時は少し遡り。
こちらは絶賛撮影中の勇者である。
「いいよー!キマってるよー!こっち向いて!ナイスアングル!サイコーだよ!」
「照明動かすわよ!・・・・・・うん、ベストマッチ!横顔が素敵だわ!」
○ウルフ ベテランカメラマンとスタッフ?
パシャパシャと軽快なシャッター音が晴天に響く。
突っ立っているだけでも絵になる己の容姿に感謝しつつ、リンクは乗せられるがままにポーズを決めていた。
この写真はアメリカ全土にばらまくチラシに使われるらしい。豪勢だ。なんか触媒とかになりそうだな。記念に何枚か貰って帰りましょう。
「エジソン、CM撮影の準備が出来たぞ」
「ありがとうカルナくん。ではリンクくん、次はこちらの録画器機の前に来てくれ。あと・・・あの・・・・・・神の機関車は出せるだろうか・・・・・・?」
「出せますよ。いらっしゃい、
「UWOOOOOOOOOOO!!!!!!!」
どどんと大地に登場したのは、古の時代に神が用いていたという神の汽車。
天高くそびえる緑の煙突が光を反射してきらりと輝いた。後年のあらゆる科学者、発明家、魔術師たちがこぞって己の時代に作り上げようと苦心した、伝説の乗り物。
メンロパークの魔術師と呼ばれたエジソンは科学を用いて電気鉄道を作り上げたが、これは基礎から全く違う。魔法と科学が融合した、あり得ざる神の叡智。
希望と勇者を乗せた、夢の機関車なのだ。
「なんと・・・・・・なんという・・・・・・・・・。こんな・・・・・・こんなものが・・・・・本当に、実在して・・・・・・」
白銀のたてがみをぶわりと揺らして、ライオンはふらふらと地に膝をついた。
頬がカッと熱くなって、暴れる心臓が胸骨に罅を入れてしまいそう。口からは涙に濡れたうわごとしか出てこなかった。
ぼやける視界をゆっくり拭って、伝説を目に焼き付けて、もはや後光が差しているようにすら見える。
本当に、本物なのか・・・・・・。
「これが・・・ハイラルの神秘。神の伝承を裏付けた、伝説の機関車なのね・・・」
興奮に擦れる声のまま、エレナは鳥肌の立った腕をしきりにさすった。
行く先を示す線路さえあれば、どんな異空間だろうと走り抜けるだろう。あまりに偉大な神の遺産の一つ。
「(やっぱり、凄いわ・・・)」
傷一つない客車をそっと撫でれば、強い魔力と神の存在を感じる。本来ならば個人が所有出来る物ではないはずだ。それなのに大地の勇者の宝具として呼び出せるということは、彼は神にも認められたということ。
「・・・・・・これが、神の機関車か」
うっすらと桜色に染まった頬は、白磁の髪に紛れて見えないだろう。
表面上は平静を保っているように見えるカルナがぽつりと呟いて、カバンを漁りだしたリンクの手元を興味深そうに覗き込んだ。
なにやら聖なる力を感じる。次は何が出てくるのだろうか。
「リンクよ、それは?」
「森の大地の石版です。宮殿に設置して、線路の起点にしたいと思います」
「線路・・・。そうだな。汽車は線路がなければ走れない」
「ええ。ですがこの石版にはフォースの力が多く宿っています。特異点という不安定な場所で解放しても大丈夫なのか、少し確認しますね」
「ふむ」
こくりと頷いたカルナは、膝をついたまま動けなくなっているエジソンを救出しに行った。
○ファイ 4つの石版全てを設置した時のフォースの量は、聖杯一個分に匹敵すると推測します。つまり、この特異点には聖杯が2つ存在するということになる可能性、80%
○奏者のお兄さん 神の汽車+線路があるところ=新生ハイラル王国の概念が付いちゃわないか?
○バードマスター 線路から塔に魔力が集まる仕組みだよね?なんかすごいことになっちゃわない?
○いーくん これワンチャン宮殿からビーム出るぞ
○騎士 特異点が消えない
○災厄ハンター 大問題じゃん
○小さき爺 本来の聖杯を手に入れたときに解除すれば大丈夫だと思うぞ
○Silver bow そしてずっと俺のターン!になる
大丈夫そうなので石版を設置した。
エレナに地図を貰っておおよその行き先を確定する。三騎のサーヴァントにも見えるように広げると、リンクはポケットから取り出したペンで線を引いていく。
「石版はあと3つ。1つは海を挟んだアルカトラズに、残りの2つは南北に設置します。するとこの大地には“新生ハイラル王国”というテクスチャが張られることになる。そうなれば侵略してきたケルト軍は大幅に弱体化します。そこを狙いましょう」
「神の汽車が走っている場所が、新生ハイラル王国という概念を獲得するということかしら」
「その通りです。推測するかぎり、ケルトの戦士は極めて好戦的。こちらが攻めたとて、守りに入る可能性は低いでしょう」
ならば攻めてこさせればいい。幸いこの地にはレジスタンス達も居るようだし、ありったけの罠を仕掛けてお出迎えしましょう。
「西部のサーヴァントや兵士達には、全面戦争をするとお伝え下さい。そのためにできうる限りの準備を」
「うむ!レジスタンス達もこの広告を見れば飛び上がって歓喜するに違いない!撮影が終わればすぐさま放映しよう!」
「まかせて!とびっきりのものを作るわよ!」
「オレに手伝えることがあれば言ってくれ。勝利のために尽力しよう」
やる気満々で頼もしいばかりだ。リンクも笑みを溢して頷く。
そして、こちらが東部に警戒するものは3つ。
魔槍ゲイ・ボルク。聖杯。確実に現れるだろう、七十二柱の魔神。
「狂王は星見の子供達に任せましょう。魔神はどうにでもなります。問題は女王と聖杯ですね」
「星見の子供達、とは?」
「カルデアのマスター達です。・・・ああ、それも説明します」
○災厄ハンター 話がどんどん決まっていく
○海の男 サックサクでイイゾ~
「わたしが出るのは最終手段。なので肝心なのはそれ以外のこちらの戦力です。もう少し人材が揃ってから作戦を詰めることにしましょう」
「うむ。ではさっそく撮ろうか!」
「ええ。目線はこっちにお願い!」
「ああ。BGMを流そう。合図を出してくれ」
ポップでクールで最新のCM撮影が、始まる―――――――!
誇りを一つ捨てるたび、戦士は獣に堕ちていく。
誇りを一つ謳うたび、勇士はヴァルハラに昇っていく。
ならばあの男は?
変わり果てた阿呆。
聖杯に憑かれた戦士。
王妃を得た王。
あるいは―――――獣。
では、あの少年は?
王族付きの機関士。
聖剣の勇者。
大地を守護する者。
あるいは―――――星。
ならば、奇跡を見せてみよ。
風切り音は唐突に。魔女を伴ってやって来る。
神槍は正確無比にリンクの心臓を狙い、しなるムチに絡め取られて軌道が逸れた。
剣で弾かなかったのは、速度と腕力の合わさった勢いに負けると判断したからだ。ヘビのような外見をしたムチは伸縮する己の身で絶技を殺し、そのまま投げ飛ばす。
死角から赤い色が飛び出てきた。今度こそ左手の剣で受け流し、ぐるりと回る勢いのまま右手のムチを振り回す。
赤色はひらりとそれを躱し、膝を曲げて構えを作った。口元に浮かび上がる笑みが喜色を隠せない。
「ふむ、今のを捌くか」
「―――――よもや、勇者リンクに出会えるとはな」
「どちら様でしょう。不意打ちはよくないですよ」
方や、体の曲線がくっきりと見える黒い戦装束を着た美女。
方や、ゆったりとした中華服の武術家然とした男。
どちらも油断なく槍を構えては、リンクに戦意と闘志を伝えてくる。これぞまさしく前門の虎、後門の狼。
しかし女の赤目からは光を感じず、男の両目は輝きを失っていない。この違いは何だろうか。
リンクはため息一つで緑衣に着替えると、ムチを仕舞って名乗りを促した。
仕事は一時中断だ。雪の大地の石板を設置するために北に来ていたのだが、こんなエンカウントがあるとは予想していなかった。
「ランサー、李書文!貴様を見つけた時から我が心中は嵐の如し。もはや倒さねば収まらん。いざ、立ち会いを所望する!」
「ランサー、我が名はスカサハ。聖剣の勇者よ。境界を越えし者よ。お前は―――――――私を殺せるか?」
○災厄ハンター やべえよ・・・
○ウルフ あのお姉さんは何?病んでるの?
○海の男 会話で時間を稼ぐんだーーーっ
「・・・順番にいきましょう。まず、李書文と名乗った貴方。ここに召喚された理由は分かっていますか?」
「無論。しかし、自分はやはり――どうしようもなく、我欲に満ちた存在でな。己の槍がハイラルの勇者に通じるかどうか、試したくてたまらんのだ」
「飢えてますね~・・・」
なるほど、目がギラつくわけだ。
李書文、それは近代の生まれでありながら、数々の伝説を刻んだ中国の伝説的武術家の名。
八極拳の使い手であり、「神槍」として讃えられるほどの槍技の持ち主。
強いサーヴァントとなら誰とでも戦いたがり、老いた己とすら死合を望む男は、召喚された地で魔王を倒して世界を救ったとかいうレア経歴を持つ大地の勇者を見つけてしまった。
当然の如く沸き上がる闘争心が抑えきれない。槍は今か今かと振るわれるのを待っている。
すぐさま飛びかかってきそうな武術家を両手で制して、リンクは真紅の魔槍を携える女に向き直った。
「スカサハ。「影の国」の女王の名ですね。貴女の質問に答える前に、なぜその質問をしたのか尋ねなければなりません」
「なに、簡単な話さ。正真正銘の死を得て、ただの一騎のサーヴァントとなるために。人のように死のうとしているだけだ」
赤目と青目が交錯した。
弟子の不始末は師の責任。そう思って人理焼却と共に消滅した影の国から出てきたものの、相対したのは呪いの戦士。もはや己すら勝てぬ死棘の牙神。
胸中を埋め尽くしたのは哀れみと嘆き。もしくは――――失望だったのかもしれない。無意識に心の拠り所にしていた美しい弟子が、醜い王になってしまったことに。
「私はもう既に魂が衰えている。冥府の魔物と大差がないほどに。そして私を殺せる者が居るとしたら、それは愛弟子たるクー・フーリンだと思っていたが・・・・・・」
「ここにいる彼は狂王でしかないですよ」
「嗚呼。そうだ・・・。この目で見た。・・・・・・だがあんな男に殺されるなど願い下げだ。しかし他に私を殺せる者などいるはずがない。そう、思っていたのだがな・・・・・・」
いざ、目の前に来ると。
いざ、それを認識すると。
眠っていた戦の虫が騒ぎ出す。
凍りついていた戦士の心が震え出す。
燃え上がるような渇望が喉を渇かせる。
魔王を倒し、魔神を屠り、人理を脅かす獣すら殺して見せた勇者よ!!
「有り体にいえばーーーーそう。お前を気に入った!!!!!!勇気ある者よ、私と
「お帰り下さい」
「遠慮するな、私は強いぞ」
「本心です」
「待て、儂が先だぞ!!!抜け駆けはよくないとも!!!!」
「こんなに嬉しくないモテ方あるんだ」
やっぱりシリアスにはなれなかったよ。
ぎゃいぎゃいと騒ぎ出したランサー共を前に、リンクはがっくりと立ち尽くした。
○騎士 でもスカサハはわりと切実そうだったな
○騎士 諦めんなよリンクともあろうものが
○守銭奴 ワンチャンあるよ
○影姫 殺してやったらどうだ
○ウルフ #がんばれ大地
他人事だと思って・・・!
とうとうパソコンが寿命を迎えました。悲しい・・・。
新しいパソコンはゲーミングPCにしようと思います。