呪術師・碇シンジはエヴァパイロットである   作:けし

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日付変わったけど許してください……許してクレメンス…。

使徒の倒し方が変わってます。無茶だろって?綾波を出したかったんだよぅ!!あとアスカ出せなくてごめんなさい!長くなりそうだったのでここで切ります!

墓地のシーンは脳内補完しながらでお願いします。


『破』章
拾肆. 前門と後門


 NERV北米支部・ベタニアベース。赤い北極海の只中にあるこの施設は、今現在混乱に陥っていた。

 

『腕の一本、くれてやるぅぁぁぁ!!』

 

 永久凍土より発掘された第三の使徒。それが起動し、施設を破壊し地上まで登り上がっていたのだ。当然、それに対する抑止力を置いていないはずもない。エヴァンゲリオン仮設5号機。日本で駆られている初号機や零号機に比べ、その容態はかなり機械的で、人型とは離れたデザインを持つ。最大の特徴は手にしている武器。【簡易式ロンギヌスの槍】と銘打たれたそれは、対使徒専用殲滅兵器として搭載されたもの。

 結果として第三の使徒は釘付けにされた上で、コアを潰され爆散。仮設5号機は搭乗者により起動された自爆プログラムにより同じく爆散。ほぼ相打ちとなる形で戦闘は終結した。

 爆発直前に射出されたエントリープラグが、赤く染まった海を漂う。爆発の煽りを受けて唸る波間でエントリープラグの扉が開き、1人の女性が出てくる。

 

「痛てて……。エヴァとのシンクロってこんなに痛いの?」

 

 名は、真希波・マリ・イラストリアス。

 

「さよなら、エヴァ5号機。お役目ご苦労さん」

 

 赤く曇ったり空を見上げて、彼女はそう呟いた。

 

「それにしても、日本で初号機に乗ってるっていうパイロット。あんなの相手に無傷で完勝って、それ人間かよ? ウケる」

 

 エヴァ5号機が初号機に比べて劣る面が多いという点を差し引いても、痛みへの耐性があるマリでこれである。そう遠くないうちに日本へ行くことになっていることを考え、マリは楽しそうに笑った。

 

「やー、楽しみだねぇ。ゲンドウ君とか、元気にしてるかな?」

 

 赤い海の波打つ音に、愉快そうな声が呑まれていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 セカンドインパクトとそれに連なる災害は、有史以来から数えて未曾有の大災厄だった。人口のおよそ半分が死に絶えてしまった。当然それは日本でも同じこと。首都機能は停止に追い込まれ、一時的とはいえ日本は壊滅したと言える。それから15年。人類はなんとか元の水準に近い生活を送れるようになってきた。そうして余裕が出来ると、亡くなった人を悼む気持ちがわいてくる。

 

「いつ以来だろうな。お前とこうして2人で話すのは」

「どうだろうね。物心ついて少ししたらいなくなってたわけだし、10年近いかな。たまに誘ってくれてたけど、行けなかったのは謝るよ。代わりといってはなんだけど、これでも毎年来てたんだよ」

「そうか」

 

 相変わらずの平坦な口調だが、シンジは横目でゲンドウを見やると、そのサングラス越しの目に映る感情が少しだけ見えた。

 

「……実家には、母さんの写真とかは何も無かった。本当に全部捨てていったとは、少し驚いた」

「全ては心の中に、というやつだ。この墓も所詮は飾りだ。遺体はない。……今はそれでいい」

 

 目を合わせた会話はない。親子のやり取りというには乾いた、無愛想なものだった。

 

「……僕の中の母さんも、消したよね」

「なんだと?」

 

 シンジが切り出した言葉に、ゲンドウは思わず鸚鵡返しで言葉が出てきた。

 

「僕には母さんの記憶がない。これでも記憶力は良い方だし、父さんが家にいたのは思い出せるのに、母さんのことが思い出せない。それを聞いて先生が言ったんだ。君の記憶は母親に関してだけ消されてる、って」

「先生……、あの目隠しをした男のことか」

 

 ゲンドウはそう言いつつも、内心で少しばかり動揺していた。己の計画のために呼んだ息子が、悉く計画を壊していく上、記憶についても勘づいていたのだ。記憶に関してはゲンドウにとって特段後ろめたいものでもないが、話すのはゲンドウといえど躊躇われた。

 

「そ。ああ、別に記憶についてどうこうって言ってるわけじゃないよ。責めるつもりはないし。何でっていうより、どうやっての方が気になってさ」

 

 シンジはそう言って苦笑した。責めるつもりがないのは本当の事であるし、母親の記憶を戻せというわけでもない。シンジは純粋な興味からそう聞いただけだ。

 ゲンドウはその言葉に少しだけ安堵の気分を得つつも、碇ユイという人物に対して愛情を抱くのは最早自分のみなのかと、少しだけ虚しさを覚えた。記憶がないのだから当然なのかもしれないが、碇シンジという子供に母親を求める心が無いことの証左ともいえた。

 

「どうやって……か。悪いが私はそれを説明できる口を持たない。私がやんちゃしていた時代の友人が、そういうことに詳しかったからな。それを頼ったまでだ」

「へぇ。父さんが手を施した訳じゃあない、と」

 

 ふんふん成程、と頷くシンジ。そんな様子を見るゲンドウの内心は複雑なものであった。

 クローン体という特殊な出生である綾波レイを除き、ゲンドウの中ではこの世代の少年少女は非常に豊かな感情表現をするものだと思っていた。それこそ爆発と言い換えてもいいくらいの感覚で表現するのでは、とすら思っていた。だが実際はこれである。

 碇シンジは呪術師である。呪術師は負の感情を糧に呪力を生み出す。そのためには感情のコントロールは必須なのだ。これは決して蓋をすることと同義ではなく、純粋に理性の下でコントロールしているだけ。だから大人のような落ち着きを見せるし、割り切ることもできる。

 自分の思うものとは違う碇シンジ。見紛うことなき自分の息子だが、時々それを疑うこともあった。サングラス越しに見る息子は、今の自分のことをどう思っているのだろうか。

 

「ま、いいや。父さん、今日はありがとう。色々聞きたい事もあったし、収穫はあったよ」

「……そうか」

 

 そう言ってのけるシンジの瞳に、ゲンドウは何も見出すことは出来なかった。感情に疎いわけではないが、それらの感情を見出すにはシンジとは離れすぎたのだ。

 大きな音を立てて、NERVが持つVTOLがやってきた。総司令官であるゲンドウに大きな暇などない。今回の墓参りはいつも通り合間を縫ってきただけだ。シンジが目をやると、綾波レイがこちらを見ていた。

 

「時間だ。先に帰るぞ、シンジ」

「うん、またね」

 

 ゲンドウを乗せたVTOLはあっという間に去っていった。十把一絡げに建てられた墓はただ見送るのみ。シンジもそれに倣い、ただ目でその軌跡を追った。

 そうして機体が見えなくなって、シンジは母の墓の方へ振り返る。それは名前だけの墓標。ここには恐らく、縁の無い無縁仏も数多いのだろう。いくら見渡してもドロドロしたものが全くない墓場は、シンジにとって違和感でしかなかった。五条サトルがこの墓場を見れば、きっと驚くことだろう。

 

「顔も、思い出もない、僕の母親……か。父さんは何を考えてるんだろうね」

 

 そう言うとシンジは、また来るよとだけ言い残してその場を去った。墓前にはゲンドウが持ってきた白い花だけが揺れていた。シンジは花も何も持たずに、ただ言葉だけを手向けて行った。

 しばらく歩くと、葛城ミサトが車に寄りかかって待っていた。いかにもなスポーツカーである。

 

「おかえりなさい。で、お父さんとは話せた?」

「第一声がそれですか。……まあ、そこそこですかね。まあまあ饒舌な父さんは珍しかったですよ」

「へぇ。碇司令が口数多いなんてね」

 

 そう笑いながら車に乗り込むと、ミサトはアクセルを吹かして目的の場所へと向かいだした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「割と遠くまできましたね」

 

 山を越え、車に揺られること十数分。ミサトの運転技能と車のパワーが、普通の車のそれよりも遠いところまで連れてきた。赤い海が遠目ながらに見えてきた。

 

「そりゃあね。で、どうだった?」

「何がです?」

「何がって、そりゃ父親と会ってのことよ。シンジ君が何を思ってるかは分からないけど、それはどうあれ会ってみたら案外どうって事なかったんじゃない?」

「……ミサトさんのそういうところ、嫌いじゃないですよ」

 

 外の景色を眺めながら、シンジはため息混じりにそう言った。ミサトは口説いてるの? このぉ〜! などと笑うが、それを横目に見てシンジはもう一つため息を落とした。

 ミサトはそのため息に少し居心地悪そうに佇まいを正した。

 

「ま、まあほら! 折角のお母さんのお墓参りだったのよ、良かったじゃない!」

「……ま、そういうことにしておきますよ」

 

 母の墓参りなぞ建前だ。母の存在感はシンジの中では極端に薄い。それはミサトらの預かり知らぬことではあるが、態々言うまでもない。

 

「ん? 何かしら?」

 

 狭い車内に鳴る呼出音(コール)。どう見たって厄介事の匂いだ。シンジはすでに巨大な反転術式を感じていた。

 

「随分と大きな使徒がいるみたいですね」

「え、シンジ君なんっ、わぁ!?」

 

 あーんですって!? という声に隠れるように呟いたシンジの言をしっかり拾い上げたミサトは、少し慌て気味に聞き返そうとしたが叶わなかった。

 目の前に降ってきた巨大な構造物が、それを遮ったのだ。ミサトはそれをなんとかかわすも、横Gに揺られて気分は滅茶苦茶である。

 ミサトへのコール元はNERV本部。非常事態宣言が発令され、現場にはすでに関係者以外が立ち入れなくなっていた。

 初号機は見当たらない。恐らく移送されているのだろうが、肝心のパイロットがまだ()()にいるのだ。

 

「こちらも使徒を肉眼で確認したわ。ただ今初号機パイロットを移送中。零号機優先のタスク03を直ちに発動させて!」

『いえ、すでにタスク02を発動中です!』

「タスク02!? まさかっ!?」

「……上か」

 

 シンジは上空を戦闘機と思しきものが飛行しているのを見て、その中に赤い人型を見た。同時にその人型は自由落下を始め、海上を歩く使徒に向けて落ちていく。

 

「やはり弐号機!」

「弐号機……? っ、それはともかくあのデカブツを!」

「わーってるわよ!! 零号機は!?」

『移送、及び出撃完了してます! まもなくその近くの領域に到着します!』

 

 零号機も恐らく地を蹴ってここに来ているのだろう。初号機に今から乗ったんじゃ間に合いそうにないと判断したシンジは、彼女らのサポートに回ることにした。

 

「ミサトさん、綾波さんに繋いで!」

「分かったわ、司令室! 零号機とのチャンネルを開いて!」

 

 この使徒は反転術式の総量があまりにも巨大だが、それが複数箇所に集中している。頭部、首部のコア、そして最下部の球体。一見するとモビールのように見えるこの使徒にとって、まさか最下部の球体がバラストの役割のみであるはずがない。なによりこの球体に最も多くの力を感じるのだ。そう判断したシンジは瞬時にミサトのマイク越しに声を飛ばした。

 

「綾波さん、最下部の丸いのがコアだ! 上はダミー! 弐号機が意識を引いてる間にダメージを!」

『分かったわ』

 

 綾波レイはその指示にそれだけの返事を返し、接近しながら火器を撃ち放った。

 

「よく上のがデコイって分かったわね。普通は見抜けないと思うんだけど」

「ミサトさん、僕は()()()ですよ」

「……なるほどね」

 

 上から迫り来る弐号機に集中しすぎた使徒は、本物のコアに大火力の銃撃と零号機のプログナイフ突進に一瞬弐号機から意識を外した。

 その隙を、弐号機は見逃すはずがない。空を舞う武器(クロスボウ)を瞬時に手にして、その狙いを上部のダミーコアに定めた。その弾速と貫通力はダミーコアの耐久力を軽く上回っていた。

 同時に零号機は全速力でナイフを構えて突進する。零号機へ注意を向けたときには、時すでに遅し。前門の(弐号機)、後門の(零号機)と言ったところか。そんな互いの攻撃はほぼ同時に使徒に直撃した。

 零号機は突進の勢いのままにコアを貫通して、形象崩壊する前の使徒の身体を蹴って、パルクールじみた動きで元の場所まで戻ってきた。

 弐号機は着地点を見極めながら使徒から少し遠ざかっていき、爆発の影響をかわした。

 

「んー、弐号機の人、とんでもなく操縦がうまいですね」

「まあエリートパイロットだもの」

 

 なんとか破損を免れたミサトの車の中で、シンジは相対する零号機と弐号機、そして光の十字架を見上げたのだった。

 そしてその後シンジは、新たなパイロットと(まみ)えることになる。

 




そろそろヒロインを……と思うけどこのシンジ君色々強すぎてヒロインいる……?ってなってる笑。
シンジ君がシンジ君たるところがほとんど塗り変わってるので、今んとここの世界線だとQ以降がないです。何回か言ってると思うけど。

五条先生は第三新東京市にゲットしたマイルームでゲームしたり映画見たり、外に出て蠅頭狩りしたりしてます。
エヴァさんぽ……、や、流石に作者の手に余るぜ……。
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