!ええ、このディルムッドめは信じておりました。マスターは今でこそ色々危なっかしいものの、将来は必ずや大事を成し遂げられる御方だと!」

 

ディルムッドこっち側だった?と思うくらいのナイス加勢である。

 

「無論、技術的成果だけでなく、ソフィアリ家の経済的援助によるところも大です。カルデアの施設構築に至る莫大な経費が賄えたのも、貴方と未来の奥方様との仲睦まじい私生活あってのことで」

 

ワッショイが止まるところをしらない。

 

「いやあ、フハハ。魔術の求道にばかり専念してきた私が、はたして家庭人として成功できるかどうか・・・・・・一抹の不安はあったのだがね。そっかー。フハハハハ!」

「(ああ、ロードがまずランサー陣営を味方に付けようとしたのって・・・)」

『(いちばん騙すのが簡単だから、かもね)』

「(・・・フォウ)」

 

ご機嫌なランサー陣営を眺めながら、カルデア陣営には「まあ上手くいってるならいいか・・・」の空気が漂っていた。

 

「というわけで、我々は御身にアーチボルトの栄光の階(きざはし)を確実に築いていただくべく馳せ参じた次第です」

「(マスター。飽きてきた顔が隠せてないぞ)」

「(あっごめんねランサー)」

「とはいえ、時間渡航による過去干渉には様々な禁則が伴います。あまり大袈裟な援助までは叶いませんが、こと情報面においては・・・」

「うむ、君らの介入さえあれば戦況のあらゆる段階で敵に先手を打てるわけだな」

 

 

○海の男 情報は武器だな

○災厄ハンター すいませんメル友からメール来たので外れます

○海の男 誰?

○災厄ハンター シャルルくん

 

 

「ひとまずはキャスターの排除です。まだ他のマスターたちは標的の潜伏場所を知りません。先んじて襲撃をかければ、監視役が確約した追加令呪は御身のものに」

「素晴らしい!まだ一画の消費もないうちから、新たに四画目の令呪がこの手に刻まれるというわけか。ククク、この戦い。もはや勝ったも同然ではないか!」

「(フラグだ)」

「(フラグだなマスター)」

 

 

○海の男 どこのシャルルくん?

○災厄ハンター シャルルマーニュのシャルルくんです。カール大帝に音声読み上げソフトの入ったタブレット(シーカー印)をプレゼントした関係で

○銀河鉄道123 カール大帝とはどこで知り合ったの?

○災厄ハンター 俺ルーラー適正があるのでその関係ですね

 

 

なにやらコミニュティがあるらしい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ぽつぽつと明かりが照らす地下空間は、今はまだ、闇に静けさを浸している。

 

「マスター、マシュ。足下には気を付けろよ」

「うん。平気だよ」

「はい。・・・なんだか、異様な雰囲気を感じますね」

 

ぴちょん、ぴちょん。水滴が落ちる音。先導するⅡ世は迷わず進む。

 

「――しかし、半ば遊びも同然のつもりで参加したこの戦いだが。わざわざ未来の末裔が干渉してくるとは・・・。この私が考えていた以上に大きな意味がある、ということかね?」

「そうなり得る可能性が無視できない、という程度にお考えください。我々は過去に干渉するにあたって、既に確定した事象についてしか言及できません」

 

まだこの時間軸において誰にも干渉されていない出来事に関しては、口を慎まざるを得ない。

歴史を改編するとはそういうことだ。あまりにも余波が大きければ、抑止力が発動しかねない。

 

「ふむ・・・」

「そもそも我々がこうして介入した時点で、歴史は改編されて精度を失っています。ここから先は、私にとっても未知の領域、ということです」

「(だからユニヴァースなのかな)」

「(だからユニヴァースから来たんですかね先輩)」

「(ふふ。ナイショだ)」

「(そこ静かに。いや本当に頼む)」

 

世の中には不用意に掘り返してはいけないことがあります。Ⅱ世はそっと腹を押さえた。

話しているうちにキャスターの魔術工房に近づいていたようだ。境界が変わったのを察知して、ランサーとリンクが警戒を強くする。

 

「何か来るぞ!」

 

深淵から来たれり。烏合の使い魔たちよ。

第四次キャスターが脅威なのは宝具だけだが、頭数での力押しはそれなりに厄介だ。

 

「フン。魔術の秘匿すら弁えぬ下賤に、ここまで度を越した力を与えるとは・・・。やはり冬木の聖杯とやらは私が手ずから確保し管理する必要がありそうだ」

 

ケイネスが前に出た。ディルムッドが剣を抜く。

 

「行けランサー!我が道を阻む有象無象を排除せよ!」

「御意!」

「先輩、なんだかわたしたち蚊帳の外ですけど、黙ってみている訳にもいきません!」

「そうだなマシュ。立香を守ってくれ。私がランサーのフォローをしよう」

「了解です!」「オッケー!」

 

赤と黄の魔剣が唸る。

回転を加えられて破壊力の増した双剣は、眼前に溢れていた使い魔たちを砕ききった。

そのまま薙ぎ払い、袈裟切り。目にもとまらぬ連撃こそ、ディルムッドの本領!

 

「せいっ!とおっ!」

『おお・・・!流石フィオナ騎士団筆頭・・・!』

「当然だ。この程度はやってもらわなければな」

「おおおおおっ!輝く貌のディルムッド・・・・・・ここに!」

 

仕方なくで召喚したサーヴァントとはいえ、褒められて悪い気はしない。ケイネスは自慢げだ。

このディルムッドも騎士としての自覚が強く、何よりスキル「愛の黒子」が制御されているため、本来の主従よりも安定した関係性を築いているようだ。

 

「ふっ!」

 

青槍―ガーディアンランス―を振るう姿は、何故だか目が離せないほど優雅。

赤いマフラーが動きに合わせて靡く。まるで踊り子のようだ。れっきとした男性なのに、なぜか女性的な美しさを感じる。

 

「・・・Lさん、強いですね」

「・・・うん。すごい」

 

ふいに赤と黄の光が鮮烈に地下を照らした。少女たちの視線を奪う。

踏み込み深く一文字斬り。抵抗もできずに消滅していく使い魔たちよ。

魔力を纏ったディルムッドの双剣が重なる。夕紅といなびかりが混じり合いより威力を増す。

叩きつけられた衝撃で地下通路が揺れた。真っ向斬りで道は拓ける。

 

「マスター。どうやらあそこがキャスターの本拠地のようです」

「よし。この汚らわしい眷属の主に、エルメロイの名のもと誅を下せ!」

 

先に進んでいく二人を追いかけようとして、リンクはぴくりと反応する。

 

「(・・・嫌なニオイ。・・・・・・死肉が積み重なったニオイだ)」

「――なんと、おぞましい・・・。死体をここまで慰め物にするとは!」

「ふむ、これは監視役が始末を急ぐのも頷ける」

 

それ(・・)を発見した二人の声を聞いて、いよいよため息が零れてしまった。

 

「マスター、マシュ。気分が悪くなったら言うんだぞ」

「わたしは平気です。マスターは・・・・・・」

「マシュの後ろにいるから大丈夫。進もう」

 

踏み込んだ先は――――凌辱された童の亡骸まみれ。吐き気を催す凶行の場。

血と臓物が溢れて、否。工芸品として創り直されて(・・・・・・)いる。

リンクから舌打ちが漏れた。

見渡すかぎりの死体の山。無辜の民を襲い、引き裂き、残酷に笑う魔の者ども。

輩が倒れても、弔いさえできぬ生前の戦。七日七晩の悪夢よ。否でも応でも思い出してしまうだろう!

立香がそっとマシュに隠れた事を確認して、近づいてきたキャスターに殺気を向けた。本当にろくでもない男だな・・・!

 

「おのれ、おのれ、おのれ・・・!我らが美の探求を阻む蒙昧(もうまい)め!さっ、ささては貴様らも聖処女の覚醒を阻むつもりかっ!?」

 

リンクに睨み付けられて、ジル・ド・レェは竦み上がる。言葉尻が震えあがる。

それでも錯乱した眼で魔道書を開き、敵意を露わにした。狂気もここまでくると哀れだ。

 

「ケイネス卿。ディルムッドに宝具をお願いできますか?この手の輩は一気に吹き飛ばしてしまった方が早い」

「宝具か。確かにそれなら一掃できるだろうが・・・」

「奥方・・・いえ、まだ婚約者でしたね。魔力の供給ならご安心を。私はランサーですが、スキルでサポートできます。ソラウ嬢への影響は軽微です」

「そうだ。まだ婚約者だぞ。間違えないでくれまったく。よし、ランサー。宝具を発動しろ!」

「お任せを!」

 

怒りに心を燃やしていてもリンクは冷静だった。ケイネスは相変わらず乗せられやすかった。

スキルを発動しながら、キャスターを睥睨する。律儀にびくりと震えたジル・ド・レェは、魔力放出(跳躍)で接近してきたランサーに反応が遅れた。

 

「生死を分かつ境界線・・・・・・見定める! 」

 

花びらが散る。

目が覚めるほど赤い華の。はっとするほど鮮やかな黄の。

 

「はああああっ! ここだ!憤怒の波濤(モラ・ルタ)!!」

 

逃げられぬ。逃れられぬ。まさしく激情の細波。

触れれば絡みつく薔薇の棘のごとく。キャスターの霊核を貫き砕く。

 

「おお、おおお・・・!」

 

悪あがきの海魔はリンクに切り裂かれた。

地下空間に断末魔が響いて、消える。

 

「サーヴァント、キャスター消滅。我々の勝利です」

「・・・キャスターのマスターはいないの?」

「単独では脅威になるような魔術師ではないが・・・・・・放っておけばキャスター抜きでもこういう凶行を続ける殺人鬼だ。見逃すわけにはいかないな」

 

 

○Silver bow マスターからしてそういう感じか・・・

 

 

「しかし肝心のキャスターは倒したのだ。これで監視役に課された指令は果たしたことになろう?」

「確かに。ケイネス卿はさっそく冬木教会に赴き追加令呪の要求を。我々はこの場で事後処理に当たります」

「ふむ、そうだな。確かに諸君らを引き連れて監視役の前に出るわけにもいくまい。では、また後ほど」

「心強い助勢、感謝する。次もまた頼むぞ。未来の勇者たちよ」

 

ケイネスたちが去って行く。

立香たちは、子供の供養をしてからキャスターのマスターを追うことにした。

 

 

○災厄ハンター シャルルが「自国の冒涜者が申し訳ない」って言ってます

 

 

お前のせいではないのだから気にするな、と

 

 

○厄災ハンター 伝えておきますね

○Silver bow フランスが自国・・・。幻想寄りのシャルルマーニュってこと?

○厄災ハンター 幻想と史実で別れてるらしーですよ

○Silver bow ふうん。珍しいね

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