A.いいえ。上橋菜穂子です。
イサカさんは仮面ライダーの悪役や作家さんにいます。漢字を間違えると怒られます。
「可愛いとか不細工とか関係ないんだよ。」
謎の悪寒に震え上がった僕を背にセヲリは追及を続けるがひらひらと妖精女王は言葉を躱す。埒があかない。
「イサカさん、時間ありそうなので契約の仕方教えてください。」
「まだしてないん?スマホ出して。」
イサカの指示を聞いてポチポチボタンを押すと『登録悪魔一覧』という項目に『妖精 ピクシー』が表示された。
「これでよし。スマホに入れたり出したり出来るで。ただし契約したからマグネタイトはサマナー依存や。出しとりたかったら稼ぎいよ。」
「はい。」
「やっとねー。もう。じゃ、今後ともよろしく〜。」
ピクシーをスマホに戻した後もセヲリはまだごちゃごちゃ言い合っている。
どうしよう。イサカに色々聞こう。
「そもそもなんで協定とかあるんですか?」
「うーんとな。前までサマナーの中で『羽狩』っちゅーのがあったわけ。」
似たようなワードさっき聞いたぞ。それ。
「妖精の羽とか髪とかワッペンとか毟るみたいな。駆け出しからいっぱしへの腕試しみたいな感じなんやけど素材としてもそこそこええし、変態がおったもんで怖がらせて嬲って...みたいなのがあったわけよ。」
トキの乱獲みたいで生々しい。
「悪魔に対しての鬱憤払いってのもあるのよ。まぁ〜殺されまくったからなぁ。それはさておき、その頃事件が起こる。メシアとガイアの大抗争や。ブンキョー・ダイトウを舞台にそれはもう暴れる暴れる。上野公園にもとんでもない被害が出たわけや。そこで出てくるのがマコトっちゅーオッサンとあそこでまーだごちゃごちゃ言うとるセヲリ。」
威厳がないなあ。あっても困るけど。
「ちょっとした小競り合いや1日2日のもんならオッサン共のええ酒の肴やけど現実で1月たっても終わりゃせん。妖精はバタバタ死ぬしサマナー達にも大迷惑。みんな困った所にセヲリが上野公園に目ェ付けたわけ。」
「どこから突っ込めば良いんですかね。」
「な。」
もう遠慮するのも馬鹿らしくなって来た。突っ込み所が多すぎる。
「こっから先は詳しくは知らんけど元々セヲリは需要がなかったもんで羽狩は積極的な方じゃなかったし相方はあの口悪ダルマや。席作るのは簡単でこそないけど早かった。マコトのオッサン抱き込んであそこの2体と大交渉。羽狩の禁止を絶対条件に協定が完成。上野公園を城にカルトをボコボコにしてようやく平和が訪れたわけ。以降、羽狩する奴はセヲリにぶちのめされた後ここの連中の玩具にされるようになりましたとさ。お仕舞い。」
びっくりするくらい利害一致の末だった。
「妖精って聞いてももうときめけませんね。」
「ティンカー・ベルだってウェンディ殺そうとするもんなぁ。」
なにそれ、聞きたくなかった。
「因みに他の恩賜公園との協定は別のサマナーが聞いた話を元に付けた話。ただしルール破りの始末はセヲリに任されてるから手足の甲あの槍でキリストみたいにされて公園まで引きまわされた後
キリストみたいって何?話の流れ的にぶっ刺される感じだったけど。
「痛そうですね。」
「生きたまま食われるで。」
今日一聞きたくなかった。
「あの人今19ですよね。当時僕より年下でそんなことしたんですか?」
「そもそも歳忘れた。おーい!何歳〜!?」
いつまでやってんのかまだまだ争っていたセヲリにイサカは叫ぶ。
「あら、年上の女性の歳なんて聞いちゃダメよ?」
「お前ちゃうわ。」
「19の短大2。」
茶番を無視して答えるセヲリ。
「お弟子君が16でよく無茶苦茶できたなって言うてるで。」
言ってないです。思っただけで。
「ああ、アレ?オッサンがいなかったら無理だったよ。私は言出屁は得意でも後に付いてくれる人がいないとどうしようもないから。」
「マコトのオッサンなぁ。あの人も何なんやろな。ヤバいよな。」
「どんな人ですか?」
「最強。」
「最強ネゴシエーター。」
口を揃えるセヲリとイサカ。
「あの人に勝てる人間なんか天と地が3べんひっくり返ってもないに全額賭けれるわ。」
「むしろあの人が負けるより先に天地が3回ひっくり返る方に全額賭ける。」
何で人の黒星より先に世界が3回滅びるんだよ。
ドウェイン・ジョンソンみたいなのを想像しておこう。
多分ムキムキマッチョの凄いおじさんだ。
「何想像しとるん?」
「多分蝶野みたいなのをイメージしてるんだろ。」
あながち間違ってないです。
「さて、アホな言い争い見るのも飽きたしやる事出来たから行くわぁ。」
「何かあったの?」
「ん〜?ちょっと〜。」
適当な返事だったが妖精女王はピンと来たらしい。
「ああ、アレね。駅の方だと思うわよ?」
「マジで?ありがとう。じゃあ〜。」
適当な言葉だけ並べてイサカは去って行った。
「あー疲れた。私らも行きますか。」
口喧嘩してただけの割に疲れた様子のセヲリは伸びをする。
「とりあえず。」
「あー!ごめんやる事に気ぃ取られて忘れとった〜!」
どたたたたと例の双頭の悪魔に乗ったままイサカが戻ってきた。
「何?」
「はいこれ。お弟子君にプレゼント。」
と、イサカは僕に小さな箱を渡した。
「ホイッスル?」
「サマナー必需品その5くらい?じゃ、後よろしく。」
本当に渡すだけ渡して行ってしまった。何なんだあの人。
ドウェイン・ジョンソンは妹が好きです。
協定経緯:メシア・ガイアの大抗争を切っ掛けに行われた妖精達との協定。
敷地内での相互の同意のない戦闘・攻撃を禁止し、両者の安全地帯とする事が義務とされている。
破られた場合は破った者を破られた側が好きに扱って良い。
元々セヲリが『妖精作戦』という名前で行おうとしていたが交渉前日に『ケートハブン作戦』に変更させたという逸話がある。
これをきっかけに、各地の恩賜公園で協定が結ばれた。
ホイッスル:イサカが新人達にいつも渡している笛。通販で購入している。
デザインはその時によって変わるが120dB(飛行機のエンジン周辺)以上の音が出せる事、金属製は共通する。自身の危機を知らせたり周囲への危険勧告にとても有効。