呪術師・碇シンジはエヴァパイロットである   作:けし

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エヴァQを見た感想→Qって何だよ!!!

あのクールなミサトさんにビールとツマミを与えても元に戻らないだろうか、いや戻る(反語)

シンジ君のメンタルはボーダーを越えなければオリハルコンメンタル。


伍. 未知の日常

「っと、これで最後か」

 

 どさっ、と山積みになっているゴミ袋。ごみステーションにぶち込まれた袋の大半は葛城家から排出されたものだ。

 よくもまあこんなに溜め込んだなぁ…などと零し、額に滲む汗を腕で拭う。制服のままでいたために、カッターシャツは少し汚れてしまっていた。

 手洗いコースかぁ、とため息を一つ。袖口や襟の部分は洗濯機だけでは落としきれないのだ。

 エレベーターではなく階段を登っていき、住処となるミサトの家の部屋を開ける。

 

「よし、これでいいか」

 

 ゴミを退けられ、シーリングライトの光を存分に浴びるフローリング。一人暮らしには大きめのキッチン。そもそも部屋を持て余していたのだろう、部屋の一つは物置と化していた。が、ミサトは断捨離できない気質ということで、当面のシンジの部屋となる和室と、空いていた洋室に段ボールやその他の荷物を放り込んだ。

 物に囲まれた少し窮屈な部屋が落ち着く、とはシンジの弁である。何かに囲まれた、或いは包まれたような感覚が、シンジに安心感をもたらすのだ。それがシンジの根源的な欲求の表れかは、誰にもわかるはずもなく。

 

「ミサトさん、リクエストありますか?」

「へ? 何の?」

「晩御飯ですよ。あの部屋の様子からして、ミサトさん家事駄目人間でしょうし。まだスーパー空いてるみたいですから、買い物でも行こうかと」

「シンジ君、あなた…」

 

 神よ…、と言ってるのが聞こえる気がした。リクエストと言っても念のためであり、何でもいいだのビールに合うやつだの言われたら唐揚げ一直線のつもりだった。

 

「で、ご希望は?」

「エビチュに合うやつ!」

「じゃあ唐揚げですね」

「即答!?」

 

 案の定な答えに、返す言葉は神速のインパルスじみた反応で飛び出てきた。生活様態が把握されかかっているミサトはだらしなくテーブルに伸びたままである。

 

「シンジ君が家事できるなら、コンビニでわざわざ買わなくてもよかったわねぇ」

「別にいいじゃないですか。明日から学校って話ですし、お弁当作るのに丁度いいですよ」

「弁当ねぇ…」

「ミサトさんは弁当要らないんですか?」

「いる」

 

 ふふ、とシンジは苦笑した。ミサトの人柄と陽気さに当てられてか、シンジが笑みを零す。

 シンジが見せるその表情、その雰囲気。それらはミサトの庇護欲を唆った。なよっとしているように見えるが、実は割と筋肉質なシンジの身体。そして、父とは似つかぬその微笑み。どちらかと言えば女の子に見え、声変わり前の可愛らしい声と合わさって、かなりの破壊力になっていた。

 

「うーん、シンジ君の色気ェ…」

「なにか?」

「んーや、なんでも」

 

 訝しげな視線を一瞬だけ向けたシンジは、しかしその視線をすぐに外し、マイバッグを持って買い物へ出た。

 いってらっしゃーい、と間抜けな声を出しながら、グビグビとビールを飲み干していく。

 

「マイバッグて…、しっかりしてるわねぇ」

 

 ミサトは1人、そんな事をのほほんと宣うのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 その翌日。シンジは朝から弁当二つを作り、書き置きとともに家を出た。夏の早朝。熱帯夜の残滓はあるが、一番過ごしやすい時間帯ではあった。

 学校は当然開いておらず、そもそもシンジの目的はそこにはない。これはここに来る前からのシンジの日課である。走り込み、仮想組手。そのためにシンジの格好は制服ではなく、半袖半ズボンの運動仕様だ。走り込みは5〜6キロほどで済ませたシンジは、近場の公園で上がった息を整えながら組手の相手を仮想する。使徒との戦いを据え置くなら、組手は1対多ではなく1対1を仮想すべきだろう。

 

「…、っっ、」

 

 伸ばしてきた手を左手で外に弾き、一歩踏み込む。右手に呪力を込め、正拳突きの要領で突き出す。空いた手でそれを封じられ、外側に振り回される。踏ん張らずに飛んで流し、体勢を崩さずに着地、再び構えを取る。

 ──相手はやはりというか、彼の先生たる五条サトル。無下限呪術の師であり、体術の師。そして、彼の根幹にある支え。

 戦闘スタイルは近接。無下限呪術により強化された膂力を存分に振るい、敵を潰す。時々『赫』と『蒼』を使う。『茈』はまだ制御が甘く実戦に持ち込めていない。『茈』が使えるようになれば、使徒戦でも武器になるのに…とシンジは試行錯誤していたりする。

 

「、っはぁ! …はぁ」

 

 一撃も入れられない。空想の五条サトルですら、シンジにとっては雲の上だ。

 滴る汗をタオルで拭い、制服に着替える。人通りはないので、叫ばれることもない。監視カメラの類は軒並みNERVの代物なので、文句を言われることはないだろう。

 手近なベンチに座り込んだシンジは、S-DATの電源を入れて、そのまま目を瞑る。呪力の精密制御鍛錬。原子レベルは無理でも顕微鏡レベルなら行けるっしょ…とは五条の言葉である。

 しばらく死んだように動かないまま。朝日が暖かく身体を包み、シンジを現実に引き戻した。

 

「…行くか」

 

 るんるん気分とは行かないがほんの少しの期待くらいはいいだろう、とシンジはその足で学校へ向かった。

 

 

 

 

 ──────

 

 

 

「ここ、か」

 

 第3新東京市立第壱中学校。飾り気も何も無い、記号のような名前が彫られた校門を潜り、職員室へ足を運んだ。

 シンジは在学生に紛れながら歩を進める中で、皆のことを観察するように見ていた。緊張感もなければ、危険もない。耳に入る話は宿題の話だったり、バカ話だったり、あるいは下世話な話だったり。

 

 ──子供らしいって、こういうのなのか。

 

 自分のことを翻って見れば、呪術を扱うための特訓に骨身を削り、呪霊との戦いで命を削り、時折五条が流してくる任務に奔走する姿ばかり。

 ついでにいえば、ついこの前にはエヴァンゲリオンに乗ったりしている。子供の日常に真っ向から喧嘩を売るような、普通とは縁遠い日々だ。

 笑い、揶揄い、怒り、泣く。豊かな感情の発露を見て、異世界にいる感覚を覚えてしまった。

 

 ──ちなみにシンジは、情操観念については殆ど知識がない。先の通りそれと縁遠い日々を送ってきたゆえである。さらには怪我やらなにやらで慣れたのか、異性の裸体を見ても『怪我してないね』で済ませる始末である。

 

「はーい、今日は転入生がいるので紹介しますね」

「初めまして。碇シンジです」

 

 2-Aと看板を掲げた教室で、担任がシンジを紹介する。ざわめいていた教室はひっそりと静かになり、転入生に対する期待、疑問がクラスの中に湧き始めた。

 

「以前は京都にいて、父の都合でこっちに来ました。よろしくお願いします」

 

 何一つ嘘はついていない。その父親がシンジを駒と見ていると知れば、彼らはどう思うのだろうかとシンジは考えた。

 

「転入生だってよ、トウジ」

「……フン」

 

 シンジにとって初めての『普通』となる中学生活。それが順風満帆に行くかは、まだ分からない。

 

 




この世界線にはQなんてないんや…。ニアサード起きんの?このシンジ君で?
問題しかない(マダオヴォイス)
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