勇者リンクS’の人理修復配信RTA   作:はしばみ ざくろ

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感想読んでます。いつもありがとうございます!
返信はもう少しお待ち下さい。うっかりネタバレしそうなので…


第一特異点
稲妻のように


確かにちょっと舐めてたんですよ。

ソロモンいうてもあの魔王よりは下やろ~?たいしたことないわ~って皆思ってたんですよ。

だから他の勇者達もあんなゆるゆるしてたし、片手間にゲームしてたんですわ。

フラグ回収早すぎない?俺たちの安寧を返してほしい。

 

――――時の神殿在中 Lさん。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1431年 フランス・オルレアン

 

生者の居なくなった教会で少女は歌う。破滅の願いを、蹂躙の炎を。

狂戦士(バーサーク)としての特性を付与されたサーヴァント達は例外なく血を啜る。老若男女の区別なく。異教信徒の区別なく。あらゆる者を平等に殺すだろう。

祈りも救いも品切れだ。奇跡はもう食べ尽くされてしまった。

 

「アーチャーか」

「―――――――――ぇ」

 

得意の俊足で森を駆けていたアタランテは、自身が地に伏せていることを自覚するのにしばしの時間を要した。

ジャンヌ・ダルクを名乗る者に呼び出され、殺戮の命を受けた。遂行するために動いていたはずの体は、今は息が詰まるような重圧に押しつぶされている。

 

「・・・・・・・・・」

 

息、息・・・!息を・・・していいんだよな・・・!?

肺が押しつぶされてひゅうひゅうとなった。顔を動かして犯人を認識するべきなのに、視線が微塵も動かせない。うつぶせのまま何らかの魔術に縛られている。

これは何だ(・・・・・)。理解が出来ない。存在の格が違う。有している次元が違う。

 

「ふむ・・・。では貴様を触媒にするか」

「・・・・・・?」

「――――告げる」

 

アタランテの下に術式が展開する。それが英霊召喚の魔法陣であることに気づけても、身じろぎすら出来やしなかった。

 

「汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に。聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ」

 

男の言葉通り触媒となった霊基の格が、体が、エーテルに戻っていく。

膨大な魔力が空間に広がり、しかし防壁の結界が異常を外には知らせない。

 

「誓いを此処に。我は常世総ての善と成る者、我は常世総ての悪を敷く者。汝三大の言霊を纏う七天。抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ――――」

 

魔力の雷鳴が踊り狂った。光と共に英霊は現れる。

 

「ははははは! 私を召喚するとは、また奇特なマスターもいたものだネ・・・・・・」

 

青地のマントを翻して蜘蛛の男は笑い、目の前の存在を認識した瞬間思考を飛ばし、一秒もしない内に跪いた。

 

「お会いできて光栄です。砂漠の王よ」

「許す。名乗れ」

「アーチャー。ジェームズ・モリアーティと申します」

「犯罪世界のナポレオンか。喜べ、貴様に仕事をくれてやる。働き次第では褒美をくれてやることもやぶさかではない。今のオレは機嫌がいい」

「何なりとお申し付けくださいませ」

 

震える膝を地面に押さえつける。モリアーティは幸いにも賢かった。

必要以上に喋らず、許されるまで頭を下げ続ける。空間がねじ曲がるほどの濃い魔力に目が回りそうだ。

 

「カルデアに召喚され信頼されろ。あの所長の小娘にはよくよく懐かれておくように――――」

「ちょーーーっと待ったぁ!!!!」

 

声と共に力尽くで結界がぶち壊される。

闇の濃密な気配を吹き飛ばす聖なる魔力に、思わずモリアーティも顔を上げてそちらを見た。

長い金髪が風に揺れる。剣を構える美しい青年は――――。

 

「抑止が動かないギリギリを責めるんじゃねぇ!!!お前は本当に性格が悪いな!!!」

「なんだ来たのか。暇なのか?」

「はーーーー!?」

 

速攻で煽りにぶち切れていた。

えっあれ勇者リンク?やば・・・本物じゃん・・・。モリアーティは一周回って素直に感動していた。魔王と勇者がそろい踏みだ・・・。

 

「暇なのはお前の方では?百歩譲って英霊達はともかくカルデアには手を出すな!言質は取らせてもらうぞ!」

「何故?この程度の試練すらも越えられぬくせに世界を救うなど・・・片腹痛いわ。お守りしすぎて勘が鈍ったか?恥をさらす前に殺してやるべきだろう」

「お前が出てくるのは試練じゃなくて罰ゲームの扱いなんだよ。イベント挟まないとデバフすら掛からないクソボスが第1章から出てくるんじゃねぇ。まだOP流れたばっかだぞ!」

「もっとちゃんと勇者の猫被れ」

「虚数空間にあるご自宅に早急にご帰還くださいませ~!」

「こいつ本当に面白いな・・・」

 

リンクのことを叩けばよく鳴る玩具&おもしれー男と思っている盗賊王ガノンドロフはしみじみと呟いた。

これが処刑を経験した黄昏時代の魔王だったり、老いた海の魔王だったりしたらもう少し反応が違ったのだが、若くて愉悦を理解している時代のガノンドロフは軽口にも乗ってくれるのだった。

 

「モリアーティ」

「! はっ」

「貴様はカルデアに送ってやる。定期的に報告をするように」

「御意に」

 

指パッチンで悪のカリスマはカルデアに送られた。

後に残ったのはタルミナに至った世界の時の勇者である。マスターソードを担いでいるというおまけ付きで。

 

「聖剣まで持ってくるとは・・・。そんなにオレが怖いのか?」

「買うぞその喧嘩。お前相手に舐めプしないという健気な決意の表れだよ。・・・本気で世界を滅ぼす気はないんだよな?そうだったらとっくに首謀者を傀儡にしてるもんな?砂漠の守護神の側面でてるよな?」

「健気?・・・・・・健気?」

「健気で可愛いだろうが!!」

 

だからといって斬りかかることは出来ない。まだガノンドロフは何もしていないからだ。

たかがサーヴァント一騎を召喚しただけ、特異点に現れただけ。この程度で勇者リンクは動けない。

両者の均衡は紙一重で保たれている。勇者が勇者のままでいるためにも、過剰な攻撃は避けるべきだ。・・・今までの発言は暴言ではなくあっちのナチュラル上から目線に合わせているだけです。これだから王って奴はよ・・・!

 

「あまり出しゃばっても面白くはない。ほどほどに傍観するさ」

「・・・・・・まぁ、いいだろう。なんかやったらすぐ来るからな」

 

リンクとて忙しいのだ。

ガノンドロフはお守りと言ったが、あながち間違ってもいない。ぴよぴよなマスターとその一行の健やかな成長を見守っている。そして心にかかるストレスを考えて、なるべく早く戦いを終わらせようともしていた。

相手が魔王といえど常に見張っていられる訳ではない。というか普通に魔法で遮断されて無理だ。

かろうじて遠くの気配を感じられるだけで、こうして直接こないと会話も出来やしない。先ほどのように結界が張られていたら全力で壊さないといけないし・・・。(ちなみにガノンドロフの結界を壊せるのはリンクと一部のゼルダだけである)

 

「じゃあ俺帰るからな。大人しくしてろよ」

「ああ」

「返事はいいんだよな・・・」

 

時空の狭間にリンクが消えた瞬間、空間を裂いて腹心が現れる。

剣の魔精霊は半殺しにされたセイバーを連れて頭を垂れた。態度は殊勝に、瞳は主人に褒めてもらいたい子犬のように。

 

「マスター、お役に立ちそうなサーヴァントを見つけました。どうぞなんなりとご下命ください」

「セイバーか」

 

バーサーク・セイバー、シュヴァリエ・デオンは血を咳き込みながら震えるしかなかった。

抵抗も疑問もなく、通りすがりの精霊に文字通り八つ裂きにされたのだ。相手が何者なのかを理解したときには既に四肢は絶たれ、純粋な恐怖が身を覆い尽くしていた。

な ぜ、魔王が こんなところに ?なぜ?ど うして・・・。

怖い。怖い・・・。怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けてどうして私がこんな目 に、――――――――。

 

「――――告げる。汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に。聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ」

 

魔法陣がデオンの下に展開される。

主の為に餌を狩ってきた精霊は、もう見向きもしない。

念のために言っておくが、リンクはギラヒムに気づかなかった訳ではない。気づいていた上でこの程度じゃ動けなかったのだ。サーヴァントなどどいう替えの効く存在は、どうしても生きている人間より優勢順位が低くなってしまう。

デオンの不幸はただ1つ、黒いジャンヌに呼ばれたことだ。

 

「セイバーのサーヴァント、両儀式。召喚に応じ参上いたしました。・・・・・・・・・まぁ」

 

深雪のように静かに名残の花が現れる。「 」から生じ、「 」を辿るもの。

 

「根源の末端か」

「ええ。初めまして、虚空の獣。魔を統べる王。砂漠の神。私になにをお望みかしら」

 

人類悪としての顔、この世全ての魔王という概念の始まり、砂漠の民に信仰される守護神。ガノンドロフは様々な属性をもっている。

リンクの指摘したとおり、砂漠の神王としての側面がでているなら縄張り(テリトリー)を今まさに荒らしている主犯の存在を許すわけがない。

・・・が、それは己しか動く人間が居ないときにかぎるのだ。ガノンドロフはどこまで行っても王であり、上に立つ者である。

現代の人間達がちまちまと働きながらも何とかしようとしている上に勇者まで動いているのだ。自分が何かしてやる必要もないだろう。

しかし見ているだけなのも退屈なので――――ちょっかいはかける。

 

「全てだ。貴様を先ほどのセイバーと誤認する魔術をかけてやる。死なない程度に遊んでやれ」

「楽しそうなことをさせてくれるのね。仰せのままに、マスター」

 

涼やかに笑みを零し、両儀式は姿を消した。ガノンドロフとギラヒムも狭間に消える。

後に残ったのは、暗い森だけだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おはようございます、先輩。今日はブリーフィングの日―――きゃっ!?」

「キュウゥゥゥ・・・・・・」

「ふぁぁ・・・おはようマシュ・・・」

 

フォウくんもおはよう、とまだ眠気に負けている声のまま藤丸立香は起き上がる。

寝癖のついた彼女の髪を見て、マシュは櫛を手に取った。

 

「先輩、昨夜はよく眠れましたか?」

「ギルさまの勇者談義を遅くまで聞いていたので眠い・・・」

「昨日は所長がお忙しかったので、代わりに先輩が聞いていたのでしたね。私はクーフーリンさんと訓練をしていたので、参加できなくて残念でした」

「お腹空いた・・・。エミヤの朝ご飯食べに行こっか」

「はいっ」

 

マシュによってさらさらの櫛通りになった髪を、お気に入りのシュシュで結ぶ。

カルデアに召喚されたサーヴァント達と交流を図りながら、立香達は次のレイシフトの準備を続けていた。

蔵の財宝を惜しげもなく使用するギルガメッシュと、召還後数時間で食堂の守護神と化したエミヤのおかげで生活もおおむね満たされている。職員達の顔色も日に日によくなり、カルデアには活気が戻りつつある。

 

「おはよう立香ちゃん。よく眠れたかな?」

「おはよう二人とも。早速ブリーフィングを開始するわよ」

 

特異点は七つ観測されたが、今回はその中でもっとも揺らぎの小さな時代に行くらしい。

いよいよコフィンに入るときが来た。立香はゆっくり深呼吸をする。

 

「むこうについたらこちらからは連絡しか出来ない。いいかい?繰り返すけど、まずはベースキャンプになる霊脈を探すんだ」

「ちゃんとその都度指示をだすから、しっかり聞いているのよ。間違っても無視して突っ走らないこと」

「ぜんしょします」

「先輩・・・!」

 

やる気はあるよ!という顔でサムズアップした立香をクーフーリンが小突く。

緊張がわずかに弛緩して、笑みがこぼれた。さぁ、世界を救いにいこうか。

 

 

『アンサモンプログラム スタート。霊視変換を開始 します

 レイシフト開始まで あと3、2、1・・・・・・

 全行程 完了(クリア)

 グランドオーダー 実証を 開始 します』

 

 

 

 

第一特異点 邪竜百年戦争 オルレアン

 

 

 

 

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