すいません調子乗りましたごめんなさい。
少し体調崩してたので、ホントなら先週あげられていたのですが申し訳ありません。まあ、至って健康でございます。
エヴァ終映ということで、お疲れ様でした。皆さんは何回足を運びましたか?笑。私は3回行きました。涙を流さないことはなかった。
こういうほのぼの(?)が眩しいなと思うエヴァの世界でした、まる
学校の昼下がり。シンジ、アスカ、綾波、マリ、カヲルの5人は屋上で昼食をとっていた。そんな中、気になる3号機の話題がアスカから飛び出した。
「テストパイロットぉ?」
「そうよ。あんたと違って、私は初めからエヴァパイロットとして来たんだから。あんたと違って、今のあたしにはエヴァパイロットって肩書きしかないから、やれることはやらなきゃならないのよ」
「マリやカヲル君は乗らないの?」
シンジの作ってきた重箱弁当を全員でつつきながら、それを大層幸せそうに頬張る2人にも、シンジが話を振る。
「むぐ? 私は、というか私たちは君たちメインパイロットが搭乗できなくなった場合の保険みたいなものだから、乗る機会なんてそうそうないにゃ〜。うましうまし」
「僕もだね。君たちと同じ訓練はするけど、必要性には疑問があるかな。今のシンジ君は、あまりにも強すぎるからね」
「あまりにもって、どこ基準だよ……」
使徒基準である。もちろん呪術込みのステータスではあるが、実践経験の豊富さに限っていえば、シンジは桁が違う。使徒と呪霊の差など、その発生原因を除けば、シンジたち呪術師にしてみればあってないようなものである。
「敢えて僕がエヴァパイロットから降りるってのもアリかもね」
「ダメよ! あんたの目の前で使徒を叩き潰してやるんだから!」
「や、意味がわからん」
相変わらずの対抗心はいつものアスカのものだ。心身共に完全復活したのは、もう明らかであった。
それにしても、とシンジは思った。妙に尖った対抗心である。そもそもエヴァパイロットとしての優秀さはアスカが上なのだから、気にする必要もないのに。成果こそが全てだったとしても、パラメータ的にはそうであるはずなのだ。
「結果が全てだからかにゃ?」
「さりげに心を読まないでくれますかねぇ。ま、確かにエヴァパイロットとしては、アスカと綾波は王道、僕は邪道って感じだし。そもそも術式を絡めたら上の人間は評価なんてできやしないってね」
「あー、あんなのをエヴァでやってた訳かぁ。そりゃあみんなあんな顔するわけだ」
妙に距離感の近いシンジとマリに、膨れっ面でそれを見るアスカ。綾波は手元の味噌汁にほくほく顔。カヲルは弁当のおかずをひょいパクと楽しそうに食べている。
まさしく三者三様の姿。子供らしいともとれるその様子は、他人が見ればきっと微笑ましいものだっただろう。
「ま、マリやカヲル君が呪術に触れるかどうかは知らないけども。その気があるなら、用意くらいはするよ?」
世間話と同じようなノリで、シンジはそんな話をマリ達に投げる。一瞬キョトンとしたマリは、ん〜、と可愛らしく唸る仕草を見せた。カヲルは目を細め、少し剣呑な雰囲気を纏った。
「呪い、とは?」
束の間を置いて、カヲルが微笑みを浮かべたまま、声音だけを僅かに尖らせてそう言った。
シンジはその意図をなんとなく察しながらも、隠すことでもないと考えた。
「呪いは呪いさ。人の負の面、それを糧にした力。使徒やエヴァとはまた違う、人にしかないものだよ」
そう、ただの使徒には決してあり得ない。生命を持つだけでは、シンジの言う呪いは持ち得ない。
リリンの負の面……、とカヲルは小さく呟いた。誰にもそれは聞こえず、シンジは話を続けた。
「ていうか、カヲル君は大体知ってるでしょ。NERVの調書にも同じようなの書いてあるはずだし。あれ結構大変だったんだよ」
「調書? 碇君、何か悪いことした?」
言葉に反応して綾波がコテンと首を傾げる。曇りなき眼でシンジを見つめると、シンジは嫌なことを思い出したと言わんばかりに顔を顰めた。
「悪いことって言ってもなぁ……。まあ五条先生がめちゃくちゃにしたものだから、調書取ってたミサトさんとリツコさんの圧が凄くてね……。今でもよく喋れたなぁとは思う」
「ふーん、あの男、振り回すタイプだとは思ってたけど、あんたが主な被害者なわけね」
アスカがそう言うと、シンジは苦笑を零して空を仰いだ。
──僕はまだマシな方なんだろうなぁ。
夏油や七海はもっと振り回されていたのだろう。ましてや補助監督など無茶振りしかされないのではないか。シンジは内心で合掌するしか出来なかった。
年がら年中、白い雲のかかる夏空。西から流れる厚い雲が、雨が降ると予想した天気予報の的中を予感させる。
影が差せば、いくらか涼しくなる時節だ。雨が降れば、さらに涼しくなるだろうか。
「そういえばバカシンジ、あんたもあんたでなんかやってるんでしょ? そっちの方はどうなの?」
「ん? ああ、まあまあかな。といっても目処も何も立たないから、暗中模索ってところだよ」
「そ。あんたも大変よね」
「アスカたちもいずれ通る道だよ」
黒閃もまだ成せず、手本もないのなら手探りでやり続けるしかない。それでも、何かきっかけがあればというところまで来ているシンジは、やはり五条サトルに匹敵する才能の持ち主といえる。
マリやカヲルはそんな話を聞きながら、彼らと同じところに足を踏み入れるべきか、さまざまな思考を重ねていた。
呪術師となるにも、向き不向きというものはある──というのはシンジが口にしたこともある話だが、マリやカヲルの場合、どれほど適性があるだろうか。
成熟した大人が呪術師になる、という例はほとんどない。ほぼ完成された精神性や思考は普通の常識に縛られ、狂うことなど出来ないからだ。
ならば、幼い時分から呪いの世界に身を置いていれば。
「さて、マリたちはどうするの? 今決めろとは言わないけど、早めにね」
「ん〜、お試しとかあるんなら前向きになるかもなぁ〜」
「興味はあるね」
マリとカヲルは、お試し、興味はある、という一歩引いた立ち位置でそう言った。綾波やアスカのように、迷いなく飛び込んでくる選択肢をチョイスしなかった。そしてそのことが、綾波たちほど向いていないとシンジが考える理由でもあった。
こうなるのもある種の必然ではある。マリは精神的には成熟しきっているものであり、カヲルは呪いとは別の理の中にいるのだから。今更呪いの理に染まりきるなど困難なのだ。
かといって別に拒否する理由もない。人数が多くて困ることなどありはしない。
シンジはそんなことを考えながら、じゃあ、などと言ってみた。
「触れるだけ触れてみるってのもアリかもね。その後の判断はお任せするよ」
「な~んか含み感じるなあ。けどそういうのがあるなら是非やってみたいにゃ」
「それで、君のことが知れるのなら」
「カヲル君、僕にもプライバシーというのがあってね?」
そういいながらもシンジは立ち上がり、屋上に転がっていた何かの破片──コンクリートと思われる──を幾つか拾い集め、それをマリとカヲルに手渡した。
「……これは?」
「見ての通り。剥がれ落ちたコンクリの破片。基本的に呪力はなんにでも込められる。無機有機問わずね」
そういわれて、2人は掌の上に転がる破片に目を落とした。なんの変哲もないものだが、その言葉が正しければ──。
「お察しの通り、それには呪力が込められてる。ほんの少しだけど」
シンジは2人に目を閉じるように言うと、右手の人差し指を立てた。
「「……っ!?」」
「「……あ」」
それから数瞬遅れて、掌上の破片が割れるように砕け散った。それと同時に、込められていたシンジの呪力がマリとカヲルに直撃する。呪力の煽りを受けて呻きを漏らすが、大した威力もないので咄嗟に出た反応だろう。
綾波とアスカは、あまりにもはっきりとした既視感を覚えていた。まぎれもなくそれは、何度も受けた覚えのあるものである。
「……っあ、何これ!?」
マリは大層びっくりした様子で、カヲルも静かに目を見張っていた。それは文字通りの初体験であったのだから。
シンジは2人の様子に苦笑しながら、説明を始めた。
「それが呪力。僕からの、心を込めた呪いだ」
「これが、シンジ君の、心……」
カヲルがぽつりと呟く。シンジはそれに軽く頷き返して、また破片を放った。
「スタートラインに立つには、自分の呪いを知らなきゃならない。その為の方法がコレなんだ」
再びシンジが印を組めば、遅れて破片が弾ける。すると2人は、なんとなく、ほんのわずかな違和感に気づいた。
「他者の呪力に晒されることによる自己防衛。自分の心は自分で守るしかないってこと。それがこのやり方の原理だよ」
元々エヴァパイロットは感受性が高く、呪術師としての高い才能を秘めている。これはその一端でもあるのだ。
元来、他人の感情を理解することなど不可能に等しい。この世界に一つとして同じ感情などないゆえである。『気持ちは分かる』などと言う言葉は、実際のところは相手の感じているであろう感情と、自分の中のそれとよく似た感情を比べているだけであり、全く同じものでは無い。
故に、人は他者の呪いを拒む。その際に自分の呪いが無意識に溢れることがあり、それを知覚するのがこの方法の目的だ。
「ま、肉体は割と呪いを受け入れるんだけど……。無理矢理呪いを押し付けると、みんながよく知る『呪われた』って状態かな」
「結構無理矢理だったのね……。もっとマシな方法なかったわけ?」
「んー、どうだろう。こればっかりは感覚だから、正直無いんじゃないかな」
アスカが今更ながら知った自身の鍛錬方法のあれやこれやについて、呆れたような声音で尋ねるも、シンジは笑いながらそう言った。10年近く変わってない方法なのだから、シンジはそう言うしか出来なかっただけでもある。
ともかく、とシンジは間を置いた。
「なんにせよ、アスカ。君と一緒に訓練してくれる人が増えた。負ける気はないだろ?」
「……ったり前よ! あたしはあんたを追い越してやるんだから、負ける訳ないじゃない!」
そうこなくちゃ、とシンジは笑った。
綾波に目を向けると、綾波はぱちくりと目を瞬かせ、首を傾げた。
「さすが綾波って感じかな?」
「あれは競争心が足りないのよ。もっと焦らせないと」
「あれはあれでいいと思うけどね」
「なに、えこひいき?」
「尊重してるだけだよ」
軽いやり取りに、アスカは知らぬ間に満たされてる感覚を覚える。これが欲しかったものだと、笑っていた。
「ちょ、シンジ君、もーいっかい! なんかいけそうにゃ!」
「僕も頼むよ、シンジ君」
延々と呪力の煽りを受けていた2人がそう声をあげた。
シンジはそれを時間だからと断り、ささっと弁当を片付けた。
雨は夕方からだっけ、と。シンジはほんの少し暗くなってきた空を見上げてそう呟いた。
「いいところですね」
「私のお気に入りですから」
同じ頃、乙骨と七海は、七海のお気に入りの喫茶店で話をしていた。
話題は世間話からなにから。──そして、呪いの話。
「ホント、ここ少ないですよね。驚きました」
「同感です。ですが、お陰でゆっくり出来ていますから、ありがたく思うべきかもしれませんね」
「確かに」
いつになく穏やかな表情でそう言った2人。頼んでいたコーヒーとパンのセットが運ばれると、七海の眉間のシワが解けた。
乙骨はそれを意外そうな目で見て、七海はその視線をわかっていながらも、優雅にコーヒーを楽しんでいた。
「で、七海さんは読みました? 五条先生からの報告書」
「書いたのは夏油さんらしいですが、目は通しました。使徒やエヴァンゲリオンといった埒外のもの、そして天元様の言葉。彼も厄介なことに巻き込まれましたね」
コーヒーを一口。七海はブラック派だが、乙骨はブラックが飲めないため、角砂糖をいくつか。
ゆるりと流れる時間に、ゆるりと話を重ねていく。
「『運命の子』……、確かにシンジ君はすごいと思いますけど」
「天元様がそう言ったのですから、彼が鍵を握るのは間違いないでしょう」
かちゃりと、2人揃ってソーサーにカップを置いた。
「それと乙骨君、これは私の勘ですが」
そう前置きして、七海は一つ大きな息をついた。
「近く、面倒な事が起きる気がします。気を抜かないようにして下さい」
乙骨はその言葉に背筋を伸ばし、頷いた。
痛いほどではないが、少し重たい沈黙が降りる。乙骨は少し申し訳なさそうに、七海に尋ねた。
「──どのくらい面倒そうですか?」
「そうですね……、五条さんと夏油さんと家入さんをまとめてどうにかしなければならないのと同じくらいかそれ以上、という感じでしょうか」
うわ、と乙骨は天を仰いだ。目の前には天井しかないが、そうしたくなった。
あの3人のかなりの悪友っぷりは有名で、それをまとめて相手するのは、想像しただけでも身体が重たくなりそうなほど面倒そうであった。
「まあ、覚悟はしておいたほうがいいでしょう」
「分かりました……」
と、ふと乙骨は七海のパンに目を向けた。
少しして、乙骨は店員を呼んで同じものを注文した。
「どうしたんですか、突然」
「いや、随分美味しそうに食べるなぁ、と」
そういうと、七海はフッと笑った。
「ええ、私の好物ですからね。当然のことです」
そして乙骨も実際に食べると、そのおいしさにご飯派からパン派に鞍替えしよっかなと本気で悩むことになるのであった。
なおリカちゃんがご飯派なのでご飯派に踏みとどまった模様。
さしす組は悪友関係だからね。そういう風にはっちゃけてもらいたいという私の意思です()。なお伊地知さんがいた場合、彼は胃薬必須。
ヒロインレースはアスカとマリが先頭。綾波はマイペースに追走。ダークホースのカヲル君(!?)。
いい加減、そろそろ物語を進めます。でもこういう話が欲しいんだよぅ!(なおアスカたちの術式は決まらない模様)
感想、誤字報告は結構ありがたいのでどしどし欲しい()。