真・女神転生square root   作:長月 海里

11 / 28
ゴジラの映画観に行きたいですね。


それを見つける

 異殻・ウエノ駅構内。

「ここね。」

「ここやな。」

 カツーンカツーンと足音響かせながらスマホを左手にイサカは探索を開始する。

「人型で光る悪魔か...駅ン中は明るいからなあ。」

 異殻の住宅の照明は手動で電源を入れないといけないが駅や街灯といった公共物は何故かいつでも着きっぱなしだ。

 かつては色々調べたがどうにもよく分からなかったので千代田区がマグネタイトの一大集合地であるのと同じく認識の問題だろうと諦めた。

 何年調べてもノウハウも先立も存在しない中では異殻の理解には程遠い。

「まー出来る方がおかしいんやけどさァ...。」

「何が?」

「何も。...『縋って叫んで朝はない笑って転んで情けない誰のせいでもないこと誰かのせいにしたくて...』」

 誰もいない構内にワンワンと歌が響く。

『「僕っているのかな?」本当はわかってるんだ...』

 ヒタヒタヒタ、と中央改札の向こうにある階段から音がした。

「イサカ。」

「なんかおるな。」

 ピタッ、と止まる音。

「アイツか?」

「そうね。」

「よっしゃ。...そこの悪魔。お前やろ?そこの公園にちょこちょこ来とるんは。」

 そう言った途端、音の主はベタベタベタッ!と凄まじい勢いで階段を駆け上がった。

「あー!瞬発力どん詰まりのデットエンドやっちゅーのに逃げんなや!!」

 中央改札を漫画顔負けに飛び越えると音の主を追い掛ける。

「イソラ!追っかけてちょい寝かし!」

「マカセロ。」

 

 

 階段を駆け上がるまでにホームでドタガタと暫く騒がしい音が聞こえていたが、ドサッという音がして静かになった。

「私でも出来たのに...。」

「イソラの方が面積広いから逃しづらい思て。」

 そう言いつつイソラに眠らされた悪魔に近づく。

「なるほど。人型で光っとるな。歩道の信号機みたい。服がえらい現代的やけど。Tシャツとジーパンかこれ?アナライズ。」

 ぶつくさ言いながらアプリを起動してアナライズを開始する。

セヲリは新人サマナーにしっかりと教えなかったが、アプリには悪魔の情報を解析する機能が付いており弱点や攻略法がある程度得ることが出来る。

 戦闘中に中々扱えたものでは無いが、知っていれば戦闘は格段に楽になるはずだった。

 

「何やこれ?」

 何度試しても悪魔として認識されない。

「リャナンシー。まさかとは思うけどこいつ、悪魔か?」

「さあ。少なくともマグネタイトを摂取しているのは確実だけど。」

「...マグネタイト吐いたとも言うとったよな?一つ思たんやけど、コイツ、作ってない?マグネタイト。」 

 悪魔はマグネタイトを貯蔵したり消費することはできても生産することは出来ない。

 公園で聞いた『妙なマグネタイトを吐き出していた』理由が一つの可能性を生み出していた。

「確かに。この悪魔、マグネタイトを自分で作ってるわ。でもそんなの...。」

「じゃあ上野に来てんのは足りななって来た時の補給か?でも吐いてるし...貯めんのが下手なんか?」

「イサカ、チガウ。」

「ん?」

 ぐるぐると回っていたイソラが妙な方向に行きかけたイサカを引き戻す。

「マグネタイト、作レル悪魔ハ存在シナイ。」

「そうやん。...そうやん!ヤバいやつ!」

 可能性にぶち当たってとんでも無いことに気づいたイサカはイソラに謎の悪魔を運ばせると慌ただしく動き始めた。




Q.何で急に歌い出したんですか?
A.飛び道具持ちがここにおるで〜みたいなのもあるけどむか〜し1人で調べもんしとったら悪魔と間違えられて襲いかかってきて死にかけたから。向こうが。
とのことです...向こうが?
Q.瞬発力皆無なのに改札飛び越えてません?
A.他のサマナーと比べても下から数えた方が早い壊滅的瞬発力ですがスイッチが入ると妙な動きをするしそもそも田舎生まれなので多少の障害物は飛び越えます。逆に持久力は尋常ではないようで4.50キロを平気で歩いてフィールドワークしてます。デフォルトでも自転車なら50キロくらい平気で移動します。
Q.そもそも何者なんですか?
A.以前書いた通り西日本出身の文系院生です。
異殻調査と悪魔の情報管理の一端を担う奇才ですが最近までナチュラルボーンを(natural『bone』)と思っていたそうな。
因みにミナモトとは同居(書生に近い)しており料理が得意です。
脳味噌も他と大分変わっていますがキリ無いので本編で半年以内に書きます。頑張ります。
Q.あんまり仲魔強くなさそうなメンツじゃないですか?
A.レベル上げられるからいいんだよ。そこは。

 


イソラ:アズミノイソラ。神道の神で海の神と言われており、神武天皇の父神や岩戸開きの際鏡を差し出した神と同一の存在とも言われている。
太平記では顔に牡蠣や鮑を貼り付けた非常に醜い神とも書かれているが、舞に誘われて姿を現し神功皇后に力を貸したという伝説が残っている。


唐突に歌い出す人間が身の回りに1人います。
近隣の小学生に通報されてました。

楽曲使用
作品コード 723-1881-3
ISWC T-302.555.361-7

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。