勇者リンクS’の人理修復配信RTA   作:はしばみ ざくろ

93 / 117
ほらほらお口あけて 直接注いであげる

ここは世界の狭間、時の神殿。トライフォースが眠る神秘の場所。

またの名を時の勇者の別荘。本宅は妖精郷にあるコキリの森である。

 

「では、ミーティングを始めます」

 

ホワイトボードを指示棒でぺしんと叩いて、次元の勇者は宣言した。

 

「はーい」

 

お利口に体育座りをして、ラヴィオは返事を返し。

 

「おー」

 

アウトドアチェアに腰かけた時の勇者は、気だるそうな声をだした。どちらも通常運転である。

 

「これまでのあらすじ。第六特異点に参戦したユガ&ザントは、獅子王に聖罰されそうになった現地人を助け、山の民の所まで連れて行ってくれたのでした」

「善行」

「しかも結界張って食料も恵んでくれてる」

 

次元の勇者、リンク。

神トラ2ではユガを倒しハイラルとロウラルを救い、トライフォース3銃士ではシスターレディを下した少年――だが。今はオシャレに目覚めカワイイを追求する、流行りに敏感な鍛冶屋である。

 

「その後二人は山の民の代表として、ファラオ・オジマンディアスの元に赴き、不可侵条約を結びました」

「仕事が早い」

「オジマンもびっくりしただろうな…」

 

ロウラルの少年、ラヴィオ。

ウサギのフードをかぶれば、人ん家を勝手に店に改造する図々しさをもつ商人で。

素顔を見せれば、後世でロウラルの勇者と呼ばれる存在である。本人はヒルダに仕えるしがない使用人、そんな評価は身に余ると謙遜しているが。

 

「事態を重く見た獅子王は、2人を倒せる“勇者”を召喚しようとしましたが、失敗」

「それはどうして?」

「勇者リンクではなく、“ただの勇者”だったから。問い合わせが大雑把すぎるうえに、強引に辿れる縁もなかったので」

 

次元の勇者がホワイトボードに、『獅子王→力をためている』『同盟→カルデアまち』と記入した。

 

「とは言っても、獅子王もカルデア待ちなんじゃない?あのバリアはマスターソード…退魔の剣があれば解けるんだし。なんなら人質にしたっていい」

「カルデアの人を?人質にして?結界を解かせるってこと?そんな手段を選ばないことある???」

「重要なのは“聖剣”の部分じゃなくて“退魔”の部分なんだけど、獅子王サイドには無いからな。だから半年も膠着状態なんだろうし」

 

ため息交じりに頬杖をついた時の勇者は、記憶の中の第六特異点とまったく違うルートを辿っていることに、内心で白目を向いていた。

 

「で、問題はもう1つ。ガウェインの剣がユガに取られちゃったよ。兵士長とどっちがマシかな」

「兵士長、逆に剣を忘れて助かったのかもしれないね……。ある意味面目は保たれてるし……」

「ガウェイン、ほんとにほんとに落ち込んでてかわいそう。相手が相手なのでアグラヴェインも強く言えない時の顔してる」

 

キュッキュッと水性ペンがステップ、白いステージに足跡を残す。

『てかこれ宗教戦争じゃね?』

 

「そうだよ。だから俺は妖精郷に逃げる。風の時みたいに手伝えないからな」

「まあ時はね~。生前えらい目にあってるからいいよ。だからって他のリンクが口を出せるのかと言ったらうーん」

「もともとが聖戦と呼ばれてるからねぇ……。でも、行かないって選択肢はないんでしょう?勇者くん」

「まぁね。今回は見届け人として行くよ。どっちにも肩入れはしないけど」

 

くるんと赤いペンが登場。ついでにボードも一回転!『ユガがえらそうにしてるのはムカつく』

 

「なにいい空気吸ってんだってなる」

「わかる」

「ボコるにしてもほどほどにな。あの特異点、ジェンガより崩れやすいから」

「あとガウェイン曇らせは需要ないので」

「それは人によるだろ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第六特異点 神聖円卓領域 キャメロット

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

聖都、見てみたいぜ。

そんな素朴な気持ちで正門の前にたどり着いた次元の勇者は、城壁を感心した顔で見上げていた。

白がいいよね。白が。絢爛さでいうのならば、ハイラルもドレース王国にも負けていないのに。こんな立派な都市に住むのが神と英霊だけだなんて、もったいないにもほどがある。

街は人が住んでこそ機能するのになぁ。賑やかな営みの中で暮らしていた鍛冶職人には耐えられないよ。

やれやれ。大げさに肩をすくめて、一歩を踏み出した。

 

「こんにちはー」

 

固い石壁をノック…するのは痛そうなので、エアーで。

 

「旅のものでーす。道を聞きたいんですけどー。誰かいませんかー」

 

もちろんこれは方便だ。門が開いて、誰かしら出てきてくれればいい。あとは口八丁でなんとかなるでしょ。

今日リンクがここに来たのは、ガウェインの様子を見て、自力で剣を取りに行けそうなメンタルが残っているか。そうじゃなかったら代わりに行ってやるか……の確認に来たのだ。

別にリンクは、聖剣を奪われたことを情けないとは思わない。ユガの壁画化魔法はリンクでも腕輪がないと対処できないからだ。

あとあいつらはとにかく精魂がねじ曲がっているからね。他人の絶望顔でご飯食べる奴らだから。あまり落ち込ませていたくない。どうせ虚数空間で留守番してるやつらは覗き見てるだろうし――――。

城門が重々しい音を立てながら隙間を大きくしていく。リンクにとっては耳なじみのある金属音を立てながら、騎士たちが周りを囲むのをぼんやりと見持った。背が高いなぁ。

 

「客人、名を伺いたく」

「リンクだよ。初めまして、ガウェイン」

「…………。初めまして」

 

リンクの服よりも深い、深い緑が相対する。

疑いと戸惑いを隠せていない瞳が、さらに困惑を強くした。本物…なのだろうか。

でも、あの背負っている剣はマスターソードだ。見た目をどれだけ偽れても、聖剣の輝きまでは誤魔化せない。…………本物?本当に?

 

「ガウェイン。ボクは君に用があってきたんだけど、君の王さまはそうじゃないみたいだね」

「え、――――我が王」

「英霊ですら、敵か味方でしか判断できないんだね。女神さま」

 

正門の上に立つ、威光。変わらず顔は見えず。

けれど、主は槍を構えた。まるで禊を求めるかのように。

 

 

バードマスター あれが聖槍?すごいな…

騎士 ハァッハアッ 身勝手な女神 滅亡の世界 ハァッハアッ

ウルフ トラウマ開いてる人いるんだけど

 

 

「――――この門をくぐる者は限られている」

 

鎧が反射して余計に眩しいなぁ。

見上げる顔に危機感はない。動揺しているのはガウェインだけだ。

 

「旅人よ。おまえは何の為に、この果てに訪れた?」

「この時代の行く末を見届けるため」

「旅人よ。おまえは我が理想を否定するか?」

「いいえ。けれど、肯定もしない。ボクは君を救わないが、君を殺しにいくこともない」

「……………………………」

 

獅子王。自ら死を選ぶこともできなかった、哀れなヒトよ。

君はボクを引きこむのかな?どちらでも構わないよ。どうせ断るし。

 

「旅人よ。おまえは異邦より来る"星"であるか?」

「いいえ、女神さま。さっきから質問ばかりだけど、そんなにボクが気になるの?」

 

こてりと、首を傾げた。

務めて穏やかに、歌うように伸びやかに。

 

「勇者としての責務は果たすよ。ユガとザントは適当なところで帰らせる。それでは不満?――不満なんでしょう。貴方の計画は、もう半年も停滞しているからね。正直にお願いすれば?あの結界を壊してくださいって」

 

 

小さきもの 煽りよる

うさぎちゃん(闇) 別に勇者くんも聖罰を許してるわけじゃないので……

 

 

「不要だ。いかな守りであろうとも、大地を飲む荒波に耐えられるものはいない。旅人よ、おまえはなぜ善を知りながら悪を正さない?善にありながら悪を許す?おまえのような魂は、聖槍に選ばれない」

「―――――」

 

ガウェインが凍り付いた。

 

「さすが、ただの機構(システム)になった女神さま。自分のルールにそぐわないものはものはすべて悪、か」

 

粛正騎士たちが剣を抜いても、リンクは一瞥すら寄こさない。

 

「悪が善を成すことはあるし、善が悪逆を成すこともある。人間を属性でラベリングしてはいけないよ。――なんてこと、もうあなたは忘れちゃったんだね」

 

人を愛するあまり、人であることをやめてしまった。やめることができてしまった(・・・・・・・)

リンクはマスターソードを手放したが、彼女はロンゴミニアドを手放せなかった。

それは同情すべき事実ではあるが、裁くのも許すのもリンクじゃない。

今を生きる人間しか見ていない神さまには、今を生きる人間が否定をぶつけなくてはいけないのだ。

 

「おまえは――おまえたちは、世界を救う手段を持っているのに、なぜ動かない?」

「だから自分が救うって?」

「そうだ。私は人間を失うことに耐えられない。だがおまえは、あの悪を野放しにしている時点で悪そのものだ」

 

サンドロッドを手元に呼び出す、リンクを見ていたのは粛正騎士だけ。

ガウェインの視線は地面に縫い付けられていたし、獅子王はすでに背を向けていたからだ。

そして見ていたからといって、対処できるとは限らない。

 

「死ぬがよい」

 

騎士たちがひっくり返った。

地面に叩きつけられる金属の合唱に、うつむいていたガウェインの肩が跳ねる。勢いよく顔を上げて、リンクを囲んでいた粛正騎士が無様に倒れているのを視認する。

 

「なっ……」

「砂地以外でも使えるんだよ、これ」

 

よいせっと肩に担ぐと、ふらついていた視線が固定される。

……なんて顔をしているのだろうか。

迷子になった子供が、親を探しているかのような。

 

「ボクは彼女のお眼鏡にかなう“正しい人間”じゃないみたいだ」

「――――そ」

 

言葉が詰まる。続かない。

ガウェインの脳内は、もうずっとぐちゃぐちゃで。

 

「そんな、はずは」

 

貴方だけは。

……貴方だけは。

正しさと、強さと、勇気の象徴だから。

ブリテンの誰もが憧れた、騎士の中の騎士で。

 

「でも、君の王さまは違うって言ったよ」

「……いえ、いえ。王だって、貴方のことは、」

それは生前の話でしょう(・・・・・・・・・・・)?」

 

貴方が間違っているはずがない。私が憧れた騎士たる貴方、が――。

 

「女神さまになって、それも捨ててしまったかな。そうでなきゃ、部下の憧れを貶さないよね」

「王が…………」

「そうだよ。今、君の憧れたるボクを否定した」

 

父が亡くなっても。母が狂っても。

泣く弟を慰めた夜も。妹と共に開いた小説にも。

ずっと貴方がいて。

幼い私を、夢の世界に連れて行ってくれた。

あの瞬間だけは、私はただのガウェインだった。

それを王も知っている――――。

 

「どうして…………?」

 

知っている――――はずだったのに。

理解し(わかっ)ている――――はずなのに。

もうあれは、アーサー王じゃないことを。

どうして。

どうして。

胸が苦しい。

 

「君はボクを正しさの指針にしていたのかな。……だとしたら、なぜこの道を選んだの?」

「ぇ……」

「獅子王ならいいと思った?アーサー王の名誉が穢されるわけじゃないから」

「ちが、違います……!私は、ただ」

 

わかってる、わかってる。あれはアーサー王じゃない。

でも、我が王だ。騎士として忠誠を誓った、君主だ。

 

「ただ、剣に」

 

だからやり直せると思ったんです。

 

「私怨からブリテンを分裂させ、王を死なせた愚かな私を、我が王は再び呼んでくれました。生前の愚を、二度繰り返すことはできません。ですから私は今度こそ……!」

「うん」

「ただの剣として、王に使えることにしたのです――――」

「ならどうして、そんなに苦しそうなの」

 

泣くことなど許されない。そんな権利は存在しない。

後悔などない。我らは既に同胞殺し。獣に落ちた罪人なり。

たとえ最後まで生き残ったとしても、聖槍に選ばれることなどない。

なのに!

 

「貴方は、私の目標で……。指針で……。いつだって考えていた。こんな時、勇者リンクならどうするのかと」

 

なぜ今になって、胸を掻きむしるような感情がある。

飲み込んだはずの言葉がこぼれていく。別れを告げた心が騒いでいる。

どうして?どうして?

だって私はガレスを、

 

「でも、獅子王に呼ばれて判断を迫られたとき――。貴方なら彼女を許さないと、わかっていたのに……!」

 

わかってる!わかってる……!

“獅子王”はもはや、勇者リンクに倒されるような災厄であると……!

だって彼なら世界を救う!諦めるなんてありえない!最後には必ず、全てを救う!

獣になんて、ならないのに……!

 

「私はっ、自分の、己の未練を優先した!今を生きる人々の意思よりも!人理を救わんとする“星”よりも!」

 

“ごめんなさい。ごめんなさい”

 

ぐわん、と耳の向こうから聞こえる声。

 

“もう耐えられません。もう戦えません。どうか、どうか”

 

ガレスの声が止まない。

ガレスの声が消えない。

 

“愚かなわたしに、罰を与えてくださいませ”

 

違うんだガレス。一番愚かなのは私だった。

アーサー王がどうしてランスロットを許したのか。

ランスロットがどうして王を裏切ったのか。

今の私は知っているのに。

全てから目を逸らして、ただの剣になろうとした。

 

「ただ一人の、騎士としての名誉などに執着して、」

「君はラヴィオになれなかったんだね」

「――――」

 

ぐしゃりと顔が歪んで、でも涙は零れなかった。

そんなことは許されないとでも言いたげに、唇が噛み締められる。

握られる拳は固く、固く。立ちすくむ、太陽の騎士よ。

日輪はこんなにはっきりと君を照らしているのに。

君の心中はずっと暗雲なんだね。

 

 

ガウェイン曇らせは需要ないっていったじゃん!!!!!

 

 

いーくん お前お前お前 トドメを刺したのお前

オルタ 自分にはある

フォースを信じろ @オルタ 座ってろ

海の男 待て。これは本当に曇らせか?わからせじゃなくて?

奏者のお兄さん どうでもいい~~~~どっちでもいい~~~~

 

 

ふん。まあいい。ボクの軌道修正力を見てなよ

 

 

「ガウェイン。君はもう選んでしまった。たとえここでボクに怒られようとも、君は道を変えることができない。君はそういう人間だ」

「……はい」

「そして異邦の“星”がいる以上、君を倒すのはボクじゃない。そもそも、ボクは周りが言うほど善悪で動いていない。聖槍に選ばれないという、獅子王の言葉は正しいよ」

「………………」

 

 

海の男 どうでもよくないぞ!!ジャンル分けは明確にしないと!!

銀河鉄道123 とら〇あなで働いてる人?

 

 

「でも、困っている君を見捨てる程じゃない。聖剣ガラティーンはボクが取り返してくるから安心しなさい」

「えっ」

「残念ながら、一緒には連れていけないな。ユガの壁画魔法は知っているだろう?ボクでも君を庇いながらは難しい」

 

あと時の言った通り、この特異点グラッグラだから……。

あの二人が大人しくしてるのも、これ以上崩壊を早めないためだろうし。

 

「全てが片付いた後に、また会いに来るよ。話の続きはその時にしよう」

「また……?」

「うん。また会おう、太陽の騎士ガウェイン」

 

友達のような気軽さで、憂うことなど何一つないような微笑みで。

 

「約束だよ」

 

その、笑顔を――――――。

ガウェインは一生忘れない。

英霊の座に戻っても、何度サーヴァントとして呼ばれても。

太陽のようにきらめく、偉大な人の姿を――――。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

目覚め、時。あのさ、ベリルくんを入れる予定の

 

 

Silver bow 魔女&妖精アスレチック(仮)?

奏者のお兄さん ……まさかガウェインも放り込む気か!?

 

 

さすがリンク(ボク)。理解がはやーい。いやあの様子だとさぁ、ちょっとくらいお仕置きしてあげないと逆にメンタルに悪そうだから

 

 

あ、てかいま時って妖精郷にいるんだよね?モルガンさまはいないの?アドバイザーとして呼ぼうよ

 

 

奏者のお兄さん 居るけど……。いま寝てるぞ?だから人理のことも把握してないと思う

ウルフ どうして寝てるんですか?

奏者のお兄さん 彼女は多重人格者でな。役割やら感情やらに振り回されて疲れてる

 

 

だから俺を探しに来た時に、まず休んでくれって寝かせたんだが…。そろそろ起こしてもいいかもしれんな。

 

 

ウルフ 先代の優しさが染みる……

奏者のお兄さん 俺がついてれば暴れんだろ。なんかすごい好感持ってくれてるらしいし……

 

 

もちろん汎人類史のモルガンである。

コキリの森にある自宅で寝転がっていた時の勇者は、あくびをしながら起き上がった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。