勇者リンクS’の人理修復配信RTA   作:はしばみ ざくろ

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第五特異点
水曜日のエジソン


軍勢ゆきゆきて喇叭を吹く。

耳鳴り止まず星屑のごとく。

 

「怯むな、栄光ある機械化兵団の精鋭たちよ!この陣地を何としてでも死守するのだ!」

「オオオオオオオオオオーーーーーーーーー!!」

 

軍靴の轟き雷鳴のごとく。

こびり付いている血の臭い。

 

「イエス、ドミネーション・オーダー!弾倉が空になるまで撃ち続ける覚悟であります!」

「殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!敵は殺せ!女王のために!」

 

文明の発展は、必ずしも幸福ばかりをもたらすものではない。

それは当たり前のことだ。

開拓の為に森が消え、産業排水は海を汚す。労働力は奴隷が補う。

だがそれでも人々は自然を保護しようと活動し、浄化槽をつくって排水を処理する。人権宣言がされ、権利と主張が守られる。

 

遠回りしながらも未来に進んでいくことができるのが、人類という生き物ならば。

これ(・・)は随分と、回り道をしている。

 

「大統王に会いに行きます。彼は西――アメリカ側のようですし」

 

時は1783年、独立戦争末期のアメリカ。

当時イギリスの植民地だったアメリカは、この戦争の勝利を以て独立。

以後、比肩するもののない超大国として発展していく。

 

「ああ、やだなぁ・・・。戦いは嫌いです。ですがわたしが適任なのも事実。・・・はぁ、さっさと終わらせて帰りましょう」

 

現在アメリカは東西に別れて戦争をしている。

西は近代武器を装備したアメリカ軍。東は槍を携えた、サーヴァントとは異なる戦士たち。

大陸のあちこちで悲鳴が上がり、戦火が止むことは無い。戦乱の時代。

 

 

災厄ハンター テンション低いね

海の男 まぁこの子は騎士でも旅人でもないしな

バードマスター 機関士の服、似合ってるよ

 

 

「ありがとうございます。さて、この距離なら鳥で充分でしょう」

 

特異点に降り立った猫目の少年は、ため息をつきながら立ち上がった。

懐から取り出したのは、大地の笛と呼ばれるパンフルート。

奏でられるは鳥使いの唄。響く、響く、笛の音。伸びやかに空に広がって、風に紛れて流れていく。

まるで大地を慰めるかのように聞こえる唄が、届いた人間はまだいない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第五特異点 北米神話大戦 イ・プルーリバス・ウナム

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「立派なお城ですね。ハイラル城とどちらが大きいでしょう」

 

白壁の門前に降り立てば、即座に数多の視線に射貫かれる。

それは監視カメラだったり、魔術的な索敵だったり、守衛についていた機械化歩兵だったり。

そしてそれら全てが、客人を認識して固まっていた。

 

「お邪魔します。大統王はいらっしゃいますか?アポはとっていませんが、ぜひお目通りを」

 

ふんわりと微笑む顔は、懐いた猫のようにかわいらしくて。

つやりと毛並みのよい少年は、礼儀正しく歩兵に問いかけた。

白い鳩がかかれた赤い帽子が、ゆれる金髪を柔らかく抑えている。

紺色の制服は、ブラウンのベルトがワンポイント。両手をきっちり手袋で保護した、麗しい少年。

ざあ、と空気が吹き荒れて木々を揺らした。

 

それは出迎えに現れたサーヴァントの動揺を表しているようでもあり、宮殿の城主の歓喜があふれ出たかのようだった。

 

「客人。名を聞こう」

「機関士のリンクと申します。世間では大地の勇者とも。こちらは名刺です。あなたは?」

「・・・ランサー・カルナだ」

 

マハーバーラタの英雄は名刺を受け取り、ほんの少しだけ息を飲んでから、先導して歩き出した。

見た目にそぐわず絢爛な宮殿は、方々から機械音が響いている。それに興味深そうに視線を向ける少年は、あまりにもうまくステータスを隠していた。

いや、本人には隠しているつもりはないのだろう。ただ見せていないだけだ。世界を救った英雄としての顔を、魔王を打ち倒した勇者としての振る舞いを。

だがカルナには分かる。貧者の見識によって、その少年の本質が見えている。

あまりにも高潔で、堅強な精神が。施しの英雄ですら畏敬するほどの、勇ある魂が。

 

「(彼の言葉ならば・・・・・・大統王にも届くだろう)」

 

古代インドの戦士で、彼等のことを知らぬ者はいない。

固い身分制度が存在していたあの時代で、まともな身分の生まれであったことの方が少ないリンク達の存在は、大変に偉大なものだったのだ。

人は誇り。魂。出身も血縁も、ただの情報にすぎぬ。剣を握る理由など、ありふれていていいのだと。彼は生き様で示した。

・・・なんて眩しい人だ。

ただの人間なのに、黄金の英雄たるカルナのように、彼は世界の光だった。

 

「大統王、連れてきたぞ」

「こんにちは、大統王閣下。・・・おや」

 

 

ウルフ ねこ!

バードマスター ライオン?

 

 

待ち構えていたのはホワイトライオン。

しかも、筋骨隆々である。

 

 

うさぎちゃん(光) カワイイ~!

いーくん カワイイ・・・?

 

 

「・・・・・・・・・・・・」

「・・・?」

「・・・・・・・・・・・・ッ、ハー・・・ハー・・・」

「エジソン!しっかりしなさい!ほら自己紹介!」

「あ、ああ。もちろんだエレナ君。大丈夫だ。私は偉大なる大統王。たとえ眼前に立つのが勇者リンクであったとしても、臆したりなどしないさ」

「胸を押さえながら言われても説得力がないのよ!」

「不整脈が・・・」

 

そして過呼吸気味のライオンである。

 

「初めまして、ミスタ・エジソン。わたし、こういう者です」

 

一社会人としての動きが染みついているリンクは、取りあえず生前と同じように話の口を切った。

差し出された名刺を受け取ったのは、隣にいたバブルピンクの少女。エレナと呼ばれていたか。

 

〈新生ハイラル王国鉄道 機関士 リンク〉

 

「・・・本物、なのね?」

「そのつもりです。あなたもサーヴァントですね」

「ええ。私はキャスター、エレナ・ブラヴァツキーよ」

 

冷や汗をかく。

可能性は、ゼロではないと思っていたけれど。

いざ、眼前に現れると、とても、すごく、こんなにも―――――。

 

「マハトマだわ・・・」

「ん?」

「なんて強い神秘・・・!あなたはこの世の真理に触れ、されど地に足をつけて人のままに生きたのね。ねえ、あなたもマハトマを感じてる?彼らからのメッセージが聞こえる?私、あなたたちこそが神智学の祖だと思うの。だってあなたたちの時代は神がとても近くて、でも常に感じ取れていたのはごく少数。でもあなたは大地の笛やフォースを通じて、高次の感覚を掴んだんじゃない?そして何より、あなたたちは忘れられた叡智を数多く知っている。世界の仕組みを探ろうとしていた。ゼルダの伝説(小説)に書いていないこと、たくさんあるでしょう?ああ・・・本当に、尊敬に値するわ!」

「ありがとうございます?」

 

 

小さきもの 何何何

奏者のお兄さん 急に早口になるよ

災厄ハンター 書いていないこと、あるけどぉ・・・・

 

 

「まて、ズルイぞエレナくん!私もリンクくんと話したい!」

 

がおーと復活したライオンが、ずんずん近づいてきて手を差し出した。

 

「キャスター、トーマス・アルバ・エジソン!産業革命の象徴たる鉄道の歴史、その始まりに立つ偉大なる駅長よ。歓迎する!会えて嬉しいとも!」

「こちらこそ。わたしはこの時代にきたばかりで。よければ情報提供を願いたい。聖杯はどちらに?」

「自明だよ。我々は持っていない。東部の女王が所持している」

 

大きさの違う手が重なり、固く握手が交わされる。

固く、固く・・・・・・・・・・・。固すぎない?

 

「あの」

「彼らはケルトだ。この時代に突如現れ、侵攻を開始した。英霊に至るまでではないが、それでも神話の戦士。アメリカ軍はなす術もなく敗れ去った」

「そして貴方が呼ばれたのですね。・・・貴方から複数の気配を感じるのは気のせいでしょうか。あと手を」

「! やはり分かるか。では説明しよう」

 

彼らはこの国の力ある存在だった。

しかし彼らがサーヴァントになったとてケルトには負ける。故に彼らは私に力を託した。

私一人に力を集積することでアメリカを守らんとしたのだ!

 

「彼らの名は「合衆国大統領」!私には過去、現在、未来、全ての大統領の想いが宿っているのだ!」

「なるほど、それで・・・。順番に握手しに来ていると」

「サインも良いかね?」

「いいですよ」

 

どっさり積まれた色紙が出てきた。

え?これ全部?あ、大統領たちの分か。うん。

 

「・・・後で書かせていただきます。東部の女王とは誰のことでしょう」

「女王メイヴ。傍らには狂王クー・フーリン。そして――――ケルトの名高き蛮人たちだ。一方我が軍は私を含めて三騎。他に召喚されたサーヴァントたちは散り散りで、こちらにつく素振りも見せぬ」

 

 

Silver bow クー・フーリン!?

 

 

狂・・・王・・・?わたしたちのクー・フーリンが・・・?

 

 

奏者のお兄さん あれ知り合いだっけ

 

 

アイルランド国鉄に行ったときに会いました。電車も景色もいいですよ

 

 

「なんと怠慢なことだ!アメリカを救うべき英霊たちが、敵を恐れて戦いを拒否するなど!」

 

UOOOOOOOOO!!とエジソンが吠える。

よっぽど非戦闘向きなサーヴァントでない限り、拒否なんてしないと思うのだが・・・。

 

「あのパワードスーツは貴方の発案ですか?ケルトに対抗するために、兵士を機械化したと」

「いかにも!国家団結、市民一軍、老若男女、分け隔てのない国家への奉仕!いずれ、全ての国民が機械化兵団となって侵略者を討つだろう」

「勝算はあるのですか?」

「もちろん!」

「わたしはそう思いません」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・何だって?」

 

がたりと声のトーンが落ちて、ぶわりとたてがみが逆立った。

 

「わたしは戦士ではなく、ただの運転士ですので、あまり偉そうなことは言えませんが」

 

つぶらな瞳の獣が、こちらを精一杯睨み付けている。

 

「生きて死ぬまで戦いに明け暮れた戦士たちに、パワードスーツを着た市民で勝てるわけがない」

「―――――それは」

「ケルトの女王は聖杯以外の資源を必要としない。しかしこちらは、人間という資源まで導入している。勝敗がつく前に国民が死に絶えますよ。王として(・・・・)、それでよいのですか?」

「・・・・・・ぐ・・・・・・う・・・」

 

苦虫を噛み潰したような顔でプレジデントが唸った。

カルナは無表情で成り行きを見守り、エレナは心配そうにエジソンを見ている。

 

「もう一つ。他のサーヴァントが戦いを拒否したと言いましたが、貴方の思想に反して離脱した、の間違いでは?・・・まだ何か隠していますね。正直に仰ってください」

「・・・・・・・・・・・・」

「エジソン、彼に隠し事は不能だ。お前の野望を話してみるがいい」

 

カルナに促されて、エジソンはゆっくりと胸を張った。

猛獣の威嚇というよりは、子猫の虚勢のようで。

彼の葛藤と、混在する思想が、乱れたままにこぼれ落ちた。

 

「時代は修正しない」

「なぜ?」

「必要がないからだ。聖杯を使えば、この国だけを焼却から守れることがわかった。このアメリカを永遠に残すのだ。私の発明が、アメリカを作り直すのだ。これほど素晴らしいことはない!」

「他の時代は滅びますよ」

「私の発明こそが人類の光、文明の力!何の問題もあるまい!」

 

咄嗟にカルナとエレナを見る。

カルナは静かに首を横に振り、エレナは悲痛な顔を浮かべた。

一見するとただの独断的なリーダーだが、リンクには分かる。見失い、絡まった、使命(オーダー)をほどこう。

 

「貴方の発明は確かに、あらゆる人々を救ったでしょう。闇を照らし、電車を走らせ、大地を広く拓いたでしょう。なればこそ、大人しくなさい。歴代の大統領たちよ」

 

エジソンに憑依する大統領たちが、リンクの二の句を待っている。

 

「多数の民族から成立した国家である貴方がたは、あらゆる国家の子供に等しい。我が故郷、新生ハイラル王国が、かつての大国の子であるように」

 

自分のリンク、という名が好きだ。初代国王と同じだから。

彼のように聡明で、懐の大きい男になれと、シロクニによく言われたっけ。

 

「ならば、貴方がたには世界を救う義務がある。そこから目を逸らして自分の国だけを救おうなどと、不義理にも程がありますよ」

「ぬ・・・・・・ぐ・・・・・・」

「貴方たちは、英雄(ヒーロー)になりたかった。国も世界も救う、輝かしいヒトに。でも、無理だと悟って諦めてしまったんですね。だからできそうなことを(・・・・・・・・)しようとしている」

 

しょぼくれたライオンと大統領たちは、肩を落として俯いた。

図星も図星。

よりにもよって、勇者リンクに指摘されるなんて――――。

 

「あなたたちが目指した道は間違いですが、愛する国を守らんとしたその意志は、否定されるものではありません。――顔を上げなさい」

 

エジソンは顔を上げた。

曇っていた視界が晴れる。暗澹としていた心が晴れる。朝焼けを迎えた大陸のように。

初めて小説を読んだ時と同じ希望が、こんこんと心から湧き出ている。

憧れのヒーロー!人生の指針!「努力の人」と呼ばれたエジソンが、不屈で在り続けられた理由にして光!

 

「一緒に、世界を救う方法を考えましょう。貴方たちがもう一度、この国を導けるように、わたしの知恵と力をお貸しします」

「おお・・・!おお・・・!UOOOOOOOOOOOーーーーー!!」

「歓喜のあまり野生に帰ったか」

「ふふっ!よかった・・・。本当に・・・。あなたのお陰だわ、大地の勇者」

 

かすかにカルナが微笑んで。

涙の滲んだ目元を拭いながらエレナが笑った。

 

「では早速東部プロパガンダのためのCM撮影に移ろうか!もちろん主役はリンクくん!君だ!」

「汽車が走っているところを映しましょう!編集は任せて!」

「私は大地の汽笛を読んで電気鉄道を作ったのだ。あなたの口から感想が聞きたい。是非乗ってほしい。運転してほしい!」

「いいでしょうわたしのギア捌きを見せてあげます!!」

 

 

災厄ハンター 鉄道って聞いたとたん全てのツッコミを放棄したな

ウルフ 乗り物オタクがよ




BLEACH-56 より
特異点の勇者達を更新しています。
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