真・女神転生square root   作:長月 海里

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諺としてはだいぶ正しくないです。


死中の活を獲る

「ヒャーーッ!!ようやくか!待ちかねたぜ!!」

 とてつもない威圧感を放ちながらぐるんとこちらを振り向いたバイクの悪魔。

その顔には肉がなく、髑髏がこちらを見つめていた。

「まさか...。」

「私の最高の相棒!『魔人』ヘルズエンジェル!さて、私たちを満足させられる?」

 どっと背中に汗が流れるのをセヲリは感じた。

 

 

 髑髏頭の人型悪魔、それらは全て『魔人』という分類に属している。

わからないことだらけの悪魔の中でも一際変わった存在で、命懸けで調査をした学者—イサカによれば『人』と『死』に関連する存在だということらしい。

 そして命懸けでという事は恐しく強いという事だ。

 

 

「なんで魔人なんかガイアーズについてんだ!」

「細かいこと気にしてると死んじゃうよ!?」

 ぶぉん、と耳元をタイヤが掠めた。

「あぶねっ!クラウドか世良か!?」

「反撃だホ。」

「わかってるって!」

 ピキ、と短槍の穂先が音を立てた。

サマナー達はどれだけ悪魔を倒してマグナタイトを保有しても人間である限り魔法は使えない。

 が、武器は別だ。サマナー達の使用する武器は悪魔と合体させたり特殊な素材を組み込むことで高い威力や擬似的な魔法を発揮する。

 そして六陣氷神。この小っ恥ずかしい名で注目すべきは3つ目の氷の字。

これはセヲリの使用する属性を示している。

 セヲリの武器は血も涙も凍らせる氷結の槍だ。

 

「やっと本気出してくれた〜!」

「殺す。」

「行くぜェ〜〜!!」

 パギ!と耳につく音がしてセヲリの短槍と率先垂範の柄の長いメイスがぶつかった。

「おっ...もっ...!」

 騎乗するセヲリは重心がブレ易い。

対して率先垂範は多少揺れはするが悪魔が乗りこなすバイクだ。

 そして武器は重さをそのまま威力にする鈍器であり、突く・払うを基本とする槍とのぶつけ合いには圧倒的に彼女が有利だった。

『こりゃ状況悪すぎるわ。何処かで逃げないと本気で死ぬ。でも相手は魔人のバイク...。』

 しかもまだ2台の手下が残っている。死ぬ気で逃走妨害をしてくるだろう。

なんだか打ち合いが続いて突き返すがこれはまたバイクが器用に避けてしまった。しかもそのままタイヤの回し蹴りが飛んでくる。

「ぐぅっ。」

 無理矢理体を反らせて躱すがその間に連携攻撃が飛んでくる。

「フロスト!」

「ホ。」

 広域氷結(マハブフ)が両者に無理矢理距離を作る。

このままバイクのどっか凍りつかないかなと願っていたが燃えたタイヤにあっという間に溶けてしまった。

「そうそうそういう小技がいいのよ!私達じゃそうはいかないもの!」

 率先垂範はこちらが不利でジリジリと削られているのをわかって大変楽しげだ。

 命懸けで逃げに転じようかというところでセヲリにも悪運は回ってきたらしい。

「え!?見つかったって!?」

 唐突に右耳を押さえて率先垂範は叫ぶ。

どうやら何か連絡があったらしい。

「でも私今...はーい。わかった。ちぇっ。」

 拗ねた様に通信を切ると若干不満気にこそこそっとヘルズエンジェルに囁いた。

「ごめんね陳勝呉広。呼ばれちゃって行かなきゃ行けないの。また遊んでくれるよね?」

「2度と来んな。」

「バイバーイ。」

 くるっと向きを変えると部下を引き連れてあっという間に行ってしまった。

「勝手だホ。」

「まぁ、悔しいし何してたかわからないけど死なずに済んだから良しとしておこう。」

 ジードのスピードを緩めて去っていった方向を見る。

そして、は〜、と溜息をついて呟いた。

「片付けてあいつんところ行こ。」

 

 

 

 

 

『ガン!』

「ぐぅぅ...!」

 降ってくる鈍器を刀で受け止める。

重い。妖精達はひらひらふらふらしながら不意に魔法を飛ばしてきたけれどこいつらは殴れるところがないか殴って来る。

 とにかく怖いので受け止めることしかできてない。

「私のサマナーに何してくれてるの!!」

 バチバチバチ!と、ピクシーの電撃が相手の右腕に当たってノックバック。続けて脳天に直撃した電撃で頭からひっくり返ってしまった。

「とどめ!今!」

「うっ。」

 とどめと言うことは殺すという事だ。

襲ってくる彼等が会話ができる様な相手ではない事はわかってる。

 でも、僕には無理だ。

尻込みする僕の顔に妙に温い液体が飛んできた。

 

 

「やべ、飛んだ。」

 見るとジョバンニの足元には既に2人の敵が真っ赤な水溜りの上で寝ていた。

いや、これは僕の認識がおかしい。バグってる。

 ジョバンニに殺されて自分達の血溜まりに倒れているんだ。

 

 今まで画面や紙の向こうにしかなかった光景に視界がぐらぐらする。

「やべ、こいつ貧血起こしてる。」

「今!?ウソでしょ!?」

 ぐしゃ、と音がしてピクシーが伸した敵の頭から血が噴き出した。アリスがとどめを刺したらしい。ぽたぽた武器から血が垂れている。

 2人とも武器を振って手早く血を落とすと僕の方に駆けてきた。

「ちょっと大丈夫?」

「これお前より酷いぜ?武器屋近いからあそこで...。」

 ジョバンニが僕に肩を貸して1歩歩こうとした時、分厚い氷の壁が僕達を包囲する。

 ガツン!ドスッ、ドサ、という音が壁の外から聞こえて、

「ちゃんと死んだのを確認しないと危ないって9Sが出会い頭に言ってんだろ。」

 というセヲリの不機嫌そうな声がした。




銀座の地下街もうないの一昨日知りました。

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https://syosetu.org/user/341851/


死体処理:戦闘時、特にガイア、メシア両教団と戦う時は必然的に死者が発生してしまう。
サマナーであれば可能な限り現実世界にて埋葬を行うが、両教団員であった場合やあまりに凄惨な状態になった時は異殻にて火炎の魔石・魔法を使用した処理を行う。この処置を怠った場合悪魔に食い散らかされる危険性がある為、発見時、あるいは発生時は必ず対応することが求められる。


魔人:人型、頭部が骨という共通点を持った詳細不明な悪魔達。
死を与える事に特化しているとも何かに全てを捧げた存在ともいわれている。
皆強力な存在であり異殻のサマナー達にとっても最も恐しいものの一つ。出会う事があれば生きて帰れるかは運次第。
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