無理矢理綾波とのイベントを詰め込んだ形ですけど許して☆
シンジ君がイケメンかつ大人びてるので、どう頑張っても保護者目線。是非もなし。
呪術廻戦からのキャラ登場も匂わせつつ、エヴァ本編から少し足を踏み外すような設定が。天元様うんぬんは本誌次第というガバガバっぷり。
「ふぇー、赤いんか弐号機て」
「せやなー。……じゃなくて、なんでトウジ君たちまでいるのさ」
京都を含む関西で過ごす時間が長いシンジは、ごくごく稀に方言を口にすることがあるが、これはほぼ脳死で返した返事であった。
「ん? 綾波と一緒に連れてこられたんや。とにかく来い言うてな」
「そーなのね。うんまあ僕の知ったことじゃないや」
NERVの機密保持ガバガバ過ぎない? とはシンジの内心である。これは完全に彼の責任ではないため、シンジは彼方に投げやることにした。
「それはそうと、ケンスケ君が随分とはしゃいでるみたいだけど。彼ってミリタリーオタク的な?」
「そん通り、シンジより詳しいんちゃうか?」
「比較対象が僕なの? ほぼ0の人と比較したら誰だって大きいよ」
シンジとトウジが話をする中、いい加減暴走しかけているケンスケをトウジが羽交い締めにし出した。流石に目が余るようになったらしい。
シンジはそれを苦笑しながら見送ると、綾波の方へ歩み寄った。
「お疲れ様。僕の指示だけど、よく動いてくれたね。ありがとう」
「別に。命令だったから」
「またまたぁ。正しいとか妥当だとか思ったんじゃないの? ま、今回は初号機が間に合わなかったからね。流石に僕も人の身で使徒と戦うなんて出来ないし」
「……あの目隠しの人は、戦えてた」
綾波の脳裏には、五条サトルの姿が
「五条先生は規格外。分かっていたつもりだったけど、改めて化け物だと思ったね」
「五条、先生?」
「うん、目隠し25歳児の名前」
「25歳、児……?」
中々の扱いである。シンジは五条サトルの扱いに慣れ始めていた。これを悲しむべきか、シンジは胃をさする仕草をしていた。
綾波は25歳の子供という言葉の理解に苦しむも、シンジが何のフォローもしないので、その言葉を奥底に仕舞い込むことにした。綾波はその後、無意識に別の話題を携えてシンジに話しかけた。
「……最近、碇司令が難しそうな顔ばかりするの。どうしたらいいかしら」
「……それ、僕に聞く? んー、てかそれ普段の顔とどう違うの?」
「眉間のシワ」
「マジか」
「マジ? よ」
綾波のボキャブラリーや会話のテンポも、最初に比べたら具合が良くなっている。シンジはそう思い、せっかくの機会だとあと少し話を引っ張ることにした。もうそろそろ弐号機のパイロットも来る頃である。
「父さんは、多分母さんのことを考えるとシワが取れる。愛には一家言ある人のようだし。綾波さんは父さんにかなり大事にされてるから、君が何かすれば、多分父さん喜ぶんじゃないかな」
「何か? 何をすればいいの?」
「んー、とりあえず最初はまぁ」
シンジは不意に綾波の顔に両手を伸ばし、その頬を引っ張った。
「笑えばいいんじゃないかな? うん、笑った顔の方がなんか良さげだ」
無理矢理引っ張られただけだが、それだけの笑顔にシンジは笑ってそう言った。負の感情──呪いに触れ続けてきたシンジにとって、どうせ見るなら明るい感情の方がいいのは当然。それに顔立ちはかなり整ってるのだ、笑えばそこらの男なぞイチコロだろう。
引っ張ったせいで少し赤くなった頬を手でさすりながら、綾波は自分なりに笑顔を表現してみた。
「「っ!?」」
「うんうん、まだ表情筋が固いかな? その辺は追々、としようか」
その表情にトウジとケンスケは目を見張った。無口無表情がデフォルト装備の綾波が、ぎこちなくも浮かべた笑顔は効果抜群のようだった。
持ち上がっていた表情筋の不思議な違和感を、当の綾波は不思議と不快には思わなかった。
常夏の陽気が立ち昇る地面に立ち続けるのは中々に辛い。実際にそれほど時間が経っているわけではないが、シンジとトウジはあっついなぁと、ケンスケは目の前の弐号機に興奮冷めやらぬ様子で、綾波はあの後どこかへ引っ込んでしまっていた。
「ミサトさん、まだなんですか?」
「んー、もうそろそろだと思うけどねー」
腕時計を見ながら、ミサトがふぅと息をついた。
シンジは暇潰しがてら、ふと思いついた疑問を尋ねてみることにした。
「零号機、初号機ときて弐号機。……エヴァの違いとは」
「えーと、確か弐号機以降はねぇ……」
「弐号機こそが、
ミサトの回答を遮ったのは、よく響く少女の声。張り上げたのが良くわかる、元気のある声だった。
──ていうか、本物とは? あれに偽物もクソもないだろ。
妙に強調されたそのワードの意味を数瞬の思考で捨て去ったシンジは、改めてやってきた少女に目をやる。
弐号機と同色のカラーリングを施されたプラグスーツに、2つに結ばれたかなり明るめの茶髪。一見するとその表情は活発な少女の典型だ。
──この子もなーんか抱えてるな? 色々あってよく分からん。
シンジはその瞳の奥に、深く深く根付いた何かを見た。しかし今のシンジにはそれが何かは分からなかった。経験ゆえか、それを知らないだけか。それはいざ知らず、シンジはミサトと楽しげに話すそのパイロットにまた厄介事の気配を感じてしまい、早くも再び胃をさすることとなった。
「シンちゃーん、紹介するわ。ユーロ空軍のエース、式波・アスカ・ラングレー。エヴァ弐号機専属パイロットよ。アスカ、この子が初号機パイロットの碇シンジ君」
「ふぅーん、コイツが初号機の? パッとしないわね」
ストレートな物言いながらも、その評価は既にシンジの自覚するところである。初対面の人間に対する言動とは思えないが、エリートの言動はそういうものかとシンジは思うことにした。
アスカはカツカツと歩いてシンジの方へ近づいていく。何をするつもりかは、アスカの瞳を見て理解した。
シンジの視界の端。繰り出された足払いは、シンジのくるぶしあたりを狙っていた。シンジはそれをしっかりと見てとって、足が直撃するまでのコンマ数秒、避けるか防ぐか、あるいは態と当たるかを考えた。アスカの狙いはシンジを地面に倒すことだが、流石にこの程度ではシンジは倒れない。軍人とはいえ、所詮は少女の力の範疇でしかないのだ。
「痛っ、何するんだよ」
「ふん、オマケに警戒感もないだなんて。こんな大事なときにエヴァで戦えもしないなんて、所詮は七光りね」
結局シンジは面倒だからと受けることにした。無下限を展開するにも面倒、一歩動くのも面倒、完全にアスカを下に見た結果だ。怪我しようとも反転術式あるし、という考えもあった。
しかしシンジはアスカの言葉に納得できない部分があった。
「や、エヴァ間に合わなかったのは仕方なくない?」
「全部アンタの責任よ」
髪を靡かせてアスカはその場を離れていった。シンジはその様をため息混じりに見送った。
エヴァの整備などはどう頑張ってもシンジには出来ない。その辺りも責任を負うとは、少々子供には荷が重いだろう。エヴァ自体はこれまでの戦闘でかなりの量の呪力を流してきており、そのせいか呪具化が進行し始めている。とは言えやはり、NERVによるメンテナンスは必須なのは変わりない。その辺りのスケジュールに口を出せるほど、シンジは力を持っていない。
「……はぁ、随分とまた個性的な……」
「相変わらずね。けどまあまた賑やかになりそうね」
「……まさか」
シンジはミサトの言葉に思い当たってしまった可能性を、頭を振って振り払った。
ミサトはもろもろの書類などの雑務でしばらく残るとのことで、シンジはトウジらと共に電車に乗って戻ることになった。改札にカードを通せば、運賃等は勝手に引かれるらしい。シンジはそんな機能に感嘆しつつそれを使い改札を出た。降りたのは桃源台中央駅。比較的大きく使用者もそれなりに多い駅だ。ふと周りを見るとNERV職員と思しき服装の者もいる。
「失礼」
そんな折、シンジ達に声がかけられた。男性とわかる声で、振り返ると痩躯に紺のカッターシャツを纏った人。目線だけ動かすと、手には何やら大きなトランクがあった。
「ジオフロントのハブターミナル行きは、この改札で合ってるかな?」
シンジはその言葉に、この男もNERV関係者なのだと当たりをつけた。大方出張帰りか何かだろう。手に持つそのトランクからは呪力も何も感じないが、シンジは異様な雰囲気を感じていた。
「えー、確か乗り換えがありますけど、合ってますよ」
「そうか、ありがとう。……2年離れただけで気分は浦島太郎、だな」
虚ろに呟かれた言葉。シンジはその意味を理解するも、そこまでだ。
すると、男は思い出したかのようにシンジたちに再び話を投げかけた。
「ところで、葛城は元気か?」
「ミサトさんの事ですか? 毎夜毎夜ビール片手につまみを食べる毎日ですが」
「…………相変わらずだな。まあ、彼女とは古い知り合いなんだ。寝相の悪さを知るのは君だけじゃない、ってね」
「よりを戻したいなら是非に。きっと格安ですよ」
「……ノーコメントで」
そのままシンジたちに背を向けて去る男を、シンジらはただ見送った。トウジやケンスケはすぐさま振り返ってずんずんと進みだすが、シンジはその目で、しばらく改札に消えた男を追っていた。
──浦島太郎、ね。ならそのトランクはさしずめ玉手箱か。
「おーいシンジィ〜! ボケてんなやぁ!」
「先に行くよー」
「はーい」
シンジを呼ぶ声に、ようやくシンジが現実に復帰する。同じ歳の友人などという呪術師には珍しい関係に、いつの間にか慣れてしまった自分がいる。不快なはずはない。だが、果たしてこれが長続きする関係かと言われれば、シンジは首を横に振るだろう。
どんなに取り繕おうと、どんな肩書を背負おうとも。碇シンジは呪術師なのだから。
「なにこれ」
家へ辿り着いたシンジを出迎えたのは、所狭しと積み重ねられた段ボールの数々だった。
同時に気配も察知した。1つはペンちゃん、もうひとつは人間のものだ。
「僕の部屋、物置になってんじゃん」
「失礼ね! 全部あたしの荷物よ」
勝手知ったると言わんばかりに、当たり前のようにコップでドリンクを飲み干すその様は違和感も何もない。
式波・アスカ・ラングレーが、当たり前の如く居座っていた。
シンジはこめかみに指を当て、一際大きなため息をこぼした。
「あー、やっぱこうなるか……」
「何よ、文句あるの!?」
「まず何でここにいるのかから説明プリーズ」
「あんたバカァ? あたしが来たからには、もうあんたはお役御免ってことよ」
果たして人事がこうも易々と、
「エヴァ動かすのは確かに上手かったから、文句はないんだけど。パイロット云々は僕や君の力でどうこう出来ないし。とりあえずご飯作るから荷物片付けてて」
「はあ? どうせあんたは七光りなんだから、使徒倒せたのも偶然でしょ? 今日くらいのレベルならあたしでもヨユーよ」
そうですねー、などと軽く流しつつ、いつものように手早く料理を作ってゆく。人数が増えたのなら、ミサトはお祝いでもするだろうか。そう考えるシンジの脳内で、今日の献立は安売りしていた白菜を使ったミルフィーユ鍋に決まった。
アスカが少し手伝ったところ、包丁の扱いすらも危なかったためにシンジは大人しく座っておくよう言いくるめた。やはり葛城家の台所事情はシンジの掌の上だ。
ついでに枝豆もボウルで茹で上げ、日付も変わりかけた頃。
「寝る場所作るの面倒なんで、僕五条先生のところに転がり込むことにしますね。おやすみ」
「ご飯は作ってよね──」
「は? 誰よそれ」
二者二様の反応は当然のもの。五条サトルのことをアスカはまだ知らないのだから。
「というわけで、勝手におやすみなさい」
「んー別に構わないんだけど。せめて連絡は欲しかったなぁって」
「それブーメラン気味なの、気付いてます?」
五条サトルの部屋に転がり込んだシンジは、来客用にしまってあった予備の布団を引っ張り出して、持ってきた毛布や枕を手早くスタンバイさせて寝床を作り上げた。そもそもこれらの家具はシンジが手伝って運び込んだものである。
高専の寮の個室にはテレビはない。後付けで置く者もいるだろうが、任務でいない時間の方が長いなどということも多く、結局置いても見ないことになる。そういうわけもあって五条サトルもテレビはほとんどつけない。
「あ、今度スグルが来るってよ」
「特級2人を遊ばせてていいんですか?」
「僕はともかく、スグルは真面目でまともだからね。重宝されてんの」
「で、夏油先生はどうして来るんです?」
特級術師は現在4名。目の前の五条サトルは現代最強と呼ばれる規格外。そしてその男がスグルと呼ぶ男は、高専時代からの親友である夏油スグルである。五条サトルと違い一般人の生まれだが、呪霊操術という術式を有する『数』の術師である。
戦闘能力は間違いなく超一流。物量差によるゴリ押しを得意とするが、そんな術師がわざわざこっちに来るとは、シンジには信じられなかった。
「高専東京校跡地、あるでしょ?」
「はぁ。僕はよく知らないですけど」
「そりゃそうでしょ。で、東京校の地下には、京都にはないある施設が存在する」
「ある施設?」
そ、とだけ言葉を返し、ゆる〜い部屋着のままさらにだらける五条サトル。シンジはキッチンで淹れたお茶を飲み、続く言葉を待った。
「
「ああ、今は確か生死不明って言われてるやつですか。でも今は機能してないって聞きますし、一体何の目的でそこに?」
不死の術式を持ってて生死不明とは如何に、と思ったことは何度もあったが、結界術の底上げがなされていない以上は死んだも同然の扱いである。
言うなれば墓場にも等しい。特級が揃ってそんな場所に何の用なのか。
「1つは薨星宮手前の高専忌庫内にある呪具、呪物の回収。大半は回収されてるから、あとは優先度の低かった呪胎九相図の4番以降とかかな」
「いや、曲がりなりにも九相図は特級呪物でしょ。それが優先度低いって」
「4番以降は1〜3番と違ってすでに亡骸になってるからね。受肉出来ないし、単体じゃどうしようもないから後回しさ」
加茂憲倫により作られた呪術文化財の中でも、最も罪深いとされる特級呪物『呪胎九相図』。人と呪霊のハイブリッドとされるそれは、1〜3番だけが特級に値する呪物として存在しており、4番以降は胎児の亡骸でしかない。死した存在はそれ以上変化することはない。例外は両面宿儺くらいのものだ。
シンジはそんなミニ講座に頷きながら、また一つ茶を啜った。
「もう1つは、天元様の生死確認」
「……死んだのでは?」
「それがどうも、上層部や僕たちも死んだものと思ってたんだけど、ね」
「生きてた、と」
「というか、高専を隠す結界が薄いながら再び張られたんだ。六眼でみると以前に張られていたものと同一だった。だから確認しにきた」
ある種の異常事態である。天元は不死だが不老ではない。傷も負う。今までは瀕死の重傷か、あるいは仮死のような状態だったのだろう。結界術を行使できるほどに回復しておらず、十余年の時を経てそこまで持ち直したとみえる。
「僕は薨星宮には入れるけど、天元様には会えない。六眼持ちは拒絶されるらしくてね。だからスグルが来たんだ。お上の信用度も相まってるだろうけど」
情報の秘匿具合がNERVと大して変わらないのではないか、と思ったシンジだったが、これらの情報がNERVには意味がないことを悟り、考えるのをやめた。
「それとシンジ、最近呪術行使に違和感とかあったりする?」
「なんですか突然。……特には。大分楽になったなあってくらいです」
「ふぅん」
「そっちから聞いといてその反応ですか」
意味深にもとれる質問に、シンジの回答はその程度である。自身の裡に目を向けてもこれといった変化は感じない。成長したのか呪力量は増加しており、制御も以前より容易になりつつある。シンジにとってこれらは違和ではない。
五条サトルはそんな回答に間の抜けた返事をした。その眼はシンジの内に何を捉えたのだろうか。
「ま、その内分かるんじゃないかな」
「変なこと言わないで下さいよ、全く」
「気にしない気にしない。折角だし、明日から呪術の鍛錬もしようか」
「それはやります。それじゃ」
シンジも冷たくなったなあ、と五条は少し態とらしいトーンで言ったものの、シンジはそれに取り合うことはしなかった。
その部屋の電気が消えたのは、それから間もなくのことだった。
天元様に関しては捏造あっても許してくれ。サマーオイルを呼ぶ理由づけが必要だったんじゃ。
天元様は不死なのでセカンドインパクトでも死にはしません。直死の魔眼とかだと話は変わるかもしれないけど。
設定が無理矢理?無理がないとか有り得ない有り得ない()