真・女神転生square root   作:長月 海里

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ヒロアカ読みました。お茶子ちゃんかわいいですね。


第一次半魔工場襲撃作戦-3 鹵獲

「おる?」

「遅えよ...。」

 夜間入口で見張っていた敵をハヤトが叩きのめした所に何をしていたのかようやくイサカがやって来る。

「何してたんだよP凹MAのいい靴履いてるくせにトロ臭いぞお前。」

「ええやろ〜コラボの受注生産。ちょっと嫌がらせして来たん。」

 皮肉の含んだ言葉にさりげなく自慢しながら返すイサカ。

妙に笑顔なイサカの背後をよく見ると所々何か置いてある。

「あれなんだ?トラップか?」

「テグス。思いっきり引っ掛かったら悪魔も脚切れるかも。」

「ここも塞ぐんだから表の入口でやれよそんなの...ポルターガイスト、頼むぞ。」

「任された〜〜!」

 他の入口同様悪魔を配置して2人は侵入する。

 

 

激しい戦いの音が廊下の向こうから聞こえて来た。

「す〜ごい音。大立ち回りやで。」

 そう言いつつ飛び掛かって来た悪魔の喉元に例のアイスピックの様な短剣を突き刺す。

喉を潰され悲鳴もあげられず悪魔はのたうち回る。

下級の名無し(ダイモーン)ぐらいで止められると思うなんて片腹痛いわ。」

「どう見ても俺らみたいなの前提の悪魔じゃねーだろ。前から気になってたけど何だその短剣。」

 見た目は勿論、悪魔がのたうち回っているのは喉を狙ったのもあるだろうがそのまま反撃もして来ないのは少々異常だ。

「『鈴鹿』。」

「銘は聞いてないんだわサーキットかよ。」

「まぁそうなるよな。違うけど。」

「違うのかよ。」

 振り回され始めたハヤトにまァ先に見つけるもん見つけよや、とイサカは肩をすくめる。

 

「地下ってエレベーターか?」

 数メートル前で槍を振るうハヤトが尋ねる。

「停電なったら困るやろ。階段の一つくらいあるわな。バックヤードみたいなとこ探すで。背中は任せ。」

「俺を穴だらけにするなよ。」

「ちゃんと一粒弾(スラッグ)に変えてきたわ。」

 そういう事じゃない、とは当然ハヤトも思ったが何も言わなかった。

 

 

 

 

「セヲリ、俺は配置完了。今どんな感じや?どこにおる?」

『こっち側の2階階段の踊り場。3割倒して2割が戦意喪失逃亡。残り半分。人は何人か倒したけど元々少ないっぽい。ちょっと逃げた。』

 通信のセヲリの声と共に激しい音が聞こえる。

敵は彼女にほぼほぼ釘付け状態だ。この時点での強襲を想定してなかったのだろう。

 イサカとハヤトのせっかちさが今回は良い方向に動いていた。

「逃げ切られたかね?」

『それは知らない。』

「やろなぁ。もう少し減らすぞ。安全と判断した時点で救出開始や。俺は上から行くから下から攻めろ。」

『了解。』

 

 

 

 

「これか。」

「やな。なんか変な音聞こえる。」

 イサカの耳にはごそ...ガタ...という音が僅かに聞こえていた。

「ちょっとマジバイヨかもしれん。」

「今更帰れねえよ行くぞ。」

「待ちや、何あるかホンマわからんのやで。」.

 急かすハヤトを抑えてイサカはごそごそとスーパーボールを5つ取り出した。

「何でそんなの。」

「それ行け〜。」

 

 ポイっと全て階段に向けて放り投げる。

ポポポポポポン、と軽快な音がして跳ね回っているのが見えたが階下の闇に消えていった。

「...何もおらんっぽい。」

 先程から聴こえる僅かに何かが擦れる音とボールの跳ねる音以外に特に音はなく、唐突に投げ込まれた物に反応して向かって来る敵もいない。

「ヤマト、セヲリ、地下発見。そちらも救出よろしく。」

『了解。』

『任せ。』

「行くか。」

「よし、行こう。」

 

「暗いな〜。」

「電気消してんのやろ。ほら懐中電灯。」

 最低限に縛られた光源の中、足元を照らしながら2人は進む。

「...これか。イスカの言ってた部屋。確かに変な音聞こえてるな。」

「うわ見てこのセンサー。マグネタイトがエグい反応してるで。」

 虚数表示とエラー表示、そして大量検出の表示が代わる代わる出ている。

この反応がこの世界においても普通でないものがこの扉の先にある事を2人に教えていた。

「扉俺が開けるから構えてろ。」

「よし来た。...カウントするで、3.2.1...。」

 シャッと扉が開いた瞬間何かかが飛び出した。

 

 

「どわ!?」

 のけぞってそのまま横にすっ飛ぶイサカ。かなり器用な体をしている。

「何だ!?」

 赤い謎の物質...としか呼べないものがぶわりと飛び出してきた。

流石の2人も一瞬腰が引ける。

「センサー反応してるこれ例の虚数マグネタイトだわ。オタマジャクシ飛んできたと思った。」

 と、ストレージからメスフラスコを取り出すと虚数マグネタイトを回収するイサカ。

「フラスコ使い方違くね?」

「細かい事気にすんと禿げんで。それより...。」

 漸く2人は中を覗き込む。

 

 

「うッ...。」

「これはユンガブラも言えへんわ。」

 肉塊がいくつも転がっていた、としか言えない光景だった。

肉塊にはユンガブラ...イスカと同じネオンの様な光があちこちに見られる。

「これ、人間...だよな。」

「まァそやろな。成る程なぁ、適性がないとこうなるわけか。しかもこれ光っとるのは多分まだ生きとる。」

 説明のできない顔のハヤトと腕を組んでどう扱うべきか思索するイサカ。

「どうするよ?」

「とりあえず閉めて。」

 

 

 扉を閉めさせると少し離れた場所に移動して自分の見解をトーンとボリュームを落とした声で語る。

「あれはまァ、素人目にも無理や。サンプル回収して殺してやるのがベストやと思う。ただ目下、問題なのはこれをどんくらいやっとるかや。」

「つまり?」

「この病院だけでもまだ他にもおるはずや。それにここ以外でもやっとったらどうする?この実験成功させとったら?」

「......。」

「サンプル回収とやる事しとくから上の2人にも言うて資料なり何なり探してきて。あるもんとにかく片っ端から。後ヒロに報告。セヲリに何しとるか言うなよ。未成年にこんな作業はさせへんで。」




やっと夏休み入りました。






ダイモーン:悪魔を意味するデーモンの語源にして、個々の名前を持たない最下級の邪悪な霊、悪魔の総称。
元々は善悪を問わず精霊や超自然的な存在を示す言葉であったが、その悪の部分を恐れ意味が変化したといわれている。

ポルターガイスト:ポルターガイスト現象。
誰一人として触れていないものが唐突に動いたり飛んだりし始める心霊現象の一種。ドイツ語で『騒がしい音を立てる霊』という意味がある。

短剣-鈴鹿:イサカのもう一つの武器。
アイスピックに短剣の柄がついた様な見た目をしており、刺突と防御以外の機能を持たないが、モデルになった民話を再現する様に刀身では激痛を伴う毒が生成されている。
鈴鹿とは東海道有数の難所にして多くの山賊が横行したと言われる峠の名前。
なお、『地名に肖った』武器は多いが『その地の物語』をモデルにした武器は制作にも使用にも難があったため大変希少なものになっている。
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