動乱へとようやく話が進んだ……。日常回なんてここにしか突っ込めないから、無茶苦茶にしてましたよ……。
そういえば同cv.のキャラクターが……。感想で特級呪物に指定されました。封印確定ですね()。なんの偶然なんでしょうか、その日は興奮しっぱなしでした。
なお食事会のある世界線ではありません。そりゃ和解したいとも思ってないから当然ですね!
ちなみにカヲル君はふと思いついた独自設定の下、割とすんなり呪いを学んでいます。曰く「筋はいい」のだとか。
「思ってた以上、かな」
呪術鍛錬。その人数を2人増やして4人となったが、なにぶん全員クセが強い。当然、シンジの手には余るわけで、乙骨と七海にヘルプと縋るのは見えていた未来でもあった。
「シンジ君、彼らには術式が発現すると思うかい?」
乙骨がシンジへとそう聞いた。
一般に術式の有無は幼い時分に自然とわかる。詳細は分からずとも、持っているかどうかは、六眼が無くとも明確に分かるという。
しかし、呪力が練れなければ分かるはずもなく、故に今まで持ってないという認識であっても何ら不思議ではない。
シンジは少し唸るも、可能性はあると答えた。
「どんな術式かは、皆目見当もつきませんけど。五条先生がいたら分かるんじゃないですかね」
「何も言わなかったのに?」
「大概面白い方に舵を切るのが五条さんの性根ですから、持ってるにしても持ってないにしても、何も言わなくてもおかしくは無いでしょう」
そんな話が耳に届いたのか、七海の声が2人の上から降ってきた。付き合いの長さで言えばシンジの方がいくらか長いが、友人に近い七海の方がこういう時の五条サトルの行動については詳しいらしい。そしてその点はシンジも納得する点であった。
「進捗は上々、といったところでしょうか。まだ荒削りではありますが」
「僕よりも早い気がしますよ。自信失くしちゃうなぁ」
「シンジ君も大概な気が……」
肩を落とすシンジを苦笑いしながら見る乙骨。シンジは1つ深いため息を吐いた。
その後は指導、修正で時間は過ぎ、この日の鍛錬は終了となった。マリやカヲルも悪くは無いと思っているようで、しばらくは顔を出すことにしていた。
帰宅の途、いくらかの買い物を済ませ、部屋へと戻ってきた。手に持つエコバッグはそこそこ年季が入っている代物で、それがパンパンに膨らんでいた。元々2人分程度までしか入らないバッグにかなり無理矢理詰め込んだのだから当然のことだ。
「今日のご飯は?」
「ビーフシチューでいい?」
「あんたのご飯なら文句はないわ。レイもでしょ?」
「お味噌汁は?」
「流石にビーフシチューに味噌汁はなぁ……」
そう……、と少し悲しげに言う綾波に、何とかしてみたいとは思うシンジだが、こればかりは諦めてもらおうと決めた。ちらりとアスカの方を見ると、アスカも頷いていた。その横でペンペンも頷いていた。
手早く冷蔵庫に食材を詰め込み、予約炊飯が機能しているのを確認したシンジは、エプロンを着用。アスカと綾波に風呂に入るように言い、夕飯を作り始めた。
意外にも速風呂な2人だが、それでも煮込むまでの行程は終わるだろう。長年積み上げてきたシンジの家事スキルが光る。
「ん、いい匂いね」
「どーも」
ホカホカのアスカが先に出てきた。中学生ながらも、そのスタイルは大人顔負け。ほぼ裸といってもいい下着姿でうろつくその姿は、並の男子ならば赤面して慌てること間違いないのだが、碇シンジという少年はその点において並というラインにはない。
アスカとしても狙ってるわけでは無く、いつも通りのことであるから問題はなかった。
「湯冷めするよ」
「わかってるわよ。母親かあんたは」
これもまたいつも通り。シンジは素の反応でコレなのだ。
「綾波は?」
「もうすぐあがるんじゃない? ミサトは?」
「多分もうすぐ……、ほら」
ガチャリという音は玄関ドアの開く音。疲れきったただいまの声が聞こえてくる。
廊下と玄関を繋ぐドアが開き、ミサトが心底疲れた風体で帰ってきた。
「おかえりなさい、ミサトさん。ほら、荷物ください」
「ただいまシンジ君。いやぁつっかれたぁ〜!」
「とりあえず風呂、入ってきてください」
側からみると、ミサトが甲斐甲斐しく世話されているようにしか見えない。アスカはミサトになんとも言えない視線を向けていた。
「いい匂いねぇ。ビーフシチューかしら?」
「その通り。さ、風呂に入った入った」
ミサトをバスルームの方へと押し出し、シンジはキッチンへと戻った。
「ねぇバカシンジ。術式って何よ」
「ん?」
かちゃかちゃと洗い物をする中、酔い潰れたミサトを布団に投げ込んだアスカは、ダイニングでくでりとしながらそんなことを聞いてきた。
シンジにとってそれは、特段隠すようなものでもない。すでにお披露目はしているものであり、むしろ教えていかなければならないものでもある。
せっかくだ、と少しだけ教授することにした。
「術式は略称。正しくは『生得術式』って言うんだけど、大半の術師が生まれながらに宿しているものだよ。これに呪力を通すと、呪力単体ではなし得ない『効果』が得られる」
「例えば?」
例を挙げるよう言われると、シンジはいくつかの術式を、自分の知る範囲で開示した。
「例えば、七海さん……、スーツの人の術式は『十劃呪法』って名前がある」
「とおかく……?」
「そ。十劃ってのは確か、『十に区切る』って意味だったかな。この術式は相手の長さを10分割したときの7 : 3にあたる点が弱点になるっていう効果」
「へぇ、使いづらそうね」
アスカの尤もらしい意見にシンジは内心で否を返す。
アスカは呪霊との戦いを知らないが、七海の術式は固定化された『長さ』を持つ相手ならば、弱点を
ゴリ押しがメインである無下限とはまた違った形で、扱いにコツが必要な代物でもあった。
「僕たちから見ればそうかもしれないけど、多分術師は術式に順応する性質があるから、七海さんからみればそうでもないかもしれない」
術式への順応。他にも、夏油は到底口に含めるようなものではない呪霊に耐性があるといった例がある。無下限持ちは、元来観測や認識のできない『無限』を、無意識下で知覚しているのだろう。でなければその一端であれど無限を手にするなど不可能である。
「で、あんたのは?」
「僕の? 僕のは『無下限呪術』っていうやつ」
「無下限?」
「うん。無下限」
無下限呪術。言わずと知れた五条家相伝の術式。緻密な呪力制御を以って、無限を操るもの。
シンジはこれを感覚的に理解しているが、誰かに教えられるほどではない。無下限呪術は概念チックなもので、容易に理解はできないだろう。
「ま、君に術式があるかどうかも分からないから、まずはそこからだね」
アスカにそう言って、シンジは授業の幕を引いた。
「なあシンジ、式波は体調でも崩したんか?」
数日後の昼下がり。シンジはトウジたちといつもの場所で弁当を食べていた。昼休みというわけだが、相変わらず人が寄ってこないのだから、シンジとしてはやっぱりベストプレイスだ。
疎開も進み、登校してくる生徒も少なくなってきた。それは憂うべきことなのか、あるいは死地にいる人間が減って喜ぶべきなのか。シンジは後者の考えを持つ人間だった。
「ん? アスカなら今頃エヴァの試験起動について行ってるはず」
「試験起動って、新しいエヴァでも来たの?」
ミリオタの気があるケンスケは、それなりに頭の回転が早い。試験起動とエヴァの新型機の登場が結びつくのも早かった。
「らしいよ。ミサトさんから聞いただけで、僕たちも詳しいことは知らないんだけど。確か松代でだったかな」
「大変なんやなぁ、エヴァのパイロット言うんも。渚もおらへんかったし」
カヲルはマリと揃ってNERV本部に赴いている。目的も不明だが、しかしシンジにとってはさして問題ではなかった。
ミサトの言も、夕食後にさらりと言われただけで、何も聞いてなどいなかった。ただ、その新型機の姿形だけは資料で見た。黒をベースにした、知らない人間が見れば少し恐怖感を煽られるだろうか。シンジからすれば、色だけ変わった角の無いエヴァ初号機という印象だった。
弐号機自体は、凍結ということで本部内に存在している。マリ曰く、解凍はそう難しくはないのだとか。それでいいのかと、シンジは管理体制の厳格化が必要ではないかと心底思っていた。
「ま、僕が特殊にすぎるだけだよ。今日は早めに学校終わるし、さっさと帰って寝たい」
半ドンとまではいかないが、珍しく早上がりになるらしい。学校の都合ではあったが、それはそれでとシンジは受け入れていた。
「じいさんみたいやなあシンジ」
「ほっといてくれ」
やんややんやとそのままの流れで放課となった。日常を享受できる
「……はぁ。なんか、なんだろうなぁ」
言葉にもならない、──虫の知らせ。
雨でも降るのかと空を見て、雲が遠く山の向こうに見えた。
洗濯物の類も今日は無いのだから、憂いはない。
「ん……」
ふと、携帯が鳴る。NERV支給の、シンジの私物ではない方のもの。
なるほど、とシンジはイヤな予感に納得する。
「はい、もしもし」
『あ、碇君!?』
「はい、碇ですけど。そんなに慌ててどうしました?」
分かりきったことを聞く。それは確認の意を含むのみである。
『使徒が現れたの! 今すぐ本部に来てちょうだい!!』
有無を言わさずにぷつりと途絶えた。確か伊吹って名前だったっけ、などと電話の向こう側にいただろう人間の名前を思い出しながら、シンジは屋根を駆けてNERVへと向かった。
西日がヘリの窓から差し込む。シンジは眩い光に目を細めながら、翳した手で影絵を作った。
「で、使徒は?」
『松代にて確認されたわ』
エヴァの待機するゲージはすでに松代にあるという。必ずしも適合し操縦できる保証はないのだから、それに対する保険として初号機を移送したのだ。シンジはNERV本部到着後、すぐさまヘリに乗せられ松代へと移動していた。オペレーターとの会話は無線越しである。
そして、聞き覚えのある名前を耳にしてシンジははた、と動きを止めた。
「松代?」
『そうよ』
その場所は、シンジの記憶が正しければ──。
「確かアスカが、3号機の試験起動を行ってましたよね?」
『現地の状況がまだ完全に把握できてないから、彼女たちがどうなったのかは分からないけど、3号機のバイタルサインは確認できてるわ』
ほっ、と胸を撫で下ろす。柄にも無く、少し焦ったらしい。
『碇君、プラグスーツは?』
「問題ないですよ」
大嘘である。置いてあったプラグスーツは、相変わらず慣れなかった。プラグスーツを着ろとうるさいリツコたちがいないので、ならばとシンジは着ないことにしたのだ。
「あ、着いたらしいので、切りますね」
『待ちなさい、碇く』
問答無用で回線を切断した。戦うのはシンジであるから、その辺り自由にさせてほしいという、自由な考えである。
誘導に従い、初号機のコクピットへと向かう。戦車などの軍用兵器や軍の兵に囲まれたまま乗り込むのは、妙な感覚である。こんな子供が……、という視線には、期待や諦観などの正負様々な感情が見てとれた。
満たされたL.C.L.が肺へと流れ込み、液体呼吸を始めた。そのまま初号機が起動し、見慣れた高さの風景が目に入った。
「さて……と」
コクピットの後方にある見慣れない装置から目を切り、初号機を直立させた。高さおよそ80メートル。周囲の構造物よりも遥かに大きなその威容に、辺りの兵士が後ずさった。
ズ……ン、と地響きが聞こえる。何かがやってくる。
「来た…………か?」
遠目で見たそれは、明らかに見覚えのあるシルエット。ふらふらと左右に揺れながら、それでもまっすぐこちらへとやってくる。
「おい……」
操縦桿を握る手が、震えた。
「何だよ、アレ」
ズームされた映像が、手元に現れる。だが、その必要もないほど、はっきりと見える。
「答えろよ……。何なんだよアレ」
回線を開き、司令室に向けてそう尋ねる。返事は、ない。
「答えろよ……なぁ、答えろって言ってんだよ!! 碇ゲンドウ!!」
久しく激情に駆られて、シンジは声を上げた。吐き捨てるように、自らの父の名を呼んだ。
『先程、パターン青が検出された。ならばアレが使徒だ。初号機パイロット、使徒を殲滅しろ』
「ふざけるな! アレは……、アレはっ!!」
回線が、割れた音を運んだ。
「エヴァ3号機……、アスカが乗ってるやつだろうが!!?」
地に影が落ちる。そして、夕日の沈む茜色の山を背に。
絶望を運ぶ使徒が、立ちはだかる。
──世界が翳り、何かが壊レル音ガシタ。
まあ大きく変わらない流れです。3号機にシンジ君が乗る流れもありましたが、初号機はシンジ以外受け付けない(だろう)ということで。
無下限に関する設定はでっち上げもまあまああります。悪しからず。
ちなみにアスカ視点の需要とかあるんですかねぇ。(書くとはいってない)
実のところ、最初のプロットではアスカのメンタルがここまで快復している予定はありませんでした。まあでもこれはコレでありかと思ってますけども。シンジ君が強すぎるんだよ……。